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硝子体はどのような役割がある?硝子体の役割と関連する疾患を解説

硝子体はどのような役割がある?硝子体の役割と関連する疾患を解説

硝子体は、目の構造や機能を支える大切な部分です。透明でゼリーのようなこの組織は、眼球内で光を通したり、目の形を保ったりする役割を果たします。しかし、加齢や病気によってその機能が損なわれることがあり、視力に大きな影響を与える場合もあります。

本記事では、硝子体の役割や構造、さらに関連する疾患や治療法についてわかりやすく解説します。目の健康を守るために知っておきたい基礎知識を、一緒に学んでいきましょう。

硝子体の役割と構造

硝子体の役割と構造 ここではまず、硝子体の役割と構造について解説します。

硝子体とは何ですか?
硝子体は、眼球内部の空間を満たしている透明なゲル状の組織です。眼球の約80%を占めており、網膜と水晶体の間に位置しています。この構造は主に水分で構成され、コラーゲンやヒアルロン酸などの成分が含まれています。これらの成分が複雑に絡み合うことで、硝子体の透明性と柔軟性が保たれています。

硝子体は、出生時にはしっかりとしたゲル状ですが、年齢を重ねるとともに液化が進み、ゼリー状の部分と液体状の部分が混在する状態になります。この変化は加齢現象として自然に起こるもので、多くの場合、視力に直接的な影響を及ぼしません。

しかし、硝子体の構造や機能の変化が病気につながる場合もあるため、その役割を正しく理解することが大切です。

硝子体の構造はどのようになっていますか?
硝子体はほとんどが水分でできていますが、コラーゲンとヒアルロン酸がその骨格を支えています。この骨格は細かい網目状をしており、全体にやわらかさと粘性を与えています。

さらに、硝子体の外側には薄い膜のような層があり、網膜や水晶体に接しています。この層は硝子体皮質と呼ばれ、網膜と密接に結びついています。

ただし、この結びつきは加齢に伴って弱くなり、剥がれることがあります。これは後部硝子体剥離と呼ばれ、老化による自然な変化の一つです。硝子体剥離自体は異常ではありませんが、ときに網膜剥離や裂孔といった重大な疾患を引き起こす可能性もあります。

硝子体には神経や血管はほとんど存在せず、代謝活動もとても少ないという特徴があります。そのため、硝子体が一度損傷すると、修復が難しい場合もあります。

硝子体は眼のなかでどのような役割を果たしているか教えてください
硝子体の役割の一つ目は、光を通すことです。透明な硝子体があるおかげで、光が目の奥にある網膜まできちんと届きます。また、光が屈折するのを助ける役割も持っています。

二つ目は、目の形を守ることです。硝子体が内部から目を支えることで、目の丸い形が崩れないようにしています。これによって、眼圧も安定しています。

三つ目は、目を守ることです。硝子体がゼリー状なので、外からの衝撃を吸収して網膜や水晶体が傷つかないようにしています。さらに、硝子体は少ないながらも、網膜やほかの組織との間で栄養や老廃物をやり取りするのを手助けしています。

硝子体に関連する主な疾患

ここでは、硝子体に関連する疾患について学びを深めていきましょう。

硝子体剥離とはどのような疾患ですか?
硝子体剥離は、年齢を重ねると多くの人に起こる現象です。硝子体が網膜とくっついている部分がだんだん弱くなって、硝子体が網膜から剥がれてしまう状態を指します。この剥がれ自体は病気ではなく、老化の一環として自然に起こることがほとんどです。

ただ、硝子体が剥がれるときに網膜を強く引っ張ることがあり、それが原因で網膜に穴が開いてしまうことがあります。これを網膜裂孔といいます。さらに進むと網膜剥離といった重い病気につながることもあるため、注意が必要です。

硝子体剥離が起きると、視界に小さな点や糸のような影が見える飛蚊症が出たり、光がチカチカするように見える光視症という症状が現れることがあります。

硝子体出血の原因を教えてください
硝子体出血は、硝子体のなかに血液が混じってしまう状態です。本来、硝子体は透明で血液がないのが正常ですが、何らかの理由で血管が破れて血が漏れることがあります。

