緑内障手術でおすすめの眼科医とは
緑内障は眼圧の上昇などにより視神経が傷つき、視野が狭くなる病気です。放置していると失明する可能性もあるので、早めに眼科で検査・治療を行う必要があります。
とはいえ、緑内障治療を行っている眼科は数多くあるため、どこの眼科に行けば良いか分からない方もいるでしょう。
本記事では、緑内障治療でおすすめの眼科の選び方を詳しく解説します。
また、緑内障とはどのような病気か・症状・治療方法などについてもご紹介しますので、緑内障の治療について詳しく知りたい方は参考にしてください。
緑内障は、眼と脳をつなぐ視神経が傷つくことにより、視野が狭くなる病気です。視神経が繊細な方や、眼圧が高い方がなりやすいといわれています。
視神経に障害が起きる原因ははっきりしていませんが、遺伝・強度の近視・眼圧・生活習慣・免疫の異常などさまざまなことが考えられます。
放置していると視野がさらに狭くなり、失明する可能性があるでしょう。
一度傷ついた視神経は元に戻らないため、狭くなった視野が回復することはありません。そのため、視力障害が軽度なうちに治療を受けることが重要です。
緑内障にはいくつか種類があり、代表的なものには次のような種類があります。
原発緑内障は、ほとんどの緑内障に当てはまり、病気などの影響がなくて眼圧が上昇することで発症します。
続発緑内障は、ぶどう膜炎・ケガ・薬などの影響で眼圧が上がり発症するタイプです。発達緑内障は、生まれつきの緑内障で、子どもの頃から眼圧の上昇がみられるでしょう。
緑内障の症状は、初期の場合、自覚症状がないことが多いです。具体的な症状としては、次のような症状が現れるケースがあります。
緑内障の症状について詳しく解説します。
緑内障は、初期は自覚症状がないケースも多いです。知らないうちに徐々に進行し、症状が現れたときにはかなり進行している場合も少なくありません。
ほかの症状で眼科を受診して、緑内障に気付くケースもあります。早期発見のためには眼科に行って検査を受けることが重要です。
ただし、自覚症状がないため、緑内障と診断されても途中で治療を止めてしまう方もいます。治療を止めてしまうと緑内障が進行するので、治療を続けましょう。
次に、緑内障ではどのような症状が現れるかをご紹介します。
1つ目の症状として、暗点(見えない部分)が出現することが挙げられます。眼圧が高いと視神経が圧迫され、弱くなることが原因です。
最初は眼の中心からやや外れたところに暗点ができ、やがて暗点が拡大していくでしょう。この段階では、自分自身で症状に気付くことはありません。
緑内障の別の症状としては、見える範囲が狭くなることです。
ほとんどの場合はゆっくりと視野が狭くなることに加え、欠けていく視野を反対の目で補ったり、脳が欠けた部分のイメージを補正するため症状に気付かない場合が多いでしょう。
放置していると視野がさらに狭くなり、視力も悪くなって日常生活にも影響が出ます。
緑内障の症状としては、眼痛・充血・目のかすみなどが出るケースもあります。これは、急激に眼圧が上昇する急性緑内障発作が起きた場合です。
ほとんどの緑内障は進行がゆっくりですが、急性緑内障発作の場合はこれらの症状を伴い、かなりのスピードで視野が狭くなります。
一晩で失明する可能性もあるため、すぐに病院に行って治療することが必要です。
頭痛・吐き気も、基本的には急性緑内障発作の症状です。とくに激しい痛みを伴う頭痛の場合は、急性緑内障発作の可能性が高いでしょう。
ただし、慢性緑内障でも頭痛を発症するケースがあります。この場合の頭痛は、デスクワークや肩こりのときに起きる頭痛のような、頭が重く感じられる頭痛です。
激しい痛みを伴う頭痛では、急性緑内障発作の可能性が高いため、すぐに病院で治療を受けましょう。
緑内障の治療は、基本的に眼圧を下げることが目的です。緑内障になった場合の治療方法としては、次のようなものがあります。
それぞれの治療方法についてご紹介します。
緑内障の治療方法で基本となるのは、薬物療法です。点眼薬や内服薬にはさまざまな効果を持つものがあり、緑内障の種類・重症度・眼圧に応じて処方されます。
点眼薬の種類として具体的には、眼圧を下げる薬・房水が作られるのを抑える薬・房水が流れやすくする薬などが挙げられるでしょう。
1種類の薬だけで効果が十分でない場合は、2~3種類など複数の薬による治療を行う場合もあります。薬剤ごとに点眼回数は決まっているため、それを守りながら点眼することが重要です。
とくに、複数の点眼薬を使用する際は、すぐに別の点眼薬を使用すると前の点眼薬が流されてしまいます。そのため、時間を空けて使用する必要があるでしょう。
