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近視と緑内障の関係は?緑内障のリスクになる強度近視についても解説

緑内障 近視

近視と緑内障の関係について知っていますか? 近視と緑内障は一見無関係に見えるかもしれませんが、実際には密接な関連性があります。
本記事では近視と緑内障の関係について以下の点を中心にご紹介します。

  • 緑内障とは?
  • 近視とは?
  • 近視と緑内障の関係とは?

近視と緑内障の関係について理解するためにもご参考いただけますと幸いです。
ぜひ最後までお読みください。

そもそも緑内障とは?

そもそも緑内障とは?

緑内障は、眼球内部の圧力が上昇し、視神経に障害を引き起こす病気です。
緑内障という病気は、視野が徐々に狭くなり、最終的には視力を失う可能性があります。
緑内障は、視神経が損傷すると視野が狭くなるため、初期段階では自覚症状がなく、病気が進行して初めて「見えない」と気付く患者様が多いです。緑内障は、一般的には中高年以上に多く、加齢に伴って増えるとされています。

緑内障にはさまざまな種類が存在しますが、その中でも最も一般的なのは、「原発緑内障」の一種である「開放隅角緑内障」です。
緑内障は、視野が欠けるという症状を引き起こすことがありますが、この視野の欠損が日常生活に影響を及ぼしていても、患者様自身がそれに気づかないことがしばしばあります。
これは、緑内障が進行する過程で視野の欠損が徐々に進行するため、その変化に適応してしまうからです。
そのため、緑内障の早期発見と治療が重要となります。

緑内障の主な治療法は点眼薬で、点眼薬が効果がない場合は、レーザー治療または手術が選択肢となる場合があります。

緑内障と近視の関係

緑内障と近視の関係

緑内障と近視は、一見関連性がなさそうですが、実は深い関係があります。 以下では、緑内障と近視の関係について解説します。

緑内障のリスクになる強度近視とは

強度近視とは、眼球が正常よりも長くなってしまい、光が網膜の前に集まってしまう状態を指します。
強度近視が緑内障のリスクを高める理由は、眼球が長くなることで眼内の構造が変化し、視神経にダメージを与えやすくなるためです。
視神経は、私たちが見たものを脳に伝える役割を果たしています。
視神経が傷つくと、視野が狭くなったり、最悪の場合、失明につながる可能性があります。

強度近視だと緑内障のリスクが高くなる

強度近視の方は、緑内障のリスクが高まる可能性があります。 近視が進行すると視神経乳頭が変形し、視神経乳頭の変形が眼圧の影響を強く受けやすくなるためです。
視神経乳頭は、神経線維が集合する部分で、生まれたときはドーナツのような丸い形をしていますが、近視が進行すると楕円形になったり傾いたりと多様な変形が起きます。

視神経乳頭の変形は、近視の目における緑内障の早期発見も難しくしています。 近視が進行すると、眼球の前後方向の長さが伸び、これにより視神経乳頭が変形することがあります。
視神経乳頭の変形は、眼圧がさらに低下する可能性があると考えられています。

緑内障の早期発見の遅れ

緑内障の進行はゆっくりで、進行するまで自覚症状はほとんどないといわれています。 そのため、緑内障の早期発見は非常に重要です。

近視の目における緑内障の早期発見は、重要な課題といえます。
近視が進行しすぎると、OCT(眼科用の検査機器)による検査結果が不正確になる可能性があります。
そのため、近視が強い方は、可能なら30代で緑内障の精密検査を受けることをおすすめします。

近視について

近視について

改めて、「近視」とは何か詳しくご存知でしょうか?
以下では、近視について解説します。

近視とは

近視とは、眼球の長さ(眼軸長)と角膜や水晶体の屈折力(光を集める能力)が適切に調整されていない状態を指します。この結果、遠くから来る光線が網膜の前で焦点を結び、視力が低下します。
近くの物体を見るときには、視力が正確に調整され、物体が鮮明に見えます。
しかし、遠くの物体を見るときには、視力の調整がうまくいかず、物体がぼんやりと見えることがあります。

