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緑内障と診断されてから失明までの期間は?症状や治療法についても解説

緑内障と診断されてから失明までの期間は?症状や治療法についても解説

緑内障は、視神経にダメージを与え、進行すると失明に至る可能性のある眼疾患です。緑内障は、日本人の中途失明の原因第一位になっているため、診断されると失明してしまうのではないかと心配になる方もいることでしょう。しかし、緑内障と診断されてすぐに失明に至るわけではありません。失明を防ぐためには、早期発見と適切な治療を行うことが大切です。この記事では、緑内障と診断されてから失明までの期間や症状、治療法について解説します。

緑内障の症状について

緑内障になると、視神経が障害されて視野が欠損するという症状がでます。症状に気がつかず発見が遅れたり、治療を受けずに放置したりして進行すると、失明に至るおそれがある病気です。

緑内障の進行を遅らせ、失明を防ぐためには早期発見が重要です。そのためには、緑内障の症状について知っておくことが大切です。緑内障は自覚症状の乏しい疾患ともいわれています。気がついたときには、病期が進行してしまったというケースも少なくありません。早期に適切な治療が受けられるように、緑内障の症状について解説します。

緑内障の初期症状

緑内障の初期は、自覚症状がほとんどありません。初期の緑内障は、たまたま眼科を受診したり健康診断を受けたりした際に異常が見つかって診断されたというケースがほとんどです。緑内障初期の視野障害は、視力に影響することがほとんどなく、なんとなく見えにくく、少しすむといった程度の症状となります。そのため、眼科を受診せずに様子を見るという方も少なくありません。

緑内障の中期~末期症状

緑内障の症状が進行して中期になると、片目ずつ見ると視野の一部がかすんでいる、左右で見える範囲が違っているという症状で視野の異常に気付くことがあります

視野というのは、左右の眼が互いの欠損している部分を無意識に補おうとする習性があります。そのため、視野障害がかなり進行しないと異常に気付きにくいといった特徴があります。緑内障末期にまで進行すると、視野の欠損部分が大きくなり視力の大部分が損なわれる可能性があります。階段をよく踏み外したり、ものにぶつかる、コップがうまくつかめない、信号を見落としてしまうなどの症状が現れます。

緑内障の原因とリスク要因

緑内障の原因とリスク要因 緑内障の原因はひとつではなく、複数の要因が関与するといわれています。予防策を立てるためにも、緑内障の主な原因やリスクについて知っておきましょう。

眼圧の上昇

眼のなかには、眼の圧力を調整する役割の房水と呼ばれる液体が循環しています。房水が過剰に生成されたり、何らかの理由で房水の排出が妨げられたりすることで眼圧が上昇します。眼圧が上昇すると、目の奥の視神経が圧迫されダメージを受け、緑内障となります。

視神経の脆弱性

もともとの視神経自体が脆弱な場合も緑内障のリスクとなります。この場合、少しの眼圧上昇や視神経への血流不足、酸素供給の低下が起きると、視神経がダメージを受けてしまいます。視神経の脆弱性には個人差があるため、同じ眼圧でも緑内障になる人とならない人がいるのは、視神経の強さが関係しているといわれています。

遺伝的要因

緑内障の発症には、特定の遺伝子の変異が関与していることがわかっており、遺伝要因も緑内障のリスクになると考えられています。家族に緑内障の患者さんがいる場合は、定期的な眼科検診を行い、目の健康状態を把握しておくようにしましょう。

生活習慣

生活習慣も緑内障の発症に影響を与えます。長時間のパソコン作業やスマートフォンによる眼精疲労、喫煙や過度なアルコール摂取、肥満などがリスクを高める要因になります。喫煙や過度な飲酒は控え、充分な休息と健康な食生活を心がけることが緑内障予防に大切です。

加齢

加齢も緑内障の発症リスクになります。加齢によって眼組織の機能が徐々に低下すると、房水の流れが悪くなって眼圧が上昇しやすくなります。加齢は視神経の血流や脆弱性にも影響するため、損傷を受けやすくなってしまいます。

緑内障は、40歳以上の約20人に1人が発症していると考えられており、決して珍しい病気ではありません。

40歳を過ぎたら定期的に目の検診を受けることをおすすめします。

緑内障と診断されてから失明までの期間

緑内障と診断されてから失明までの期間 緑内障になったからといって、すぐに失明してしまうわけではありません。緑内障の症状には個人差がありますが、一般的には緩やかに進行し、失明に至るまでには時間がかかります。ここからは、緑内障の進行速度について解説します。

