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眼底検査の方法は?検査の種類・早期発見できる目の病気について解説

眼科を受診し眼底検査の必要性を提案された場合、どのような方法で眼底の検査をするのか気になる方が大半ではないでしょうか。

初めて眼底検査を受ける方であれば、検査をするとき痛みを伴わないか不安になる方もいます。

眼底検査自体に痛みはなく、血管の様子を直接確認できる唯一の検査方法であるため、目以外のさまざまな病気の早期発見に繋がるメリットがあります。

この記事では、眼底検査の種類や方法と、検査によって早期発見できる目の病気について解説します。

眼底検査の方法は?

眼科医

眼底検査の方法は、瞳孔を散大させて眼底の網膜や視神経の状態を観察するもので、痛みを伴う検査ではありません。

瞳孔を散大させるには、散瞳薬を用いる方法と暗所で自然に散瞳させる方法の二つがあります。

散瞳薬を用いた場合、検査後しばらくは眩しく感じたりピントが合いにくいと感じることがほとんどです。

そのため、運転を控える必要があり、家族のサポートが不可欠といえるでしょう。

眼底検査は照明と観察レンズを用いて医師が診察する方法と、眼底カメラという機械を用いて眼底写真を撮る方法があります。

散瞳薬を用いる場合も用いない場合もありますが、精密に検査するためには散瞳が必要になることがほとんどです。

検査の主な種類

検査

眼底検査をうけることになったら、どのように検査するか気になる方が大半ではないでしょうか。

眼底検査には、主に2種類の方法があります。

  • 眼底鏡といわれる器具を使い、眼底を観察する方法
  • 眼底カメラという専用の機械で眼底の状態を撮影し観察する方法

眼底検査をする前に散瞳薬を用いる場合には、検査後も眩しく感じたりピントが合いにくい状態がしばらく続く場合がほとんどです。

散瞳薬自体の痛みや検査方法による痛みはないため、安心して検査に臨めるでしょう。 さっそく、2種類の眼底検査方法について詳しく解説します。

眼底鏡

眼底鏡による眼底検査の方法は、眼科医がライトと専用のレンズを用いて眼底の状態を観察する方法です。

部屋を暗くすることで、自然と散瞳させた状態で拡大鏡のようなものを使って眼科医が直接覗き込みます。

眼科を受診すると、まずこの眼底検査を行う場合がほとんどで、眼の異常がないか確認します。

そして、気になる所見が見られる場合に、眼底カメラによる画像の撮影を行い精密検査する場合がほとんどといえるでしょう。

少し眩しさを感じることはあっても、痛みを感じる検査ではないため、安心して受診できます。

眼底カメラ

眼底カメラ

眼底カメラによる眼底検査の方法は、瞳孔を散大させた状態で眼底カメラを覗き込み、画像を撮影して眼底の状態を観察する方法です。

眼底カメラによる眼底検査では、より広範囲を確認できる点が一番のメリットといえます。

また、眼底の様子を撮影して画像として残せるため、検査のあとでもじっくり所見を確認したり経過を比較したりするのに役立ちます。

瞳孔を散大させるために散瞳薬を使用すると、点眼後30分程度で瞳孔が開き眩しく感じたりピントが合いにくいと感じたりする場合があります。

散瞳薬の効果は検査後も4~6時間継続するため、車やバイク・自転車の運転は控えましょう。

検査自体に痛みはないのですが、散瞳薬による検査後の負担が考えられるため、散瞳薬を用いない無散瞳眼底カメラを導入する医療機関が増えているのも事実です。

眼底カメラを使用した検査を受ける場合には、散瞳薬の使用の有無を確認することをおすすめします。

眼底検査で早期発見できる目の病気

診察

眼底検査は、眼科の検査のなかでもとりわけ重要な検査の一つです。

眼底所見はもちろんのこと、網膜・血管・視神経の状態を確認し、病気の有無や進行具合を把握できます。

進行すると失明する可能性のある病気には、緑内障・糖尿病網膜症・黄斑変性などがあり、いずれも眼底検査で早期発見が可能な病気です。

さっそく、眼底検査で早期発見できる目の病気について解説していきます。

