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白内障手術は先進医療から選定療養に|白内障手術について徹底解説

白内障手術は先進医療から選定療養に|白内障手術について徹底解説

白内障は、加齢とともに多くの人が経験する目の病気のひとつです。視界がぼやける、光がまぶしく感じるといった症状が現れ、日常生活に支障をきたすことも少なくありません。これまで白内障の治療には先進医療が適用されていましたが、2020年4月以降、その位置付けが変わりました。この記事では、白内障の基本知識から新しい治療法まで、徹底的に解説します。特に、手術における先進医療の変遷と、多焦点眼内レンズの選定療養について、詳しく紹介します。

白内障の基本知識

白内障は、主に加齢による水晶体の濁りが原因で視力が低下する病気です。視界がぼやける、物が二重に見える、光をまぶしく感じるなどの症状が特徴です。ここでは、白内障の基本から主な症状、原因までを詳しく解説します。

白内障とは

白内障とは、目のなかにある透明な水晶体が濁ってしまう病気です。水晶体は、カメラのレンズのように働き、目に入る光を集めて網膜に焦点を合わせる役割を果たしています。正常な水晶体は透明で、光をスムーズに通すことで鮮明な視界になります。しかし、白内障が進行すると、水晶体が濁って光をうまく通さなくなり、視界がぼやけたり、かすんだりするのです。白内障の進行は緩やかで、初期には気付きにくいですが、放置すると視力が大きく低下し、日常生活に支障をきたします。

白内障の主な症状

白内障の症状としては、さまざまな視覚障害が挙げられます。まず、視力が低下し、視界がぼやけたり、はっきり見えなくなったりすることで、読書やテレビ視聴、運転などの日常生活で困難を感じるようになります。特に光の加減によって視界がかすむため、明るい場所での活動が十分にできません。単眼性複視と呼ばれる、片目で見たときに物が二重に見える症状も現れます。 白内障が進行すると、色の見え方が変わり、全体的に色がくすんで見えます。夜間や暗い場所での視力が特に低下し、夜間の運転が困難になることもあります。これらの症状は徐々に進行するため、初期段階では気付きにくいですが、症状が進むにつれて日常生活に影響を与えるようになります。

白内障になる原因

白内障の原因はさまざまです。一般的な原因は加齢であり、加齢性白内障とも呼ばれています。年齢とともに水晶体のタンパク質が変性し、濁ることで白内障が発生します。60歳以上の高齢者に多く見られる現象です。また、目に対する外傷や手術後の炎症でも白内障が発生し、これは年齢に関係なく発症する可能性があります。糖尿病も白内障のリスクを高める要因のひとつです。血糖値が高い状態が続くと、水晶体が糖分を取り込みやすくなり、濁りやすくなることが理由です。

さらに、紫外線に長時間さらされることも白内障の原因となります。特に、屋外での活動をする人や、紫外線対策をしていない人はリスクが高くなります。ステロイド薬を長期間使用することも、白内障が進行する要因です。これは、ステロイドが水晶体のタンパク質に影響を与えるためです。また、遺伝的な要因も白内障の発症に影響を与えます。家族に白内障の患者さんがいる場合、そのリスクが高まります。これらの要因が複合的に影響し、水晶体の濁りが進行することで白内障が発症するのです。

白内障の治療

白内障の治療 白内障の治療は、初期の段階では点眼薬による治療が行われますが、進行した場合は手術が必要です。ここでは、点眼薬と手術による治療についてそれぞれ紹介します。

点眼薬による治療

初期の白内障の場合、点眼薬を使用して進行を遅らせる治療が行われます。これにより、症状の悪化を防ぎ視力の低下を遅らせることが可能です。しかし、点眼薬による治療は一時的なものであり、根本的な解決には手術が必要です。

手術による治療

白内障が進行し日常生活に支障をきたすようになった場合、手術が必要になります。手術では、濁った水晶体を除去し代わりに眼内レンズを挿入します。この手術は成功率が高く、生活の質が劇的に向上することが報告されています。

従来、白内障手術は先進医療として認識されてきましたが、近年ではその位置付けが変わりつつあります。新しい技術や治療法の導入により、手術の選択肢や方法が広がり、より多くの患者さんに対応できるようになりました。この進展により、白内障手術が先進医療から選定療養へと変わっていったのです。次のセクションでは、その詳細について詳しく紹介します。

白内障手術の先進医療

白内障手術の先進医療 先進医療とは、新しい医療技術を用いた治療法です。白内障手術もかつては先進医療として認識されていましたが、2020年4月以降、その位置付けが選定療養へと変わりました。ここでは、先進医療の基本から対象となる白内障手術選定療養について解説します。