近視の大部分は、学童期に眼軸が過剰に伸びることで引き起こされる「軸性近視」です。
軸性近視は、眼鏡を使用することで視力を正常に戻すことが可能とされる、「単純近視」が主です。
しかし、稀に、この状態が「病的近視」に進行することもあります。
これは、眼球の形状が変わり、視力が低下し、さらには失明につながる可能性がある状態を指します。
近視の度合いは、視力を測定する際の単位であるジオプトリー(D)によって評価されます。
具体的には、-3.00D以下の場合は弱度近視、-3.00Dより大きく-6.00D以下は中等度近視、そして-6.00Dを超えると強度近視と分けられています。

近視の原因

近視は、視力が低下し、遠くの物がぼやけて見える状態を指します。 近視の原因は主に二つあります。
一つは「軸性近視」で、これは眼軸が過度に伸びてしまうことで物理的にピントが合わなくなった状態の近視を指します。
眼軸が長くなると、光が焦点を結ぶべき網膜の位置が後方に移動してしまいます。 その結果、光の焦点が網膜の前で結ばれ、遠くの物体がぼんやりと見えるようになります。
軸性近視は遺伝が原因といわれています。

もう一つは「仮性近視」で、これはピント合わせがうまくできないことで遠くがぼやけてしまうことを指します。
近くの物を観察する際、視力を調整する筋肉が作用し、眼内のレンズが厚くなります。 これにより、近くの物体が鮮明に見えるようになります。
特に、デジタルデバイスを長時間近くで見続けると、視力を調整する筋肉が持続的に緊張状態になり、固まってしまうことがあります。
これにより、眼のレンズも膨らんだ状態が続き、元の形状に戻るのが難しくなることがあります。
そのため、遠くにピントが合わずに見づらくなるのです。
仮性近視は、短期間で発生する近視の一種で、適切な眼科治療と生活習慣の改善により、回復が見込めます。

近視の改善方法

近視は、遠くの物がぼやけて見える状態で、特に子どもの間で増加しています。
近視は原因によって、回復する場合としない場合があります。
近視の改善方法については、以下のようなものがあります。

  • 眼のトレーニング:緊張状態にあるピント合わせの筋肉を休ませることが重要です。遠くの物体をじっと見つめるだけで、視力を調整する筋肉をリラックスさせ、緊張を和らげることが可能とされています。長時間近くを見続けることは避け、約30分〜1時間ごとに10分程度の休憩を取ることが重要です。
  • 眼鏡やコンタクトレンズ:近視の補正には、眼鏡やコンタクトレンズが使用されます。したがって、定期的に眼科で検査を受け、自分の眼に適した眼鏡を選ぶことが重要です。
  • 手術:近視の矯正には、レーシック手術やICL(眼内コンタクトレンズ)という手術が一般的に行われます。これらの手術は、視力を改善するための有効な方法とされています。

近視の予防方法

近視の予防には、生活習慣の改善が重要です。
以下に、具体的な予防方法をいくつか紹介します。

  • 適切な視距離を保つ:近くの物を見るときは、視距離を30cm以上に保つことが推奨されています。
  • 十分な明るさで作業する:読書や作業をするときは、300ルクス以上の明るさが必要です。
  • 屋外での活動を増やす:1日に2時間以上、最低でも1日40分以上の屋外活動をすることが、近視の進行を抑制するとされています。
  • 定期的な休憩を取る:長時間近くの物を見ての作業後は、5分以上の休憩を取ることが近視の進行を抑制すると考えられています。
  • 早寝早起きと十分な睡眠時間を確保する:規則な生活や睡眠不足は近視の進行を助長する可能性があります。

緑内障を引き起こす強度近視について

緑内障を引き起こす強度近視について

近視は、視力の問題だけでなく、眼の健康全体に影響を及ぼす可能性があります。 前述のとおり、強度近視は緑内障のリスクを高めるとされています。
以下では、強度近視がどのように緑内障を引き起こす可能性があるのか、そのメカニズムと治療方法についてより詳しく解説します。

