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白内障

白内障の特徴的な症状とは?手術の流れや手術で使用する眼内レンズの特徴まで解説します!

白内障 特徴

白内障は、年齢とともに誰もが発症する可能性があるといわれているとても身近な眼疾患です。 本記事では、白内障の特徴的な症状について以下の点を中心にご紹介します!

  • そもそも白内障とは?
  • 白内障の特徴的な症状について
  • 白内障手術を受けるタイミングについて

白内障の特徴的な症状について理解するためにもご参考いただけると幸いです。 ぜひ最後までお読みください。

白内障とは?

白内障とは?

白内障は、眼の水晶体という部分が濁る病状を指します。
水晶体は、カメラのレンズのような役割を果たし、光を屈折して網膜にピントを合わせることで見え方を調整します。その他にも、ピント調整機能を通じて遠近を問わずに物が見えるようにしたり、有害な光を遮断して網膜を保護し、眼の前半部と後半部を隔てて有害成分の移動を阻止します。
しかし、この水晶体が様々な原因で濁ると、視覚がぼやけたり、視力が低下することがあります。

白内障の特徴的な症状

白内障の特徴的な症状

以下に白内障の特徴的な症状について、詳しく述べていきます。

視界がかすんでいる

白内障の主な症状の一つは、視界がかすむことです。これは、眼の水晶体が濁ることにより、光が一点に集まりにくくなる現象、すなわち収差が増加するためです。この収差は眼鏡やコンタクトレンズで矯正することが難しく、結果として視界がぼやけたり、明暗差が認識しにくくなり、視界全体がかすんで見えます。
これは、曇ったレンズを通して物を見るのと同じで、シャープさやクリアさが失われ、ぼやけた視界になります。これらの症状は、白内障の進行とともに徐々に悪化します。

二重・三重に見える

白内障の主な症状の一つに、物が二重や三重に見える現象、すなわち「複視」が挙げられます。これは、水晶体の濁りにより、光の進行方向が変わり、同じ物体からの光が複数の像として認識されるために起こります。片目だけで見たときに複視が現れる特徴があります。
また、白内障が進行すると、水晶体の濁りが増し、光の収差が増大します。これにより、物が二重や三重に見える現象がさらに強まることがあります。
ただし、全ての複視が白内障によるものではありません。白内障による複視かどうかを確認する簡易的な方法として、月を片目だけで見た時に、月が二重や三重に見える場合、それは白内障の可能性があるといわれています。

メガネなどの度数が変わる

白内障の進行に伴い、眼鏡やコンタクトレンズの度数を短期間で変更しなければいけないケースがあります。これは、白内障が進行すると、水晶体の濁りにより光の屈折状態が変化し、視力が変動するためです。白内障の種類によって、度数の変化のパターンは異なります。
例えば、水晶体が中心から濁る「核白内障」では、近視の方は近視が強くなり、遠視の方は遠視が弱くなることがあります。
一方、水晶体が周りから濁る「皮質白内障」では、その逆の変化が見られることがあります。
また、白内障が進行すると、水晶体が膨らみ、近視が進むことがあります。その結果、眼鏡の度数が合わなくなることがあります。
さらに、老眼鏡が必要だった方が、老眼鏡なしで物が見えるようになることもあります。しかし、これは老眼が治るわけではなく、白内障が進行したことが原因の可能性があります。

まぶしく感じる

白内障の進行に伴い、光をまぶしく感じるという症状が現れることがあります。これは、水晶体が濁ることにより、光の進行方向が変わり、光が散乱する現象が起こるためです。
具体的には、明るい街灯や信号、夜間の運転中にヘッドライトを特にまぶしく感じることがあります。
これらの症状が現れた場合、白内障の進行が原因となっている可能性がありますので、交通事故のリスクも考慮に入れ、医師に相談することを推奨します。

