緑内障は日本の失明原因のトップにもなっている目の病気です。緑内障は視神経の障害によって起き、だんだんと視野が欠損していきます。一度障害が起きた視神経は、残念ながら治ることはありません。市販されているサプリには目によい効果があると謳われるものも少なくありませんが、緑内障の進行を止めるためには、サプリは有効なのでしょうか。緑内障とはどのような病気なのか、進行を食い止める方法について解説します。
緑内障について
日本人にも多くの患者さんがいる緑内障とはどのような病気なのでしょうか。緑内障の原因や症状について解説します。
- 緑内障とはどのような病気ですか？
- 緑内障とは、眼圧の上昇などによって視神経に障害が起きることで視野が狭くなる目の病気です。視神経乳頭の形状と視野に特徴的な変化が起きることが特徴です。さらに放置してしまうと失明に至ります。日本では40歳以上は5％、60歳以上は10％以上の患者さんがおり、日本の失明原因の第1位になっています。 緑内障は、緑内障以外に眼圧上昇の原因がない場合を原発緑内障といい、ほかの疾患や薬物によって眼圧上昇が起きている場合を続発緑内障といいます。
- 緑内障になってしまう原因は何ですか？
- 目のなかには栄養を運ぶ働きをする房水という液体が流れています。房水は毛様体で作られ、角膜や水晶体を通過したのち、虹彩の付け根にある隅角へと流れます。隅角にある線維柱帯、シュレム管を通って外に排出される仕組みです。この排出の仕組みに異常が起きることで、房水がうまく排出できずに眼圧が上昇し、視神経を傷害して緑内障の発症につながります。 緑内障の病型タイプは2つに分けられます。虹彩と線維柱帯の距離が離れている状態を開放隅角緑内障といいます。開放隅角緑内障は、眼圧が高くなることで線維柱帯が目詰まりを起こして房水が出にくくなる状態です。もうひとつは、虹彩と線維柱帯が接触して隅角を塞ぎ、房水が排出できずに眼圧があがるタイプで、これを閉塞隅角緑内障といいます。 眼圧が高いとなりやすいといわれていますが、眼圧が正常範囲であっても緑内障になることがあります。これを正常眼圧緑内障といい、特に日本人に多く、緑内障の約7割がこれに該当します。 緑内障がなぜ起きるのか、確かな原因はわかっていません。ただし、血縁者に緑内障の人がいると発症する確率が高くなるため、遺伝も影響するといわれています。また、ストレスや目の酷使によって血流が悪化し、結果的に緑内障リスクをあげるようになるとも考えられています。
- 緑内障の主な症状を教えてください
- 緑内障はだんだんと視野が狭くなっていく病気です。ただし、基本的にはゆっくりと症状が進むため、初期段階ではほとんどの場合自覚症状がありません。初期は目の中心から外れた位置に見えない部分ができます。中期になると見えない部分が拡大して視野の欠損が広がりますが、この時点でも自覚がない人も少なくないでしょう。末期になると、視野のほとんどが見えなくなり、視力も低下して日常生活に支障が出ます。
緑内障に対するサプリメントの効果
目に効果があるとされるサプリメントは多数ありますが、緑内障に対するサプリメントはあるのでしょうか。緑内障の進行抑制とサプリの効果について解説します。
- 緑内障の進行抑制にサプリは効果がありますか？
- 緑内障は眼圧を下げることで進行を抑えることができます。したがって、眼圧を下げる効果があるサプリによっても、緑内障の進行を抑制できる可能性があるでしょう。サプリには抗酸化作用や循環改善作用を持つ成分が含まれています。 気を付けておきたいのは、眼圧を下げたとしても緑内障の進行が止まらないケースもあるということです。また、緑内障は数ヵ月から数年かけてゆっくり進行するため、サプリによる効果もすぐに感じられるものではありません。
- 緑内障のサプリで期待できる効果を教えてください
- 緑内障のサプリの一つにサンテグラジエノックスがあります。これは視神経の血流改善と、アポトーシスと呼ばれる細胞の死滅を抑える効果があると発表されています。また、緑内障の症状進行抑制を助ける働きが期待できます。
緑内障の治療法
緑内障にはさまざまな治療法がありますが、緑内障自体を治すことはできないため、眼圧を下げる治療になります。そもそも緑内障は治るのか、進行を抑える治療にはどのようなものがあるのかを解説します。
- 緑内障が自然に治ることはありますか？
- 緑内障は自然に治ることがない病気です。緑内障は視神経が障害されることで起きますが、一度傷んだ視神経はもとには戻りません。また、欠損した視野も回復することはありません。 なお、緑内障は自覚症状がないまま進行するため、気が付いたときにはかなり症状が進んでいたというケースもあります。失明につながる可能性もありますので、もし視野に異常を感じた場合は、決して放置せずに早めに眼科を受診しましょう。
- 緑内障は完治しますか？
- 緑内障は完治することはありません。ただし、早い段階で治療を行うことで、自覚症状がない段階で症状を保つことができます。早期治療によって失明リスクも大幅に減らせるでしょう。自覚症状がない場合でも、万が一の場合に備えて定期的に眼科検診を受けることをおすすめします。
- 緑内障の進行を抑える治療を教えてください
- 緑内障治療としては、主に点眼治療が行われます。目標眼圧まで眼圧を下げる効果がある目薬が処方されます。目薬はそれぞれの症状に応じて処方され、1種類の場合もありますし、複数の目薬を併用する場合もあります。 房水を排出するための治療として、レーザー治療が行われる場合もあります。レーザー治療では、虹彩に穴を開けたり、線維柱帯に照射したりすることで、房水の流れを調整します。また、手術としては、房水の流れを妨げる部分を切開する手術や、毛様体での房水の生産を抑える手術などが行われます。
- 緑内障の進行を抑えるのに日常生活で注意する点を教えてください。
- 日常生活においては、目を大切に過ごすことです。自覚症状がない場合でも定期的に眼科検診にいって、早期発見や早期治療に努めましょう。 点眼薬による治療が始まっている場合は、点眼回数や点眼量を守って適切に治療を行うことが重要です。緑内障の治療は長く付き合っていく必要があるため、途中でやめずに医師の指示にしたがって治療を続けることがポイントです。
- 緑内障の点眼治療に副作用はありますか？
- 緑内障では長期間点眼することになるため、副作用として充血や角膜表面の荒れなどが起きることがあります。動機、息切れ、めまいが起きることもあるでしょう。目薬の種類によっては目の周りの黒ずみや瞼が下がるなどの変化が起きる可能性もあります。治療中に副作用が出た場合は、速やかに主治医に相談してください。
編集部まとめ
緑内障は視神経が障害されることで、次第に視野が狭くなっていく病気です。初期段階では自覚症状がないため、知らないうちに進行して重症化した場合には失明に至ることもあります。緑内障は治ることはないため、緑内障によいとされるサプリは、眼圧降下を助ける働きが期待されるものです。緑内障において大切なのは早期発見と早期治療です。早い段階で治療を行えば、見える状態のまま症状を止めることができます。大切な目を守るために、自覚症状がない場合でも、定期的な検診を受けましょう。
参考文献
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