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網膜硝子体疾患の症状とは?目の健康を守るために知っておくべき網膜硝子体疾患の症状を解説します

網膜硝子体疾患の症状とは?目の健康を守るために知っておくべき網膜硝子体疾患の症状を解説します

網膜硝子体疾患は、視力の低下や視界の異常を引き起こす可能性がある目の病気の一つです。
日常生活において「見えにくい」「視界に影がかかる」といった症状を感じた場合、それが網膜硝子体疾患によるものかもしれません。

本記事では網膜硝子体疾患の症状について以下の点を中心にご紹介します。

  • 網膜硝子体疾患とは
  • 網膜硝子体疾患の症状
  • 網膜硝子体疾患の疾患

網膜硝子体疾患の症状について理解するためにもご参考いただけますと幸いです。
ぜひ最後までお読みください。

網膜硝子体疾患とは

網膜硝子体疾患とは

網膜硝子体疾患とは、眼球内の網膜や硝子体に異常が発生する病気の総称です。

目はカメラのように機能し、外部から光を取り込み、視覚情報として脳に伝達する大切な役割を果たしています。そのなかで、網膜はカメラのフィルムのような役目を担い、目に入る光を受け止め、視神経を通じて脳に信号を送ります。よって、私たちは物を見ることができます。

網膜の中心に位置する黄斑という部分は、細かいものを見る能力を支える重要な領域です。黄斑に異常が起こると、視力低下や物が歪んで見えるなどの症状が現れることがあります。

硝子体は、眼球の内側を満たしている透明でゼリー状の構造です。硝子体が出血したり濁ったりすると、光が網膜まで十分に届かなくなり、視覚に支障をきたすことがあります

網膜硝子体疾患の症状

網膜硝子体疾患の症状

網膜硝子体疾患に関連する症状はさまざまですが、以下のような視覚の異常があります。

  • 飛蚊症(ひぶんしょう)
    目の前に小さなゴミや影が浮いているように見える症状で、多くの場合は害はないとされていますが、網膜剥離や硝子体出血などの初期症状である可能性もあります。
  • 光視症
    暗い場所で目を動かしたときや目を閉じたときに、稲妻のような閃光が一瞬見える現象です。網膜や硝子体に異常があるときに起こりやすい症状です。
  • 視野の変化
    視野が狭く感じたり、視界の中央が暗く見えたりする症状があります。これは網膜の損傷や疾患による可能性があり、見え方に大きな影響を与えます。
  • 物が歪んで見える
    視界のなかで物が曲がって見えたり、大きさが左右で異なって見える場合があります。この現象は、黄斑部の異常が関係していることが考えられます。
  • 視力の急激な低下
    視力が突然落ちる場合は、緊急性の高い網膜疾患が原因である可能性があり、早急な診断と治療が求められます。
  • 目のかすみや光の感覚異常
    目がかすむ感覚や、暗い場所で光が見える現象が生じる場合もあります。硝子体の濁りや網膜の異常が影響している可能性があります。

ご紹介した症状は一時的に現れる場合もありますが、進行性の疾患を示唆していることがあります。
突然の視力低下や視野の異常がある場合は、放置せずに医師に相談するのが大切です。

網膜硝子体の疾患

網膜硝子体の疾患

網膜硝子体の疾患とは、具体的にどのようなものがあるのでしょうか。 以下で詳しく解説します。

網膜裂孔

網膜裂孔(もうまくれっこう)は、網膜と硝子体が強く癒着している場合に発生する疾患です。加齢やほかの要因で硝子体が収縮する際、その力が網膜を引っ張ることで亀裂や小さな穴が生じることがあります。この状態を網膜裂孔と呼びます。

また、網膜裂孔が発生すると、以下のような症状が見られることがあります。

  • 光視症
    硝子体が網膜を引っ張る刺激が光として脳に伝わり、目の前に稲妻のような閃光が走る感覚を覚える状態です。
  • 飛蚊症
    裂孔からの出血により、小さな黒い点や糸くずのような影が視界に浮かんで見えることがあります。