原因としてよくあるのは糖尿病網膜症です。糖尿病の影響で網膜の血管が弱くなり、破れて出血することがあります。ほかにも、網膜裂孔や網膜剥離、または目のケガなどが原因で起こることがあります。

硝子体出血が起きると、視界がぼやけたり、暗い影が見えたりすることがあります。症状が軽い場合は自然に治ることもありますが、出血が見られる場合は治療が必要です。

硝子体混濁が視力にどのような影響を与えますか?
硝子体混濁は、硝子体の透明な部分が濁ってしまう状態をいいます。この濁りのせいで、光が網膜まできちんと届かなくなり、視界がぼやけたり影が見えたりすることがあります。

原因としては、硝子体の老化現象や、過去の炎症や出血が影響していることがあります。例えば、硝子体出血が治った後に残った血液のカスや、炎症によってできた物質が硝子体のなかに浮かんで濁ることがあります。

軽度であれば特に治療をしなくても問題ないことがほとんどですが、濁りがひどくなって視力に大きな影響を与える場合には手術が検討されることもあります。

硝子体疾患の予防と治療方法

硝子体疾患の予防と治療方法 硝子体疾患の予防と治療方法について説明します。ぜひ日常生活に取り入れてみてください。

硝子体疾患を予防するためにできることは何がありますか?
普段から目を健康に保つ習慣を意識することが大切です。まずは、バランスのよい食事を心がけ、ビタミンAやビタミンC、Eなど、目によいとされる栄養素を摂取しましょう。

また、紫外線は目にダメージを与えることがあるため、外出時にはサングラスや帽子を使って紫外線を防ぐことが大切です。特に糖尿病を患っている人は、血糖値をしっかり管理することが硝子体疾患の予防につながります。

硝子体疾患が疑われる場合、どのような検査を行うか教えてください
硝子体疾患が疑われるときは、一般的には視力検査や眼底検査が行われます。眼底検査では、瞳孔を広げる目薬を使って目の奥の状態を直接観察します。この検査で網膜や硝子体の異常を詳しく確認することができます。

さらに、超音波検査やOCT(光干渉断層計)と呼ばれる精密検査が行われることもあります。これらの検査は、硝子体の中の構造や異常を詳しく見るためのものです。

硝子体の疾患に対する治療法にはどのようなものがありますか?
硝子体疾患の治療法は、疾患の種類や進行具合によって異なります。例えば、軽い飛蚊症や硝子体混濁の場合は、特に治療を必要としないこともあります。しかし、視力に大きな影響が出ている場合や、網膜剥離などの合併症がある場合には治療が必要です。

治療法の一つに硝子体手術があります。この手術では、硝子体を取り除き、その代わりに透明な液体を注入します。これにより、視界を妨げる要因を取り除くことができます。また、糖尿病網膜症が原因の場合は、レーザー治療や薬物療法が併用されることもあります。

編集部まとめ

硝子体は目のなかで大切な役割を果たす組織であり、その健康状態が視力に大きく影響します。硝子体剥離や混濁、出血といった疾患は、加齢や病気によって引き起こされることがありますが、日頃の目のケアや早期の医療対応で予防や治療が可能です。 視力の変化や異常を感じたら、早めに眼科で相談することをおすすめします。目の健康を保つために、日常生活でできることを積み重ねていきましょう。

参考文献

この記事の監修歯科医師
柳 靖雄医師(横浜市大 視覚再生外科学客員教授 お花茶屋眼科院長)

柳 靖雄医師(横浜市大 視覚再生外科学客員教授 お花茶屋眼科院長)

東京大学医学部卒業(1995年 MD)/ 東京大学大学院修了(医学博士 2001年 PhD) / 東京大学医学部眼科学教室講師(2012-2015年) / デューク・シンガポール国立大学医学部准教授(2016年-2020年)/ 旭川医科大学眼科学教室教授(2018年-2020年) / 横浜市立大学 視覚再生外科学 客員教授(2020年-現在) / 専門は黄斑疾患。シンガポールをはじめとした国際的な活動に加え、都内のお花茶 屋眼科での勤務やDeepEyeVision株式会社の取締役を務めるなど、マルチに活躍し ています。また、基礎医学の学術的バックグラウンドを持ち、医療経済研究、創薬、国際共同臨床研究などを行っています。

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