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硝子体手術の成功率はどのくらい?手術の流れ・費用についても解説

硝子体手術 成功率

硝子体手術は眼科手術のひとつです。硝子体は、水晶体の後方から網膜に達するまでの眼球の大部分を占めているため、この硝子体手術はさまざまな眼科疾患に対応しています。

かつては執刀できる医師も少なく難しい手術とされていたようですが、現在はどのように変わったのでしょうか。手術内容や成功率・費用・所要時間も気になります。

ここでは硝子体手術の流れや術後の注意点なども含めて、安心・安全に手術に向かえるよう詳しく説明します。

硝子体手術の適応疾患や成功率

手術

硝子体手術とはどのような手術ですか?
眼球の中には、硝子体という透明なゼリー状の物質があります。この硝子体が炎症や出血によって濁ったり、網膜を引っ張ったりすることで網膜剥離・硝子体混濁といった病気を引き起こします。
硝子体手術とは眼の中の硝子体と呼ばれる組織を取り除き、網膜硝子体の病気を治す手術です。手術は白目の部分に小さな穴を3ヵ所開け、そこから非常に細い器具を眼内に挿入して、硝子体の切除や網膜の治療を行います。
手術時間は症状により異なりますが、30分〜3時間程度です。また、硝子体手術と同時に白内障手術も行う場合があります。理由は白内障がない人でも、硝子体手術を行うことで水晶体に白内障が生じやすくなるためです。
どのような疾患に適応されるのですか?
硝子体手術を必要とする主な疾患は以下の通りです。
  • 網膜剥離:視力を感じる重要な部分(網膜)が、剥がれてしまう病気です。放置してしまうと失明する恐れがあるので注意が必要です。
  • 糖尿病網膜症:糖尿病によって、眼の中の網膜が障害を受けてしまい視力が低下する病気です。
  • 黄斑前膜:視力を感じる大事な部分(黄斑)に膜が張ってしまい、膜の収縮で視力の低下などをきたす病気です。
  • 黄斑円孔:網膜の中心部(黄斑)に穴が開き、視野の中央が見えなくなってしまう病気です。
  • 硝子体出血:何らかの原因により網膜の血管が切れて出血すると、眼球の内側(硝子体)に出血が溜まってしまい、視力障害をきたすことがあります。軽度の出血の場合は経過観察で血液が吸収されるのを待つこともありますが、出血量が多い場合は手術が必要です。
  • 増殖性硝子体網膜症:糖尿病網膜症や網膜剥離の放置・網膜剥離の不適切な手術により発症します。

このほかにも、網膜静脈閉塞症・ぶどう膜炎・眼内炎などが原因で硝子体出血・硝子体混濁・網膜剥離・黄斑浮腫が起きてしまいます。この場合にも硝子体手術が必要です。

硝子体手術の難易度について教えてください。
かつての硝子体手術は、眼球に大きな創口を作りながら行われ、身体への負担が大きいものだったといいます。1970 年代では、使用される器械の直径は2.3mmと大きく、合併症を伴うことも多い危険な手術とされていました。そのため高度な技術が必要とされ、限られた医師と医療施設でしか手術ができなかったようです。
しかし徐々に手術器械は進歩し、ここ数年で小口径は0.35mmという細さまで小型化したのです。硝子体切除機器・照明装置・顕微鏡装置などの進歩によって、硝子体手術は完成されたものになりました。創口が小さくなり器械の性能が大きく改良されたことで、合併症の減少や手術時間・入院期間の短縮など、さまざまな利点が生まれたのです。
このような手術器械の発達や手術技術の進歩により、現在では安全に手術ができるようになりました。この15年ほどで硝子体手術は一般的なものとなっています。
とはいえ、眼の硝子体と呼ばれる組織を除去するものです。イメージとしてはガムをティッシュペーパーからはがすようなもので、眼科手術の中では非常に繊細で難しい手術といわれています。
硝子体手術の成功率はどのくらいですか?
裂孔原性網膜剥離に対する硝子体手術の成功率は90%といわれています。術後の経過や網膜剥離の重症度にもよりますが、1回の手術の成功率は約90%といわれ、残りの10%は再手術が必要です。
手術後の視力回復ですが、初めから黄斑が剥がれていなかった場合は、手術前と同じ程度に回復できる場合もあります。しかし、もともと黄斑が剥がれてしまっていた場合は、もとの視力に戻るのは難しいでしょう。
デリケートな目の手術の中でも、特に硝子体手術は、執刀する医師の知識・経験・技量が重要になります。手術実績・技術を持った医師がいることを確認してから受診するようにしましょう。

硝子体手術の流れや費用相場

費用

硝子体手術の流れについて教えてください。
硝子体手術は、どのような手順で行われるのでしょうか。手術の流れは以下の通りです。
  1. 眼の消毒をした後、眼の下の部分に麻酔注射をします。(ほとんどの硝子体手術は局所麻酔で行います)
  2. 白目の部分に極小の穴を3つ開けます。3つ開ける理由は、眼内の中を照らす照明を入れる・硝子体切除用のカッターやレーザーを入れる・眼球の形を保つための灌流(かんりゅう)液を流すためです。
  3. 眼内の硝子体を、濁りや出血とともに切除します。
  4. 網膜の前に薄い膜が張っている場合は、その膜をはがして切り取ります。必要に応じて、眼内にレーザー光凝固治療などの処置を行います。
  5. 眼内に、硝子体を切除した分量だけ水・空気・ガス・シリコンオイルのいずれかを置き換えます。網膜剥離や黄斑円孔などの疾患は、灌流液をガスに入れ換えて手術を終えます。