緑内障の進行速度

緑内障の進行速度は人によって異なりますが、一般的にはゆっくり進行することがほとんどで、初期段階には自覚症状がほとんどありません。初期から中期までは緩やかに進行しますが、中期を過ぎると進行速度が速くなる傾向にあります。適切な治療を行うことで、進行を遅らせることはできますが、急激に眼圧が上昇する急性緑内障発作の場合は、短時間で症状が進行し失明に至ることがあります。

急性緑内障発作のリスク

急性緑内障発作は、急激に眼圧が上昇することで、突然の眼痛、頭痛、吐き気、視力低下を引き起こし、短期間で失明のリスクがある病気です。頭痛や吐き気などの症状は、ほかの病気と間違えられやすく、診断が遅れてしまうことがあります。急性緑内障発作は、数日で失明に至ることもあるため、早急に治療を開始しなければなりません。疑わしい症状が現れたときには、速やかに眼科を受診しましょう。

緑内障は早期発見が重要

緑内障は早期発見が重要 緑内障は早期に治療を開始すれば、進行を遅らせることができます。緑内障の早期発見には定期的な眼科検診が不可欠ですが、病院に行く時間がない人や、いきなり病院に行くのは不安だという人もいるでしょう。そんな方はセルフチェックを試してみましょう。簡単にできる緑内障のセルフチェックの方法と、緑内障になりやすい人について解説します。

緑内障のセルフチェック

緑内障の早期発見のためには、日頃から目の状態をチェックすることが大切です。片目を手で覆って、遠くのものと近くのものを見比べてみてください。左右の見え方に差がないか、視界にぼやけているところがないかをチェックしましょう。普段から新聞や本、パソコンの画面、カレンダーなどを見て、見え方を把握しておくのも効果的です。

また、片目ずつ部屋を見回して、見えにくい部分や暗いと感じる部分がないか、見え方を確認する方法も手軽にできるセルフチェックの方法のひとつです。

アムスラーグリッドテストと呼ばれる検査で、視野の欠損をチェックする方法もあります。片目で方眼紙の中央にある黒い点を見つめ、方眼線がゆがんだり欠けたりしないかを確認するテストです。専用の用紙は、ネット検索ですぐに見つかります。眼の健康を守るために、簡単にできるセルフチェックを習慣化し、日常に取り入れてみましょう。

緑内障になりやすい人

以下のような人は緑内障に罹病しやすいといわれています。

  • 40歳以上
  • 家族に緑内障の患者さんがいる
  • 糖尿病や高血圧などの既往がある
  • 過去に眼をけがしたことがある
  • ステロイドを長期に服用している

これらに該当する人は緑内障にかかりやすいとされています。長期間ステロイドを使用している場合、眼圧が上昇しやすくなるため緑内障のリスクが高まります。緑内障の発症リスクを高める原因は多岐にわたりますが、これらの項目に当てはまっている方は、定期的な眼科検診を受けることが大切です。

緑内障の治療方法

緑内障の治療方法 緑内障の治療方法には、主に薬物療法とレーザー治療、手術の3種類があります。それぞれの治療法の利点とリスクを知ったうえで、医師と相談しながら適切な治療を選択しましょう。

薬物療法

緑内障の治療において、はじめに選択されるのが薬物治療です。眼圧を下げるための点眼薬や内服薬を使用します。点眼薬には、房水の排水を促進したり生成量を減少させたりすることで、眼内圧を下げる効果があります。

主に使用されている点眼剤は、房水の排出を促進させるプロスタグランジン関連薬の使用が一般的です。ほかにも、房水の産生を抑制するβブロッカーなど、患者さんの病状に合わせて眼科医が提案してくれるでしょう。点眼薬には色素沈着や目の充血、異物感、内服薬には手足のしびれや味覚の変化、疲労感などの副作用が見られる場合もあるため、用法用量を守り、異常がないか様子を見ながら使用することが大切です。

点眼以外の薬物療法として内服薬が使われることがあります。機能低下した視神経や網膜に対して、ビタミンB12やサプリメントの効果も期待されています。

薬物治療は、有効性と副作用のバランスから、初期の緑内障に使用されることが一般的です。中期後期になってくると、手術といった身体への負担が大きな治療が必要になります。

