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レーシックの合併症や後遺症について|注意点や医療機関の選び方を解説

レーシックの合併症や後遺症について|注意点や医療機関の選び方を解説

レーシック手術は視力を矯正するための手段ですが、手術後に合併症や後遺症が発生する可能性があることをご存知ですか?手術を受ける前に、これらのリスクをしっかり理解し、適切な医療機関を選ぶことが重要です。

本記事ではレーシックの合併症や後遺症について以下の点を中心にご紹介します。

  • レーシックとは
  • レーシック手術後に起こる可能性がある合併症
  • レーシック手術後に起こる可能性がある後遺症

レーシックの合併症や後遺症について理解するためにもご参考いただけますと幸いです。 ぜひ最後までお読みください。

レーシックとは

レーシックとは

レーシック(LASIK)は、近視、遠視、乱視を矯正する屈折矯正手術の一つで、よく行われている視力回復手術です。この手術では、角膜にエキシマレーザーを照射し、角膜の形状を変えることで、屈折力を調整し、視力の改善を目指します。手術自体は両眼で10分程度で完了し、痛みもほとんど感じないとされています。

また、手術後翌日には視力が回復することが多く、98%以上の方が1.0以上の視力を得られるとされています。日本では2000年に厚生労働省から認可されて以来普及し、毎年約45万件ものレーシック手術が行われています。

しかし、レーシック手術を受けるには条件があります。
例えば、角膜の厚さが十分でない場合や、近視が-10.00D以上の場合には手術が適応されないことがあります。また、手術後5年から10年経過すると、一定の割合で視力がもとに戻る”近視の戻り”が発生することがあります。
これらのリスクを理解したうえで、手術を受けることが重要です。

レーシック手術後に起こる可能性がある合併症

レーシック手術後に起こる可能性がある合併症

レーシック手術後に起こる可能性がある合併症は以下のとおりです。

ケラトエクタジア

レーシック手術後、”ケラトエクタジア”と呼ばれる合併症が発生することがあります。ケラトエクタジアは、角膜が薄くなり、角膜の下層が突出して円錐角膜のような形状になる現象です。この状態になると、角膜の形状が不規則になり、乱視が進行します。結果、眼鏡やコンタクトレンズを使用しても、視力の改善が難しくなることがあります。

ケラトエクタジアは、レーシック手術によって角膜が薄くなることが原因で起こります。そのため、手術前に角膜が十分に強いかどうかを確認することが重要です。

角膜混濁(かくまくこんだく)

角膜混濁は、角膜内皮細胞が損傷し、透明であるべき角膜が白く濁る状態です。混濁の程度はさまざまで、部分的なものから広範囲にわたるものまであります。軽度の混濁は”角膜片雲(かくまくへんうん)”と呼ばれ、さらに進行すると”角膜斑”や”角膜白斑”となります。

角膜は目の表面を覆っている透明な部分で、通常は虹彩や瞳孔をはっきりと見ることができます。しかし、角膜が混濁すると、視界がぼやけて白く濁ったように見え、目のかすみを感じることが多いとされています。

感染症

レーシックは外科手術であるため、術後に感染症を引き起こす可能性があります。手術中に角膜に切り口を作るため、微生物がその部位に侵入するリスクが一時的に高くなります。角膜感染症は、微生物が角膜内で増殖し、痛みや視界のかすみを引き起こす状態です。重症化すると、角膜移植が必要になることもあります。

レーシック手術による感染症の発症は多くはありませんが、手術後の数日間は一時的にリスクが高くなるため、適切な点眼治療を行い、水に濡れることを避けるなど、医師からの指示に従うことが重要です。

フラップトラブル

レーシック手術後、フラップに関連したトラブルが発生することがあります。よくある問題はフラップにしわやズレが生じることです。このような場合、不正乱視を引き起こすことがあり、視力に影響を及ぼす可能性があります。幸い早期に発見された場合は、フラップを再調整して元の位置に戻すことで改善が見込まれます。

日常生活ではフラップがずれることはないとされていますが、手術後すぐに強い衝撃を目に受けると、フラップがずれる可能性があります。そのため、手術後1ヶ月程度は特に注意が必要です。

過矯正

過矯正は、レーシック手術後に視力が目標よりも過度に矯正されてしまう状態を指します。具体的には、近視の矯正を行った結果、逆に遠視になってしまうケースがこれに該当します。この現象は、近視や乱視の治療でも同様に発生することがあります。過矯正は、レーザーや視力検査の誤差が原因となることが多いようですが、角膜の傷が回復する過程で屈折が変化して過矯正が進行する場合もあります。

過矯正が起こると、遠視の状態になり、目の焦点を合わせるのに余計な努力が必要となり、目の疲れや眼精疲労を引き起こすことがあります。近くのものを見る作業(パソコンや携帯電話の使用、読書など)を長時間続けると、目の筋肉を酷使しやすくなり、疲労感が強くなることがあります。

遠視化(オーバーシュート)

