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ICLは白内障になる可能性がある?手術を受けることができるのか解説

視力矯正手術としてレーシックが広く知られていますが、近年注目されているのがICL(眼内コンタクトレンズ)手術です。ICLはレーシックとは異なるメリットを持っているため、多くの人々がその効果に期待していると言われています。しかし、一方で「ICL手術を受けると白内障になる可能性があるのか?」という疑問も浮上しているようです。そこで、この記事ではICLと白内障についての関連性や、手術が可能かどうかについて詳しく解説していきます。視力矯正手術に興味がある方はぜひご一読ください。

ICLとは

ICLとは ICL(眼内コンタクトレンズ)は視力矯正手術の一つであり、レーシックと並ぶ選択肢として注目されています。眼球の内部に特殊なレンズを挿入することで視力を改善するのがICL手術で、特に近視や遠視、乱視に悩む方々に選ばれています。

ICLの手術の流れ

ICLの手術は以下のような流れで進行します。

・局所麻酔
手術が始まる前に、目に局所麻酔を施します。これにより、手術中の痛みや不快感を和らげます。

・角膜の切開
次に、角膜(目の表面の透明な部分)に非常に小さな切開を行います。この切開がICLを挿入するための入り口となります。

・ICLの挿入
切開から特殊な器具を用いてICLを眼球の内部に挿入します。この際、レンズの位置を正確に調整することが重要です。

・切開の縫合
最後に、切開部分を縫合します。ただし、切開が非常に小さい場合は自然にくっつくこともあり、縫合の必要がない場合もあります。

手術の前にはあらかじめ事前検査が行われ、手術が適切かどうか、またどのようなレンズが必要かが決定されます。また、 手術後はしばらくの間、定期的な検査とケアが必要になります。手術が成功したかどうか、また後遺症がないかどうかを確認するためです。

手術自体はおよそ1時間程度で終わり、多くの場合で術後すぐに日常生活に戻ることができます。ただし、完全な回復には数週間かかる場合もありますので、その点を事前に把握しておき、重要な予定の前に手術のスケジュールを入れないようにするなどの工夫をすると良いでしょう。

レーシックとの違い

視力矯正手術を検討する際、多くの人が比較するのがレーシックとICLです。これら二つの手術はどちらも視力矯正が目的ですが、手法や適用可能な視覚の状態、リスクなどにいくつかの違いがあります。

まず、手術の原理自体が大きく異なります。レーシックは角膜の形状を変えることで視力を矯正します。レーザーを用いて角膜の一部を削り、その形状を変更するのが基本的な手法です。たいして、ICLは眼球の内部にレンズを挿入することで視力を矯正します。角膜の形状を変えるわけではないため、元の視力に戻すことも可能です。

レーシックは主に近視、遠視、乱視に対応していますが、高度な近視や薄い角膜の場合は適用できないことがあります。ICLの場合は高度な近視や薄い角膜でも手術が可能で、より広い範囲の視力矯正ができます。

また、リスクや副作用についても違いがあります。レーシックは角膜に直接レーザーを当てるため、乾燥眼になったり夜間の光が眩しく見えるなどの副作用が報告されています。 一方、ICLは眼内に物体を挿入するため、感染症やこの記事の主題でもある白内障のリスクが考えられます。ただし、それらは非常に稀です。

ICLのメリット

ICLは多くのメリットがあるため近年注目されています。まず、先述の通りレーシック手術ができないケースでも手術可能な場合があります。また、ICLは取り外しが可能なレンズを使用するため、手術後に何らかの問題が発生した場合や、視力が変わった場合でも元に戻すことができます。水晶体のピント調節能力を残しておけるため、近くを見るのにコンタクトレンズやメガネが必要ないという利点もあります。

ICLは手術後の視力回復率も高く、多くの症例の方の生活の質が向上する可能性が高いです。手術自体も比較的短時間で終わり、多くの場合で術後すぐに日常生活に戻ることができます。

レーシックとの比較だと、術後に乱視が残るリスクが低い点と、同じく術後にドライアイになる可能性が低い点が優れていると言えます。

ICLのデメリット

ICL手術には多くのメリットがありますが、それだけでなくいくつかのデメリットも考慮する必要があります。

まず、最も顕著なのは費用が高いことです。ICL手術は高度な技術と特殊なレンズが必要なため、一般的にはレーシックよりも費用が高くなります。自由診療で公的医療保険の適用外となるため、全額自己負担となります。医療機関やレンズによって異なりますが、両眼で約60万円から80万円程度が相場です。また、術後のケアも必要になるため、総合的な費用はさらに高くなる可能性があります。