レーザー治療

薬物療法で十分な効果が得られない場合は、レーザーを使用して房水の排水経路をつくり眼圧を下げる治療を行います。眼のなかには線維柱帯と呼ばれる、房水の排出量を調整する網目状の組織があります。この網目状の組織に対してレーザーを照射し、房水を排出しやすくする治療です。洗面所の排水口をきれいに掃除して水を流しやすくさせるようなものとイメージするとわかりやすいでしょう。 レーザー治療は即効性があり、日帰りの治療が可能なのですが、時間が経つにつれて効果が減少し再治療が必要な場合もあります。

手術

薬物治療やレーザー治療の効果が得られず、病状が進行している場合には手術が選択されます。眼内の組織に新しい排出路を形成し、房水の排出を促進する線維柱帯切除術、線維柱帯を部分的に切除し、房水の流れを改善する線維柱帯形成術、眼内にシャントと呼ばれる小さなチューブを挿入し、房水の排出を助けるシャント手術などがあります。

手術は高い効果が得られますが、感染や出血などのリスクも伴います。手術後に乱視や異物感、充血が見られる場合もあるため、経過観察を行い、適切なフォローアップを受けることが大切です。

緑内障の予防とセルフケア

緑内障の予防とセルフケア 緑内障の予防には、定期的な眼科受診と生活習慣の改善が不可欠です。早期発見と適切なケアを行うことで、緑内障の進行を防ぎ、視力を保つことができます。ここでは、緑内障の予防に必要な、定期的な眼科受診と生活習慣の改善について解説します。

定期的な眼科受診

定期的な眼科受診を行うことが、緑内障の早期発見につながります。緑内障の検査には、眼底と呼ばれる眼球の奥を観察し、組織の異常を検査する眼底検査や、眼の硬さをチェックする眼圧検査、見えている範囲を調べる視野検査など、さまざまな項目があります。

眼科受診は、セルフチェックでは自覚できない組織や視野の異常の早期発見に大切です。緑内障のリスクが高い40歳以上の方や家族に緑内障の患者さんがいる場合には、定期的な検診をおすすめします。

生活習慣の改善

生活習慣も緑内障の予防に重要な役割を果たします。ビタミンを多く含む緑黄色野菜や果物、ナッツなどのほか、視神経のダメージを抑えるために必要なタンパク質の摂取などバランスのよい食事を心がけましょう。また、適度な運動は血流を改善し、眼内圧を下げる効果が期待できます。ウォーキングなどの軽い運動がおすすめです。

このほかにも、禁煙と節酒、充分な休息も緑内障予防に効果的です。デスクワークや長時間の読書の際には、定期的に目を休めるようにしましょう。

まとめ

緑内障の進行と失明までの期間は個人差が大きく、診断後の治療法や症状の重さによって進行速度は異なります。緑内障は、早期発見と予防が重要な病気であり、適切な治療を行うことで視力を維持することができます。緑内障の治療法には、薬物療法のほか、レーザー治療や手術などいくつかの種類があり、それぞれにメリットとデメリットがあります。眼科医と相談のもと、適切な治療を選択することが重要です。定期的な眼科受診と健康的な生活習慣を維持することは、緑内障のリスクを低減し、視力を守ることにつながります。特に、遺伝や加齢など緑内障リスクが高い場合にはセルフチェックや眼科受診を定期的に行い、異常があればすぐに受診することが大切です。

参考文献

この記事の監修歯科医師
柳 靖雄医師(横浜市大 視覚再生外科学客員教授 お花茶屋眼科院長)

柳 靖雄医師(横浜市大 視覚再生外科学客員教授 お花茶屋眼科院長)

東京大学医学部卒業(1995年 MD)/ 東京大学大学院修了(医学博士 2001年 PhD) / 東京大学医学部眼科学教室講師(2012-2015年) / デューク・シンガポール国立大学医学部准教授(2016年-2020年)/ 旭川医科大学眼科学教室教授(2018年-2020年) / 横浜市立大学 視覚再生外科学 客員教授(2020年-現在) / 専門は黄斑疾患。シンガポールをはじめとした国際的な活動に加え、都内のお花茶 屋眼科での勤務やDeepEyeVision株式会社の取締役を務めるなど、マルチに活躍し ています。また、基礎医学の学術的バックグラウンドを持ち、医療経済研究、創薬、国際共同臨床研究などを行っています。

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