点眼薬で効果が不十分な場合は、内服薬が処方されるケースもあります。薬物療法だけで十分な効果が得られないときは、次に挙げるレーザー治療や手術が検討されるでしょう。
レーザー治療は、薬物療法だけでは十分な効果が得られない場合や、緑内障の症状によっては第一選択肢となる治療方法です。レーザー治療には主に次の2種類の方法があります。
レーザー虹彩切開術は、虹彩(茶目の部分)にレーザーで穴を開けて、眼内の房水の流れを変える方法です。
レーザー線維柱帯形成術は、線維柱帯に照射して目詰まりを解消し、房水の流れを改善する治療方法になります。
レーザー治療は5~10分ほどの短時間で終了するほか、痛みも少ないといわれています。また、手術前後における日常生活の制限もほとんどないでしょう。
効果には個人差がありますが、一般的には2~3年間は眼圧が下がると考えられています。そのため、3年ほどは点眼せずに眼圧をコントロールできるでしょう。効果が減ってきた場合は、繰り返しレーザー治療が行えます。
薬物療法・レーザー治療でも十分な効果が得られない場合は、手術が行われます。手術を行ったとしても狭くなった視野が戻るわけではありませんが、進行を遅らせるのに役立つでしょう。
手術の方法はさまざまですが、大きく分けると次の3種類が挙げられます。
流出路再建術(トラベクトーム)は、房水の通り道を通りやすくする手術です。また、濾過手術(トラベクレクトミー&インプラント手術)は、房水を球結膜下に逃がす手術になります。
チューブシャント手術は、専用のチューブを眼内に挿入し、房水の排出路を作って眼圧を下げる治療方法です。
手術時間は術式にもよりますが、1~1時間半ほどかかるでしょう。また、入院期間は5日~2週間ほどです。手術の方法は、緑内障の症状に合わせて選ばれます。
なお、緑内障の手術を行うと、白内障も合併していることが分かる場合もあるでしょう。その場合は白内障の手術も同時に行うケースがあります。
白内障の手術を行うことにより、眼圧を下げやすくなることもメリットの1つです。
緑内障の治療を受けられる眼科医は数多くいるので、どの眼科医が良いか悩む方は、具体的に次の3つのポイントに注意して眼科医を選ぶとよいでしょう。
それぞれのポイントを詳しく解説します。
1つ目のポイントは、日本眼科学会認定の眼科専門医かどうかです。眼科専門医の資格は、次のような厳しい条件をクリアした医師だけに与えられます。
資格を取得したあとも5年ごとに資格を更新する必要があります。
眼科専門医であれば、緑内障について詳しい知識や技術を持っている目安の一つになるでしょう。眼科専門医かどうかは、日本眼科学会のホームページから検索が可能です。
眼科医を選ぶ際の2つ目のポイントは、リスクを含めた説明を行ってくれるかどうかです。
緑内障治療にはさまざまな治療方法があり、それぞれにメリットだけでなく、デメリットやリスクもあります。デメリットやリスクについて把握していなければ、後々トラブルの原因になりかねません。
自分のところで治療を受けてもらいたいために、リスクについてあまり説明しない場合もあります。メリットだけでなく、リスクについてもしっかり説明を聞いたうえで、自分の希望する治療を受けるようにしましょう。
眼科医を選ぶ際の別のポイントは、検査やアフターフォローもしっかり行ってくれるかどうかです。
緑内障では、いくつかの検査が必要で、検査を受けることにより種類や進行具合の診断ができます。また、治療が始まったあとも検査で治療効果の判断が可能です。
さらに緑内障の場合、基本的には生涯にわたって治療を継続する必要があるため、アフターフォローも大切になります。
とくに手術を受けたあとに問題が発生する可能性もあるので、検査・アフターフォロー・保証などがしっかりしている眼科医がおすすめです。
本記事では、緑内障治療でおすすめの眼科の選び方を詳しく解説しました。
眼科を選ぶ際には、日本眼科学会認定の眼科専門医かどうか・リスクを含めた説明を行ってくれるかどうか・検査やアフターフォローもしっかり行ってくれるかどうかを確認しましょう。
緑内障は自覚症状が少ないため、進行に気が付きにくい病気です。しかしながら、早期発見・治療を行うことにより、軽度の状態を維持し、失明の可能性も軽減できます。
とくに40代以降の方は、定期的に眼科検診を受け、緑内障の症状が出ていないか確認しましょう。
参考文献
- 緑内障治療|公益財団法人 日本眼科学会
- 緑内障ってどんな病気?|公益財団法人 日本眼科医会
- 緑内障診療ガイドライン(第5版)
- 眼科専門医の魅力|公益財団法人 日本眼科学会
- 眼科専門医を探す|公益財団法人 日本眼科学会