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硝子体内注射とは?適応疾患や治療前後の注意点について徹底解説!

硝子体内注射とは?適応疾患や治療前後の注意点について徹底解説!

硝子体内注射は、目のなかに薬剤を直接注入し、異常な血管の成長や黄斑のむくみを抑えて視力低下を防ぐ治療法です。
硝子体内注射がどのような疾患に効果が期待できるのか、また治療を受ける際に知っておくべき治療前後の注意点について気になっている方もいるのではないでしょうか。 本記事では硝子体内注射について以下の点を中心にご紹介します。

  • 硝子体内注射とは
  • 硝子体内注射の適応疾患
  • 硝子体内注射の治療前後の注意点

硝子体内注射について理解するためにも、ご参考いただけますと幸いです。
ぜひ最後までお読みください。

硝子体内注射について

硝子体内注射について

硝子体内注射とはどのような治療法ですか?
硝子体内注射は、目のなかに薬剤を直接注入し、視力の低下を防ぐ治療法です。
代表的な点眼薬には抗VEGF薬が用いられ、血管内皮増殖因子(VEGF)の働きを抑制し、異常な血管の増殖や黄斑のむくみを抑え、視力の改善や維持が期待されます。

硝子体内注射では、局所麻酔を施し、顕微鏡で患部を確認しながら極細の針で眼内に薬を注射します。治療は短時間で完了し、入院の必要もありませんが、注射後は眼圧が上昇するケースがあるため、病室で少し安静にする時間が設けられます。

異常がなければその日のうちに帰宅できますが、治療効果を持続させるため、月に1度程度の定期的な注射が必要になることも多く、経過観察と再発防止のための定期検診が推奨されています。

硝子体内注射は、再発リスクがあるため、治療後も定期的に検査を受けながら視力を維持することが重要です。

硝子体内注射の副作用や問題点を教えてください
硝子体内注射には治療効果がある一方で、いくつかの副作用や問題点が存在します。
まず、治療の効果が1〜2ヶ月程で減衰するため、定期的な注射が必要となり、治療費が増大する点が挙げられます。また、薬価が高く、例えば3割負担でも1回の治療で約5万円の費用がかかります。

感染症のリスクもゼロではなく、数千人に1人の割合で注射部位から雑菌が入り、眼内炎などの感染症が発生する可能性があります。さらに、網膜剥離や硝子体出血といった合併症も稀に発生する可能性があり、慎重な観察と予防が求められます。

硝子体内注射の適応疾患

硝子体内注射の適応疾患

抗VEGF薬を用いた硝子体内注射の適応疾患を教えてください
抗VEGF薬を用いた硝子体内注射は、視力低下を防ぐために眼球内に薬剤を注入し、血管内皮増殖因子(VEGF)の作用を抑制する治療法です。この治療が適用される主な疾患には、加齢黄斑変性、糖尿病黄斑浮腫、網膜静脈閉塞症に伴う黄斑浮腫、近視性脈絡膜新生血管などがあります。

加齢黄斑変性では、新生血管が脈絡膜から網膜へ侵入し、出血や液体漏出が発生しますが、抗VEGF薬はこの異常な血管の成長を抑え、視力悪化を防ぎます。

また、糖尿病黄斑浮腫では、糖尿病網膜症が原因で血管がもろくなり、血漿成分が漏れて黄斑に浮腫が生じます。抗VEGF薬により、血管漏出を抑制し黄斑浮腫の改善が期待されます。

網膜静脈閉塞症でも血管閉塞によってVEGFが過剰に放出され、黄斑浮腫を引き起こしますが、抗VEGF薬で血管漏出と浮腫を減少させます。
また、近視性脈絡膜新生血管においても、新生血管の抑制を図り、視力保護の効果が期待できます。

これらの疾患に対する抗VEGF薬の硝子体内注射は、再発リスクもあるため、定期的な検査と治療継続が求められます。

加齢黄斑変性で硝子体内注射を行う場合、投与間隔はどのくらいですか?
加齢黄斑変性に対する硝子体内注射は、抗VEGF薬を用いて脈絡膜新生血管の成長を抑制し、視力の低下を防ぐ治療法です。

治療開始時には1ヶ月ごとに3から4回の注射を行うことが目安とされ、集中的に病変の進行を抑えます。その後は、患者さんの状態や病状の安定度に応じて1〜2ヶ月ごとに経過観察し、必要に応じて追加投与を行います。加齢黄斑変性は再発が多いとされているため、長期的に定期的な診察と治療を継続することが重要です。

黄斑浮腫に対して、硝子体内注射を行うことがありますか?
黄斑浮腫は視力に重要な黄斑部分がむくんでしまう状態で、主に糖尿病網膜症や網膜静脈閉塞症などが原因で発症します。この症状に対して硝子体内注射は有効とされ、抗VEGF薬やステロイド薬が注射で直接眼内に投与されます。

