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緑内障の疑いがある場合の初期症状はあるのか?緑内障の検査方法について解説!

緑内障の疑いがある場合の初期症状はあるのか?緑内障の検査方法について解説!

皆さんは緑内障という病気を知っていますか? 緑内障は、進行するにつれて視野が徐々に失われ、最悪の場合、失明につながる恐ろしい病気です。そのため、早期に発見し治療につなげることが非常に重要です。では、緑内障の初期症状とはどんなものでしょうか? この記事では、緑内障の症状や検査の方法について詳しく解説していきます。特に40歳以上の方は緑内障を発症しやすいため、この記事を参考にして一度検査をすることをおすすめします。

緑内障の疑いがある初期症状

緑内障の疑いがある初期症状 日本人の失明する原因の第一位は緑内障といわれています。では、緑内障の初期症状とはどんなものでしょうか?

自覚症状がないのが一般的

意外なことに、緑内障の初期は自覚症状がないのが一般的です。というのも、緑内障では、視野の周辺から欠けていくことが大半だからです。もちろん視神経が障害された部分は徐々にぼやけたり、かすんだりしていくのですが、人間は普段両目で物を見ているため、お互いの目が視野を補って脳で映像が処理されます。このため、自分ではなかなか初期の欠損に気付きにくいのです。しかし、気付きにくいからといってそのまま放置しておくと、取り返しのつかない段階まで進行してしまうため、緑内障においては症状がなくても40歳を超えたら定期健診が大切なのです。

最初に自覚する症状

初期は自分では気づきにくいのですが、症状が進むに従って、やがて「見える範囲が狭くなる」「視野の一部だけが見づらい」といった自覚症状が現れます。このような症状がある場合は、すでにかなり緑内障が進行していることも珍しくはありません。さらに視野障害が進むと、視力の低下などが起こって生活に不便を感じる場面も出てきます。ただ、これらの症状は個人差が大きいので、一概にどのような症状が出たから緑内障だと言い切ることはできません。少しでも異常を感じたら検診を受けるようにしましょう。

なお、これまで見てきた自覚症状が出づらい緑内障は慢性的なもので、これとは別に急性の緑内障があります。この場合、急激に眼圧が上昇することで、眼の痛みやかすみ、充血、頭痛、吐き気などが起こることがあります。このような発作が出た場合は、視力が急速に悪化し、失明のリスクがありますので、すぐに医療機関を受診するようにしてください。また、暗いところでの長時間の細かい作業や、長時間のうつ伏せ姿勢などは、急性緑内障発作の誘因となりますので、避けましょう。

緑内障の疑いがあると診断される場合とは

緑内障の疑いがあると診断される場合とは 自覚症状がないとすれば、緑内障の疑いがあると診断されるのはどのような場合でしょうか? これまで緑内障は、眼圧の上昇が原因だといわれてきました。しかし、現在では眼圧が正常でも視野の欠損が起こることがわかっています。これを「正常眼圧緑内障」と呼びます。この正常眼圧緑内障は、全体の80%を占めており、原因もさまざまだといわれています。

視神経乳頭の陥凹拡大

眼の奥の少し鼻側に寄ったところに、網膜に映った光の信号を束ねて脳に伝える視神経のつなぎ目である「視神経乳頭」というものがあります。この中心には「へこみ(陥凹)」があり、ここから血管や視神経が出入りをしています。このへこみが大きくなると緑内障になりやすいといわれています。人間ドックなどで「視神経乳頭の陥凹拡大」と指摘をされたら、緑内障の疑いがあることを意味しています。

視神経線維束の欠損

網膜視神経線維束とは、視神経乳頭から扇状に広がっている線維のことを指します。この部分に欠損が起こると、周りの網膜と比べて少し暗い色になり、緑内障と診断されることになります。網膜視神経線維束の欠損は、緑内障の症状の中でも最も早期に起こる眼底の変化とされています。