網膜剥離

網膜剥離は、眼球の内側にある網膜が本来密着している脈絡膜(みゃくらくまく)から剥がれてしまう疾患です。これは視力に深刻な影響を及ぼす可能性があります。

網膜剥離はさまざまな原因で起こりますが、そのなかでも網膜裂孔を伴う裂孔原性網膜剥離が全体の約8割を占めています。
また、糖尿病網膜症やぶどう膜炎などが原因で発生する非裂孔原性網膜剥離も存在します。

網膜剥離の原因と種類は以下のとおりです。

  • 裂孔原性網膜剥離
    網膜に生じた裂け目から眼内液が流入し、その圧力で網膜が脈絡膜から剥がれる状態です。
  • 牽引性網膜剥離
    増殖糖尿病網膜症により網膜に増殖膜が形成され、網膜を引っ張ることで剥離が発生します。

上記のような網膜剥離が進行するにつれ、飛蚊症、光視症、視力低下、視野欠損などの症状が現れる可能性があります。

網膜静脈閉塞症

網膜静脈閉塞症は、網膜の静脈に血栓が生じ、血流が遮断されることで発症する疾患です。主に高血圧が原因で動脈硬化が進行し、網膜動脈と交差する静脈部分が圧迫されることで引き起こされます。閉塞が発生すると、血液循環が滞り、網膜に酸素や栄養が十分に行き渡らなくなります。

閉塞する静脈の部位は以下に分類されます。

  • 網膜中心静脈閉塞症
    網膜中心部の主要な静脈が詰まることで起こります。
  • 網膜静脈分枝閉塞症
    網膜の末梢部分で静脈が詰まるタイプです。

上記どちらも動脈硬化が主な原因とされ、高齢者や全身性疾患(糖尿病、高血圧など)を抱える方に多いとされています。

網膜静脈閉塞症は、網膜内での出血が多く、視力低下や視野の一部がぼやけるなどの症状が現れることがあります。
黄斑浮腫(網膜の中心部である黄斑がむくむ状態)が生じると、視力への影響が顕著です。

加齢黄斑変性

加齢黄斑変性は、目の網膜の中心部分である黄斑に障害が生じて、視力に深刻な影響を及ぼす疾患です。加齢に伴い黄斑部が変化し、視覚の歪みや視野の中心部分の欠損を引き起こします。

黄斑は、視力や色の識別に関与する重要な部位であるため、その機能が損なわれると、細かい文字が読めなくなったり、日常生活に支障をきたすことがあります。

加齢黄斑変性には2つの主要なタイプがあります。

  1. 滲出型黄斑変性
    日本人に多いタイプで、新生血管が形成されることにより、血液や体液が漏れ出し黄斑が傷つくものです。進行が早く、視力への影響が大きいのが特徴です。
  2. 萎縮型黄斑変性
    黄斑部の細胞が徐々に死滅していくタイプで、進行はゆっくりですが、視力低下は不可逆的である場合が多いようです。
    加齢黄斑変性の初期段階では自覚症状がないこともありますが、進行するにつれて視野の中心が暗くなるまたは見えなくなる、物が歪んで見える(直線が曲がって見える)、色の識別が難しくなる、視力が急激に低下するなどの症状が現れる可能性があります。

黄斑円孔

黄斑円孔(おうはんえんこう)は、目の網膜中央部にある黄斑に穴が開いてしまう病気で、主に硝子体(ゼリー状の物質)の収縮が原因で発生します。黄斑は視力の中心を担う重要な部分であるため、異常が生じると、視覚に大きな影響を及ぼします。

初期段階では、物が歪んで見える変視症や、視力の低下が主な症状として現れます。 病気が進行すると、視界の中心が暗くなる中心暗点や、見たいものが黒い影で覆われる症状が顕著になります。

