新着記事

注目のトピック

白内障

白内障の手術で乱視は矯正できるの?乱視の基礎知識やトーリック眼内レンズについて解説!

白内障 乱視

白内障の手術を受ける際に、乱視の矯正を同時に行えることをご存知ですか?
本記事では白内障の手術と乱視の矯正について以下の点を中心にご紹介します。

  • 白内障の原因について
  • 白内障の手術と乱視の矯正
  • トーリック眼内レンズについて

白内障の手術と乱視の矯正について理解するためにもご参考いただけますと幸いです。
ぜひ最後までお読みください。

白内障について

白内障について

白内障の原因はなんですか?
白内障の原因は、主に加齢によるものです。その他には、紫外線・放射線・糖尿病・ステロイド薬が白内障の発症に影響を与えています。
  • 加齢:加齢によって水晶体の成分であるたんぱく質(クリスタン)が変化し、これが水晶体の濁りを引き起こします。
  • 紫外線:紫外線は皮膚だけでなく、目にも影響を与えます。特に、強い紫外線を浴びると、白内障の発症を早めたり、進行を早めたりします。
  • 放射線:放射線は水晶体にダメージを与え、被ばく量が多いほど白内障のリスクが上がります。
  • 糖尿病:糖尿病患者は、健康な人よりも白内障になるリスクが約5倍高くなります。糖尿病は白内障だけでなく、他の目への病気リスクも高めます。
  • ステロイド薬:ステロイド薬の長期使用は、白内障のリスクを高めます。特に、全身疾患の治療に使用される内服薬や、喘息の治療に使用される吸入薬が関連しています。

これらの要因を考慮に入れ、適切な予防策を講じることで、白内障のリスクを低減しましょう。
健康な目を保つためには、日々の生活習慣の見直しや、定期的な眼科受診が大切です。

白内障のセルフチェック項目を教えてください。
以下で、白内障の可能性を自己チェックしてみましょう。
  1. 視力の低下:遠くのものや活字が見にくくなった、または視力が低下していると感じる
  2. まぶしさ:特に晴れた日や明るい場所で、まぶしさを感じる
  3. 視界のかすみ:視界に霧がかかったように見える、またはかすんで見える
  4. 視力の差:左右の目で見え方に大きな差がある
  5. 近くのものが見えやすくなった:老眼鏡が不要になった、または近くのものが見えやすくなったと感じる
  6. 眼鏡が合わない:新しい眼鏡を作っても見えにくい、または眼鏡を作れなかった
  7. 免許更新ができなかった:自動車の免許更新の視力検査で不合格になった(免許所有者のみ)
  8. 年齢:50歳以上である

これらの項目に2〜3つ以上当てはまる場合は、白内障の可能性があります。
また、他の眼の病気が隠れている場合もありますので、気になる症状があれば早めに眼科を受診することをお勧めします。

白内障はどんな治療を行うのでしょうか?
白内障の治療には、薬物治療と手術の2つの方法があります。
薬物治療では、白内障の進行を遅らせる目的で、白内障用の点眼薬が使用されます。しかし、薬物治療では白内障の進行を遅らせるだけで、白内障を完全に治すものではありません。

手術では、白内障が進行し視力が低下した場合に行われ、濁った水晶体を取り除き、その代わりに人工の眼内レンズを挿入することで、視力の回復を目指します。
手術の適応は個々の症状や生活状況によります。視力の低下が仕事に影響を与える、日差しがまぶしくて困る、視力が0.7以下になって自動車の運転免許の更新ができない、などの場合は、手術を検討することが推奨されます。