視神経乳頭の出血

視神経乳頭の出血が緑内障と関連しているとされる研究は、19世紀の終わり頃にはあったといわれています。さらに現在では研究が進み、この部分の出血は緑内障の発症および進行の重要な因子とされています。視神経乳頭の出血は、一度発生すると再発する可能性が高いことも特徴のひとつです。また、乳頭出血のあった緑内障患者に眼圧下降治療を行うと、視野障害の進行程度が遅くなったという報告もあります。

視神経の萎縮

視神経の萎縮の原因は、視神経の病気によるもの、栄養障害、薬物障害、外傷などとさまざまです。このほかにも視神経が萎縮する病気の中には遺伝性のものもあり、中には視力が00.1以下になるものもあります。遺伝性の病気に関しては、今のところ治療法がありません。

高眼圧

眼球の内部には眼内液(房水)の持つ圧力として、眼内圧があります。この眼内圧が継続的に高い人は、高眼圧症と認定され、将来的に緑内障を発症するリスクが高くなります。そのため、眼圧が高いと診断された場合は、通常よりも定期的な眼科検診の必要性が高いということになります。

この眼球の中の圧力は、さまざまな因子の影響を受けて、血圧のように常に変動しています。ですから、正確な眼圧を測るには、たった一度の計測では不十分なことも多く、日を置いて何度か測る必要があるとされています。

なお、日本人の眼圧の平均値は14〜15mmHg (ミリメートル水銀柱)であるといわれています。このことから正常値は10〜20mmHgとされ、20mmHgを超えると高眼圧とされることが多いようです。

緑内障の疑いがある場合の検査

緑内障の疑いがある場合の検査 緑内障の疑いがある場合の検査には、眼圧検査、眼底検査、OCT、視野検査、隅角検査、視力検査、細隙灯顕微鏡検査といったものがあります。それぞれについて詳しく解説します。

眼圧検査

先に説明した通り、眼内は房水で満たされており、その圧力を眼圧といいます。この眼圧が高いと緑内障を発症する可能性が高くなるため、眼圧を測る眼圧検査は緑内障の検査の中でも非常に重要な検査といえます。

眼圧検査には2種類あり、一つは目に空気を吹き付けて、その時の角膜のへこみ具合によって眼圧を測定する方法です。空気が当たるため少し不快感がありますが、痛みなどはありません。もう一つは、眼科医が直接目に測定機器を当てて測る方法です。こちらも慣れていないと少し抵抗感がありますが、痛みはありませんので、リラックスをして臨むようにしましょう。眼圧は血圧と同じように日によって、また一日の中でも変動するため、より正確な眼圧値を知るには、日を置いて何度か測定する必要があります。

眼底検査

眼底検査とは、目の内側(眼底)を観察する検査のことです。目の内側にある目と脳をつなぐ視神経の根元の視神経乳頭やその周辺に異常がないかを調べることによって、緑内障だけでなく、眼底出血や網膜剥離などそのほかの眼疾患の有無もわかります。基本的には眼科医が目に光を当てて目の内側を観察しますが、記録のために写真を撮る場合もあります。痛みはありませんが、強いまぶしさがあります。

この眼底検査をする際、精度を上げるためによく使われるのが、散瞳薬です。これは、瞳を大きくする目薬で、効果が出るまで15〜30分ほど待つ必要があります。このため、散瞳薬を使用した眼底検査の場合は、検査自体に1時間ほどかかることがあります。検査をする場合は、時間に余裕を持って受診するようにしましょう。また、散瞳薬を点眼すると、約6〜7時間は目がぼやっとしてまぶしく感じます。自動車やバイクなどの運転は非常に危険ですので、公共交通機関や徒歩などで眼科に向かうようにしてください。

OCT

OCT検査とは、光干渉断層計という検査機器を使用して、網膜の断層画像を撮影する検査のことを指します。この検査では、視神経乳頭の陥凹の程度や神経線維層の厚みを調べることができます。このため、網膜疾患や黄斑部病変の診断が従来とは比べものにならないほど正確に下せるようになりました。また、緑内障においても、まだ視野欠損の発生していないごく初期の段階で発見することも可能となりました。

