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緑内障の点眼薬には副作用はある?点眼薬の種類・効果・使い方も解説

緑内障の点眼薬には副作用はある?点眼薬の種類・効果・使い方も解説

緑内障の主な治療法は点眼薬を使った薬物療法が行われます。緑内障の点眼薬は6種類あり、進行の度合いや症状に応じて処方されます。

点眼薬は目薬のことです。点眼薬は緑内障だけでなく白内障・ぶどう膜炎・アレルギー性結膜炎などの目に関する病気の治療に使われるのでほとんどの人が使ったことがあるでしょう。

内服薬と同様に点眼薬も副作用があります。目だけではなく全身に症状が現れて、命に関わる場合もあり注意が必要です。

点眼薬は正しい方法で使うことで治療の効果を十分に発揮できます。そして、副作用の出現を抑えることもできます。

今回の記事では緑内障の点眼薬・副作用・正しい点眼薬の使い方を解説していきますので緑内障の薬物治療の参考にしてください。

緑内障の点眼薬の種類や効果

緑内障の点眼薬の種類や効果
緑内障はどのような病気ですか?
緑内障は眼圧が上がることで眼と脳をつなぐ視神経が障害される病気で、主な症状は視野の狭窄・欠損です。失明する恐れがあります。眼圧が上がる原因は主に2種類に分類されます。

  • 開放隅角緑内障
  • 閉塞隅角緑内障

開放隅角緑内障は目の中を流れる房水の排水口である線維柱帯が詰まり、房水が流れにくくなることで眼圧が上がって発症する緑内障です。徐々に進行するので自覚症状はありません
閉塞隅角緑内障は房水の排水路である隅角が狭くなり、線維柱帯から房水が排出されにくくなることで眼圧が上がって発症する緑内障です。急激に眼圧が上がるため、眼痛・頭痛・視力低下・嘔気などの症状が現れる場合があります。

治療方法について教えてください。
緑内障には下記の3つの治療方法があり、緑内障の種類・進行度合いに応じた治療方法が選択されます。それぞれについて詳しく解説します。

  • 薬物療法
  • レーザー治療
  • 手術

薬物療法の主な治療方法は点眼薬、いわゆる目薬を使った治療です。緑内障の治療では、まずは薬物療法が基本になります。
緑内障の治療薬は様々な効果がある点眼薬が発売されていて、緑内障の種類・進行度・眼圧の数値に応じて医師から処方されます。治療効果が十分でないときには、複数の点眼薬が処方されます。
眼圧を下げる内服薬もありますが、副作用が強く出ることがあるのであまり使用されません。レーザー治療は主に2種類あります。1つ目は虹彩に小さな穴をあけて房水の流れを変える方法で、閉塞隅角緑内障の治療に効果があります。
2つ目は線維柱帯にレーザーを当てて房水の排水を促す方法です。こちらは開放性隅角緑内障の一部に行われます。
レーザー治療は個人差がありますが、痛みが軽減され通院が不要なため、日帰りで受けられます。
手術は薬物療法・レーザー治療を行っても改善しない場合に行われるのです。主に、房水を眼の外に出すように細工をする方法・線維柱帯を切開し房水を輩出しやすくする方法があります。
また、緑内障の症例によっては房水の排出を改善する目的で、アイステントという器具を留置する方法もあります。緑内障の治療はあくまで眼圧を下げることで、進行を遅らせることが目的です。手術による合併症の恐れもありますし、一度手術をしても再手術が必要な場合もあります。また、手術を受けて眼圧が下がっても定期的に検査を受けなければなりません。

緑内障の治療で使用される点眼薬の種類について教えてください。
緑内障の点眼薬には、主に下記の6種類あります。

  • プロスタグランジン関連薬
  • EP2受容体作動薬
  • 交感神経遮断薬
  • 炭酸脱水酵素阻害薬
  • アドレナリンα2受容体作動薬
  • Rhoキナーゼ阻害薬

これらの薬剤が1種類または複数種類処方されて緑内障の治療に使われます。緑内障の点眼薬は2023年時点で先発医薬品・後発医薬品を合わせて150種類が製造・販売されています。同じ成分・量の点眼薬でも、販売している製薬会社の違いによって見た目が異なることがあります。
処方された点眼薬について不明な点がある場合は医師または薬剤師に相談しましょう。

