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白内障の種類丨白内障の症状・原因・予防法などを解説

白内障の種類丨白内障の症状・原因・予防法などを解説

白内障は、高齢者のほとんどが発症する目の病気です。世界全体のデータで見ると、失明した人の約半数が白内障によって視力を失っています。世界の大半が白内障による失明原因であり、とても怖い病気です。このように白内障は多くの人にとって避けられない目の病気ですが、発症の仕組みや予防法について知ることで、その影響をできる限り抑えることができます。本記事では、白内障の基本的な症状や原因、さらに予防法について詳しく解説します。

白内障とは

白内障とは 白内障とは、眼のなかにある水晶体(すいしょうたい)が濁る病気です。日本では眼科を訪れる患者さんの約20%が白内障と診断されています。特に高齢者に見られますが、若い人でも発症することがあります。詳しい症状や原因を見ていきましょう。

白内障の症状について

私たちの眼のなかには、水晶体と呼ばれるカメラのレンズに似た組織があります。この水晶体は通常、透明で光を通す役割を果たしています。

しかし、加齢やその他の要因で水晶体を構成するタンパク質に異常が生じると水晶体が濁り始めます。これが白内障の始まりです。

白内障の主な症状は、以下のとおりです。

  • 物がぼやける、かすんで見える。
  • 眼が疲れやすい。
  • 人や物が二重に見える。
  • 近視が進んだように感じる。
  • 晴れた日の屋外や対向車のライトがまぶしく感じる。
  • 中間色が分かりにくい

これらの症状は徐々に進行するため、初期段階では気付きにくいことがほとんどです。そのため気付いたときにはかなり症状が進行していた、というケースも見られます。これを防ぐには、定期的な眼科検診が重要です。

白内障を発症する原因

白内障を発症する主な原因は加齢です。とくに60〜65歳頃から患者数が急激に増加します。その他にも、紫外線、糖尿病、喫煙、アルコールの過剰摂取、ステロイド薬の長期使用なども白内障のリスクを高める要因とされています。水晶体は主に水とタンパク質で構成されており、通常は自己修復機能があります。しかし、加齢などで酸化ストレスがかかると、この修復機能が低下し、タンパク質が異常をきたします。

異常なタンパク質が水晶体内に集まると、水晶体が濁り、白内障が進行します。一度濁った水晶体は、元の透明な状態には戻りません。だからこそ早期発見に努め、白内障の進行を少しでも遅らせることが重要です。

年齢別で発症する白内障の種類

年齢別で発症する白内障の種類 年齢が白内障を発症するポイントだと説明したところで、ここでは、年齢別で発症する白内障の種類について解説します。

先天性白内障

先天性白内障とは、生まれたときから発症している白内障を指します。発症の要因には、遺伝的な問題や母胎内での感染などが挙げられます。

先天性白内障の場合、外からの光が網膜まで届きにくくなるため、視力の発達が遅れる可能性があります。そのため、視力が発達しやすい状態になるよう、できる限り早めの手術が求められます。また、母体感染が原因の場合家族の検査も必要となります。

なお、生まれつきではなく、加齢や外傷などの影響で後から発症する後天性白内障もあります。これについては後述します。

若年性白内障

白内障はとくに中高年層に多く見られる病気ですが、20〜30代で発症することもあります。若い人が発症するものを若年性白内障と呼び、その原因には、以下が考えられています。

  • 紫外線
  • 疲労やストレス
  • 偏食
  • 喫煙
  • アルコール
  • 糖尿病やアトピー性皮膚炎

若年性白内障の明確な原因は明らかになっていませんが、紫外線やストレス、もともと潜在的に白内障を持っていたことなどが関係しているといわれています。

老人性白内障

老人性(加齢性)白内障は、加齢によって引き起こされる白内障です。白内障を発症する原因の90%は加齢とされており、早い方では40代で白内障の自覚症状が現れることがあります。とくに高齢の方の場合、自覚症状に気付かず対応が遅れてしまう傾向があります。

また、生活習慣や体質によっても発症時期には個人差があるため、心あたりがあれば早めに眼科を受診することが重要です。

病気や外傷が原因の白内障について

病気や外傷が原因の白内障について 生まれつき発症している白内障を先天性白内障というのに対し、病気や外傷などが原因で後天的に発症する白内障を後天性白内障と呼びます。ここでは、さまざまな後天性白内障について解説します。

