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緑内障になったら気を付けることは?治療や日常生活の注意点を解説

緑内障になったら気を付けることは?治療や日常生活の注意点を解説

緑内障は適切な治療を続ければ一生視力を保てる可能性のある病気ですが、診断直後は「日常生活で何か気をつけることはないか」「治療中にやってはいけないことはあるか」と不安になる方も多いでしょう。本記事では、緑内障と診断された方が日常生活で避けるべき行動や食品、デジタル機器との付き合い方、治療中の注意点について解説します。

緑内障の患者さんが日常生活で避けるべき行動や動作

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緑内障と診断されると、さまざまな生活習慣が目に影響しないか気になる方もいらっしゃるでしょう。本章では緑内障の患者さんが日常生活で避けるべき行動や動作について解説します。

緑内障と診断されました。日常生活で避けた方がよい行動はありますか?
基本的には特別に制限すべき行動はありません。緑内障は生活習慣病ではなく、日常生活で明らかに緑内障に悪影響を及ぼす習慣は報告されていません。本を読んだりパソコンを使ったりして目を酷使すると悪化しますかと心配される方もいますが、目を使っても緑内障そのものが悪化することはありません。したがって、診断前と同じように通常どおりの生活を送って差し支えない場合がほとんどです。
緑内障の治療中に避けた方がよい動作があれば教えてください。
激しい息こらえや極端な姿勢は控えましょう。例えば、息を止めて力むような過度の筋力トレーニングは一時的に眼圧を急上昇させる恐れがあります。筋トレ自体が悪いわけではありませんが、息を止めるほどの無理な力み方や超高重量の挙上は避け、行う場合も息をこまめに吐きながら適度な範囲で行いましょう。また、頭を長時間低く下げる姿勢(ヨガの頭を低くするポーズなど)は眼圧上昇を招きやすいため長時間は避けてください。さらに、首周りを強く締め付けると頭部の血流が滞り眼圧が上がる場合がありますので、ネクタイや襟は締めすぎないようにすると安心です。

緑内障の患者さんが注意すべき飲み物や食べ物

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目によい食材はいくつかありますが、緑内障に対して食べたり、飲んだりしない方がよい食材はなんでしょうか。本章では、緑内障の患者さんが注意すべき飲み物や食べ物について解説します。

緑内障と診断されましたが、喫煙は継続してもよいですか?
喫煙は可能な限り控えましょう。タバコそのものが直接緑内障の原因になると明確に証明されているわけではありませんが、喫煙による血管収縮は視神経の血流を低下させる可能性があります。そして、視野の維持には視神経の十分な血流が不可欠ですから、緑内障の進行抑制という観点からも禁煙・減煙が望ましいでしょう。健康全般にも禁煙は有益ですので、これを機に禁煙に取り組まれることをおすすめします。
緑内障の治療中にお酒を飲んでも大丈夫ですか?
適度な飲酒であれば心配いりません。現在、飲酒習慣と緑内障の悪化との関連性は明確には証明されておらず、ほどほどの酒量であれば緑内障の方も楽しんでいただけます。厚生労働省のガイドラインでは適度な飲酒量の目安をビール中瓶1本、日本酒1合、ワイン2杯程度としていますが、この範囲内であれば緑内障に限っていえば多少前後しても大丈夫でしょう。ただし、飲みすぎは全身の健康を損ないいるため避けてください。
緑内障の治療中に避けるべき食品や飲み物を教えてください。
特別に禁止すべき飲食物はありません。緑内障だからといって極端に食事内容を制限する必要はなく、栄養バランスのよい食事を心がけることが基本です。食事については極端な塩分やカロリー制限などは必要ありませんが、健康維持のため減塩や適正体重の維持は望ましいでしょう。肥満や高血圧など全身状態の悪化は間接的に視神経の健康にも影響しかねません。一方で、この食べ物を食べれば緑内障がよくなるという特効的な食品も残念ながらありません。テレビやインターネットで宣伝されるサプリメント(ルテインやブルーベリーなど)が視力によいとされることがありますが、緑内障そのものを治したり進行を止めたりできる科学的根拠は確認されていません。

緑内障とスマートフォン、パソコンとの付き合い方

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緑内障と診断されると、スマートフォンやパソコンによる影響を気にする方もいるでしょう。本章では緑内障の患者さんが注意すべきスマートフォン、パソコンの使い方について解説します。

