急性緑内障発作についてご存知ですか?本記事では急性緑内障発作について以下の点を中心にご紹介します。
- 急性緑内障発作とは?
- 緑内障について
- 急性緑内障発作の治療方法
急性緑内障発作について理解するためにもご参考いただけますと幸いです。ぜひ最後までお読みください。
急性緑内障発作とは?
急性緑内障発作は、閉塞隅角緑内障が原因で眼圧が急激に上昇し、眼の痛み、頭痛、吐き気、嘔吐、霧視(かすみ目)などの症状が現れる状態を指します。これにより、短期間で失明のリスクがあり、症状が頭の病気と間違われることもあるため、早急な眼科の治療が必要となります。放置すれば、失明の可能性も高まる危険な状態ですので、注意が求められます。
緑内障について
緑内障は中高年の方に多い代表的な目の病気です。主な症状や原因、治療方法を解説していきます。
緑内障とは
緑内障は、視神経に障害が生じ、視野が障害される目の病気です。 この病気の進行は極めて緩やかで、両眼で同時に症状が進行することは少ないため、自覚症状が現れるまでには時間がかかります。特に中高年に多く、40歳以上の5%、60歳以上では1割以上が緑内障の患者とされます。
この病気は日本の失明の主な原因となっているものの、早期発見と適切な治療で視力と視野の低下を防ぐことができます。しかし、早期や中期の段階では症状が現れにくく、治療を受ける動機が生まれにくいため、治療の継続が重要となります。緑内障の診断を受けた場合、病気との長期的な関係を築きながら、定期的な通院を続けることが、視力を維持する鍵となります。
緑内障の初期症状
緑内障は視神経への障害が進行する病気で、特に初期には自覚症状が現れにくいのが特徴です。典型的には「視野が障害される」や「視野の一部が欠ける」という症状が出るものの、多くの患者さんはこれを自覚できません。徐々に症状が進行するこの病気は、自分で視野の欠損や変化に気づいたとき、病状がかなり進んでいることが多いのです。中心部から外れた位置の小さな範囲で視野の欠損が始まり、場合によっては、眼圧の上昇による目の重さや軽い痛みも感じられることがあります。
緑内障の原因
緑内障の原因は眼圧の異常な上昇にあります。眼圧は、目の中に存在する「房水」という液体の圧力を示し、目の形状を保持するためには一定の眼圧が必要です。正常な眼圧の範囲は10〜20mmHgです。しかし、房水の生成量が増加したり、排出量が減少したりすると、眼圧は上昇し、これが緑内障を引き起こす要因となります。
ほかにも、加齢、高血圧、糖尿病、偏頭痛、睡眠時無呼吸症候群、近視、遺伝、目の外傷や他の目の病気、手術歴、またその治療薬なども緑内障の原因や危険因子として挙げられます。
なかでも、眼圧は交感神経が活性化すると上がる傾向がある一方、低血圧の状態では視神経に十分な血液が供給されないため、緑内障のリスクが高まることが知られています。
緑内障が悪化した場合
緑内障は放置すると悪化し、ゆっくりと視野が障害されていきます。初期段階では自覚症状が少なく、症状が進行して初めて気付く人も多いです。最終的には、未治療のまま放置していると失明に至る可能性があります。実際、厚生省の報告によると、日本での中途失明原因の約25.5%が緑内障で、これは国内の失明原因1位です。
早期発見と早期治療が鍵となり、一度失われた視野は回復しないため、定期的な眼科検診が重要です。緑内障は症状の進行具合によって治療の効果や結果が大きく異なるため、早期の対応が効果的とされ、失明のリスクを低減させられます。
緑内障の治療方法
現代の医学において、目の奥の神経が一度損傷されるとその回復は難しいです。このため、緑内障の治療は病状の進行を抑制することを主目的としています。緑内障の進行を阻止し、失明を避けるための鍵は、早期にその存在を認識し、眼圧を継続的に低い状態に保つことです。最も一般的な治療は、眼圧を下げる目薬の使用です。効果が不十分な場合、複数の目薬の併用や内服薬の使用が考えられます。