硝子体は、眼球の内側を満たす透明なゼリー状の物質で、網膜に接しています。加齢に伴い、硝子体が収縮するときに黄斑を引っ張る力が強く働くと、黄斑に穴が開きます。
初期の穴は小さくても、放置すると徐々に大きくなり、症状が悪化していきます。約50〜70歳の年齢層で発症しがちで、女性にやや多い傾向があります。

黄斑上膜/黄斑前膜

黄斑上膜(または黄斑前膜)は、網膜の中心にある黄斑部分の表面に薄い膜が形成される疾患です。この膜が原因で網膜にしわが生じたり、引っ張られる力が加わることで、視力の低下や物が歪んで見えるなどの症状が現れます。

黄斑上膜は加齢に伴う硝子体の収縮が引き金となる場合が多く、その際、網膜表面に硝子体の一部が残ることで膜が形成される場合があります。

初期段階では自覚症状がほとんど見られない場合もありますが、進行すると以下の症状が出ることがあります。

  • 視力が徐々に低下する
  • 物が歪んで見える(変視症)
  • 視界に異常が現れる

黄斑上膜の進行速度は緩やかであるため、ただちに失明に至ることは稀とされています。
しかし、症状が進むと日常生活に影響を及ぼす場合があります。

黄斑浮腫

黄斑浮腫は、目の中心にある黄斑がむくんで水ぶくれのような状態になる疾患です。
黄斑は視力を司る重要な部位であり、物を見るときに主に使われます。そのため、黄斑に異常が生じると視力低下や物が歪んで見えるなどの症状が現れることがあります。

また、糖尿病黄斑症や網膜静脈閉塞症などの病気に伴って発生することが多いとされています。
疾患の進行には、VEGF(血管内皮増殖因子)というタンパク質が深く関与していることがわかっており、治療の一環としてVEGFを阻害する薬剤の硝子体内注射が広く用いられています。
抗VEGF療法により、視力の改善や病状の進行抑制が期待できるようになりました。

糖尿病網膜症

糖尿病網膜症は、糖尿病の長期化に伴って起こる眼の合併症で、網膜の血管に異常が生じる病気です。高血糖による血管障害が原因で、血管の閉塞や出血を引き起こし、視力の低下を招きます。国内では成人の中途失明原因の上位に位置する深刻な疾患です。

症状や重症度に応じて以下の3つの段階に分けられます。

1.単純糖尿病網膜症

初期の糖尿病網膜症では、網膜内の細い血管が膨らんで血管瘤を形成したり、点状または斑状の小さな出血が現れたりします。
また、血管から漏れ出たたんぱく質や脂質が網膜に沈着し、硬性白斑と呼ばれるシミ状の病変を引き起こすことも特徴です。
この段階では自覚症状が現れないことが多く、視力に影響を及ぼさない場合も少なくありません。
自覚症状がなくとも、定期的な眼底検査とを受け、適切な血糖値の管理が重要です。

2.増殖前糖尿病網膜症

単純糖尿病網膜症が進行すると、酸素が不足して網膜の血管が詰まりやすくなり、軟性白斑と呼ばれるシミ状の病変が多く現れることがあります。網膜の血管が細いため、詰まりが生じると十分な酸素が供給されなくなり、体は網膜に不足した酸素を補おうと新たな血管(新生血管)を形成する準備を始めます。

増殖前糖尿病網膜症の段階では、視界のかすみなどの症状を感じる可能性ことがあるものの、自覚症状はまだ少ないのが特徴です。
網膜の酸素不足を改善するために、レーザーを用いた網膜光凝固法が必要となります。

3.増殖糖尿病網膜症

糖尿病網膜症が進行して重症化すると、血管が詰まり血液の流れが悪化します。結果、網膜に十分な酸素や栄養が行き渡らなくなり、体はこれを補うために新生血管を作ろうとします。

