レーシックというと若い人が受ける手術というイメージがありますが、レーシック手術は何歳まで受けられるのでしょうか? 実はレーシック手術には適応条件があり、条件を満たさない場合は受けることができません。
この記事では、レーシック手術が受けられる年齢や適応条件をQ&A方式で詳しく解説します。また、レーシック手術におけるリスクや病院の選び方もご紹介しますので、これからレーシック手術を検討している方は、ぜひ参考にしてください。
レーシックは何歳まで受けられるのか
- レーシック手術は、何歳まで受けることができますか?
- レーシック手術の年齢の上限については、明確な規定はありません。
ただし、一般的には40代頃までが推奨されています。40代以降になると老眼が出始めて、レーシック手術によって症状が悪化するリスクがあるためです。近年では、遠近両用レーシックという老眼に対応した手術法もありますが、実施している医療機関は限られています。
レーシック手術が受けられるかどうかは、年齢だけでなく、目の状態や健康状態などによっても個人差があるため、眼科医による判断が必要となります。
- 若い人がレーシックを受ける際の制限理由を教えてください
- 日本眼科学会のガイドラインでは、レーシックの対象年齢は18歳以上と定められています。これは、18歳未満の若年層は、角膜の形状や屈折度数が成長過程にあり、不安定な状態にあるためです。
レーシック手術は、角膜の形状をレーザーで矯正する手術ですが、角膜の成長が止まっていない段階では、手術後に近視や乱視が進行する可能性があり、適切な視力矯正が期待できません。また、若年層に対するレーシック手術の安全性は、十分に確立されていないのも理由です。成長過程にある組織への手術は、予期せぬ影響を与える可能性も否定できないことから、18歳未満の若年者がレーシック手術を受けることは、医学的に推奨されていません。
- 高齢者がレーシックを受ける際に注意すべきポイントはありますか?
- 高齢者がレーシックを受ける際は、老眼の進行やドライアイなど、注意すべきことがいくつかあります。40歳以降になると老眼が始まり、近くのものが見えにくくなります。レーシック手術は、遠くの視力を矯正するものであり、老眼を改善する効果はありません。そのため、老眼が進行している場合、レーシック手術後も老眼鏡が必要となる可能性があるでしょう。
近年では、遠近両用レーシックという老眼に対応した手術法も登場していますが、適応となるかは眼科医の診断が必要です。また、高齢者は涙の量が減少し、ドライアイになりやすい傾向があるため、術後にドライアイが悪化するリスクもあります。これらのほかにも、白内障や緑内障などの病気や、全身疾患などがある場合は、レーシックの手術を受けることができない可能性があります。
レーシック手術の適応条件
- レーシックを受けるための適応条件を教えてください
- レーシック手術を受けるためには、以下のような適応条件があります。
- 年齢が18歳以上であること
- 近視の度数が一定範囲内
- -6.00D以上の強度近視はは慎重適応
- -10.00D以上は適応外
これらのほかにも、角膜や目の状態によってはレーシック手術を受けることができない場合があります。さらに、妊娠中や授乳中の方、糖尿病や高血圧などの全身疾患や自己免疫疾患、精神疾患のある方なども、レーシック手術を受けることができない可能性があります。
- 持病や目の疾患がある場合、レーシックを受けることは可能ですか?
- 持病や目の疾患があると、レーシック手術を受けられない場合があります。
重度の糖尿病、膠原病、自己免疫疾患など、全身に影響を及ぼす疾患がある場合、感染症のリスクが高まったり、術後の回復が遅れたりする可能性があるため、レーシック手術を受けることが難しい場合があります。また、強度近視の場合や、円錐角膜や角膜ジストロフィーなど角膜の形状や厚みに異常がある場合、網膜剥離や網膜色素変性症など網膜に疾患がある場合、緑内障がある場合なども、レーシック手術を受けられない可能性が高まります。
これらのほかにも精神疾患がある場合、種類によっては使用する薬剤や手術に対するストレスなどが影響し、レーシック手術が不適応となることがあります。
- コンタクトレンズを使用している場合、レーシック前にどのような準備が必要ですか?