緑内障

緑内障は、徐々に視野が狭まり進行すると失明する可能性がある病気です。

日本人においては、ある程度まで進行しないと視力の低下などの自覚症状が現れない場合がほとんどの病気といわれています。

自覚症状があり眼科を受診した際には末期といえる状態である場合も多く、日本人では失明の原因第一位です。

自覚症状がなく発見が難しい緑内障ですが、眼底検査で視神経を確認することで早期発見できます。

早期発見により速やかに治療が受けられれば、失明を防げる可能性は高まるでしょう。手遅れになる前に、眼底検査を定期的に受けることをおすすめします。

白内障

おばあちゃん

白内障は、加齢とともに発症する頻度が高い病気の一つです。

眼の中の水晶体と呼ばれる部分が白く濁ることにより、ものが二重に見える・かすんでみえる・眩しく感じる・視力が低下するといった症状が引き起こされます。

定期的に眼底検査を受け早期発見ができた場合には、薬によって病気の進行を遅らせることができますが根本治療にはなりません。

進行した場合には、手術をする以外に治療する方法がありませんが、術後の視力回復には目を見張るものがあります。

白内障は治る病気といわれるのもうなずけるでしょう。

白内障における詳しい眼底検査は、眼底や視神経に白内障以外の病気や合併症が隠れていないか、術前に確認する目的で用いられる場合がほとんどです。

白内障は早いと40代ごろから始まる病気であるため、年に一度の眼底検査を毎年の健康診断に盛り込んでみてはいかがでしょうか。

黄斑変性

黄斑変性は、加齢によって眼の内側にある網膜の中心部分である黄斑部に、むくみや出血が起こり色や細かいものの識別が難しくなる病気です。

病気に気づかず放置していると、視力が低下し失明する可能性があるため早期発見が重要です。

黄斑変性の所見は、黄斑部の後ろ側にある脈絡膜といわれる部分に新生血管という異常血管が形成される点で、現時点では再生させる治療法はありません。

ただし、早期発見できた場合には、進行を遅らせ病状の悪化を最低限に抑えることができます。

眼底検査では、網膜や眼底に異常血管がないか確認できるため、黄斑変性の早期発見に有効といえるでしょう。

網膜剥離

頭に包帯を巻く女性

網膜剥離は、外傷により眼球に強い衝撃が加わり変形することで起きる場合が大半とされていますが、明らかな原因がない場合にも加齢などにより突然発症することがあります。

緑内障や黄斑変性と並び、失明する可能性のある病気の一つに数えられます。

網膜自体は光を感じて伝達する神経網膜と網膜色素上皮の二層からなり、それらが剥がれた状態が網膜剥離です。

自覚症状としては、物が見えづらく感じることや視界に影や光があり一部見えない部分があることなどがあげられます。

コンタクトレンズの検診や眼鏡の新調など、たまたま受けた眼底検査で見つかる場合もあるなど、眼底検査で網膜剥離の所見が確認できるでしょう。

外傷や症状がないとしても、50歳を過ぎた辺りから加齢による網膜剥離が発症する場合があるため、定期的に眼科を受診し眼底検査を受けることをおすすめします。

網膜色素変性

網膜色素変性は遺伝性の病気であり、暗いところで光を感じとる働きを担う桿体細胞に障害を生じる病気です。

特徴的な症状として、夜や暗いところでものが見えにくい夜盲・視野が狭まる視野狭窄・視力低下があげられます。

眼底検査では初期段階から網膜血管が細くなり、網膜の色調がゆらぐ「ゴマ塩状」の眼底所見がみられることから検査さえ受ければ発見しやすいでしょう。

白内障を合併する場合が多いことから、白内障の眼底検査で網膜色素変性が判明することもあります。

網膜色素変性には、根本的な治療法がないため眼底検査で早期発見し、少しでも病気の進行を遅らせる治療を試みる必要があるでしょう。

眼底検査で早期発見できる全身の病気

胸に手をあてる女性

眼底検査は、血管の状態を直接確認できるただ一つの方法であり、眼科にとどまらず他の診療科においても重要な検査の一つです。

