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白内障は若い人でもなる?若年性白内障の症状や治療法、予防方法を解説

白内障は若い人でもなる?若年性白内障の症状や治療法、予防方法を解説

白内障は水晶体に濁りが生じて視力に影響を及ぼす目の病気です。水晶体に濁りが生じる原因の多くは加齢によるものです。白内障は高齢者がなる目の病気というイメージを持っている人が少なくないのではないでしょうか。しかし近年、若い人にも白内障が増加しています。この記事では若年性白内障の症状や治療法、予防方法について解説します。病気に対する理解を深め、予防や早期発見に役立ててください。

若い人が白内障になる原因とリスク要因

白内障の主な原因は加齢によるもので、80歳代になるとほぼすべての人に白内障の症状があるといわれています。では、若い人の白内障は何によって発症するのでしょうか。若い人が白内障になるさまざまな原因とリスク要因について解説します。

若い人でも白内障になることはありますか?
生後の早い時期に症状があらわれる先天性白内障や、後天的にさまざまな要因が絡んで発症する若年性白内障があります。若年性白内障は20歳代以下で発症するケースもあります。若い人の白内障は進行が早いので早期発見が大切です。水晶体の濁りは不可逆で、薬物治療では濁りを取り除けません。重症化した場合には、手術をすることで視力が回復する場合がほとんどですが、予防を心がけるに越したことはありません。
若年性白内障の主な原因について教えてください
若年性白内障の主な原因として、糖尿病、アトピー性皮膚炎、ステロイド薬、放射線被ばく、外傷が知られています。糖尿病のある若い女性では白内障の発症と月経不順の関連が示唆されており、女性ホルモンの関与も考えられています。アトピー性皮膚炎にも白内障を合併する場合があります。目の周りに痒みを感じても、強く目をこするのは控えましょう。アトピー性皮膚炎の治療に用いるステロイド薬の長期服用、喘息治療に用いる吸入ステロイド薬の長期使用なども若年性白内障の原因となりえます。水晶体は放射線に対する感受性が強い組織です。放射線量の高い環境が白内障に及ぼす影響について研究が進められています。外傷にも注意が必要です。外傷により水晶体が損傷を受けると白内障を発症する場合があるからです。
若年性白内障に遺伝的な要因はありますか?
先天性白内障の一部に遺伝性のものがありますが、とてもまれなケースです。若年性白内障では後天的にさまざまな要因が影響すると考えられます。発症するリスクを高める要因に対する感受性の違いに遺伝的要因が関与する可能性はありますが、過度に心配する必要はないでしょう。Ⅱ型糖尿病の発症には遺伝が関与するといわれています。糖尿病は白内障の原因となるため、家族にⅡ型糖尿病の人がいる場合は、生活習慣に留意して血糖値の適正な管理に気をつけましょう。

若年性白内障の症状と診断

若年性白内障の症状と診断
どのような症状が出るかを知っておくと早めに異常に気付けるかもしれません。白内障の診断方法や、初期症状を見逃さないために気を付けるポイントと併せて解説します。

若年性白内障の初期症状を教えてください
若年性白内障の初期は高齢者の白内障と似た症状があらわれます。視力が低下したり視野が白っぽくかすんだりします。太陽の光や対向車のライトがまぶしいと感じるのも初期症状のひとつです。片目で物を見たときに二重に見えたり、暗いところで物が見えにくくなったりすることもあります。若い人の場合は高齢者の白内障と違って、視力の低下が急に進む傾向がみられます。
白内障はどのように診断されますか?
おもに視力検査と細隙灯顕微鏡(さいげきとうけんびきょう)検査により診断します。細隙灯顕微鏡検査では、スリットを通過した光を目に当てながら顕微鏡で拡大して観察することにより水晶体の濁りの程度や場所を調べます。
若年性白内障を見逃さないために気をつけるポイントがあれば教えてください
若い人は見え方の異常から白内障を思いつきにくいかもしれません。ただの疲れ目だろうと侮らず、見え方に異常を感じたら眼科を受診しましょう。白内障の発症リスクを高める要因を持つ人にとっては、定期的な眼科検診も有効な手段でしょう。白内障の初期症状を知っておくことも大切なポイントです。

若年性白内障の治療法

若年性白内障の治療法
若年性白内障の治療には点眼薬による治療と手術があります。どのように治療を進めるかは病状や患者さんの希望によって変わってくるでしょう。医師とよく相談したうえで納得のいく治療法を選択してください。

