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ICLは何年持つ?レンズの寿命や交換が必要なケースを解説

ICLは何年持つ?レンズの寿命や交換が必要なケースを解説

長期間利用できることから、ICLは一生ものとも言われますが、実際の耐用年数や長期使用の安全性について気になる方もいるでしょう。快適な裸眼生活を維持するためには、レンズの寿命や交換が必要になるケース、経年劣化のリスクなどを理解しておくことが大切です。今回は、ICLの耐久性をテーマに、レンズがどれくらい持つのか、長期使用に不安がないかを詳しく解説します。ICLを検討している方は、ぜひ参考にしてください。

ICLの基本知識

ICLの基本知識 ICL(Implantable Collamer Lens)手術は、近視や遠視、乱視を矯正するための眼内レンズ埋め込み手術です。レーシックが角膜を削って視力を矯正するのに対し、ICLは眼内にレンズを挿入して視力を矯正します。近年は知名度も上がり、症例数も増えてきました。ここでは、ICLの基本的な特徴や、レーシックとの違いについて解説します。

ICLとはどのような近視治療ですか?
ICL手術では、専用のレンズを眼内に埋め込むことで視力を矯正します。このレンズは取り出しが可能であり、角膜そのものを削ったり形状を変更したりすることはありません。そのため、視力矯正後に見え方に違和感がある場合や、将来的に白内障手術を受ける必要が生じた場合でも対応しやすいのが特徴です。

中等度から重度の近視に対して効果的で、特に角膜が薄くレーシックが適さない人にも選択肢となります。

レーシックとの違いについて教えてください
レーシック手術は角膜の形状を永久的に変更するのに対し、ICL手術は眼内にレンズを埋め込むため、取り外しが可能です。レーシックと比べてドライアイのリスクが少ないというメリットがあります。

レーシック手術は角膜を削って屈折力を調整し、視力を矯正します。一度削った角膜はもとに戻せないため、術後に見え方に違和感があっても修正が難しいという特徴があります。また、角膜を削ることで神経が傷つきやすく、ドライアイのリスクが高まることも問題視されています。

一方、ICL手術では角膜を削らず、目のなかにレンズを入れるため、角膜形状そのものを変えることはありません。レンズは取り外しが可能であり、見え方に不満が生じた場合でも対応が容易です。さらに、角膜に直接手を加えないため、レーシックと比べてドライアイになりにくいとされています。もともとドライアイ傾向のある方や、長時間パソコン作業をする方にもおすすめです。

ICLの耐久性

ICL手術で使われるレンズは、高い耐久性を持っており、基本的に交換が不要とされています。ここでは、ICLのレンズがどれくらい持つのか、劣化することがあるのか、素材に関する特徴などを解説します。

ICLで使うレンズは何年持ちますか?
ICLのレンズは人間の寿命よりも長く、半永久的に持つとされています。白内障手術を行う際には取り出すため、40~50年使っていても問題はありません。

ICL手術で使われるレンズは、長期間にわたって安定して使用できるように設計されています。そのため、一度手術を受ければ、レンズ自体が劣化することなく長く持続します。仮に数十年経過しても、レンズが劣化して交換が必要になるケースはほとんどありません。

ICLのレンズは劣化することはありますか?
ICLのレンズは長期間使用しても劣化や変質が起こりにくいのが特徴です。まるで自分の目の一部のように、半永久的に効果が持続します。その秘密は、特殊な素材にあります。
ICLはどのような素材で造られているのか教えてください
ICLのレンズには、コラマーという素材が使われています。コラマーはHEMA(ハイドロキシエチルメタクリレート)とコラーゲンを合わせた親水性のやわらかい素材で、生体適合性がとても高いです。コラーゲンが含まれていることで、目の組織との親和性が高く、拒絶反応を引き起こしにくい点も大きなメリットです。

ICLのレンズ交換が必要になるケース

ICLのレンズ交換が必要になるケース ICL手術で使われるレンズは基本的に半永久的に持つとされていますが、状況によっては交換が必要になるケースもあります。ここでは、具体的なケースやリスクについて解説します。

どのような場合にICLのレンズ交換が必要ですか?
大きく分けて3つのケースがあります。

■新しい見え方に慣れないとき
ICL手術後に視力が改善したものの、見え方に違和感を覚えるケースがあります。特に過矯正やハロー・グレア現象が起きると、日常生活に支障が出ることがあります。