また、ICLは取り外し可能なレンズを使用するため、手術後に何らかの問題が発生した場合には再手術が必要になる可能性があります。このようなリスクは低いと言われていますが、ゼロではありません。

ICL手術は角膜を切開しないため、レーシックと比べて角膜に問題が発生するリスクは低いですが、眼内にレンズを挿入すること自体がリスクを伴う場合もあります。例えば、レンズの位置がずれたり、眼内圧が上昇する可能性があります。

これらの点を総合的に考慮し、自分自身の状態やニーズに最も適した手術方法を選ぶことが重要です。

白内障とは

白内障とは 白内障は、目の水晶体が濁ってしまう症状のことを指します。進行すると視力が低下し、最終的には失明する可能性もあります。水晶体は、光を屈折させて網膜に像を結ぶ役割をしているのですが、加齢や外傷、薬剤の影響などによって水晶体にたんぱく質の沈着が起こり、濁ってしまうのです。

白内障は主に高齢者に多く見られる症状ですが、若い人にも発症することがあります。特に、目に対する外傷や糖尿病、長期間のステロイド使用などが原因で発症する場合があります。

白内障の症状

白内障が進行すると、いくつかの症状が現れます。最も一般的なのは視力の低下ですが、それだけでなく、以下のような症状も報告されています。

・光の感じ方が変わる
例えば、夜間運転時に対向車のヘッドライトが眩しく感じたり、日中でも光がまぶしく感じることがあります。

・二重視
特に一つの目で物を二重に見る現象が起こることがあります。

・色の見え方が薄くなる
白や青などの色が薄く、くすんで見えることがあります。

白内障は進行すると生活に大きな影響を与える可能性がありますので、早期の発見と対処が重要です。

白内障の原因

白内障が発症する原因は多岐にわたります。最も一般的なのは加齢によるものですが、それ以外にもいくつかの要因が考えられます。

・加齢
高齢になると、目の水晶体の細胞が老化し、濁りが生じやすくなります。最も一般的な白内障の原因であると言われています。

・外傷
目に対する急激な衝撃や傷が白内障を引き起こす可能性があります。

・糖尿病
糖尿病の方は、血糖値の乱れが目にも影響を与え、白内障を引き起こしやすくなるそうです。

・ステロイド薬の長期使用
ステロイド薬を長期間使用すると、副作用として白内障が発症することがあります。ステロイド薬が水晶体のタンパク質に影響を与えてしまうようです。

・紫外線や放射線
長時間の紫外線や放射線にさらされると、目の水晶体が傷つき、白内障のリスクが高まる可能性があります。屋外で作業する時間が長い方や、アウトドアスポーツが好きな方は注意が必要です。

・不健康な生活習慣
喫煙や過度なアルコール摂取、不規則な食生活なども、白内障のリスクを高める要素とされています。

これらの要因を理解した上で、可能な限り予防することで白内障の進行を遅らせることが可能になります。

ICLが原因で白内障になる可能性はある?

ICLが原因で白内障になる可能性はある? ICL手術と白内障の関連性については、多くの人々が疑問を持っているそうです。特に、視力矯正手術を検討している方にとってはとても大事で気になる問題ですよね。

可能性はほとんどない

ICL手術では、現在レンズの中央に穴が開けられているホールICLが主流となっており、このICLレンズを用いた場合にはほとんど白内障を引き起こす可能性はないと言って良いでしょう。ICLは水晶体を残したまま人工レンズを挿入するため、水晶体に直接的な影響を与えることはありません

一般的にICL手術による合併症は非常に稀であり、その中でも白内障が発生する確率はさらに低いと言われています。手術自体が高度に進化しており、使用されるレンズも高品質であるため、白内障のリスクは最小限に抑えられています。

ただし、ICLの切開部から水晶体に細菌が侵入し、白内障を引き起こす可能性はゼロとは言えません。そのため、ICLを受けた後は術後のケアをしっかりと行うことが大切です。

また、もともと白内障のリスクが高い人が手術を受ける場合は注意が必要です。白内障の発症リスクがわずかに高まる可能性があります。

術後に白内障にかかった場合

ICL手術を受けた後に白内障が発症した場合はどのように対処することになるのでしょうか。まず、白内障が発症した場合にはICL手術とは別に白内障の手術が必要となります。白内障手術では、濁った水晶体を取り除き、代わりに人工のレンズを挿入することが一般的です。