糖尿病性白内障

糖尿病の合併症として引き起こされる白内障のことを糖尿病性白内障と呼びます。後に紹介するアトピー性白内障と同様に、若年層でも発症率が高くなっているのが特徴です。

原因は、糖尿病を患い血糖値のコントロールが不安定になることで、糖の一種であるソルビトールが水晶体のなかに溜まることです。このソルビトールが蓄積されることで、白内障が引き起こされます。

糖尿病は白内障以外にも、糖尿病網膜症という合併症も懸念されます。

アトピー性白内障

アトピー性白内障は、その名のとおりアトピー性皮膚炎に起因して発症する白内障で、上述のとおり若年層でも発症率が高いことで知られています。

発症の原因として、アトピー性皮膚炎の痒みの影響が指摘されています。目を掻いたり、叩いたりする際の刺激も関係しているといわれています。また、免疫の異常による働きからも、アトピー性白内障を発症することがあります。

外傷性白内障

目に物が当たったり怪我をしたりする衝撃や外傷が原因で、外傷性白内障を引き起こす場合があります。

目の傷次第では白内障の進行が早く、ほかの白内障と比較して急速に深刻な状態に陥ることがあります。このため外傷性白内障の場合は早急な手術が求められます。 一方、目が傷ついてから数年後に発症するケースもあります。いずれにせよ楽観視せず、早めに眼科医を受診することが望ましいでしょう。

併発性白内障

ストレスや加齢だけではなく、持病が原因で発症する白内障は、併発白内障と呼ばれます。

主にぶどう膜炎(ぶどうまくえん)や網膜剥離(もうまくはくり)といったほかの目の病気によって引き起こされるものです。これらの病気が進行すると、炎症や異常が水晶体にも影響を及ぼし、結果として白内障が発症します。 併発性白内障の場合、元となる病気の治療と並行して、白内障の治療も必要となることがほとんどのため、早期の診断と対応が重要です。

その他の白内障

怪我や病気による発症以外に、処方された薬によって白内障が引き起こされる場合もあります。とくにアトピー性皮膚炎やアレルギー疾患の治療に用いられるステロイド剤は、長期にわたって大量に使用すると白内障を発症するリスクが高まります。

ステロイド剤以外にも、特定の抗生物質や抗うつ薬が長期間使用された場合、白内障のリスクが増加することがあります。

薬の使用に関しては、必ず医師と相談し、リスクを理解したうえで適切に管理することが大切です。

白内障は放置してもよいのか

白内障を放置しておくと、進行の速さにもよりますが重症化した場合には失明に至る可能性があります。

もっとも、白内障単独で失明する確率は、今の日本の医療レベルにおいては3%程度とそう高くはありません。しかし、放置することによって白内障が進行し、失明リスクのある緑内障(とくに急性緑内障発作)を引き起こす可能性があります。緑内障は日本人が失明する大きな原因となっており、白内障単独での失明率よりも高いです。

白内障は、その種類や患者さんの年齢などによって治療方法が異なります。自覚症状がない場合や生活に支障がない場合には、点眼薬により進行を遅らせるという治療もあります。すでに生活に支障が出ている場合は手術をすすめられますが、手術を受けることで視力が回復し、生活の質を安定させることができるでしょう。

以前より見えにくい、かすんで見えるなどの自覚症状がある場合は、そのまま放置せずに眼科を受診することをおすすめします。また、初期の白内障はほとんど自覚症状がないので、異常を感じなくても定期的に検診を受けましょう。

白内障の治療法

白内障の治療は、病状の進行段階によって異なります

白内障は、症状が進行しても手遅れということはありません。ただし、ほかの病気を併発する可能性もありますので、症状が気になったら眼科を受診しましょう。

点眼薬による治療

視力の低下や目のかすみがそれ程気にならない初期段階では、ピレノキシン製剤やグルタチオン製剤による点眼治療が基本となります。ただし、薬を使用しても水晶体が透明に戻るわけではなく、あくまで白内障の進行を抑えることが目的です。

手術による治療

白内障が進行し、日常生活に支障をきたす場合には外科的手術が行われます。現在の主流は超音波乳化吸引術です。

この手術では、超音波を用いて濁った水晶体を粉砕し、それを吸引して取り除きます。その後、人工の水晶体である眼内レンズを挿入します。安全性が高く、多くの患者さんが安心して受けられる手術として広く浸透しています。