眼圧を十分に下げることができない場合、レーザー治療が選択されることがあります。これには、房水の流れを改善する方法や、眼内の水の出口の抵抗を減少させる方法があります。更に、これらの治療でも効果が得られない場合、観血手術が検討されます。この手術は、新たな房水の排出路を作るものや、房水の流れを促進するものなど、状態に応じて選択されます。
急性緑内障発作の症状
急性緑内障発作の主な症状としては以下のようなものが挙げられます。
- 頭痛:急性緑内障発作時には強い頭痛が現れます
- 眼の痛みと充血:眼圧の上昇に伴い、患者は激しい眼の痛みを感じ、目が充血することが多いです
- 視界の変化:視界がぼんやりとかすんでくる場合があります
- 悪心、吐き気:発作によって体全体に影響が出る場合もあり、吐き気や嘔吐の症状が現れることがあります
急性緑内障発作の原因
急性緑内障発作は、角膜と虹彩の距離が近い目の質(浅前房もしくは狭隅角)を持つ人に起こりやすい状態です。このような目の質の人は、若い頃から遠くがよく見えていたが、老眼鏡が早く必要になる傾向があります。急性緑内障発作のきっかけとして、短時間に大量の水を摂取したり、長時間のうつ伏せ体勢、特定の薬物(抗コリン作用を持つもの)の使用などが考えられます。
隅角が狭くなると、房水の流れが悪くなり、眼圧が高まるリスクが増します。さらに、白内障が進行することで、水晶体が厚くなり、虹彩が前方に押し出されると、隅角はさらに狭くなり、眼圧が急激に高まることがあります。眼球内の房水の流れが悪くなると、眼圧が上昇し、この高い眼圧が50mmHg以上に達することもあります(正常眼圧は10〜21mmHg)。
急性緑内障発作は失明するのか
急性緑内障発作が起きると圧迫された視神経が障害を受ける可能性が高くなり、最悪の場合、1週間程度で失明のリスクが考えられます。
しかし、眼科での早期検査によって、このリスクを回避することができます。予防的なレーザー治療を受けることで、急性緑内障発作のリスクを99%回避することが可能です。
急性緑内障発作の治療方法
急性緑内障発作の治療方法にはどんなものがあるのでしょうか? ここでは急性緑内障発作の治療方法を紹介していきます。
レーザー虹彩切開術
レーザー虹彩切開術は、虹彩と水晶体の間にたまった房水の圧力により閉塞が起こる瞳孔ブロックという状態を解消するために行われます。具体的には、レーザーを照射して虹彩に小さな開孔を作り、房水の流れる水路を確保します。これにより、隅角の圧力差が解消され、その閉塞が開放されるのです。
レーザー虹彩切開術には潜在的なリスクも存在します。長期的に見ると、角膜の内皮細胞に障害を起こす可能性があり、これが水疱性角膜症を引き起こすことがあります。角膜内皮細胞は、房水が角膜内に浸入するのを防ぐポンプ機能を持っていますが、この機能が低下すると、角膜が濁ってしまいます。
白内障手術
白内障手術は、緑内障発作を予防する手段としても活用されます。緑内障なのに白内障手術と思われるかもしれませんが、実際には白内障と緑内障は関連しています。白内障が進行すると水晶体が大きくなり、虹彩を押して隅角が狭くなり、緑内障発作が起こる可能性があります。そこで、白内障手術では水晶体を取り出し、薄い眼内レンズに交換することで、虹彩を押さえつけない状態を作り出し、緑内障発作を予防するのです。
白内障手術は高齢者の場合に選択されることが多く、日本では確立された手術法です。手術により房水の流れが改善され、緑内障発作のリスクが減少します。
白内障手術は手術時間が短く、安定している一方、合併症のリスクも存在します。しかし、緑内障発作を未然に防ぐための有効とされる手段として、患者さんの状態に応じて検討されるべきです。
まとめ
ここまで急性緑内障発作についてお伝えしてきました。内容をまとめると以下の通りです。
- 急性緑内障発作は急激な眼圧上昇で痛み・頭痛・吐き気などを引き起こし、短期間で失明のリスクがある病気
- 緑内障は視神経に障害が生じ視野が障害される目の病気。早期発見、治療が肝要
- 急性緑内障発作の治療方法にはレーザー虹彩切開術や白内障手術がある
本記事の情報が緑内障について知りたい方のお役に立てば幸いです。 最後までお読みいただき、ありがとうございました。