検査の方法としても、機械に顎を乗せて内部の光を見ているだけでよく、数分で終了するため、患者さんにとって負担の少ない検査といえます。

視野検査

視野検査は、その名の通り視野の欠損がないかを調べる検査です。緑内障は視野が欠けていく病気ですので、実際にどの部分の視野がどれくらい欠けているのかを定期的に把握することは非常に重要です。

検査の方法は、機械の中を片目で覗き、目を動かさないようにして光を感知したら手元のボタンを押して合図をします。この検査によって自分では気がつかない軽微な視野の異常も発見することができます。痛みやまぶしさはありませんが、片目につき約5〜10分ほど光を感知するたびにボタンを押すという行為を続けなければいけないため、かなり疲れる検査でもあります。

隅角検査

隅角とは、房水が排出される通路の部分のことです。隅角に異常があると眼圧が高くなり、緑内障を発症するリスクが高くなります。

隅角検査では、検査用のレンズに目をつけて、この部分を観察することで、隅角に異常がないかを調べます。麻酔の目薬を入れてから検査用のレンズを目につけるため、痛みはありませんが、麻酔の目薬が少ししみることがあります。また、レンズを直接目につけるため、圧迫感を感じます。レンズが角膜を傷つけないように角膜保護剤を用いるため、ベタつきもあります。

視力検査

視力検査は、誰もが学校などでも経験する一般的な眼の検査です。緑内障の場合は、症状が進行すると視力が低下することがあるため、定期的に視力検査をする必要があります。メガネなどをかけていない裸眼の状態と、矯正視力(検眼レンズを用いた最高視力<概ね1.2>)の両方を測定します。

細隙灯顕微鏡検査

細隙灯顕微鏡検査とは、眼科診療に欠かせない、最も基本となる検査です。この検査では、眼科医が細隙灯(さいげきとう)と呼ばれる拡大鏡を使って目の状態を観察します。帯状の光を眼球に当て、結膜や角膜、前房水、虹彩、瞳孔、水晶体などを観察することによって、炎症やそのほかの目の病気がないかを確認します。

緑内障の疑いが出る前にすることとは

緑内障の疑いが出る前にすることとは これまで見てきたように、初期の緑内障は自覚症状がほとんどありません。ですから、目に異常を感じて緑内障の疑いが出る前に、普段から定期的な検診を受けることが非常に重要です。

定期的な検診が必要

40歳以上の20人に1人は緑内障に罹患しているというデータもあるとおり、緑内障は身近な病気です。また、高齢になるほど発症リスクも高くなります。これらのことから、40歳になったら、眼に異常を感じていなくても緑内障の検査を受けるようにしましょう。また、その時に異常なしとされても、定期的に検診は受けることをおすすめします。年に1回は受診することが望ましいとされています。

早期の発見と治療が必要

定期的に検診を受けていると、早い段階で緑内障を発見することができます。緑内障の症状は通常、慢性的にゆっくりと進みますから、早期に発見ができれば、その分、すぐに治療を開始でき、放置していたら欠けていたはずの視野の範囲を食い止めることができるかもしれません。残念ながら緑内障で失われた視野は元に戻ることはなく、また徐々に視野欠損が進行することは避けられませんが、その進行を治療で遅らせることによって日常生活に支障のない視野を維持することは可能です。緑内障と診断されても悲観することなく、定期的な受診と継続的な治療を続けるようにしましょう。

緑内障の疑いがある場合の治療法

緑内障の疑いがある場合は、早期に治療につなげる必要があります。現在、緑内障の唯一の治療は眼圧を下げることだとされています。眼圧を下げるための治療法は、大きく分けて、薬物療法、レーザー治療、手術の3種類があります。