入院期間は疾患により異なり、数日で退院できる人もいれば、2週間以上かかる場合もあります。軽症の場合には、日帰り手術も可能です。疾患によって手術の所要時間や入院期間は異なるため、事前に担当の医師から詳しい説明を受けておきましょう。

硝子体手術は傷跡が残りますか?
手術によって目の表面には傷が残ってしまいますが、しばらくすると傷は目立たなくなります。また、充血しやすくなる・ゴロゴロした異物感が残る可能性もあります。
もし手術後にそのような異常を感じたら、直ちに手術を受けた医療機関を受診しましょう。
硝子体手術は保険が適用されますか?
硝子体手術は保険適用です。手術の内容や疾患・症状により手術費用は前後しますが、3割負担の方だと約5万〜18万円程度(片眼)の自己負担で済みます。
また、限度額適用認定証と健康保険証・高齢受給者証の提示で、通院・入院ともに自己負担額を軽減できる場合があります。
硝子体手術の費用相場を教えてください。
医療機関によって差はありますが、一般的な硝子体手術の費用相場は以下の通りです。
硝子体手術
  • 1割負担:4~5万円
  • 2割負担:8~9万円
  • 3割負担:12~13万円

硝子体手術+白内障手術

  • 1割負担:5~6万円
  • 2割負担:10~11万円
  • 3割負担:15~16万円

実際には手術料のほかにも、薬剤費・麻酔料などが加わるため、詳しくは眼科に相談してみてください。

硝子体手術の前日や手術後の注意点

目薬

硝子体手術前日に行うべきことを教えてください。
より安全に手術を行うために、数日前から抗生物質の点眼薬を処方されます。忘れないように点眼してください。
また手術後は、目に水が入らないように入浴に規制がかかります。前日は入浴・洗髪をきちんと済ませておきましょう。
硝子体手術後の生活における注意点を教えてください。
出血するリスクを避けるために手術後は目をこすったり、押さえたりしないようにしましょう。翌日から点眼を開始しますが、これは手術後に起きる可能性のある炎症や感染症を予防するためのものです。医師の指示通り、忘れずに点眼してください。
重篤な感染症のリスクが高いのは、手術後3日間くらいです。したがって、この期間は点眼薬以外の水分が目に入らないよう注意が必要です。
洗顔は固く絞ったタオルで軽く拭く程度にして、シャワー・入浴は首から下のみにします。また、汗が額から目の中に入らないように気をつけましょう。1週間後には洗髪・洗顔もできるようになります。1ヵ月が過ぎて、経過に問題がなければ点眼を終了し、日常生活に制限がなくなります。
手術中にガスを注入した場合は注意が必要です。うつぶせや横向きなど特殊な体位が必要になります。仰向けの体位で寝ると、空気やガスが水晶体に長時間触れてしまうため白内障を招いてしまうのです。
したがって術後数日間は、就寝時にはうつぶせの姿勢をとらなくてはなりません。ガスの比重の軽さを利用して網膜をもとの位置に戻し、密着させる手助けをするため、必要なことなのです。
また手術中に注入された水・空気・ガスは、次第に眼の中で作られる液体に置き換わります。眼内に吸収される期間は、空気が約10日でガスの場合は20~40日程度です。シリコンオイルは眼内で自然吸収されないので、3~6ヵ月後に除去のために手術が必要となります。

編集部まとめ

本を読む女性

昔にくらべて手術の器械は進歩し、執刀できる医師の数も増えたとはいえ、難しい手術であることに変わりはありません。

非常にデリケートな手術であるため、術後の過ごし方などに注意が必要なこともわかりました。

特に網膜剥離や黄斑円孔などの疾患で眼内にガスを注入した場合は、術後数日間うつむき姿勢でいなくてはなりません。 しかし手術することすら叶わなかった時代を考えると、めざましい技術の進歩に感謝すべきなのでしょう。そのおかげで感染症は減り、手術の成功率も高くなったのです。

もし少しでも不安な点がある場合は、事前に担当の医師からしっかり話を聞いておけば、安心して手術を受けられるでしょう。

参考文献

この記事の監修歯科医師
柳 靖雄医師(横浜市大 視覚再生外科学客員教授 お花茶屋眼科院長)

柳 靖雄医師(横浜市大 視覚再生外科学客員教授 お花茶屋眼科院長)

東京大学医学部卒業(1995年 MD)/ 東京大学大学院修了(医学博士 2001年 PhD) / 東京大学医学部眼科学教室講師(2012-2015年) / デューク・シンガポール国立大学医学部准教授(2016年-2020年)/ 旭川医科大学眼科学教室教授(2018年-2020年) / 横浜市立大学 視覚再生外科学 客員教授(2020年-現在) / 専門は黄斑疾患。シンガポールをはじめとした国際的な活動に加え、都内のお花茶 屋眼科での勤務やDeepEyeVision株式会社の取締役を務めるなど、マルチに活躍し ています。また、基礎医学の学術的バックグラウンドを持ち、医療経済研究、創薬、国際共同臨床研究などを行っています。

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