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硝子体手術後の保護メガネはいつまで?保護メガネの役割や着用期間、着用の注意点を解説

硝子体手術後の保護メガネはいつまで?保護メガネの役割や着用期間、着用の注意点を解説

硝子体手術は、目の奥にある硝子体という透明な組織を取り除き、網膜や硝子体の病気を治療するための手術です。とても繊細な処置であり、術後の目はとてもデリケートな状態になるため、保護メガネの着用がすすめられます。

外からの刺激や汚れを防ぐために必要とされるこの保護メガネですが、どれくらいの期間使えばよいのか、またどのように扱えばよいのか気になる方も多いでしょう。本記事では、保護メガネの役割や着用の目安、さらに使用中の注意点や困ったときの対処法について、わかりやすく解説します。

硝子体手術後に保護メガネとは

硝子体手術後に保護メガネとは ここでは、術後にどのような保護が必要なのか、保護メガネにはどのような役割があるのか、そして着用しない場合のリスクについて詳しく解説します。

硝子体手術後に保護メガネを着用するのはなぜですか?
手術した目を外からの刺激から守るためです。

硝子体手術後の目はとてもデリケートな状態になっています。例えばちりやホコリ、風などの影響で目が乾燥しやすくなったり、少しの衝撃で傷が開いたりするおそれがあります。保護メガネは、こうした外部からの刺激を防ぐバリアの役割を果たします。 また、術後は感染症のリスクも高いため、清潔に保つことも大切です。保護メガネは細菌や異物の侵入を防ぐためにも有効です。

保護メガネにはどのような役割がありますか?
保護メガネには大きく分けて3つの役割があります。

まず1つ目は、空気中のホコリや花粉、風などの刺激から目を守ることです。術後の目は乾燥しやすいため、風にさらされるだけでもダメージを受けることがあります。

2つ目は、無意識に手で目をこすってしまうのを防ぐことです。特にかゆみや違和感を感じやすい時期には、つい手が顔にいってしまうことがあるので注意が必要です。

3つ目は、就寝中に布団や枕で目をこすってしまうのを防ぐことです。寝ている間の動きは自分ではコントロールできないため、保護メガネを着けておくと、安心感が増します。

着用しないとどのようなリスクがあるか教えてください
保護メガネをしないと、目にバイ菌が入り、炎症を起こすことがあります。特に注意したいのが、眼内炎という感染症です。

これは目のなかに細菌が入り込むことで起こり、強い痛みや視力の低下などを引き起こすこともあります。重症化すると、視力が回復しなくなる可能性もあるため、軽視できません。

また、術後は目の表面や内部の組織が弱くなっており、うっかり目をこすってしまうことで傷口が開いたり、目のなかで出血してしまったりというケースもあります。

こうしたトラブルを防ぐためにも、医師がすすめる期間中はしっかりと保護メガネを着用することが大切です。

硝子体手術後の保護メガネはいつまで?

ここでは、保護メガネをいつまで使えばいいのか、寝るときや外出時はどうすべきか、自己判断で外すのはOKかについて、順を追って見ていきましょう。

保護メガネは、硝子体手術後いつまで着用する必要がありますか?
一般的には、術後およそ1週間から2週間のあいだは保護メガネの着用がすすめられています。目の状態が落ち着くまでのあいだは、風やほこり、ちょっとした接触による刺激を避けることがとても大切です。

また、手術の種類や目の状態によっては、さらに長く着用が必要になることもあります。自己判断でやめず、診察時に医師の確認を受けてから外すようにしましょう。

就寝時や外出時も着用するべきですか?
はい、就寝時も外出時も着用することをおすすめします。

昼間外に出るときにはほこりや風による刺激を防ぎ、夜寝るときには無意識に目をこすることを防ぐ役割があるからです。実際、白内障や硝子体手術を行う多くの眼科が、夜寝るときも保護メガネの装用をすすめています。