強度近視に関連する緑内障以外の合併症

強度近視に関連する緑内障以外の合併症はどのようなものがあるのでしょうか?
強度近視が引き起こす可能性のある他の合併症については、以下の通りです。

近視性牽引黄斑症

近視性牽引黄斑症は、眼軸が伸びることにより、網膜が引っ張られる(牽引される)状態で発生する病気です。
近視性牽引黄斑症は、強度近視の一部で見られ、特に眼軸長が27mm以上の場合に多く見られます。

近視が進行すると、網膜が引っ張られて薄くなったり、裂けたり、剥がれたりします。
この結果、網膜分離症や黄斑円孔といった、より重篤な合併症に進行する可能性があります。

網膜分離症は、網膜が浮いて、剥がれてしまう状態を指します。
この状態が進行すると、視力低下を引き起こし、最終的には失明に至る可能性があります。

黄斑円孔は、網膜(特に黄斑部)に開いてしまった孔(あな)を指します。
これは、網膜が引っ張られて薄く弱くなった部分に孔が開いてしまうことが原因です。
黄斑円孔が進行すると、視力低下や視野欠損などが生じ、最終的には失明に至る可能性があります。

近視性脈絡膜新生血管

近視性脈絡膜新生血管は、近視が強いと網膜が引き伸ばされ、網膜の中心部である黄斑に脈絡膜新生血管が出現し、視力を落とす病気です。
この病気は、見たいものが歪んで見えたり、黒く見えなかったりすることが特徴です。

近視性脈絡膜新生血管の治療には、硝子体注射があります。
硝子体注射では、脈絡膜新生血管の成長を抑える薬を白目に注射します。
これにより、新生血管の出血を防ぎ、症状を改善することが可能とされています。

近視性視神経症

近視性視神経症は、強度近視によって眼球が前後に伸びると共に、視神経や視神経線維も引き伸ばされることにより、視野に支障をきたす病気です。
近視性視神経症は緑内障の症状と似ており、視野が欠けたり、見える範囲が狭くなります。

治療方法は視神経にかかる負担を減らすために眼圧を下げることを目的とした点眼治療を行います。
これはあくまでも進行を抑えるための対症療法であり、一度欠けてしまった視野は元に戻せないとされています。

強度近視の失明する可能性

強度近視は、眼球が過度に伸びてしまう状態を指し、これにより視力が低下します。
この状態は、視力を回復するための眼鏡やコンタクトレンズを必要としますが、それだけでなく、重大な視覚障害のリスクも増大します。

強度近視の患者様は、網膜剥離、黄斑変性、緑内障などの眼疾患のリスクが高まります。
これらの疾患は視力を大幅に低下させ、最悪の場合、失明につながる可能性があります。

特に、黄斑変性は中心視野を失うことを意味し、これは読書や顔を認識する能力を失うことを意味します。
緑内障は視野が徐々に狭くなる疾患で、完全な失明に至る可能性があります。

強度近視の治療方法

強度近視は、視力を大幅に低下させ、最悪の場合、失明につながる可能性がある深刻な状態です。
以下では、強度近視の治療方法について詳しく解説します。いずれの治療も眼軸が過度に伸びている状態は改善されず、強度近視が引き起こす可能性のある合併症には注意が必要です。
いずれの治療も、眼軸が過度に伸びている状態は改善されず、強度近視が引き起こす可能性のある合併症には注意が必要です。

レーシック手術

レーシック手術は、視力矯正の一つの選択肢として広く知られています。
レーシック手術は、角膜の形状を変えることで、光の屈折を正常にし、視力を改善します。

近視、遠視、乱視などの視力問題は、レーシック手術によって矯正することが可能とされています。
手術では、レーザーを用いて角膜の形状を変え、光の屈折を調整します。
これにより、眼鏡やコンタクトレンズなしでも、遠くのものがはっきりと見えるようになります。