眼精疲労が生じる

白内障の進行に伴い、「眼精疲労」が現れることがあります。これは、視力を維持するために眼が過度に働くことにより引き起こされます。
白内障が進行すると、水晶体の濁りにより光の屈折状態が変化し、ピントを合わせることが難しくなります。その結果、水晶体の周囲の筋肉が常に働き、目が疲れやすくなり、眼精疲労が起こります。
さらに、白内障が進行すると、水晶体が厚くなり、眼の中の「房水」という液体の流れが悪くなります。これにより、眼の内部の圧力(眼圧)が上昇し、頭痛や吐き気を引き起こすことがあります。最終的には、視神経が障害を受け、視野が欠けることもあります。
また、これまでに述べてきた白内障の他の症状、例えば視界のかすみや光をまぶしく感じることなどが、眼にストレスを与え、眼精疲労の原因となる場合もあります。

白内障の要因・リスクファクター

白内障の要因・リスクファクター

これまで、白内障に特徴的な症状について解説してきました。 ここからは白内障の要因について、以下で詳しく述べていきます。

加齢

白内障の主な要因として、加齢が挙げられます。これを「加齢性白内障」と呼びます。
人間が年を重ねるにつれて、眼の水晶体は自然に濁り始めます。これは一種の老化現象であり、高齢者ほど白内障の発症率が高くなる傾向にあります。
具体的には、加齢により眼内に老廃物が蓄積し、また、水晶体の内部が酸化・糖化することが白内障の発症につながります。これらの変化はゆっくりと進行し、60歳頃を過ぎると水晶体の濁りが始まり、70代以降では多くの人々に白内障の症状が見られるようになります。
年齢を重ねることにより白内障のリスクが増加することを理解し、定期的に眼科検診を受け、早期発見・早期治療につなげることが重要です。

紫外線

白内障の発症や進行には、紫外線が影響を与えることが知られています。
紫外線は皮膚の日焼けやシミ、シワの原因となるだけでなく、白内障の発症や進行を促進します。紫外線が強い地域に住んでいる方や、屋外での労働やスポーツなどで紫外線に長時間晒される方は、白内障のリスクが高まります。
紫外線は水晶体の濁りを引き起こし、これが白内障の発症や進行につながります。そのため、紫外線対策は白内障予防にとって重要です。
紫外線カット機能付きのコンタクトレンズやサングラス、眼鏡は、紫外線から眼を守る手段となります。
また、帽子を使用することも有効とされていますが、それだけでは十分な効果は得られないため、サングラスやメガネと併用し、紫外線対策を行いましょう。

放射線

白内障の発症や進行には、放射線が影響を与えることが知られています。放射線は水晶体にダメージを与え、その結果、白内障のリスクが増加します。特に、短期間で大量の放射線を浴びた場合、白内障の発症リスクは大幅に上昇します。
原爆被爆者や原発事故の作業員など、大量の放射線を浴びた方は、白内障を発症する割合が高いといわれています。
また、医療従事者や宇宙飛行士など、職業上、放射線に頻繁に晒される方も、白内障のリスクが高まることが明らかになっています。

ステロイド薬

ステロイド薬の使用は、白内障の発症や進行に影響を与えることがあります。
ステロイド薬には内服薬や吸入薬などがあり、これらは全身疾患の治療や、喘息の治療などに使用されます。
ステロイド薬による白内障は、発症後の進行が速く、数ヶ月~1年程度で視力が大幅に低下し、手術が必要になることが特徴です。
また、白内障の発症は、水晶体の後嚢部(眼の奥側)中央に皿状の濁りが現れることから、眼科医はこの濁りを見るだけでステロイド薬が原因であることを判断できるといわれています。
さらに、ステロイド薬は白内障だけでなく緑内障の原因にもなるため、ステロイド薬を使用する場合は、定期的に眼科を受診し、眼の健康状態をチェックすることが重要です。
これらの対策を行うことで、白内障の発症や進行を遅らせることにつながります。
しかし、ステロイド薬の使用が避けられない場合や、すでに白内障の症状がある場合は、医師に相談することが重要です。