過矯正とは、度数が強すぎて視力が過剰に矯正されてしまう状態です。これにより、眼精疲労が起こりやすくなり、頭痛や肩こり、吐き気などを引き起こすことがあります。

また、ハロー・グレア現象は、夜間に光がにじんで見える症状で、街灯や対向車のライトがまぶしく感じられます。特に運転時に支障が出るケースがあり、改善が見込めない場合にはレンズの交換が検討されることがあります。

■視力が変化したとき
ICL手術で挿入したレンズの度数は、手術時点の視力に合わせて決められています。しかし、年齢や体調変化によって視力が変化することがあり、その際には矯正効果が不十分になる場合があります。

特に近視や乱視が進行して視力が低下した場合、矯正効果が薄れてしまい、日常生活で不便さを感じることがあります。その場合、レンズを取り出して新しい度数に合わせたレンズに交換します。

■眼の病気になったとき
ICL手術後に眼の病気が発症することもあります。例えば、白内障や緑内障が進行した場合には、眼内レンズを取り外して治療を行う必要があります。

また、感染症や眼内炎などが発生した場合にも、レンズが原因で炎症が続くようであれば取り外しが検討されます。

視力が変わった場合はICLのレンズ交換ができますか?
ICL手術後に視力や度数が大きく変化した場合は、レンズを交換することが可能です。ICL手術後の視力変化は少ないとされていますが、年齢や生活習慣の影響で視力が低下することがあります。
ICLの手術後に白内障になった場合はどうすればいいですか?
白内障や緑内障などの眼の病気が発症した場合、眼内レンズを取り外して治療を行う必要があります。レーシックと異なり、角膜を削っていないため、ICLではレンズを取り外せば従来の治療ができるのがメリットのひとつです。
ICLのレンズを交換する手術のリスクを教えてください
特に感染症や合併症に注意が必要です。

■ 術後の感染症
ICL交換手術では、傷口から細菌が侵入し眼内炎を引き起こすリスクがあります。術後は、清潔を保ち、眼をこすらないように注意する必要があります。

■ ハロー・グレア
交換手術後も、ハロー・グレア現象が続くことがあります。光がにじんで見えるため、夜間運転には注意が必要です。

■ レンズの度数やサイズが合わない
新しいレンズの度数やサイズが合わない場合、再手術が必要になることもあります。

■ その他の合併症
稀ですが、急性角膜浮腫や眼内炎、結膜炎などの合併症が発生することがあります。眼はとてもデリケートな器官であり、少しの異常が大きなトラブルにつながることがあります。リスクを理解したうえで、信頼できる医療機関で手術を受けることが大切です。

編集部まとめ

ICL手術で使われるレンズは、基本的に半永久的に使用できる高い耐久性を持っています。素材には生体適合性が高いコラマーが使われており、眼内での劣化や変質がほとんど起こらないため、人の寿命より長く持つとされています。 ただし、視力の変化や白内障などの眼の病気が発症した場合には、レンズの取り外しや交換が必要になるケースもあります。交換手術には感染症や合併症のリスクが伴いますし、目への負担も大きくなるので、信頼できる医療機関と連携することが大切です。

ICLはレーシックにはないメリットを多く持つ視力矯正手術として、認知度がますますあがっています。眼鏡やコンタクトのない生活に憧れる方は、一度検討してみるとよいのではないでしょうか。

参考文献

この記事の監修歯科医師
柳 靖雄医師(横浜市大 視覚再生外科学客員教授 お花茶屋眼科院長)

柳 靖雄医師(横浜市大 視覚再生外科学客員教授 お花茶屋眼科院長)

東京大学医学部卒業(1995年 MD)/ 東京大学大学院修了(医学博士 2001年 PhD) / 東京大学医学部眼科学教室講師(2012-2015年) / デューク・シンガポール国立大学医学部准教授(2016年-2020年)/ 旭川医科大学眼科学教室教授(2018年-2020年) / 横浜市立大学 視覚再生外科学 客員教授(2020年-現在) / 専門は黄斑疾患。シンガポールをはじめとした国際的な活動に加え、都内のお花茶 屋眼科での勤務やDeepEyeVision株式会社の取締役を務めるなど、マルチに活躍し ています。また、基礎医学の学術的バックグラウンドを持ち、医療経済研究、創薬、国際共同臨床研究などを行っています。

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