- コンタクトレンズをご使用の場合、レーシック手術の前には一定期間休止することが推奨されています。コンタクトレンズが角膜の形状を圧迫し、変形させる可能性があることが理由です。ソフトコンタクトレンズの場合は手術の3日前から、ハードコンタクトレンズの場合は2週間前から使用を中止してください。
レーシックを検討する際に知っておきたいリスク
- レーシック手術にはどのようなリスクがありますか?
- レーシック手術の一般的なリスクとしては、ドライアイがあげられます。
涙の分泌量が減少し、目が乾いたり見えにくくなったりする症状が現れます。また、夜間に光が眩しく見えたり、光の周りに輪が見えるハロー・グレア現象が起こることもあります。
その他にも、近視戻りといった時間経過とともに近視が戻ってしまうケースや、まぶたの腫れや出血、角膜の炎症などの合併症が起こることがあります。
- レーシックは術後の合併症がありますか?
- レーシックの合併症には、DLKや角膜混濁などがあげられます。
DLKはレーシックで作成して角膜フラップの下に炎症が生じる副作用です。術後数日から1週間の間に白っぽく見えることがあります。このような症状が出た場合は、通常、ステロイドの点眼などで治療を施しますが、まれに炎症が進行して視力低下を起こすこともあります。また、角膜混濁とは、感染症が原因で角膜が混濁することで、視力に影響が出ることがあります。
- レーシックは手術後にもとの状態に戻せますか?
- もとに戻すことはできません。
レーシック手術では、角膜の表面を薄く削ることで光の屈折率を調整し、視力を矯正します。一度削ってしまった角膜はもとに戻らないため、角膜の削り過ぎが起こらないように、術前にしっかりと検査をすることが重要です。
レーシック手術を受けるクリニックの選び方
- レーシックはどこの眼科でも受けることが可能ですか?
- レーシックは専門的な技術と設備が必要なため、すべての眼科医が行えるわけではありません。日本眼科学会では、一定の基準を満たした眼科専門医がレーシックなどの手術を行うべきであると定めています。安全性の高い手術のためには、このような資格を持つ医師がいる眼科医院を選ぶことが望ましいでしょう。
- 費用面や保障制度で確認すべきポイントを教えてください
- レーシックは保険適用外の自由診療に該当し、高額療養費制度の対象外です。
レーシックの手術費用は、両眼で約20万円〜40万円程度が相場で、医療機関によって異なるため、費用がどの程度かかるのかをあらかじめ把握しておくようにしましょう。
なお、レーシックは医療費控除の対象となるため、確定申告で所得税の還付を受けることができます。クリニックによっては、再手術などが必要となった場合の保証制度が設けられている場合がありますので、事前によく確認するようにしましょう。
- どのような設備があるクリニックを選べばよいか教えてください
- レーシック手術には専門の医療設備が必要です。
そのため、新しい手術設備や検査設備が導入されているクリニックが望ましいでしょう。 例えば、角膜を削るために用いるエキシマレーザーは、新しい機種であれば合併症のリスクを軽減することができます。高精度な手術を可能とするフェムトセカンドレーザーという機器を導入しているクリニックもあります。
クリニックを選ぶ際には、これらの設備の有無に加え、医師の診療経験やアフターケア体制が充実しているか、など総合的に判断するようにしましょう。
編集部まとめ
レーシックを受ける際にはさまざまな適応条件があります。18歳以上であれば年齢制限はありませんが、一般的に高齢になってからのレーシック手術は、目の状態や全身疾患の有無などにより受けられない場合があります。
個人差もありますので、まずは眼科医に相談するようにしてください。また、レーシックは角膜を手術することになるため、合併症のリスクがゼロではありません。正しくリスクを知り、経験豊富な信頼できるクリニックを選ぶようにしましょう。
参考文献