先進医療とは

先進医療とは、高度な医療技術や治療法を取り入れた医療行為のことを指します。従来の標準治療では対応しきれない、より複雑で高度な医療ニーズに応えるために開発されました。先進医療は、高い効果が期待できる治療法ですが、新しい技術や治療法のため基本的に自由診療となります。健康保険が適用されるのは、診察料、検査料、投薬料などです。

先進医療の対象となる治療や技術は、厚生労働省によって厳格に審査され、認定されています。この審査では、治療の安全性や有効性が評価されるため、認定された治療法には一定の信頼性があります。

先進医療の対象となる白内障手術

先進医療の対象となる白内障手術は、厚生労働省から認定を受けた医療機関で行われます。術式や使用するレンズの種類やメーカーも定められており、多焦点眼内レンズを用いた水晶体再建術であることが条件です。

2020年4月に先進医療から削除

白内障手術は、2020年4月に先進医療の対象から除外されました。これは、多焦点眼内レンズを用いた手術が一般化したことが理由です。技術の進歩により、ほとんどの医療機関で効果的かつ安全性を重視した手術が行えるようになり、特別な先進医療として提供する必要がなくなりました。また、臨床試験でその安全性と効果が確認されたことで、一般治療として認識されました。これにより、保険適用の可能性が高まり、患者さんの経済的負担が軽減され、医療費の効率化も期待されています。

2020年4月からは選定療養

2020年4月以降、多焦点眼内レンズを使用する白内障手術は選定療養として行われるようになりました。選定療養とは、特定の条件下で保険適用外となる治療法やサービスのことを指します。これにより、患者さんは手術の費用を自己負担する必要がありますがより高度な治療を受けることが可能となったのです。

選定療養となる多焦点眼内レンズのメリット・デメリット

選定療養となる多焦点眼内レンズのメリット・デメリット 多焦点眼内レンズは、目のなかに眼内レンズを挿入することで、眼鏡なしでも遠近両方の視力を改善できる治療方法です。ここでは、選定療養となる多焦点眼内レンズのメリットとデメリットについて詳しく解説します。

多焦点眼内レンズのメリット

多焦点眼内レンズのメリットは、遠近両方の視力を得られることです。このレンズは、異なる距離に焦点を合わせることができるため、遠くも近くもはっきりと見ることが可能です。老眼鏡や遠近両用眼鏡の使用を減らすことができ、日常生活において視力の快適さを大幅に向上させます。

また、多焦点眼内レンズを使用すると、手術後の視力が安定しやすいこともメリットです。単焦点レンズの場合、遠くか近くのどちらか一方の視力に焦点を合わせるため、他方の距離を見るためには補助的な眼鏡が必要となりますが、多焦点レンズではその必要がありません。これにより、手術後の生活がより自由で快適になるとともに、眼鏡に頼らない生活を送ることが可能です。

多焦点眼内レンズのデメリット

多焦点眼内レンズにはいくつかのデメリットも存在します。まず、手術費用が高額であることです。多焦点眼内レンズは高性能なため、一般的な単焦点レンズよりもコストがかかります。そのため、選定療養としての追加費用が必要となり、経済的な負担が増えることは避けられません。

また、夜間の視力が低下しやすいことも問題です。多焦点眼内レンズは複数の焦点を持つため、夜間や薄暗い場所での視力が完全には回復しない場合があります。特に、車のヘッドライトや街灯の光をまぶしく感じることがあり、夜間の運転が難しくなります。これらの光源が散乱することによって、ハロー(光の輪)やグレア(まぶしさ)といった現象が発生しやすくなるのです。しかし、通常3ヵ月程度で順応し、気にならなくなる方が少なくないそうです。

適応症例が限られている点も、デメリットのひとつです。多焦点眼内レンズは、白内障以外の目の病気を併発している方や瞳孔が特に小さい方は、逆に見にくくなる可能性があるため、適応外になることがあります。

眼内レンズを選ぶときの注意点と費用

眼内レンズを選ぶときの注意点と費用 眼内レンズは、どのタイプのレンズを選ぶかが、視力回復の質に大きく影響します。ここでは、単焦点レンズと多焦点レンズの違いやそれぞれの費用について紹介します。

単焦点と多焦点の眼内レンズの違い

単焦点眼内レンズと多焦点眼内レンズには、それぞれ特徴があり、どちらを選ぶかは患者さんの生活スタイルや視力の必要性によって変わります。

単焦点眼内レンズはひとつの焦点距離に特化しています。遠くか近くのどちらか一方に焦点を合わせることが可能です。例えば、遠くの視力を優先する場合、日常生活で遠方の物を見る際にはクリアな視力が得られますが、近くの物を見るためには老眼鏡が必要になります。逆に、近くの視力を優先する場合、読書やパソコン作業が快適になるものの、遠くを見るためには遠近両用眼鏡が必要です。また、ハローやグレアといった視覚的な問題が少なく、保険適用も可能でコストが安い点も魅力です。

