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緑内障の禁忌薬とは?使ってはいけない薬の種類や危険性について解説

緑内障の禁忌薬とは?使ってはいけない薬の種類や危険性について解説

緑内障は中途失明の原因の上位を占めており、40歳以上の日本人のうち、約5%の人が患っている病気です。一方、緑内障の禁忌薬とされている薬剤は意外にもたくさんあります。ですが、これらの薬剤が、緑内障治療中の方全員に使用できないというわけではありません。眼科を受診している方であれば、例外はありますが、どの薬剤を使用してもほとんど問題はありません。緑内障の禁忌薬や使用してはいけない薬について、詳しくご説明します。

緑内障の禁忌薬について

緑内障の禁忌薬について 緑内障の禁忌薬とはどのような薬であり、具体的にはどのような薬や成分が当てはまるのでしょうか。知らずに服用して後悔することのないよう、詳しくご説明します。

一般的に禁忌薬とは、どういった薬のことを差しますか?
たとえば、緑内障を治療中の方にとって、摂取してはならない成分が含まれている薬のことを緑内障の禁忌薬と言います。多くの禁忌薬がありますので、緑内障のほかに持病がある方は、必ず担当医へ申し出ましょう。
緑内障の禁忌薬とはどのような薬や成分が対象になりますか?
緑内障の禁忌薬とは、抗コリン作用と呼ばれる、副交感神経を刺激するアセチルコリンの抑制作用を持つ薬が対象となります。抗コリン作用を持つ薬剤は
  • 睡眠薬
  • 抗不安薬、抗うつ薬
  • 抗パーキンソン薬
  • 鎮痛剤
  • 抗ヒスタミン薬

など多岐にわたります。知らずに服用してしまわないよう、注意することが必要です。

緑内障の禁忌薬のリスクについて

緑内障の禁忌薬を知っていても、うっかり服用してしまうこともあるかもしれません。緑内障の禁忌薬を服用してしまった場合、どのような危険性があり、どうしたら良いのでしょうか。ご説明します。

禁忌薬を使ってしまうとどのようなリスクがありますか
緑内障の禁忌薬に気を付ける必要があるのは、緑内障患者の約12%の方だと言われています。禁忌薬には瞳孔を広げる散瞳効果があることから、緑内障の種類によっては、その病状が悪化してしまうというリスクがあります。
緑内障の種類のなかで、禁忌薬の影響を受けてしまう種類は何ですか?
禁忌薬の影響を受けてしまう緑内障は、『閉塞隅角緑内障』と呼ばれる種類のものです。 ちなみに、緑内障の種類は下記のとおりで、それぞれの罹病率は
  • 開放隅角緑内障(3.9%)
  • 閉塞隅角緑内障(0.6%)
  • 続発緑内障(0.5%)
  • 発達緑内障(0.0%)

となっています。

もし緑内障の禁忌薬を投与してしまったら、どうすれば良いですか?
緑内障の禁忌薬を服用した後、眼圧の上昇を疑うような症状がある場合、眼科を受診しましょう。 眼圧上昇の疑いがある症状とは、
  • 目がかすむ
  • 頭痛
  • 眼の痛み
  • 眼の充血
  • 吐き気、嘔吐

などです。これらは急性閉塞隅角緑内障(急性緑内障発作)の症状であり、放置してしまうと失明する危険性もあります。できるだけ速やかに、眼科を受診するようにしてください。

禁忌薬を使ってはいけない閉塞隅角緑内障とは

すべての緑内障で禁忌薬を服用してはいけないわけではなく、注意が必要であるのは閉塞隅角緑内障だということがわかりました。では、閉塞隅角緑内障とは、どのような症状があり、どのような治療をするのでしょうか。閉塞隅角緑内障について、詳しくご説明します。