他の診療科にかかっていた場合でも、眼底検査を受けるよういわれるケースがあるといった、体の病気の早期発見に眼底検査が重要であるといえます。

自覚症状がない場合にも、眼底所見に異常がないか確認することで病気の早期発見ができるため、非常に有益な検査といえるでしょう。

また、定期的に眼底検査をすることで、新たな病気の発見や病気の経過観察ができます。

目の視力に問題がなく不調もないから自分には関係ないと捉えず、健康診断の一つとして眼底検査を受けてみてはいかがでしょうか。

それでは、眼底検査で早期発見できる全身の病気を解説します。

高血圧

眼底検査で、早期発見できる全身の病気の一つが高血圧です。

全身に張り巡らされている血管のうち、直接見ることのできる血管が網膜血管であり、高血圧などの所見の発見や治療に役立っています。

高血圧が重症化すると、高血圧性網膜症を引き起こし高血圧の治療が急務であると診断できます。

網膜の細動脈が細くなっていることが所見でみられ、高血圧によるものなのか細動脈硬化によるものなのか判別が不可欠です。

細動脈が細くなる原因が高血圧であれば楽に治療ができるため、眼底検査による正確な診断と早期発見が重要といえるでしょう。

糖尿病

笑顔のおばあちゃん

眼底検査で判明する病気には糖尿病があり、合併症として糖尿病網膜症を引き起こします。

糖尿病網膜症は悪化すると失明する可能性があるため、合併症のなかでも危険なものとされます。

糖尿病網膜症は、進行具合によって三段階に分類され、いずれも眼底検査で所見の確認が可能です。

進行具合の分類 眼底検査で見られる所見
1:単純糖尿病網膜症 斑状出血・点状出血・毛細血管瘤・硬性白斑・軟性白斑
2:増殖前網膜症 軟性白斑・新生血管・毛細血管成形不良
3:増殖網膜症 網膜剥離・新生血管・硝子体出血

糖尿病で目が失明する可能性があるとは、思いもしない方がほとんどでしょう。

糖尿病網膜症は自覚症状がない場合がほとんどで、網膜剥離の一歩手前で判明するケースも多数あります。

進行度合いが低い場合には、血糖のコントロールによって自然治癒するため、早期発見が重要です。

失明のリスクがある病気の早期発見ができるよう、健康診断では眼底検査も併せて行うことをおすすめします。

動脈硬化

眼底検査は、体の中の血管を直接見られるただ一つの検査方法であり、動脈硬化の判別に非常に有効です。

動脈硬化は、動脈の内腔を構成する血管内皮細胞が刺激を受け、内膜が肥大して血液が流れる管内が狭くなります。

病気が進行すると、血管内に血栓を生じ詰まってしまうことを動脈梗塞または動脈閉塞とよび重大な視力障害を引き起こしかねません。

眼底検査では動脈硬化により、眼底の細動脈が細くなる・一定の太さでない・動脈と静脈の交差する場所でくびれや曲がりが見られる・出血などの所見がみられます。

高血圧の所見とも重なる部分が大半ですが、動脈硬化が原因の場合動脈の反射から血管が輝いて見える銀線動脈があることも特徴です。

自覚症状がなく、早期発見は眼底検査でしかできないといっても過言ではないでしょう。

早期発見ができれば、動脈硬化によって引き起こされる脳梗塞や心筋梗塞などの予防にも繋がると考えられます。

自覚症状がない場合こそ、定期的な検査を受けることをおすすめします。

脳疾患

頭痛

脳疾患と一言にいってもさまざまな病気があり、眼底検査で早期発見できるものは脳梗塞・脳腫瘍です。

眼底検査では眼底の細動脈の様子を観察し、血管が細くなることや光って見えることなどの所見から、高血圧や動脈硬化にも関連した病気を推測できます。

高血圧や動脈硬化と同じような所見が見られ、眼底血管の異常と脳内の血管は似ている状態といえるでしょう。

また、眼底の乳頭と呼ばれる部分が腫れている場合には、脳出血や脳腫瘍による脳圧が高まっていることが考えられます。

こうした特徴から、脳疾患を引き起こす病気の原因や進行度合いを確認し適切な治療を行うために役立ちます。

眼底検査で確認できる網膜の毛細血管は、そのまま脳や全身の状態を縮小して映し出し、早期発見に欠かせない検査といえるでしょう。

眼底検査を受けるタイミングは?