レーシック手術後に、矯正の誤差が原因で遠視になることがあります。遠視では、網膜よりも奥でピントが合うため、遠くを見る際には少しの調整が必要ですが、近くを見る際にはかなり強い調整が求められます。このため、正視に比べて目の調整力が大きくなるため、眼精疲労を感じやすくなります。

レーシックで遠視になる主な原因は、予定以上にレーザーが強く作用することや、術前検査での誤差が影響することです。

遠視化を防ぐためには、術前に十分な検査を行うことが大切です。したがって、信頼できる医療機関を選ぶことが重要になります。万が一、遠視化が起こった場合は、メガネやコンタクトレンズの使用や再手術を検討することが必要です。

レーシック手術後に起こる可能性がある後遺症

レーシック手術後に起こる可能性がある後遺症

レーシック手術後に起こる可能性がある後遺症は以下のとおりです。

ハロー・グレア現象

ハロー・グレア現象は、白内障手術後、特に夜間に光に対する視覚的な不具合が生じる現象です。主な症状は、光源のまわりに輪のような光がにじんで見える“ハロー”や、光の中心から放射状にスジのような光が伸びて見える“グレア”があります。

多焦点眼内レンズを使用した際に起こることが多く、夜間の車のライトや街灯などで感じやすくなります。ただし、白内障の進行やドライアイといった眼の状態が原因で、単焦点レンズを使用していてもハローやグレアを自覚するケースもあります。

ドライアイ

ドライアイは、目の健康に欠かせない涙の量が不足したり、涙の質が不安定になることで引き起こされる病気です。この状態では、涙が均等に目の表面に広がらず、目の乾燥や不快感が生じ、ときには目の表面に傷がつくこともあります。

ドライアイは、涙の分泌が減少したり、その成分バランスが崩れたりすることで、目の表面が保護されなくなり、目の健康に影響を及ぼします。

現代では、エアコンの使用や長時間のパソコン・スマートフォン操作、コンタクトレンズの装着などが増えたことにより、ドライアイの患者さんの数が増加しています。高齢化が進むなかで、ドライアイの症状に悩まされる方は2,200万人にのぼるといわれています。

涙は目の表面を保護する重要な役割を果たしており、目を外部の刺激から守るバリアのような存在です。涙が不足すると、目の表面が乾燥し、疲れやかすみ、痛みを感じることがあります。目の外側にある角膜上皮は、傷つきやすいものの、通常は新陳代謝によって修復されます。しかし、涙が不足すると修復が追いつかず、痛みや充血を引き起こすことがあります。
目が乾く、疲れる、かすむなどの症状が続く場合は、早期に対処することが重要です。

近視戻り

レーシック手術を受けた後、5〜10年経過すると、一定の割合で”近視戻り”が発生することがあります。これは、手術後に視力が改善されても、時間が経つにつれて再び近視が進行する現象です。戻りが大きければ視力が低下し、再度視力矯正が必要になる場合があります。
近視戻りの主な原因は、手術で角膜を薄くしたことによって、眼球内圧が角膜にかかり、角膜のカーブが強くなり再度近視になるというものです。
高度近視の方の場合、手術で削る角膜の量が多くなるため、戻りが強くなる傾向があります。眼圧の影響や角膜の治癒力も関連し、削られた角膜が再生しようとする過程で近視が戻ることがあります。

レーシック手術後の注意点

レーシック手術後の注意点

レーシック手術後の注意点は以下のとおりです。

目を保護する

レーシック手術後、最初の1週間はゴミや衝撃から目を保護するために、保護メガネやサングラスを使用しましょう。

就寝中は、無意識に目をこすってしまうことがあるため、眼帯などでしっかりと目を保護することが重要です。

処方された薬を最後まで使う

眼科で処方された術後の点眼薬は、指示された使用方法を守り、最後まで使い切りましょう。
自己判断で使用を中断すると、視力の回復が難しくなり、感染症のリスクが高まる可能性があります。

レーシック手術後1〜2週間程はアイメイクを控える

レーシック手術後の1〜2週間は、アイメイクを避けてください。
アイメイク以外のメイクは手術後の診察を受けた翌日から行えますが、目に異物が入らないように、なるべく薄化粧を心がけることをおすすめします。
また、カラーコンタクトは手術後1ヶ月が経過するまでは使用しないようにしましょう。

医療機関を選ぶ際に確認したいポイント

医療機関を選ぶ際に確認したいポイント

医療機関を選ぶ際に確認したいポイントは以下のとおりです。

レーシックの症例数が豊富か

レーシック手術を受ける際に病院を選ぶ重要なポイントの一つは、手術の症例数や手術量、そして医師の経験です。

手術件数が多い病院ほど、手術のプロセスが確立されており、合併症に対応する経験もあるため、よい結果が期待できるでしょう。

経験豊富な医師が手術を担当しているか

日本の法律では、医師が国家資格を持っていれば、内科や整形外科などさまざまな科目で自由に開業できるため、たとえ大学を卒業したばかりの医師でも、免許さえあれば診療所を開設することが可能とされています。