着用すべき時期が過ぎたら自己判断で外してもよいのか教えてください
自己判断で外すのはおすすめできません。

術後の傷の治り具合や炎症の有無には個人差があるため、医師が診察のうえで「外してよい」と判断するまでは使い続けましょう。

保護メガネを着用する際の注意点

保護メガネを着用する際の注意点 ここでは、硝子体手術後に保護メガネを使うときの注意点について説明します。装着時の姿勢や使い方、メガネの選び方やトラブル時の対処法など、事前に知っておきたいポイントを紹介します。

保護メガネを着用中に注意すべきことは何ですか?
まず大切なのは、保護メガネを正しく着けることです。

鼻や耳の位置にしっかりフィットさせ、すき間ができないようにしましょう。すき間があると、風やほこりが入りやすくなります。

また、外出時だけでなく、室内でもペットの毛や花粉、ハウスダストなどが目に入ることがあるため、医師に指示された期間中はできるだけ常時着けておくことが望ましいです。激しい運動やうつ伏せ寝など、メガネがずれるような行動は控えた方が安全です。

保護メガネの扱い方で注意すべきことがあれば教えてください
保護メガネは日常的に使うものなので、正しく扱うことが大切です。

まず、レンズ部分を手で直接さわらないようにしましょう。指紋や汚れがつくと見えづらくなり、目に余計な負担がかかります。汚れが気になるときは、専用のクリーナーややわらかい布でやさしく拭いてください。

また、使わないときに適当な場所に置いてしまうと、ホコリがついたり、ふとした拍子に壊れてしまうこともあります。収納ケースにこまめに入れて保管するのがおすすめです。

高温多湿の場所や直射日光の当たる場所に放置すると、フレームの変形やレンズの劣化につながることもあるため注意しましょう。

保護メガネが合わない場合はどうすればよいですか?
もし保護メガネがきつかったり、鼻や耳が痛くなったりする場合は、無理に我慢しないようにしましょう。

保護メガネにはサイズや形状にいくつか種類があります。合わないと感じたら、眼科に相談して違うタイプのものを紹介してもらうことをおすすめします。

市販のメガネのなかには、バンドで固定できるタイプや、顔のカーブに合わせてフィットするタイプなどもあります。また、痛みをやわらげるために、鼻あて部分にやわらかいカバーをつけるなどの工夫も可能です。長期間着けるものなので、快適に使えるものを選ぶことがとても大切です。

保護メガネが破損してしまった場合の対応方法を教えてください
保護メガネが割れたり、ひびが入ったりしてしまった場合は、すぐに使用を中止し、代わりのメガネを準備するようにしましょう。破損した状態で使い続けると、目の保護が不十分になるだけでなく、破片や変形した部分で目や顔を傷つけてしまうおそれもあります。

眼科で渡されたメガネであれば、まずはその病院に連絡して、交換や再発行が可能かどうかを確認してください。市販のものを使っている場合は、同じタイプを購入するか、より耐久性の高いモデルへの買い替えを検討しましょう。予備を用意しておくと、万が一のときにも慌てずに対応できます。

編集部まとめ

硝子体手術後の目はとてもデリケートな状態です。回復を促すためにも、保護メガネの着用は欠かせません。

とはいえ、普段使い慣れないメガネをかけ続けることは、身体だけでなく気持ちの面でも負担になることがあります。「いつまで着ければいいの?」「これで本当に合っているのかな?」と不安になることもあるでしょう。

そんなときこそ、医師の指示をしっかり確認し、わからないことは相談しながら、無理なく丁寧にケアを続けることが大切です。正しい使い方と心構えを知っていれば、保護メガネは不安を減らし、目の回復をサポートしてくれる心強い存在となりますよ。

参考文献

この記事の監修歯科医師
栗原 大智医師(眼科医)

栗原 大智医師(眼科医)

2017年、横浜市立大学医学部卒業。済生会横浜市南部病院にて初期研修修了。2019年、横浜市立大学眼科学教室に入局。日々の診察の傍らライターとしても活動しており、m3や日経メディカルなどでも連載中。「視界の質=Quality of vision(QOV)」を下げないため、診察はもちろん、SNSなどを通じて眼科関連の情報発信の重要性を感じ、日々情報発信にも努めている。 / 資格:日本眼科学会専門医

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