しかし、強度近視の場合、焦点を網膜に合わせるためには、大量の角膜組織を取り除く必要があります。
そのため、レーシック手術での矯正は困難な場合があります。
そのような場合、角膜を削らないICL(眼内コンタクトレンズ)などの他の視力回復手術が適応となることがあります。

ICL手術

ICL手術は、有水晶体眼内レンズ手術とも呼ばれ、水晶体を残したまま、角膜を約3mm切って眼球の中にレンズを挿入する手術です。

ICL手術は、強度近視による視力低下の回復が可能で、特に強度近視の方や、角膜が薄くてレーシック手術が難しい症例の場合でも適用できます。
また、ICL手術は角膜を削る範囲が小さいため、レーシック手術よりも細かい歪み(誘発される収差)が起こりにくくなっています。

近視による緑内障を防ぐために

近視による緑内障を防ぐために

近視は単に視力が低下するだけでなく、緑内障のリスクも高まるという事実をご存知でしょうか。
以下では、近視による緑内障を防ぐための方法について解説します。

早期発見が緑内障を防ぐ鍵

近視による緑内障を防ぐための最も重要な要素は、早期発見です。
緑内障は、自覚症状がないままゆっくりと進行し、視力が低下して初めて異常に気づくことが多い病気です。
そのため、定期的な眼科検診が重要となります。

緑内障の早期発見には、眼科で詳しい検査を受ける必要があります。
一般的な検査として、眼圧検査、視野検査、眼底検査が行われます。
これらの検査により、緑内障の進行具合を評価し、適切な治療を開始することが可能となります。

40歳を過ぎたら眼科で検査

近視による緑内障を防ぐための一つの重要なステップは、40歳を過ぎたら定期的に眼科で検査を受けることです。
これは、緑内障や白内障など、加齢に伴い増加する病気の初期変化が出現しやすい年齢だからです。

眼科での検査は、視力検査だけでなく、眼底検査や眼圧検査など、緑内障の早期発見に大切な検査を含みます。
これらの検査により、病気の早期発見と適切な治療が可能となり、視力を維持できるとされています。

特に、緑内障は視神経にダメージが加わり、視野が欠けたり狭まったりする病気で、自覚症状が出にくいため、早期発見が難しいです。
しかし、早期に発見し、適切な治療を行うことで、緑内障の進行を防ぎ、視力を維持できるとされています。

したがって、自覚症状がなくても、40歳を過ぎたら、定期的に眼科で検査を受けることが推奨されています。

まとめ

まとめ

ここまで近視と緑内障の関係についてお伝えしてきました。 近視と緑内障の関係の要点をまとめると以下の通りです。

  • 緑内障とは、眼球内部の圧力が上昇し、視神経に障害を引き起こす病気である
  • 近視とは、眼球の前後方向の長さと角膜や水晶体の屈折力のバランスが良くないために、遠方からきた光線が網膜の手前で焦点を結んでしまう状態である
  • 近視と緑内障の関係として、強度近視になると緑内障のリスクが高くなるという点が挙げられる

これらの情報が少しでも皆さまのお役に立てば幸いです。 最後までお読みいただき、ありがとうございました。

この記事の監修歯科医師
柳 靖雄医師(横浜市大 視覚再生外科学客員教授 お花茶屋眼科院長)

柳 靖雄医師(横浜市大 視覚再生外科学客員教授 お花茶屋眼科院長)

東京大学医学部卒業(1995年 MD)/ 東京大学大学院修了(医学博士 2001年 PhD) / 東京大学医学部眼科学教室講師(2012-2015年) / デューク・シンガポール国立大学医学部准教授(2016年-2020年)/ 旭川医科大学眼科学教室教授(2018年-2020年) / 横浜市立大学 視覚再生外科学 客員教授(2020年-現在) / 専門は黄斑疾患。シンガポールをはじめとした国際的な活動に加え、都内のお花茶 屋眼科での勤務やDeepEyeVision株式会社の取締役を務めるなど、マルチに活躍し ています。また、基礎医学の学術的バックグラウンドを持ち、医療経済研究、創薬、国際共同臨床研究などを行っています。

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