一方、多焦点眼内レンズは、複数の焦点距離に対応できるため眼鏡が不要で生活の質が向上します。しかし、手術費用が高く、夜間の視力低下やハロー、グレアの問題が生じる可能性があります。また、すべての患者さんに適用できるわけではなく、事前に十分な検査と医師との相談が必要です。

白内障手術にかかる費用の違い

白内障手術にかかる費用は、使用する眼内レンズの種類や手術方法によって異なります。単焦点眼内レンズを使用する手術は安価で、ほとんどの場合保険適用が可能です。手術費用は通常、数万円程度です。これにより、経済的な負担が軽減され、ほとんどの患者さんが選択しやすい治療法となっています。

一方、多焦点眼内レンズを使用する手術は、選定療養として位置付けられるため、費用が高額となり、保険適用外となる傾向にあります。多焦点レンズの手術費用は、通常、数十万円以上かかることが一般的です。費用が高額になるのは、多焦点レンズ自体のコストや手術の複雑さ、術後のフォローアップが必要となることが理由です。

白内障手術を受ける眼科の選び方

白内障手術を受ける眼科の選び方 白内障手術を受ける際には、眼科の選び方も重要です。手術経験や取り扱っているレンズの種類、カウンセリングの充実度などを考慮する必要があります。ここでは、眼科選びの際に考慮すべきいくつかのポイントについて詳しく解説します。

手術経験

まず、眼科を選ぶ際に重要なポイントは医師の手術経験です。手術経験が豊富な医師は、技術が高く、手術の成功率も高い傾向にあります。白内障手術は技術的に高度な手術であるため、医師の経験が手術結果に直結します。したがって、医師の経歴や症例数を確認することは重要です。 さらに、直接医師やスタッフに質問することも効果的です。例えば「年間どのくらいの白内障手術を行っていますか?」や「これまでに多焦点眼内レンズの手術を何件行いましたか?」といった具体的な質問を投げかけることで、医師の経験を確認することができます。

取り扱っているレンズの種類

取り扱っているレンズの種類も、眼科選びの重要なポイントです。単焦点レンズや多焦点レンズなど、眼内レンズの選択肢が豊富である眼科は患者さん一人ひとりに適した治療を行うことが可能です。また、医師やスタッフにレンズの種類について質問し、各レンズの特徴やメリット、デメリットについて詳しく説明してもらうことも大切です。具体的な説明を受けることで、自分に合ったレンズを選ぶための判断材料をえることができます。

カウンセリングの充実度

手術前のカウンセリングも重要な要素です。カウンセリングが充実している眼科では、患者さんの不安や疑問に丁寧に答えてくれるため、不安を解消したうえで手術を受けられます。

カウンセリングの充実度を確認するためには、初回の診察やカウンセリングの際に、医師やスタッフの対応をよく観察します。医師が患者さんの質問に対して親身に対応し、わかりやすく説明してくれるかどうかを確認しましょう。また、カウンセリングの時間が十分に確保されているかも重要です。短時間で終わるカウンセリングでは、十分な情報を得ることができない場合があります。

まとめ

白内障手術は、視力を回復させるための効果的な治療法ですが、選定療養としての位置付けに変わり、費用や保険適用の範囲が変わりました。多焦点眼内レンズのメリットとデメリットを理解し、自分に適した治療法を選ぶことが重要です。また、眼科を選ぶ際には、医師の手術経験や取り扱っているレンズの種類カウンセリングの充実度を確認しましょう。適切な情報をもとに自分に合った治療を受けることで、快適な生活を取り戻すことが可能です。

参考文献

この記事の監修歯科医師
柳 靖雄医師(横浜市大 視覚再生外科学客員教授 お花茶屋眼科院長)

柳 靖雄医師(横浜市大 視覚再生外科学客員教授 お花茶屋眼科院長)

東京大学医学部卒業(1995年 MD)/ 東京大学大学院修了(医学博士 2001年 PhD) / 東京大学医学部眼科学教室講師(2012-2015年) / デューク・シンガポール国立大学医学部准教授(2016年-2020年)/ 旭川医科大学眼科学教室教授(2018年-2020年) / 横浜市立大学 視覚再生外科学 客員教授(2020年-現在) / 専門は黄斑疾患。シンガポールをはじめとした国際的な活動に加え、都内のお花茶 屋眼科での勤務やDeepEyeVision株式会社の取締役を務めるなど、マルチに活躍し ています。また、基礎医学の学術的バックグラウンドを持ち、医療経済研究、創薬、国際共同臨床研究などを行っています。

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