硝子体注射は、網膜疾患の治療に革命をもたらした医療技術です。多くの患者さんが気になるのは硝子体注射の適用や費用でしょう。
本記事では、主に抗VEGF薬の硝子体注射や費用について以下の点を中心にご紹介します!
- 硝子体注射の概要
- 硝子体注射の費用
- 硝子体注射の注意点
硝子体注射の費用について理解するためにもご参考いただけると幸いです。 ぜひ最後までお読みください。
抗VEGF薬の硝子体注射とは
- 抗VEGF薬の硝子体注射とはどのような治療法ですか?
- 硝子体注射とは、眼球内の硝子体に抗VEGF薬などの薬剤を直接注射する治療法です。硝子体は眼球内の透明なゼリー状の組織で、光を屈折させる役割を担います。抗VEGF薬は、血管内皮増殖因子(VEGF)の働きを抑制し、新生血管の増殖や成長を抑えます。治療は、まず点眼薬で消毒と麻酔を行い、その後、白目部分から針を刺して抗VEGF薬を硝子体内に注射します。注射後は安静にし、異常がなければ帰宅が可能とされています。治療は定期的に行われ、初期は毎月の注射が必要な場合もあります。
- 抗VEGF薬の硝子体注射の適応について教えてください
- 抗VEGF薬の硝子体注射は、以下の疾患に適応されます。
- 加齢黄斑変性症:網膜の中心に新生血管が生じて視力低下や出血を引き起こす疾患
- 糖尿病黄斑浮腫:糖尿病の進行によって網膜の血管が閉塞し、視力低下を招く疾患
- 網膜静脈閉塞症:高血圧や動脈硬化によって網膜の静脈が詰まり、出血やむくみを伴う疾患
- 病的近視による脈絡膜新生血管:極端な近視の進行によって眼底に新生血管が生じる状態であり、視力低下や色覚異常が発生する疾患
- 血管新生緑内障:眼内の血流が滞り新生血管が増殖して眼圧が上がる疾患
以上のように、抗VEGF薬の硝子体注射は主に網膜や眼底に新生血管が生じる疾患に対して効果的とされている治療法です。
- 抗VEGF薬の硝子体注射の流れを教えてください
- 治療当日には、視力検査と眼圧検査を行い、瞳孔を広げる点眼薬を使用した後、白目の部分に抗VEGF薬を注射します。注射は極細の針を使用するため、痛みを感じることはほとんどないといわれています。注射後は少し休憩を取ってから帰宅しますが、その日は安静にし、入浴や洗顔を避ける必要があります。翌日には状態を確認するため再度受診し、その後の治療計画を立てます。最初の3ヵ月間は毎月1回の注射を行い、その後は2〜4ヵ月に1回の頻度で治療を継続します。なお、治療当日は車の運転を避け、公共交通機関やご家族の送迎を利用してください。
- 抗VEGF薬の硝子体注射にはどのような種類がありますか?
- 抗VEGF薬の硝子体注射には、主に4種類の薬剤が使用されています。ルセンティス、アイリーア、ベオビュ、バビースモの4つが現在日本で認可されている硝子体注射用薬剤です。薬剤には、それぞれ異なる特性と適応症を持っています。ルセンティスは、新生血管の成長を抑制するため、加齢黄斑変性症や病的近視に伴う脈絡膜新生血管の治療に使用されます。
アイリーアは、加齢黄斑変性症や糖尿病網膜症、網膜静脈閉塞症による黄斑浮腫などに効果が期待できます。
ベオビュは、視力低下を引き起こす黄斑浮腫の改善に役立ちます。
バビースモは、加齢黄斑変性や糖尿病黄斑浮腫、網膜静脈閉塞症による黄斑浮腫に効果が期待できます。
これらの薬剤は、抗VEGF薬としてVEGFの働きを抑え、異常な血管の増殖を防ぐことで視力の維持や改善を目指します。治療は一度で完了することは少なく、定期的な注射と経過観察が必要となります。
【抗VEGF薬】硝子体注射の費用
- 抗VEGF薬の硝子体注射を受けるにはいくらかかりますか?
- 抗VEGF薬の硝子体注射を受けるには、費用相場は薬剤や治療の頻度によって異なります。ルセンティスを使用する場合、3割負担の方で約46,000円、1割負担の方で約16,000円となります。
アイリーアを使用する場合、3割負担の方で約51,000円、1割負担の方で約14,000円となります。
ベオビュを使用する場合、3割負担の方で約48,000円、1割負担の方で約16,000円となります。
バビースモを使用する場合、3割負担の方で約50,000円、1割負担の方で約15,000円となります。
これらの金額には、診察費用や検査費用も含まれることが多いようです。健康保険が適用されるため、患者さんの負担は保険の負担割合によって変わります。
高額療養費制度の利用によって、一定額を超える治療費は軽減される可能性もあります。詳細は、各クリニックや加入している保険組合に問い合わせてください。
- 抗VEGF薬の硝子体注射は高額医療精度の対象ですか?