乱視について

乱視について

乱視とはどのような状態ですか?
乱視とは、目の角膜や水晶体が歪んでしまうことにより、光の焦点が一箇所に集まらず、像がぼけて見える状態を指します。角膜や水晶体が歪むと、光が正しく屈折せず、ピントがずれてしまいます。
乱視は、視力の低下だけでなく、頭痛や目の疲れなどの症状を引き起こすこともあります。これらの症状がある場合は、眼科医に相談することをお勧めします。
乱視に種類があるというのは本当ですか?
はい、乱視にはいくつかの種類があります。
乱視は「角膜乱視」と「水晶体乱視」に大別されます。
「角膜乱視」は角膜の歪みが原因で、「水晶体乱視」は水晶体の歪みが原因で起こります。これら二つを合わせたものを「全乱視」と呼び、一般的に「乱視」と言うときはこの全乱視を指します。
さらに、乱視はその形状により「正乱視」と「不正乱視」に分けられます。
「正乱視」は、角膜や水晶体が一定の方向に歪んでいる状態を指し、これは眼鏡やコンタクトレンズで矯正可能とされています。正乱視にはさらに「直乱視」、「倒乱視」、「斜乱視」の3つの種類があります。

一方、「不正乱視」は、角膜の表面が不規則に歪んでいる状態を指します。これは角膜の病気や外傷などが原因で起こります。
乱視の種類を把握し、それに応じた適切な治療を受けることが重要です。

乱視の治療法を教えてください。
乱視の治療法は主に2つあります。一つは矯正具を使用する方法、もう一つは手術です。
矯正具による治療では、正乱視の場合、円柱レンズが組み込まれた眼鏡やコンタクトレンズが使用されます。これらのレンズは、光の屈折を調整し、焦点を一点に結ぶことで像のぼけを改善します。一方、不正乱視の場合、眼鏡やソフトコンタクトレンズでは十分な矯正が困難で、ハードコンタクトレンズが必要となることがあります。

手術による治療では、角膜の形状を変えることで乱視を矯正します。手術方法には、角膜表層切除術(PRK)やレーシック(LASIK)などがあります。ただし、手術は不可逆的な治療であり、合併症のリスクもあるため、手術を受ける前には十分な説明と理解が必要です。

これらの治療法は、乱視の種類や程度、患者の生活習慣や健康状態などにより選択されます。早期に発見し、適切な治療を行うことで、視力の改善や症状の軽減が期待できます。

白内障の手術と乱視の矯正について

白内障の手術と乱視の矯正について

白内障の手術で乱視を矯正できるんですか?
白内障の手術で、乱視を一定程度矯正することが期待できます。
白内障の手術では、濁った水晶体を取り除き、その代わりに人工の眼内レンズを挿入します。このとき、乱視を矯正するための特殊な眼内レンズ、いわゆるトーリック眼内レンズを使用することで、乱視の矯正を行います。
また、乱視の矯正は、視力の改善だけでなく、頭痛や目の疲れなどの症状も緩和します。
ただし、乱視の種類や程度によっては、完全な矯正が難しい場合もあります。
また、手術によって新たに乱視が生じる可能性や、長期的には目の変化により乱視が再発する可能性もあります。
そのため、手術を受ける前には、これらのリスクを十分に理解し、眼科医とよく相談することが重要です。
白内障手術はどのように進行していくんですか?
白内障手術は、濁った水晶体を取り除き、その代わりに人工のレンズを挿入する手術です。具体的な手順は以下の通りです。
  1. 水晶体嚢への窓開け:まず、水晶体周囲の透明な袋(水晶体嚢)に小さな窓を開けます。この水晶体嚢は濁らないため、手術ではこの部分を残します。
  2. 水晶体の取り出し:次に、特殊な機械(超音波乳化吸引器)を用いて、濁った水晶体の中身を破砕し、吸引します。
  3. 眼内レンズの挿入:最後に、人工の眼内レンズを水晶体嚢の中に挿入します。この眼内レンズが新たなレンズとなり、視力を回復します。

手術は、2〜3mmの小さな傷口で行われ、技術の進歩により、さまざまな種類の眼内レンズが使用されるようになりました。
例えば、乱視を矯正するためのトーリック眼内レンズや、複数の焦点を持つ多焦点眼内レンズなどがあります。

