ものもらい(麦粒腫)は、まぶたの腫れや痛み・異物感などを生じる目の病気として広く知られており、症状が軽いうちに治療を行えば1~2週間で完治する病気です。
一方で、「ものもらいは放置しても大丈夫」といった間違った知識を持っている人もいるため、
- 治療が遅れて症状が悪化する
- 再発を繰り返す
- 関連する他の病気の発見が遅れる
などのケースも見受けられます。 そこで本記事ではものもらいの症状や原因、対処法や予防法について解説をします。
ものもらいについて正しい知識を身につけ、適切な治療を受けましょう。
ものもらい(麦粒腫)の症状や原因
- ものもらいの症状は?
- ものもらいの主な症状はまぶたの腫れと痛み、異物感です。
まぶたの一部が赤く腫れて痒みや痛み、異物感がでます。
症状が進むと赤みが増し、腫れも大きくなり痛みや異物感が強くなります。
更に症状が悪化すると膿が溜まって腫れている部分が破れたり、治療に時間がかかったりするので注意が必要です。
ものもらいの具体的な症状として次のようなものがあります。- 痒みがでる
- まぶたが赤く腫れる
- 目が充血する
- まばたきや指で押すと痛みがある
- 目に異物感がある
- 目やにがでる
- 膿が出る
- 原因について教えてください。
- ものもらいの原因は細菌感染です。 まぶたには、マイボーム腺(目の乾燥を防ぐため脂を出す腺)や汗を出す腺など小さな孔が多数存在します。
これらの孔が細菌感染によって炎症を起こすのがものもらいです。
黄色ブドウ球菌など私たちの髪や皮膚にいる常在菌が原因で発症します。
通常であれば問題のない細菌ですが疲労や寝不足、ストレスなどによる抵抗力の低下や不衛生な状態で目に触れるなどがきっかけで感染し症状を引き起こします。
- ものもらいは他の人にうつりますか?
- ものもらいは人にうつりません。ものもらいは私たちの身体に存在する常在菌による感染が原因であり、はやり目などのウイルス性のものとは違うので人にうつることはありません。
- ものもらいを放置するとどうなりますか?
- ものもらいは放置しても自然に治ることもあります。しかし放置することで症状が悪化し、目の腫れや痛みがひどくなる場合があります。 悪化することで治療期間が延び、治療費も高くなる可能性もあります。
できるだけ症状が軽いうちに眼科を受診し治療をしましょう。
特に「目の痛みが強い」「症状が治らない」「ものもらいを繰り返す」といった場合は早めに病院を受診しましょう。
ものもらい(麦粒腫)の対処法や治療方法
- 自分でできる対処法はありますか?
- 自分でできる対処として「目を清潔に保つ」「免疫力を低下させない」ことが重要です。
ものもらいは細菌の感染によって引き起こされます。
細菌を増殖させないために- 患部に手指で触れない
- 汚れたタオルなどで顔を拭かない
- コンタクトレンズの使用を避ける
- アイメイクは控える
などを行い、目を清潔に保ちましょう。
また、免疫力の低下がきっかけで細菌に感染する場合があります。
免疫力を低下させないためにも十分な睡眠や休養をとり、ストレスや疲れを溜めないようにしましょう。
- 市販の目薬を使用しても大丈夫ですか?
- 基本的に自分の判断で市販の目薬を使用するのはおすすめできません。 目の腫れや痛みがものもらいなのか他の病気なのかを自分で判断することは難しいです。
適切な治療ができなかった結果、症状が悪化し治療が長引く可能性があります。
目やまぶたの違和感を得たら早めに眼科を受診しましょう。
どうしても眼科を受診できず市販の目薬を使用する際は、抗菌剤が配合された目薬を使用しましょう。
ものもらいは細菌が感染することで発症する病気です。
抗菌作用がない目薬は効果がありません。
必ず抗菌剤が配合された目薬を使用しましょう。
- 眼科ではどのような検査が行われますか?