目を抑える男性

目の不調など自覚症状がない場合には、眼底検査を受ける必要性を感じない方が大半ではないでしょうか。

視力に不安がなく目の不調など自覚症状がない場合でも、40歳を過ぎたら一度は眼底検査を受けることをおすすめします。

40歳という年齢は、これまで健康である方にも何かしらの不調が出始める年齢のため、ご自身の目や体の状態をしっかり知ることが大切です。

また、目の不調を感じる方は、眼科を受診した際に眼底検査が必要なタイミングを医師と相談できます。

眼底検査を受けることで、現状を把握し適切な治療が受けられるでしょう。

では、実際に眼底検査を受けるタイミングについて、詳しく解説します。

40歳以上の人は眼底検査を受けることが推奨される

40歳を過ぎたら、目の不調がなく健康診断の視力検査で問題がなかった方でも、一度は眼底検査を受けることが推奨されています。

眼底検査では、眼底の網膜・血管・視神経に異常がないか確認し、病気の有無や進行状態を把握できます。

何かしら不調が出始める40歳過ぎを目安に眼底検査を受けることで、目の病気だけではなくそれ以外の病気の早期発見にも繋がるからです。

目の不調として「かすんで見える・ピントが合いにくい・暗く感じる・視界が狭い」と感じる頃には、病状がかなり進んでいる場合もあります。

そうなる前に、ぜひ眼底検査を一度受けてみてはいかがでしょうか。

健康診断では視力検査しか実施されないため、眼底検査が含まれている特定健診や人間ドックを選ぶことをおすすめします。

目の状態によって受けるべきタイミングや頻度も変わるため医師に相談を

眼底検査を受けるべきタイミングや頻度は目の状態によって異なるため、まずは医師に相談することをおすすめします。

すでに何かしら目の不調を抱えている方は、眼科を受診している方が大半といえるでしょう。

眼底検査は目の状態を把握するのに必要な検査であるため、眼科を受診すると暗所での眼底鏡を用いた眼底検査を受けられる場合がほとんどです。

定期的に通院しているのであれば、目の状態によって詳しい眼底検査が必要なタイミングを提案して貰えるため安心できます。

例えば、コンタクトレンズを使用している方は見え方に変化がなく不調を感じていない場合でも、定期健診で眼底検査を受け異常がないか確認することが重要です。

目の状態や病気の治療だけではなく、全身にかかわる病気の早期発見のためにも、定期的に眼科を受診し眼底検査を受けてみてはいかがでしょうか。

眼底検査の費用は?

薬

眼底検査の費用は保険適用になります。

眼底鏡・眼底カメラによる眼底検査などの検査費用に加え、検査内容によってはフィルム代や散瞳薬点眼対処としての費用が加算される場合があります。

これら検査費用に診察料を加えたものが診察全体の費用となるのです。

費用は診療報酬点数表の改定によって金額が前後するため、眼底検査を受ける際は病院の方に詳しい費用を直接確認しましょう。

まとめ

眼

眼底検査は、瞳孔を広げて眼底の網膜・血管・視神経などを確認する検査であり、目や体の病気の早期発見に重要な役割がある検査です。

眼底鏡や眼底カメラを用いて眼底の状態を確認するため、検査に痛みはありません。

散瞳薬を使用した場合には、眩しさやピントの合いにくさを感じる場合がありますが、4~6時間ほどで薬の効果は消失し普段通り見えるようになります。

眼底検査によって早期発見できる目や全身の病気には、失明する可能性のある緑内障や動脈硬化など種類が多くあることも事実です。

健康診断を受ける場合には、眼底検査が含まれる人間ドックや特定健診をうけることで健康管理に繋がるでしょう。

自覚症状や目の不調がないから必要ないと捉えず、まずは眼底検査を受けてみてはいかがでしょうか。

参考文献

この記事の監修歯科医師
柳 靖雄医師(横浜市大 視覚再生外科学客員教授 お花茶屋眼科院長)

柳 靖雄医師(横浜市大 視覚再生外科学客員教授 お花茶屋眼科院長)

東京大学医学部卒業(1995年 MD)/ 東京大学大学院修了(医学博士 2001年 PhD) / 東京大学医学部眼科学教室講師(2012-2015年) / デューク・シンガポール国立大学医学部准教授(2016年-2020年)/ 旭川医科大学眼科学教室教授(2018年-2020年) / 横浜市立大学 視覚再生外科学 客員教授(2020年-現在) / 専門は黄斑疾患。シンガポールをはじめとした国際的な活動に加え、都内のお花茶 屋眼科での勤務やDeepEyeVision株式会社の取締役を務めるなど、マルチに活躍し ています。また、基礎医学の学術的バックグラウンドを持ち、医療経済研究、創薬、国際共同臨床研究などを行っています。

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