治療はどのような方法で行いますか?
視力の低下が生活に支障をきたすようになると、濁りが生じた水晶体を取り除き、代わりに眼内レンズを挿入する手術が選択肢となります。日本では年間120万例の実施がある一般的な手術で、最近では日帰り手術も可能になっています。通常、麻酔は局所麻酔で、手術にかかる時間は20分程度です。手術中や手術後に痛みがでることはほとんどないといわれています。重度の白内障では手術が困難になる場合があるので、手術を受けるタイミングを医師とよく相談するとよいでしょう。手術後は3種類の点眼薬を使用するのが一般的です。感染を防止する点眼薬が1種類、炎症を抑える点眼薬が2種類処方されます。炎症を抑える点眼薬は3ヵ月を目安に継続します。
手術以外の治療法はありますか?
軽度の白内障では点眼薬の使用を考慮します。最近では点眼薬の効果は限定的と考えられるようになり、処方は減ってきています。点眼薬により白内障の進行を遅らせる効果は期待できるかもしれませんが、濁ってしまった水晶体をもとに戻すことはできません。白内障の進行を遅らせる点眼薬は市販されておらず、医師による処方が必要です。
手術後の注意すべき点について教えてください
手術後1週間は感染を防ぐために大切な時期です。洗顔・洗髪は控えてください。入浴は首から下のみ、シャワーも顔に水がかからないよう注意しましょう。お化粧は控えめにアイメイクは禁止です。目をこすると眼内レンズがずれる危険性があるので気をつけてください。飲酒、喫煙もこの時期は避ける必要があります。汗をかくような労働やスポーツも好ましくありません。また、手術後1週間ほど経って視力が安定してくるまでは運転も控えた方がよいでしょう。手術後1ヵ月が経過するとアイメイクやヘアカラーが可能になります。スポーツも再開できますが、水泳をするときはゴーグルを着用してください。温泉や大衆浴場に行けるようになりますが、海外旅行も1ヵ月程は控えた方がよいので、予定がある場合はあらかじめ医師と相談して手術の日程を組むとよいでしょう。視力が安定するのに手術後1〜2ヵ月程かかります。新しい眼鏡やコンタクトレンズを作成するのは視力が安定するのを待ってからがよいでしょう。手術後は医師による経過観察を受けながら、無理をせずに過ごしてください。

若年性白内障の予防方法

若年性白内障の予防方法
若年性白内障を予防するために自分でできることがあります。時間を味方につけられる若い人だからこそ、早くから意識して発症予防につながる生活習慣を心がけましょう。

若年性白内障を予防するための生活習慣を教えてください
もっとも影響の大きい糖尿病を予防することが大切です。ウォーキング、ジョギング、サイクリングなどの有酸素運動は血糖値の上昇を抑えます。食生活にも注意が必要です。血糖値の上昇を緩やかにするGI値の低い食材を取り入れたり、よく噛んでゆっくり食べたりすることで過食を防ぎましょう。紫外線が強くなる春から秋の日中は、紫外線カット効果のある眼鏡やサングラスを着用したり、帽子や日傘を使用したりして目を紫外線から守るのもひとつの方法です。
定期的に眼科検診を受けることが若年性白内障の予防につながりますか?
白内障の初期症状に自分で気付くのは難しいかもしれません。定期的に眼科検診を受けることで、白内障の早期発見につながる可能性があります。進行の早い若年性白内障では早期発見が大切です。

編集部まとめ

白内障は若い人でもなるリスクのある病気です。白内障が進行すると眼鏡やコンタクトレンズを用いても視力が出にくくなります。視力低下は日常生活のさまざまな場面に影響します。生活習慣に気をつけたり、日常的に予防策を講じたりすることで、発症を予防したり進行を遅らせたりできるかもしれません。進行の早い若年性白内障では早期に治療を開始することが大切です。定期的な眼科検診や早めの受診を心がけ、適切な治療を受けることで目の健康を守りましょう。

参考文献

この記事の監修歯科医師
柳 靖雄医師(横浜市大 視覚再生外科学客員教授 お花茶屋眼科院長)

柳 靖雄医師(横浜市大 視覚再生外科学客員教授 お花茶屋眼科院長)

東京大学医学部卒業(1995年 MD)/ 東京大学大学院修了(医学博士 2001年 PhD) / 東京大学医学部眼科学教室講師(2012-2015年) / デューク・シンガポール国立大学医学部准教授(2016年-2020年)/ 旭川医科大学眼科学教室教授(2018年-2020年) / 横浜市立大学 視覚再生外科学 客員教授(2020年-現在) / 専門は黄斑疾患。シンガポールをはじめとした国際的な活動に加え、都内のお花茶 屋眼科での勤務やDeepEyeVision株式会社の取締役を務めるなど、マルチに活躍し ています。また、基礎医学の学術的バックグラウンドを持ち、医療経済研究、創薬、国際共同臨床研究などを行っています。

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