緑内障ですが、スマートフォンやパソコンを使ってもよいですか?
もちろん日常的に使用しても構いません。スマートフォンやパソコンの使用が直接緑内障を悪化させるという医学的証拠は現在のところ十分にありません。仕事や生活上でスマートフォンやパソコンの利用が欠かせない場合でも過度に心配する必要はないでしょう。ただし、現時点で因果関係ははっきりしないものの、眼精疲労や長時間の近距離作業が視神経に負担をかける可能性は否定できません。スマートフォンやPCを見るときの環境に気を配りましょう。部屋の明るさを適度に保ち、暗い所で画面を見ないようにしてください。また、寝転がった姿勢でスマートフォンを長時間見ることも控えてください。画面との距離はできるだけ30~40cm以上離し、画面を長時間凝視し続けないよう意識しましょう。画面の明るさや文字サイズを調整し、眩しさや読みにくさを感じない適切な設定にすることも大切です。特に緑内障で視野が欠けている方は、小さい文字だと見落としが生じやすいため、フォントサイズを大きくしたりコントラストを上げたりして見やすい工夫をしてください。
仕事で長時間パソコンを使用するので、眼の負担を軽減する方法を教えてください。
パソコンなどのVDT作業では瞬きが減るため、角膜が乾いてドライアイを起こしやすくなります。緑内障治療で使用する点眼薬の約半数は眼の乾燥感や充血などの副作用を伴うため、緑内障の患者さんはドライアイを合併しやすいことが知られています。画面を見る際は意識的に瞬きをするよう心がけ、エアコンの風が直接目に当たらないよう環境を整えましょう。必要に応じて、市販の人工涙液を点眼すると目の潤いを保てます。目が疲れてきたり乾燥を感じたりしたら、蒸しタオルで目元を温めて休ませるのも効果的です。また、長時間PC作業をする方は、1時間に1回は小休止を取りましょう。少なくとも1時間ごとに5~10分程度は画面から目を離し、休憩を入れることをおすすめします。休憩中は意識的に遠くの景色を眺めたり、目を閉じてリラックスしたりして、近くを凝視し続けた状態から目を解放するようにします。デスクワークでは、パソコン画面の高さも重要です。

理想はディスプレイの上端が目と同じかやや下の高さになる位置です。目線が少し下がることでまぶたが角膜を覆う範囲が増え、乾燥しにくくなります。照明の映り込みも眼精疲労の原因となるため、画面に外光や照明が直接映り込まない工夫も有効です。仕事で長時間使用せざるを得ない場合でも、以上のような環境調整と休憩の徹底でかなり目の負担は軽減できます。

緑内障治療中の注意点

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上記で取り上げたこと以外にもさまざまな質問をいただきます。本章では緑内障治療中の方からよくいただく質問、注意点について解説します。

緑内障の治療中に市販薬や処方薬を服用しても問題はありませんか?
必ず主治医に確認しましょう。緑内障、特に閉塞隅角緑内障の患者さんでは、使用を避けるべき薬剤があります。これは、一部の薬に含まれる成分が眼圧を急激に上昇させ、急性緑内障発作を引き起こす危険があるためです。代表的なものは瞳孔を広げる作用のある薬剤です。例えば、抗コリン作用の強い飲み薬(一部のかぜ薬や抗ヒスタミン薬など)が該当します。市販の総合感冒薬や胃腸薬にもこれらの成分を含むものがあるため、注意が必要です。
緑内障の治療中に気を付けるべきことを教えてください。
治療の基本は点眼の継続定期検査です。緑内障は慢性的な病気であり、一度失われた視野はもとに戻りません。そのため、進行を食い止めるには継続的な治療が何より重要です。処方された点眼薬は自己判断で中断せず、指示どおり毎日欠かさず点眼してください。 また、緑内障は自覚症状なく進行することが多いため、症状が安定しているからと自己判断で通院間隔を伸ばしたり中断したりするのは危険です。特に、眼圧が落ち着いているからといって点眼を自己中断することは厳禁です。目薬も中止すれば再び眼圧が上昇して、視野がさらに欠ける恐れがあります。治療効果の判定や新たな視野異常の有無をチェックするためにも、指示された間隔で定期検査を受け続けることが重要です。

まとめ

緑内障、まとめ

緑内障と診断されたからといって、過度に恐れる必要はありません。早期に発見され適切に治療を続ければ、緑内障は生涯にわたって視力や視野を維持できる病気です。診断直後は落ち込む方もおられますが、定期的に通院して治療を継続してください。仕事や普段の生活を無理に変える必要はなく、これまでどおりの生活を維持しましょう。本記事がそのような意識の変化の一助になれば幸いです。

参考文献

この記事の監修歯科医師
栗原 大智医師(眼科医)

栗原 大智医師(眼科医)

2017年、横浜市立大学医学部卒業。済生会横浜市南部病院にて初期研修修了。2019年、横浜市立大学眼科学教室に入局。日々の診察の傍らライターとしても活動しており、m3や日経メディカルなどでも連載中。「視界の質=Quality of vision(QOV)」を下げないため、診察はもちろん、SNSなどを通じて眼科関連の情報発信の重要性を感じ、日々情報発信にも努めている。 / 資格:日本眼科学会専門医

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