糖尿病

糖尿病は、白内障の発症や進行に影響を与える要因の一つです。
糖尿病の患者さんは、健康な方々と比較して、白内障になるリスクが約5倍高まるといわれています。特に60歳以下の方や女性は、白内障になりやすいといわれています。
さらに、抗糖尿病薬の内服を開始してから5年以上経過すると、内服をしていない人々と比較して、白内障のリスクが約3倍高まります。
また、血糖値のコントロールが不十分な場合、白内障の進行はさらに速くなる可能性があります。
糖尿病は白内障だけでなく、失明に直結する可能性のある網膜症の原因ともなります。そのため、糖尿病の予防と管理は、目の健康を維持するためにも重要です。
これらの要因を理解し、適切な糖尿病の管理と定期的な眼科検診を受けることで、白内障の発症や進行を遅らせることが可能です。しかし、糖尿病の管理が難しい場合や、すでに白内障の症状がある場合は、医師に相談することが重要です。

白内障の手術について

白内障の手術について

白内障の手術について、手術を受けるタイミングや手術の流れ、術後の予後について以下に解説していきます。

白内障手術を受けるタイミング

白内障手術を受けるタイミングは、個々の状況や生活スタイルにより異なります。
白内障は水晶体が濁る病気で、現在のところ、濁った水晶体をクリアに戻す薬は存在しません。したがって、白内障が進行した場合の主な治療法は手術です。
細かな文字を読む仕事をしている方や、繊細な作業を必要とする方、または運転が仕事の一部である方などは、視力が仕事や生活に支障をきたすようになったときに手術を検討されています。
また、近年では、白内障と同時に老眼も改善できる多焦点レンズが登場しており、老眼で困っている方が手術を検討するケースも増えています。
視力の変化や不便を感じた場合は、まずは医師に相談をして、白内障の手術のタイミングなど、個々の症状と生活スタイルを考慮した治療計画を提案してもらいましょう。

白内障手術(超音波水晶体乳化吸引術)の流れ

白内障手術(超音波水晶体乳化吸引術)は、以下の手順で行われます。

①局所麻酔:まず、局所麻酔を行います。これにより、手術中の痛みを感じないようにします。

②切開と水晶体嚢へのアクセス:次に、角膜または強膜を切開し、水晶体嚢の前面に小さな穴を開けます。これにより、濁った水晶体へのアクセスが可能になります。

③水晶体の除去:特殊な機械(超音波乳化吸引器)を使用して、濁った水晶体を破砕し、吸引します。この工程で、白内障の原因となる濁りが除去されます。

④人工水晶体の挿入:最後に、取り除いた水晶体の代わりに人工水晶体を挿入します。これにより、視力が回復します。

この手術は約20〜30分で完了します。技術の進歩により、現在では約2〜3mmの小さな傷から手術が行われています。
また、近年では、白内障と同時に老眼も改善できる多焦点眼内レンズを利用しているクリニックもあるようです。
それぞれの状況により、適切な手術方法や人工水晶体の種類が異なります。

白内障手術の予後

白内障手術の予後は、手術後の視力回復や合併症の可能性など、様々な要素によります。

視力の回復:
手術後、新しい人工水晶体が挿入され、視界がクリアになり、視力が徐々に回復します。しかし、白内障以外の目の病気がある場合、視力が完全に回復しないこともあります。
また、人工レンズはピントを自動的に調整することはできないため、近くや遠くを見るためにはメガネが必要となることが多いようです。

合併症:
手術後に感染症が発生する可能性があります。これは、手術中に細菌が傷口から眼内に侵入することによります。
その他の可能性のある合併症には、角膜浮腫、虹彩炎、眼圧上昇、人工レンズのずれ、眼内炎などがあります。
また、手術後1〜2年で人工レンズを挿入した水晶体嚢の後ろが濁る「後発白内障」も一般的な合併症です。

これらの予後を理解し、手術後のケアや定期的な眼科検診が重要となります。
また、手術後の視力や生活スタイルについても、医師と相談しましょう。

白内障手術で使用する眼内レンズの特徴

白内障手術で使用する眼内レンズの特徴

最後に、白内障の手術で使用される「眼内レンズ」の特徴について、解説します。

単焦点眼内レンズ

単焦点眼内レンズは、一つの距離にピントを合わせる眼内レンズです。ピントが合う距離以外は、メガネによる矯正が必要となります。
例えば、遠くをメガネ無しで見る場合は、遠くの距離にピントが合う度数の眼内レンズを選びます。その結果、手元は裸眼では見えづらいので、術後に老眼鏡を作ります。
逆に、近くをメガネ無しで見たい場合は、手元にピントが合う度数の眼内レンズを選びます。その結果、遠くは裸眼では見えづらいので、術後に遠視用のメガネを作ります。
また、コントラスト感度が高く、グレアやハローの症状が出にくいとされています。