- 検査は細隙灯顕微鏡検査が行われます。さらに、眼底検査、眼圧検査が行われ、ほかの病気の有無も確認することもあります。
細隙灯顕微鏡検査では目に光をあてて、目の表面や前眼部(眼内の前方部分)に異常がないか確認する検査です。
この検査ではものもらいの状態だけでなく角膜や水晶体などの目の前方部分の状態を確認します。
眼底検査は眼底カメラを用いて眼底の血管や網膜、視神経などを調べる検査です。
こちらは目の奥の検査になり、網膜剥離や緑内障などの病気がないか確認できます。
眼圧検査は、目の表面に空気を吹き付けることで目の中の圧力を確認する検査です。
緑内障や網膜剥離などの病気の確認に使用されます。また適切な治療をするため、薬による眼圧低下の確認にも使われる検査です。
眼科ではこのような検査を行い、眼の状態や他の病気の有無を踏まえて診断や治療を行います。
- 眼科での治療方法について教えてください。
- ものもらいの治療は抗菌薬による治療と外科的治療の大きく2つです。 抗菌薬による治療は抗菌作用のある点眼や軟膏を使用し、症状が重い場合は内服薬を用いることがあります。
外科的治療は症状が重い場合に用いられ、腫れた部分を小さく切開し、膿を排出させます。
このような抗菌薬と外科的治療を用いて、ものもらいの治療が行われているのです。
ものもらい(麦粒腫)の予防法と完治までの期間
- ものもらいの予防法を教えてください。
- ものもらいの予防として効果的な方法を3つ紹介します。
1つ目は手洗いを徹底し、汚れた手で目に触れないことです。
ものもらいは手や指に付着している細菌が目に入ることで感染します。手洗いをしっかりを行い、汚れた手で目に触れないように注意しましょう。
特にコンタクトレンズを使用する方は、手洗いをしないままコンタクトレンズの付け外しをすると目に細菌が入ります。
コンタクトレンズを使用する前には必ず手洗いをし、清潔なタオルで拭くようにしましょう。
2つ目は免疫力を下げないことです。
ものもらいは私たちの身体にいる常在菌が原因です。
健康なときには目に細菌が触れても感染しませんが、疲れや寝不足、ストレスなどにより免疫機能が低下すると感染しやすくなります。
規則正しい生活や食事、睡眠時間を確保して免疫力を下げないように心がけましょう。
3つ目は目の周りを清潔に保つことです。
手洗い等をしていても目の周りが清潔でなければものもらいを起こしやすくなります。
特に目の際までアイメイクをする方やまつ毛のエクステンションをしている方は注意が必要です。
目の際までアイメイクをしているとマイボーム腺を塞いでしまい、ものもらいを起こしやすくなります。目の際までのアイメイクは避けるようにしましょう。
まつげのエクステンションもマイボーム腺を塞ぐことに加え、目を清潔に保つことが難しくなります。まつげのエクステンションをされている方は目やマイボーム腺の清潔を保つよう意識しましょう。
- ものもらいが完治するまでどのくらいかかりますか?
- ものもらいは早期に適切な治療を行えば1~2週間程度で完治します。
ただし、症状が悪化している場合は治療に時間がかかることがあります。
また、治療中は患部に触れないよう心がけましょう。
汚れた手で目に触れたり、強くこすったりすると炎症が悪化して治りづらくなります。
不健康な生活による免疫力低下や目の不清潔さも完治の妨げになります。
患部には極力触れず、アイメイクやコンタクトレンズの使用を控えて規則正しい生活を心がけましょう。
- 繰り返しものもらいができてしまうのはなぜですか?
- ものもらいが繰り返しできる場合は完治しておらず細菌が残っている可能性があります。
一見症状が治まったように見えても、マイボーム腺などの奥深くに細菌が残っており再発しているかもしれません。
また、ものもらいはストレスなどの免疫力の低下や他の病気なども密接に関わっており原因が多岐にわたります。
決して自己判断をせず、眼科を受診して指示に従い治療を行いましょう。
編集部まとめ
ものもらいは誰にでも発症し得る病気です。
私たちの身体にいる常在菌などが原因で目の腫れや痛み、異物感などの症状が出ます。
人に移ることはなく、早期に適切な治療を行えば1~2週間で完治します。
一方で放置しても症状が収まることがあるため、治療の必要はないと勘違いされやすい病気です。 自己判断で放置をすると
- 症状が悪化する
- 再発を繰り返す
- 他の重要な病気に気付くのが遅れる
などのリスクが生じます。 目に違和感がある場合は早めに眼科を受診して適切な治療を行いましょう。
参考文献