手術後には視力の回復が期待できますが、人工眼内レンズにはピント調節機能がないため、メガネなどによる視力の矯正が必要な場合もあります。

白内障の予防法

白内障の予防法 白内障の原因の大半は加齢であり、80代になるとほぼすべての人が発症するとされています。避けようがないともいえる白内障ですが、発症を遅らせるためにできることはあるのでしょうか。ここでは、白内障の予防方法について解説します。

紫外線対策

水晶体の濁りは、水晶体に含まれているたんぱく質が酸化して性質が変化することによって起こります。この酸化の要因として紫外線が挙げられます。

水晶体は光を集める働きをするため、紫外線によって活性酸素が発生することは避けられず、酸化障害を受けやすいといわれています。

水晶体の酸化を防ぐためには、目から入る紫外線の量をできるだけ少なくすることが大切です。例えば紫外線をカットする機能のあるサングラスや、つばの広い帽子を着用するなど、日常的に紫外線対策に取り組みましょう。

禁煙

厚生科学研究補助金21世紀型医療開拓推進研究事業科学的根拠(evidenceに基づく白内障診療ガイドラインの策定に関する研究によると、喫煙は白内障発生リスクを上昇させることが示されています。したがって、発症リスクを下げるには禁煙が推奨されます。

喫煙をすると、タバコに含まれるニコチンが毛細血管を収縮させ、血流障害が起こります。また、煙の成分の一部はビタミンCを破壊し、タバコを1本吸うことで25〜70mgものビタミンCが減少するといわれています。

白内障予防の方法はいくつかありますが、生活習慣の改善や抗酸化作用のあるビタミンCを含む食べ物の摂取もそれに含まれます。喫煙はこれらと相反する行為であり、白内障の発症や進行を助長する大きなリスクとなりうると言えるでしょう。

食事の工夫

水晶体は、たんぱく質の酸化により白く濁ってしまうことは、これまでにも述べたとおりです。この酸化による濁りを防ぐために、抗酸化作用のある食べ物を摂取することが推奨されます。

具体的には、以下のような食べ物がおすすめです。

  • ビタミンC……いちごやレモン、ブロッコリーなどの野菜や果物のほか、緑茶(せん茶)や焼きのりに多く含まれています。
  • ベータカロチン、ルテイン……にんじんやほうれん草、ピーマン、かぼちゃなどの緑黄色野菜から摂取できます。
  • ゼアキサンチン……ほうれん草などの緑色野菜やオレンジジュース、とうもろこしや柿、ブロッコリーなどに多く含まれています。

これらが、白内障の予防に効果があるとされている抗酸化物質です。日々の食事に取り入れたり、サプリを上手に活用したりしながら、意識的にとるように心がけましょう。

点眼薬の使用

一度濁ってしまった水晶体はもとに戻ることはありません。しかし、白内障の予防や進行を抑制するために、点眼薬が使用されることがあります。

点眼薬の種類としては、白内障の起因となるキノイド物質の成長を抑え、水晶体が混濁化するのを防ぐピレノキシン点眼液や、白内障の進行に伴い減少するグルタチオン量を補う抗酸化物質であるグルタチオン点眼液などがあります。これらの点眼薬は市販されておらず、医療機関で処方してもらう必要があります。

ただし、点眼による白内障の予防や進行抑制効果については、限定的な効果に留まっています。医師とよく相談したうえで、点眼治療を行いましょう。

まとめ

白内障を発症する大きな原因は加齢ですが、その他にも、紫外線や生活習慣、外傷などさまざまな要因で発症する場合があります。いずれにせよ、進行すると視力に大きな影響を与えますし、重症化した場合は失明に至るため、早期発見・治療が重要です。日々の生活でできる予防方法を実践しつつ、定期的に眼科検診を受けましょう。目に異常を感じた場合はもちろんですが、白内障の初期段階では自覚症状がほとんど現れないことも忘れずにいたいところですね。白内障について正しい知識を持ち、健康な視力を維持するための対策を、今日からでも取り入れてみてください。

参考文献

この記事の監修歯科医師
柿崎 寛子医師(Vista medical center Shenzhen)

柿崎 寛子医師(Vista medical center Shenzhen)

三重大学医学部卒業 / 現在はVISTA medical center shenzhen 勤務 / 専門は眼科

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