抗VEGF薬は血管の異常成分が漏れ出すのを抑える効果があり、黄斑浮腫の改善が期待できます。また、ステロイド薬は炎症を抑え、血管から液が漏れ出る状態を改善するために使用されます。

これらの治療により黄斑浮腫が軽減し、視力の向上が期待できますが、再発を防ぐために定期的な投与が必要となる場合もあり、経過を観察しながらの治療継続が大切です。

硝子体内注射の治療方法

硝子体内注射の治療方法

硝子体内注射の治療の流れを教えてください
硝子体内注射の治療は、患者さんの目の状態を診察・検査した後、治療計画を立てるところから始まります。治療が決定すると、注射の3日前から感染予防のために抗菌剤の点眼が指示されます。

治療当日には、病院到着後に目の周囲を丁寧に消毒し、点眼麻酔を行ってから白目部分に極細の針を使って薬剤を注入します。この手順は数分程度で完了し、注射自体に痛みはほとんどなく、圧迫感がある程度です。治療後は軟膏を使用し、感染予防のため眼帯を装着して帰宅します。

翌日には医師の診察を受け、注射後の眼の変化や感染の有無を確認します。異常がなければ眼帯を外し、さらに3日間抗菌剤を点眼します。治療効果を継続するためには、1~6ヶ月ごとに再注射が必要なこともあり、定期的に経過を観察しながら治療を続けていきます。

硝子体内注射の治療前に注意することを教えてください
硝子体内注射の治療を受ける前には、感染予防のために、3日前から抗菌薬の点眼を開始をする場合があります。
処方された点眼薬は、医師の指示に従い忘れずに行いましょう。また、治療当日は散瞳剤の点眼によって一時的に視界がぼやけるため、車の運転は避けてください。

治療当日は、消毒と局所麻酔を行い、さらに抗菌薬を点眼して準備します。治療はほとんど痛みがないとされていますが、注射を行う部分が目のため、処置に対する不安がある場合は医師に相談しましょう。

硝子体内注射の治療後に注意することはありますか?
硝子体内注射の治療後には、感染を防ぐために以下の注意が必要です。
まず、注射当日は目に直接水が入らないようにし、洗髪や洗顔は避け、入浴は首から下のみ可能とします。また、注射後2〜3日はアイシャドウやマスカラなどの目の周りの化粧も控えてください。

日常生活に関しては、読書やテレビ視聴などは可能とされていますが、目が疲れないように適度に休憩を取るようにします。また、注射当日はアルコールの摂取を控え、運動も軽いウォーキング以外は避けるようにしてください。特に力が入るような運動は2~3日控えることが推奨されています。

治療後に目の痛みや異常な充血が見られた場合は、すぐに医師に相談することが重要です。また、処方された抗菌薬の点眼を継続して行うことで感染リスクを低減できるでしょう。

編集部まとめ

編集部まとめ

ここまで硝子体内注射についてお伝えしてきました。
​​について、要点をまとめると以下のとおりです。

  • 硝子体内注射とは、抗VEGF薬を目に直接注入し、VEGFの働きを抑制して異常な血管の増殖や黄斑のむくみを防ぐ治療法であり、視力の改善や維持が期待される
  • 硝子体内注射の適応疾患には、加齢黄斑変性、糖尿病黄斑浮腫、網膜静脈閉塞症に伴う黄斑浮腫、近視性脈絡膜新生血管などが挙げられる
  • 治療3日前から抗菌薬の点眼を開始し、当日は散瞳により運転を控える必要がある。治療後は感染予防のため洗顔や目の化粧を避ける、軽い運動以外は控える、異常があればすぐ医師へ相談する、などの点に留意する

硝子体内注射は、視力維持や病状の進行抑制に有効とされる治療法です。適応疾患や注意点を理解し、医師と相談しながら治療を進めていきましょう。

本記事が少しでもお役に立てれば幸いです。
最後までお読みいただきありがとうございました。

この記事の監修歯科医師
柳 靖雄医師(横浜市大 視覚再生外科学客員教授 お花茶屋眼科院長)

柳 靖雄医師(横浜市大 視覚再生外科学客員教授 お花茶屋眼科院長)

東京大学医学部卒業(1995年 MD)/ 東京大学大学院修了(医学博士 2001年 PhD) / 東京大学医学部眼科学教室講師(2012-2015年) / デューク・シンガポール国立大学医学部准教授(2016年-2020年)/ 旭川医科大学眼科学教室教授(2018年-2020年) / 横浜市立大学 視覚再生外科学 客員教授(2020年-現在) / 専門は黄斑疾患。シンガポールをはじめとした国際的な活動に加え、都内のお花茶 屋眼科での勤務やDeepEyeVision株式会社の取締役を務めるなど、マルチに活躍し ています。また、基礎医学の学術的バックグラウンドを持ち、医療経済研究、創薬、国際共同臨床研究などを行っています。

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