ICLレンズが既に挿入されている場合、そのレンズを一時的に取り外してから白内障手術が行われます。その後、状況に応じて再度ICLレンズを挿入するか、白内障手術で挿入された人工レンズだけを使用するかが決定されるそうです。

白内障手術とICL手術は異なる手術であり、それぞれ専門の医師によって行われることが多いです。したがって、ICLを受けた後に白内障が発症した場合は、ICL手術を行った医師と白内障の専門医との密接な連携が必要です。

また、白内障が発症した場合の治療費用も考慮する必要があります。ICL手術と白内障手術、それぞれの手術にかかる費用は別となるため、事前にしっかりと費用の確認をしておくようにしましょう。

白内障にかかっている場合にICLの手術はできる?

白内障にかかっている場合にICLの手術はできる? ICLを受けた後に白内障にかかった場合は白内障手術を受ける必要があることを解説しましたが、もともと白内障にかかっていた場合はどうなのでしょうか。

白内障手術を受ける必要がある

白内障が既に発症している場合は、まず白内障の治療が優先されます。つまり、ICL手術を受ける前に、白内障手術を受ける必要があります。ICLは水晶体を残したまま人工レンズを挿入する手術ですが、白内障にかかっている場合は水晶体が濁っているため、ICLを挿入することができないのです。

白内障手術では濁った水晶体を取り除き、代わりにクリアな人工レンズを挿入します。この手術が成功すれば、その後でICL手術を検討することが可能となるのです。

ICL手術を受けられる医療施設

ICL手術を受けられる医療施設 ICL手術を受ける場合に、どのような医療施設で手術が可能なのかは気になるところですよね。病院の選び方が手術の成功率や安全性にも影響を与えるため、慎重に選ぶことが重要です。

ICL手術は高度な医療技術が必要な手術であり、認可を持つ医療施設でしか行うことができません。具体的には、眼科手術に特化した病院やクリニック、または大学病院などが該当します。これらの施設では、専門の医師が在籍しており、最新の医療機器や設備が整っています。

手術を検討する際には、以下のポイントを確認した上で医療施設を検討すると良いでしょう。

・厚生労働省の承認を受けているか
・経験豊富な医師が執刀しているか
・設備や技術が充実しているか
・費用が適切か

ICL手術は比較的安全な手術ですが、術後のリスクがないわけではありません。そのため、しっかりとした医療施設で、経験豊富な医師の執刀を受けることをおすすめします。

あらかじめ、施設の評判や口コミ、過去の手術実績などをしっかりと検索して調査することがおすすめです。また、事前にカウンセリングを受けて、手術内容やリスク、費用について十分に理解した上で手術を受けることも重要です。

まとめ

まとめ 視力矯正手術としてのICL(眼内コンタクトレンズ)と白内障について詳しく解説しました。ICL手術はレーシックとは異なるメリットを多く持っており、また白内障との関連性は非常に低いとされています。しかし、白内障が既に発症している場合は、まず白内障を治療してからICLを検討するようにしましょう。

手術を検討している方はしっかりとした選定と準備を行い、専門医との相談を怠らないようにしましょう。この記事がそのための参考になれば幸いです。視力矯正手術は大きな決断ですが、適切な情報と準備によってより安全で成功確率の高い手術が可能になるでしょう。

参考文献

この記事の監修歯科医師
柳 靖雄医師(横浜市大 視覚再生外科学客員教授 お花茶屋眼科院長)

柳 靖雄医師(横浜市大 視覚再生外科学客員教授 お花茶屋眼科院長)

東京大学医学部卒業(1995年 MD)/ 東京大学大学院修了(医学博士 2001年 PhD) / 東京大学医学部眼科学教室講師(2012-2015年) / デューク・シンガポール国立大学医学部准教授(2016年-2020年)/ 旭川医科大学眼科学教室教授(2018年-2020年) / 横浜市立大学 視覚再生外科学 客員教授(2020年-現在) / 専門は黄斑疾患。シンガポールをはじめとした国際的な活動に加え、都内のお花茶 屋眼科での勤務やDeepEyeVision株式会社の取締役を務めるなど、マルチに活躍し ています。また、基礎医学の学術的バックグラウンドを持ち、医療経済研究、創薬、国際共同臨床研究などを行っています。

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