緑内障の点眼薬にはどのような効果がありますか?
緑内障の点眼薬の主な効果は眼圧を下げることです。プロスタグランジン関連薬は房水の流れを良くする効果があります。眼圧を下げる効果が高いといわれ、最初に処方されることが多いです。
EP2受容体作動薬は房水の排水口である線維柱帯と、眼球の前方にあるぶどう膜から房水の流れを良くする効果があります。
こちらも効果が高く、最初に処方されることが多いです。
交感神経遮断薬は房水が作られるのを抑制して眼圧を下げる効果があります。炭酸脱水酵素阻害薬は房水を作る毛様体にある炭酸脱水酵素の働きを阻害して房水が作られるのを抑制し、眼圧を下げる効果があります。
今まで、炭酸脱水酵素阻害薬は内服薬しかなく、副作用が強いので急激に上がった眼圧を下げる場合に使われていました。しかし現在では副作用の心配が少ない点眼薬が販売されるようになったのです。
アドレナリンα2受容体作動薬は房水が作られるのを抑制したり、房水の流れを良くしたりする効果があります。Rhoキナーゼ阻害薬は線維柱帯を変化させて房水の流れを良くする効果がある比較的新しい薬剤です。
プロスタグランジン関連薬・EP2受容体作動薬だけでは効果が不十分だったり、副作用が出てしまったりした場合には交感神経遮断薬・炭酸脱水酵素阻害薬・アドレナリンα2受容体作動薬・Rhoキナーゼ阻害薬を併用したり、変更したりして眼圧を下げていきます。

緑内障の点眼薬の使い方について

緑内障の点眼薬の使い方について

緑内障の点眼薬の使い方について教えてください。
先ほど述べましたが、緑内障の治療の基本は薬物療法です。薬物療法は主に点眼薬が処方されます。点眼薬によって十分な治療効果を得られるように緑内障の点眼薬の使い方について解説するので確認をしてください。

  • 手を洗う
  • 頭を後ろに傾ける
  • 点眼をする
  • 目を閉じる

最初に、点眼薬を点眼する前には石鹸を使い手を洗いましょう。
次に、頭を後ろに傾けて天井を見ます。そして下まぶたを軽くひいて1滴さしましょう。
この時、点眼薬の先がまぶたやまつ毛に触れないようにしてください。点眼後は静かに目を閉じて、約1分間目をつぶります。
点眼後はまばたきはしないで、静かに目を閉じたり、目頭を押さえたりしましょう。目からあふれた点眼薬は清潔なティッシュ・ガーゼでふき取ってください。
2種類以上の点眼薬が処方された場合は、少なくとも約5分間は間隔をあけて次の点眼薬をさしましょう。間隔をあけないで点眼をすると、先にさした点眼薬を次の点眼薬が追い出してしまうことになります。後にさした点眼薬も先にさした点眼薬に邪魔をされて十分な効果の量・濃度が投与されなくなる恐れがあります。
また、コンタクトレンズを装着したままの点眼は避けてください。コンタクトレンズの種類によっては、薬剤・防腐剤を吸収して角膜内に長時間薬剤がとどまってしまいます。そのため目への刺激が強くなったり、レンズが膨張・収縮してしまったりする場合があります。

緑内障の点眼薬は一日に何回くらい使用するのですか?
処方される点眼薬によって一日の点眼回数は異なります。一日1回の点眼薬もありますが、2回・3回と複数回点眼をしなければならない点眼薬もあるのです。点眼する回数・順番は必ず医師または薬剤師の指示に従いましょう。
緑内障の治療では複数の点眼薬が処方されることもあるのですか?
緑内障の薬物療法は、眼圧をコントロールすることが基本です。
先ほど緑内障の治療に使われる点眼薬にはそれぞれ作用の異なるものが6種類あることを説明しました。緑内障の種類・進行の度合いに応じて複数の種類の点眼薬が処方されることがあります。
複数の点眼薬が処方されたらそれぞれの点眼薬の治療効果が十分に発揮できるよう、点眼する回数・順番を医師または薬剤師の指示に従いましょう。