薬物療法

緑内障と診断されたら、まず初めに処方されるのが眼圧を下げる点眼薬です。緑内障の治療に用いられる点眼薬は複数あり、一日の点眼回数が少なく、また副作用の少ないものから試すことになります。ただ、薬の効き目は個人によってさまざまなので、十分に眼圧が下がらない場合は別の点眼薬に変更したり、場合によっては2〜3種類の点眼薬を併用することもあります。点眼薬を始めて眼圧が通常よりも下がってきたことが認められたら、その点眼薬を継続することになります。通常、点眼を開始する前の眼圧から20〜30%ほど下がった眼圧を目標とします。緑内障患者の大多数が点眼薬による眼圧管理だけで、一生涯ものを見ることが可能といわれています。

レーザー治療

緑内障の治療法としては点眼による薬物療法が第一選択肢ですが、副作用によって点眼薬が使えなかったり、何らかの理由で点眼が難しい場合は、そのほかの選択肢を選ぶ必要があります。第二の選択肢であるレーザー治療には、レーザー虹彩切開術とレーザー線維柱帯形成術の2種類があります。

レーザー虹彩切開術は、急性緑内障発作の際に採用されることが多く、房水を排出しやすくするために虹彩の隅に小さな穴をレーザーで開ける手術です。欠点としては、数年後に視力低下につながる病気を発症する場合があることや、穴がふさがってしまうことによって再度レーザーが必要な場合があること、などです。

レーザー線維柱帯形成術は、主に点眼薬を補助したり、点眼薬の種類を減らしたりする目的で行われることが多い治療法です。線維柱帯と呼ばれる部分にレーザーを照射することによって目詰まりを改善し、眼圧を下げます。ただし、このレーザーの効果は個人差があり、効果が弱まってきた場合は再度レーザー照射をする必要がある場合もあります。

手術

薬物療法やレーザー治療で眼圧が十分に下がらない場合は、房水の排出を改善させるための手術が行われます。手術にはいくつかの種類がありますが、主なものに線維柱帯切開術や線維柱帯切除術があります。

線維柱帯切開術は、その名の通り、線維柱帯を切開して目詰まりを取り、房水がスムーズに通るようにします。また、線維柱帯切除術は、強膜を薄く剥がして隅角に向かって穴をあけ、房水の新たな通り道を形成する手術です。どちらも点眼薬やレーザー治療に比較すると侵襲性が高いため、合併症のリスクなども鑑みて総合的に判断することが望ましいとされています。

まとめ

まとめ 緑内障は、視野が徐々に欠損していく恐ろしい病気ですが、初期には自覚症状がないことも多く、気づいた時にはかなり症状が進行している場合も少なくありません。放置すれば失明のリスクもあることから、早期発見と早期治療が何よりも大切です。これまで目の病気にかかったことがない人でも、40歳を過ぎたら一度眼科で緑内障の検査を受けることをおすすめします。また、その際に異常がなくても、定期的に眼科検診を受けて、瞳の健康を守るようにしましょう。

参考文献

この記事の監修歯科医師
柳 靖雄医師(横浜市大 視覚再生外科学客員教授 お花茶屋眼科院長)

柳 靖雄医師(横浜市大 視覚再生外科学客員教授 お花茶屋眼科院長)

東京大学医学部卒業(1995年 MD)/ 東京大学大学院修了(医学博士 2001年 PhD) / 東京大学医学部眼科学教室講師(2012-2015年) / デューク・シンガポール国立大学医学部准教授(2016年-2020年)/ 旭川医科大学眼科学教室教授(2018年-2020年) / 横浜市立大学 視覚再生外科学 客員教授(2020年-現在) / 専門は黄斑疾患。シンガポールをはじめとした国際的な活動に加え、都内のお花茶 屋眼科での勤務やDeepEyeVision株式会社の取締役を務めるなど、マルチに活躍し ています。また、基礎医学の学術的バックグラウンドを持ち、医療経済研究、創薬、国際共同臨床研究などを行っています。

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