- 硝子体注射は、高額療養費制度の対象です。抗VEGF薬を用いた硝子体注射は費用が高額になりやすいため、高額療養費制度の適用により、患者さんの経済的負担が軽減されます。この制度は、医療費が高額になった場合に、一定の自己負担限度額を超えた分の費用が払い戻される仕組みです。具体的な自己負担限度額は、年齢や所得によって異なります。また、制度を利用するためには、所定の申請手続きが必要です。詳細な情報や手続き方法は、厚生労働省のホームページで確認できます。制度の適用により、適切な治療を受けるための経済的な負担を軽減できるでしょう。
【抗VEGF薬】硝子体注射の注意点
- 抗VEGF薬の硝子体注射は痛いですか?
- 抗VEGF薬の硝子体注射は、眼内に直接薬剤を注入する治療法ですが、痛みはほとんど感じません。治療前に点眼麻酔を行うため、注射の際の痛みは軽減されます。注射時には、針が入る感覚を感じることがありますが、大きな痛みを伴うことは少ないです。注射の際、針は見えないように配慮され、麻酔がしっかり効いているため、患者さんの多くは「思ったより痛くなかった」と言われる方が多いようです。また、治療後の経過観察も行われ、必要に応じて追加の治療が実施されることもあります。 初めての注射に対する不安はあるかもしれませんが、適切な麻酔と医師の技術によって、痛みを極力抑えることが可能になるでしょう。
- 抗VEGF薬の硝子体注射に合併症はありますか?
- 抗VEGF薬の硝子体注射にはいくつかの合併症のリスクがあります。主な合併症は、眼内炎、眼圧上昇、白内障、網膜裂孔・網膜剥離、脳心血管系疾患の増悪が挙げられます。眼内炎は感染症であり、適切な処置が遅れると視力障害や失明に至る可能性があります。眼圧上昇は注射液が眼内に充満するために一過性に発生することがあります。
白内障は注射の針が水晶体に触れることで急激に進行することがあります。また、網膜裂孔や網膜剥離は、注射の針が網膜に当たることで発生することがあります。 さらに、抗VEGF薬の全身的な影響として、脳梗塞や心筋梗塞のリスクが増加する可能性があります。これらの合併症は稀ですが、注射後の経過観察や適切な処置が重要です。
- 抗VEGF薬の硝子体注射を受ける際に気をつけることはありますか?
- 抗VEGF薬の硝子体注射を受ける際にはいくつかの注意点があります。まず、治療前後には抗菌点眼薬を使用する必要があります。
注射の前後数日間は、感染症のリスクを避けるために、目の清潔を保ち、タオルや手などで目を触れないようにしましょう。注射当日は入浴や洗顔は控え、翌日からは洗顔や洗髪が可能になります。
また、注射当日はアルコール摂取を避け、軽い運動やデスクワークは翌日から可能とされています。激しい運動やアイメイクは3日間控えてください。
注射後、異物感や目の赤みが生じることがありますが、数日で治まります。注意点を守ることで、治療の効果を引き出し、合併症のリスクを低減できるでしょう。医師の指示に従い、適切なケアを行うことが重要です。
編集部まとめ
ここまで抗VEGF薬の硝子体注射や費用についてお伝えしてきました。
抗VEGF薬の硝子体注射の要点をまとめると以下のとおりです。
- 抗VEGF薬の硝子体注射とは眼球内の硝子体に薬剤を直接注射する治療法で、加齢黄斑変性症、糖尿病黄斑浮腫、網膜静脈閉塞症、病的近視による脈絡膜新生血管、血管新生緑内障などが適用
- 抗VEGF薬の硝子体注射の費用は薬剤や治療の頻度によって異なり、1万~6万円程度
- 抗VEGF薬の硝子体注射の合併症には眼内炎、眼圧上昇、白内障、網膜裂孔・網膜剥離、脳心血管系疾患の増悪などがあるため、経過観察や適切な処置が重要
抗VEGF薬の硝子体注射の費用は患者さんの健康と将来を考えるうえで重要な投資です。この記事を通じて、費用の不安を取り除き、よりよい治療選択ができることを願っています。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。