手術前に、患者さん自身の希望や生活スタイルを考慮に入れて、どの程度の視力が必要かを決めることが重要です。
また、片眼だけ手術をするか両眼手術をするのかで、度数合わせが変わることもあります。
単焦点眼内レンズの白内障手術は保険診療となり、手術に関わるすべての費用が保険適用となります。

多焦点眼内レンズ

多焦点眼内レンズは、二つ以上の距離にピントを合わせられる眼内レンズです。これは、光を距離別に振り分けることにより可能となります。
具体的には、二箇所にピントが合うもの(例:遠方と近方、遠方と中間距離など)や、三箇所にピントが合うもの(例:遠方、中間距離、近方)があります。
遠方は5m以上の距離を指し、中間距離は60cm~1mの距離を指し、近方は手元の30〜50cmの距離を指します。
どの距離にピントを合わせるかは、患者さんの希望や生活スタイルによります。例えば、スマートフォンの細かい文字を見たい場合は30cm、コンピュータの作業が多い場合は40cmの距離を選びます。

多焦点眼内レンズは、白内障手術後にメガネを使用したくない方や、メガネを掛けたりしたくない方に適しています。しかし、全ての人が手術後にメガネを必要としなくなるわけではなく、約80〜90%の方がメガネ無しで生活されています。
多焦点眼内レンズの欠点は、複数の箇所に焦点を合わせて光を振り分けますので、一箇所に焦点を合わせている単焦点眼内レンズよりも見え方のシャープさが少し劣ります。特に、暗いところではくっきり感がやや落ち、暗い場所でライトを見ると、光の輪やまぶしさを感じる場合もあるので、夜間の車の運転には注意が必要です。

また、多焦点眼内レンズの手術は選定療養となり、基本的な手術部分は保険適用ですが、それ以外の多焦点眼内レンズの追加料金(単焦点眼内レンズとの差額)は自己負担となります。
ただし、レンズの種類によっては自己負担の場合もあります。

まとめ

まとめ

ここまで白内障の特徴的な症状についてお伝えしてきました。 白内障の特徴的な症状の要点をまとめると以下の通りです。

  • 白内障は、眼の水晶体という部分が濁る病状を指す
  • 白内障の特徴的な症状には、「視界のかすみ」「二重・三重に見える」「メガネなどの度数が変わる」「まぶしく感じる」「眼精疲労が生じる」などがある
  • 白内障手術を受けるタイミングは、個々の状況や生活スタイルにより異なり、視力が仕事や生活に支障をきたすようになったときに手術を検討されている

これらの情報が少しでも皆さまのお役に立てば幸いです。 最後までお読みいただき、ありがとうございました。

この記事の監修歯科医師
柳 靖雄医師(横浜市大 視覚再生外科学客員教授 お花茶屋眼科院長)

柳 靖雄医師(横浜市大 視覚再生外科学客員教授 お花茶屋眼科院長)

東京大学医学部卒業(1995年 MD)/ 東京大学大学院修了(医学博士 2001年 PhD) / 東京大学医学部眼科学教室講師(2012-2015年) / デューク・シンガポール国立大学医学部准教授(2016年-2020年)/ 旭川医科大学眼科学教室教授(2018年-2020年) / 横浜市立大学 視覚再生外科学 客員教授(2020年-現在) / 専門は黄斑疾患。シンガポールをはじめとした国際的な活動に加え、都内のお花茶 屋眼科での勤務やDeepEyeVision株式会社の取締役を務めるなど、マルチに活躍し ています。また、基礎医学の学術的バックグラウンドを持ち、医療経済研究、創薬、国際共同臨床研究などを行っています。

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