閉塞隅角緑内障の症状について教えてください。
閉塞隅角緑内障は、急激に眼圧が上昇してしまうことのある緑内障です。一日のうちに急激に眼圧が上昇し、眼球の腫れ、吐き気、嘔吐、眼の痛みなどの症状が現れることがあります。失明する危険性を避けるためにも、できるだけ速やかに治療を受けることが必要です。
閉塞隅角緑内障の原因について教えてください。
閉塞隅角緑内障は、隅角が狭くなったり閉じてしまったりして、房水が流出できなくなることが原因で起こります。 房水とは眼球内に循環している液体のことです。眼球に圧力をかけることで球形を保つ働きをしており、房水の量が一定に保たれることで、眼圧を一定の範囲内に保つことができます。 そのほかにも、水晶体が厚い、前方に移動しているなどの水晶体によるものや、加齢によるもの、散瞳誘因(主に眼科検査薬で用いる散瞳薬)によるもの、などの原因が挙げられます。 急性閉塞隅角緑内障(急性緑内障発作)の原因としては、緑内障の禁忌薬の使用やストレス、過労や不眠などが挙げられます。また、目を長時間酷使することで発作の危険性が高まるとも言われていますので、意識して休息をとるよう心がけましょう。
閉塞隅角緑内障の治療法について教えてください。
緑内障は眼圧が上昇している状態ですので、眼圧を下げる目的で治療をしていきます。緑内障の治療方法には、薬物療法、レーザー治療、手術の3つの種類があります。 閉塞隅角緑内障の治療では薬物療法を行うこともありますが、期待どおりの効果が得られないことも少なくありません。そのため閉塞隅角緑内障の治療においては、レーザー治療や手術を行う例が多いようです。レーザー虹彩切開術や虹彩切除術、水晶体摘出術などの治療をします。

閉塞隅角緑内障にも使える点眼薬について

閉塞隅角緑内障にも使える点眼薬について 閉塞隅角緑内障で使用されている点眼薬とは、どのようなものでしょうか。また、閉塞隅角緑内障の方でも、花粉症や目のかゆみを和らげる目的で、市販の目薬を使用したいこともあるでしょう。その場合、どのような目薬を選ぶと良いのかについてご説明します。

閉塞隅角緑内障にも使える点眼薬にはどのような種類がありますか?
閉塞隅角緑内障の治療では、眼圧を下げる点眼薬を使用します。種類としては、
  • 縮瞳薬
  • 炭酸脱水酵素阻害薬
  • β遮断薬
  • プロスタグランジン関連薬

などがあります。 また、閉塞隅角緑内障の方で、市販の目薬を使用したい場合にも使えるものが多いですが薬剤師さんに確認しましょう。

閉塞隅角緑内障の方が、市販の目薬を使うときの注意点はありますか?
閉塞隅角緑内障の方が市販の目薬を選ぶときの注意点は、 ・ピント調節機能改善成分、血管収縮成分、目のかすみを改善する成分が含まれていない ・症状に合っている成分を配合している ・防腐剤が入っていない 上記のような点を確認して目薬を選ぶと良いでしょう。 また、使用する前に、かかりつけ医に確認すると安心です。

編集部まとめ

いかがでしたでしょうか。緑内障の禁忌薬、禁忌薬の影響を受ける閉塞隅角緑内障について、詳しくご説明しました。日本国内に約400万人の緑内障患者がいるとされるなか、閉塞隅角緑内障の方は、緑内障全体の1割未満ではあります。しかし閉塞隅角緑内障の方が緑内障の禁忌薬を使用すると、急性緑内障発作を引き起こす危険があるのです。気付かないうちに発症している場合もありますので、定期的に眼科で検査を受けるようにしましょう。

参考文献

この記事の監修歯科医師
柳 靖雄医師(横浜市大 視覚再生外科学客員教授 お花茶屋眼科院長)

柳 靖雄医師(横浜市大 視覚再生外科学客員教授 お花茶屋眼科院長)

東京大学医学部卒業(1995年 MD)/ 東京大学大学院修了(医学博士 2001年 PhD) / 東京大学医学部眼科学教室講師(2012-2015年) / デューク・シンガポール国立大学医学部准教授(2016年-2020年)/ 旭川医科大学眼科学教室教授(2018年-2020年) / 横浜市立大学 視覚再生外科学 客員教授(2020年-現在) / 専門は黄斑疾患。シンガポールをはじめとした国際的な活動に加え、都内のお花茶 屋眼科での勤務やDeepEyeVision株式会社の取締役を務めるなど、マルチに活躍し ています。また、基礎医学の学術的バックグラウンドを持ち、医療経済研究、創薬、国際共同臨床研究などを行っています。

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