乱視を矯正するトーリック眼内レンズについて教えてください。
トーリック眼内レンズは、白内障手術で使用される特殊な眼内レンズで、乱視の矯正に役立ちます。このレンズは、角膜の乱視を補正するための特別な設計が施されており、レンズの特定の部分(トーリックマークが付いている部分)を角膜の乱視が最も強い部分に合わせることで、乱視を軽減します。

トーリック眼内レンズを使用する際には、注意点があります。
まず、手術時のレンズの位置決めが重要で、レンズが適切な位置に固定されていないと、乱視の矯正効果が低下します。また、手術後にレンズが回転する可能性もあり、その場合は再度手術を行ってレンズの位置を調整する必要があります。
トーリック眼内レンズは乱視を完全にゼロにするわけではなく、乱視の大きさによっては矯正の限界があります。
したがって、手術を受ける前には、これらのリスクを十分に理解し、眼科医とよく相談することが重要です。

単焦点トーリック眼内レンズを使用した白内障の手術費用はどのくらいですか?
単焦点トーリック眼内レンズを使用した白内障の手術費用は、保険適用の有無や自己負担割合により異なります。
一般的な保険適用手術である「単焦点レンズ+超音波手術」における費用は以下の通りです。
  • 自己負担割合1割の場合:片目の手術費用は約1万5,000円となります
  • 自己負担割合2割の場合:片目の手術費用は約3万円となります
  • 自己負担割合3割の場合:片目の手術費用は約4万5,000円となります

ただし、これらの費用はあくまで目安であり、具体的な費用は医療機関や地域により異なる場合があります。
また、高血圧や糖尿病などの既存の疾患がある場合や、内科との連携が必要な場合などは、入院が必要となることもあり、その場合は入院費用が別途発生します。
具体的な費用については、手術を行う医療機関に直接ご相談ください。

編集部まとめ

編集部まとめ

ここまで白内障の手術と乱視の矯正についてお伝えしてきました。白内障の手術と乱視の矯正の要点をまとめると以下の通りです。

  • 白内障の原因は主に加齢によるもので、その他には紫外線・放射線・糖尿病・ステロイド薬が発症に影響を与えている
  • 白内障の手術を行う時に、乱視を矯正するためのトーリック眼内レンズを使用することで乱視を矯正する
  • トーリック眼内レンズは白内障手術で使用される特殊な眼内レンズで、乱視の矯正に役立つが、乱視の種類や程度によっては完全な矯正が難しい場合もある

これらの情報が少しでも皆さまのお役に立てば幸いです。 最後までお読みいただき、ありがとうございました。

この記事の監修歯科医師
柳 靖雄医師(横浜市大 視覚再生外科学客員教授 お花茶屋眼科院長)

柳 靖雄医師(横浜市大 視覚再生外科学客員教授 お花茶屋眼科院長)

東京大学医学部卒業(1995年 MD)/ 東京大学大学院修了(医学博士 2001年 PhD) / 東京大学医学部眼科学教室講師(2012-2015年) / デューク・シンガポール国立大学医学部准教授(2016年-2020年)/ 旭川医科大学眼科学教室教授(2018年-2020年) / 横浜市立大学 視覚再生外科学 客員教授(2020年-現在) / 専門は黄斑疾患。シンガポールをはじめとした国際的な活動に加え、都内のお花茶 屋眼科での勤務やDeepEyeVision株式会社の取締役を務めるなど、マルチに活躍し ています。また、基礎医学の学術的バックグラウンドを持ち、医療経済研究、創薬、国際共同臨床研究などを行っています。

記事をもっと見る

RELATED

PAGE TOP

電話コンシェルジュ専用番号

受付時間 平日:9時~18時
お電話でご案内できます!
0120-022-340