しかし、豊富な専門知識や経験を持った眼科医でないと、手術中にさまざまなトラブルを引き起こす可能性があり、感染症や合併症のリスクが高まります。
そのため、レーシック手術を受ける際には、手術を担当する医師の経験や経歴も確認するようにしましょう。

衛生管理・感染症対策がされているか

レーシックは短時間で終了する手術ですが、感染症のリスクがないというわけではありません。感染症を防ぐためには、手術室内の衛生管理や医療機器の滅菌はもちろん、クリニック内での皮膚接触部分のアルコール消毒や、患者さん・スタッフ・外部業者の手指消毒など、徹底的な感染防止対策が重要です。

これらの対策がしっかりと徹底されている医院を選ぶようにしましょう。

設備が充実しているか

手術を行うには、まず事前に十分な検査を実施し、手術が合っているかどうか、また矯正度数を正確に決定することが重要です。新しいレーザー機器を使用しても、事前の検査をしっかりと行わなければ、よい結果は得られません。
そのため、検査設備の充実度も確認するとよいでしょう。

説明やカウンセリングが丁寧か

レーシック手術やICLには、前述のとおりさまざまなメリットとデメリットがあります。初めて施術を受ける方にとっては、不明点が多く、事前に調べた知識だけでは不安を感じることもあるかもしれません。そのため、カウンセリングの際にしっかりと説明してくれる病院を選ぶことが重要です。

術後のアフターフォローが充実しているか

レーシックは手術を受けるだけでは完結しません。術前の検査はもちろん、術後のアフターフォローまでしっかり確認することが、満足度を高めるためには重要です。

また、視力回復を望む場合、レーシック以外にもさまざまな選択肢があります。レーシックが受けられない場合や、ICL(眼内コンタクトレンズ)などほかの治療法が適している場合もあるため、それらの説明をしっかりと行なってくれる医院を選ぶようにしましょう。

料金体系が明確で費用がわかりやすいか

レーシックの料金はクリニックによって異なり、すべてを含んだ料金プランを提供しているところもあれば、追加料金が発生する場合もあります。

料金を比較する際は、提示された料金に何が含まれているかを確認することが大切です。レーシックにかかる主な費用項目は以下のとおりです。

・術前検査・カウンセリング料
初回の視力検査や相談にかかる費用
・手術費用
レーシック手術そのものの費用
・術後フォローアップ費用
手術後の定期的な検診費用
・薬代
術後に処方される抗生物質や目薬などの費用
・強化処置費用
最初の手術後に期待した結果が得られなかった場合の追加処置費用

料金が明確に設定されているクリニックは、評価が高く、患者さんの満足度も高い傾向にあります。

まとめ

まとめ

ここまでレーシックの合併症や後遺症についてお伝えしてきました。要点をまとめると以下のとおりです。

  • レーシックとは近視、遠視、乱視を矯正する屈折矯正手術の一つで、よく行われている視力回復手術である
  • レーシック手術後に起こる可能性がある合併症には、角膜が薄くなり、角膜の下層が突出して円錐角膜のような形状になる現象”ケラトエクタジア”や角膜内皮細胞が損傷し、透明であるべき角膜が白く濁る”角膜混濁”などが挙げられる
  • レーシック手術後に起こる可能性がある後遺症には、白内障手術後や夜間で光に対する視覚的な不具合が生じる“ハロー・グレア現象”や、目の健康に欠かせない涙の量が不足したり、涙の質が不安定になったりすることで引き起こす“ドライアイ”などが挙げられる

レーシック手術はさまざまな方に視力改善をもたらすよい方法ですが、合併症や後遺症のリスクもあります。
手術を受ける前に、しっかりとしたカウンセリングと詳細な検査を受け、信頼できる医療機関を選ぶことが大切です。

これらの情報が少しでも皆さまのお役に立てば幸いです。最後までお読みいただき、ありがとうございました。

この記事の監修歯科医師
柳 靖雄医師(横浜市大 視覚再生外科学客員教授 お花茶屋眼科院長)

柳 靖雄医師(横浜市大 視覚再生外科学客員教授 お花茶屋眼科院長)

東京大学医学部卒業(1995年 MD)/ 東京大学大学院修了(医学博士 2001年 PhD) / 東京大学医学部眼科学教室講師(2012-2015年) / デューク・シンガポール国立大学医学部准教授(2016年-2020年)/ 旭川医科大学眼科学教室教授(2018年-2020年) / 横浜市立大学 視覚再生外科学 客員教授(2020年-現在) / 専門は黄斑疾患。シンガポールをはじめとした国際的な活動に加え、都内のお花茶 屋眼科での勤務やDeepEyeVision株式会社の取締役を務めるなど、マルチに活躍し ています。また、基礎医学の学術的バックグラウンドを持ち、医療経済研究、創薬、国際共同臨床研究などを行っています。

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