新生血管は、網膜や硝子体に向かって伸びますが、通常の血管とは異なりもろく、破裂して出血(硝子体出血)を引き起こしやすいのが特徴です。
硝子体は眼球内部を満たす透明なゼリー状の組織で、ここで出血が起こると、視界に黒い影や虫のようなものが見える飛蚊症を感じる場合があります。出血が大量になると、視力が低下する可能性もあります。

さらに、新生血管の周囲に増殖膜と呼ばれる繊維性の膜が形成されて網膜が引っ張られ、網膜が剥がれる牽引性網膜剥離を引き起こすことがあります。

硝子体出血

硝子体内に血液が漏れ出し溜まった状態を指し、網膜の血管が破れるなどの損傷が原因で発生します。出血量が多い場合、血液が光の通り道を遮るために網膜に光が届かず、視力の低下を引き起こすことがあります。

一方、出血が少量の場合は、飛蚊症として黒い影や点が見える症状が現れることが多いようです。
主な原因としては、糖尿病網膜症、網膜静脈閉塞症、網膜裂孔などが挙げられ、これらの疾患が背景にあることがあります。

網膜硝子体手術について

網膜硝子体手術について

網膜硝子体手術の流れやリスクなどについて以下で解説します。

手術の流れ

網膜硝子体手術では、局所麻酔を用いて施術が行われます。
手術の準備として、まず目の周囲を消毒し、眼の下部に麻酔を注射します。
万が一、手術中に痛みを感じた場合には、追加の麻酔を施して痛みを和らげる措置が取られます。

合併症リスク

硝子体手術では稀に、以下のような合併症が生じる可能性があります。

  • 硝子体出血(しょうしたいしゅっけつ)
  • 感染症(眼内炎)
  • 網膜裂孔・網膜剥離
  • 眼圧上昇(緑内障)
  • 増殖硝子体網膜症(ぞうしょくしょうしたいもうまくしょう)

上記のリスクはとても稀なケースとされていますが、万が一の事態に備えて、医師と十分に相談し適切な治療計画を立てましょう。

費用目安

網膜硝子体手術の費用は、保険適用時の負担割合によって異なります。
1割負担の場合、片眼の手術費用はおおよそ3万5,000円〜6万円程度となります。
一方で、3割負担の場合は約10万円〜18万円程度が目安となります。

この金額の差は、手術の原因となる疾患や治療内容によって変わるため、実際の費用は具体的な手術内容により異なります。

まとめ

まとめ

ここまで網膜硝子体疾患 症状についてお伝えしてきました。
網膜硝子体疾患 症状の要点をまとめると以下のとおりです。

  • 網膜硝子体疾患とは、眼球内の網膜や硝子体に異常が発生する病気の総称のこと。飛蚊症や光視症などの症状を引き起こす可能性がある
  • 網膜硝子体の疾患には網膜裂孔、網膜剥離などが挙げられる
  • 網膜硝子体手術では、局所麻酔を用いて施術が行われる。手術の準備として、目の周囲を消毒した後、眼の下部に麻酔を注射する。稀に合併症を引き起こす可能性がある

これらの情報が少しでも皆さまのお役に立てば幸いです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。

この記事の監修歯科医師
柳 靖雄医師(横浜市大 視覚再生外科学客員教授 お花茶屋眼科院長)

柳 靖雄医師(横浜市大 視覚再生外科学客員教授 お花茶屋眼科院長)

東京大学医学部卒業(1995年 MD)/ 東京大学大学院修了(医学博士 2001年 PhD) / 東京大学医学部眼科学教室講師(2012-2015年) / デューク・シンガポール国立大学医学部准教授(2016年-2020年)/ 旭川医科大学眼科学教室教授(2018年-2020年) / 横浜市立大学 視覚再生外科学 客員教授(2020年-現在) / 専門は黄斑疾患。シンガポールをはじめとした国際的な活動に加え、都内のお花茶 屋眼科での勤務やDeepEyeVision株式会社の取締役を務めるなど、マルチに活躍し ています。また、基礎医学の学術的バックグラウンドを持ち、医療経済研究、創薬、国際共同臨床研究などを行っています。

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