緑内障の点眼薬の副作用と対処法

緑内障の点眼薬の副作用と対処法

緑内障の点眼薬には副作用はありますか?
プロスタグランジン関連薬の副作用は目の周りが黒ずむ・まつ毛が太く長くなる・まぶたが下がるなどです。
EP2受容体作動薬の副作用は、網膜の中の色や形を見分ける役割をもつ黄斑という部分に浮腫ができる、黄斑浮腫です。かすみ目・視力低下などの症状が現れたら検査を行います。
点眼薬の継続については医師の指示に従いましょう。交感神経遮断薬は心臓の機能や喘息を悪化させたり、間質性肺炎が起こったりと全身に作用する副作用が起こります。交感神経遮断薬は呼吸器疾患・循環器疾患のある患者さんに使用することはできません。
炭酸脱水酵素阻害薬の副作用は角膜障害・一過性霧視・眼瞼炎です。アドレナリンα受容体作動薬・Rhoキナーゼ阻害薬の副作用は角膜炎・眼瞼炎・結膜炎です。
副作用を防ぐための対処法を教えてください。
緑内障の点眼薬の副作用を防ぐ一番の対処法は、正しい方法で点眼をすることです。先ほど述べた正しい点眼方法に従って点眼をしてください。
点眼した薬剤は、結膜の中に入り、結膜嚢に貯まります。結膜嚢に入りきらなかった点眼薬は目からあふれて鼻涙管から鼻に抜け、全身に流れて副作用の原因になるのです。
また、通常、点眼薬の1滴の量は0.04~0.05mlで、結膜嚢に入る量は0.02mlです。1回当たりの点眼量は1滴で十分ですので必要以上の量を点眼しないようにしましょう。
また、点眼後にまばたきをしてしまうと点眼薬が鼻から消化器官に入り副作用によって心臓・血管・呼吸器系の症状が起こる場合があります。そうならないためにも点眼した後には目頭を押さえることもおすすめです。
緑内障の点眼薬は副作用が出ても継続して使用する必要がありますか?
緑内障の点眼薬による目の副作用は症状が軽い場合が多く、日常生活への支障がなければ使用を続けることがほとんどです。しかし、副作用の中には細胞毒性・免疫反応によって重篤な症状が現れる場合があり、その場合には使用を中止します。
また、黄斑浮腫によって視力低下・視野障害が起きる場合も使用を中止します。緑内障の点眼薬は眼圧を下げるために非常に大切な役割を持っていますので、決して自己判断で中止せずに医師または薬剤師の指示に従いましょう。

編集部まとめ

編集部まとめ

緑内障は眼圧が高くなることで視神経を障害される病気です。主な症状は視野の狭窄・欠損です。また、失明する恐れもあります。

点眼薬による薬物療法が基本で、眼圧を下げることが目的です。緑内障の種類や程度によってレーザー治療・手術が行われます。

緑内障の点眼薬は6種類あり、患者さんの状態に応じて1種類または複数種類処方されます。

緑内障の点眼薬にも副作用があり、副作用の出現を抑えるためにも正しい方法で用法・容量を守って点眼をすることが大切です。

2本以上の点眼薬を使用する場合には少なくとも5分間間隔をあけて点眼をして、順番は医師または薬剤師の指示に従って下ください。

EP受容体作動薬には黄斑浮腫という重大な副作用があります。視力低下・視力障害がみられたら速やかに眼科を受診しましょう。

緑内障の点眼薬の副作用は主に目の症状が多いですが、点眼の方法によっては全身に薬剤が回って命に関わる副作用が出現することがあります。

日常生活への支障がない副作用については点眼薬の使用を継続する場合がほとんどです。

副作用が気になるからといって自己判断で使用を中止せず、必ず医師または薬剤師の指示に従いましょう。

参考文献

この記事の監修歯科医師
柳 靖雄医師(横浜市大 視覚再生外科学客員教授 お花茶屋眼科院長)

柳 靖雄医師(横浜市大 視覚再生外科学客員教授 お花茶屋眼科院長)

東京大学医学部卒業(1995年 MD)/ 東京大学大学院修了(医学博士 2001年 PhD) / 東京大学医学部眼科学教室講師(2012-2015年) / デューク・シンガポール国立大学医学部准教授(2016年-2020年)/ 旭川医科大学眼科学教室教授(2018年-2020年) / 横浜市立大学 視覚再生外科学 客員教授(2020年-現在) / 専門は黄斑疾患。シンガポールをはじめとした国際的な活動に加え、都内のお花茶 屋眼科での勤務やDeepEyeVision株式会社の取締役を務めるなど、マルチに活躍し ています。また、基礎医学の学術的バックグラウンドを持ち、医療経済研究、創薬、国際共同臨床研究などを行っています。

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