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後発性白内障はどんな病気?原因や治療法などについて解説!

緑内障 初期症状

白内障という病気をご存じでしょうか。なんとなく、「年を取ったらなりやすい」「目が見えにくくなる」というイメージをお持ちの人が多いでしょう。もしかしたら「手術で治せる」と聞いたことのある人もいるかもしれません。では、「後発白内障」とはどんな病気でしょうか。後発白内障は、白内障になり、治療、手術を受けた人にとって知っておくべきリスクです。白内障と後発白内障との関係から、その治療や予防まで解説します。

白内障とは

白内障とは

まずは白内障という病気そのものがどういった病気なのか、その概要を解説します。

白内障は、目の中にある水晶体が硬くなり水晶体が白く濁る病気です。水晶体は目の中でレンズのような役割を担っているため、これが白く濁ることで見えにくくなります。

加齢によって進行していく病気で、中高年以降に発症することが多いです。50代では40~50%、そこからどんどん患者数は増え、80歳以上ではほぼ100%の人が発症するといわれています。初期であれば点眼によって進行を食い止めたり、より進行したものであれば水晶体を人工レンズに取り換える外科手術を行うなどの治療が一般的です。

白内障の種類

白内障には、水晶体の濁り方や濁る部分などで種類が分けられており、その種類は約80にも登ります。その中から、特に多い3種類を紹介します。

・皮質白内障
水晶体の周囲を形成している「皮質」の部分から、くさび型に濁る白内障です。濁りが瞳孔にかからない限りは水晶体に光がまっすぐ入るので、見え方に変化はなく、気づきにくい白内障です。糖尿病などのほかの疾患がない限りは急速に進行することはありませんが、一度瞳孔まで濁りが届いてしまえば、そこから進行は早くなります。また、加齢による白内障の中では最も多い種類です。

・核白内障
核白内障は、水晶体の中央の部分から濁っていく白内障です。均一に濁りが広がっていくため、医師でも診断が付きにくいことも多々あります。しかし、進行して水晶体がガチガチに硬くなってしまうと、手術の際に合併症を引き起こす可能性が高くなるため、早めの対処が求められます。

また、急激に近視が進むのも特徴です。「1年に1回のペースでメガネの作り替えが必要になる」「老眼かと思っていたが改善された気がする」という場合は、この核白内障による近視が進んでいる可能性があります。

・後嚢下白内障
後嚢下(こうのうか)白内障は、水晶体嚢の後ろ側中央に濁りが出るタイプです。核白内障、後嚢下白内障、どちらも症状が出やすい中心に濁りが出るという共通点がありますが、後嚢下白内障のほうがよりまぶしさや見えにくさといった視力低下の症状が顕著で、進行も早い傾向にあります。

加齢のほか、ぜんそくやリウマチ、膠原病治療に使われる副腎皮質ステロイドホルモンの長期間の服用経験のある人に発症が多い白内障です。ほか、糖尿病やアトピーの人にも多く、特にアトピー性の白内障は10代~20代での発症もみられます。

白内障の症状

「白内障」という名前から「白っぽく見える」というイメージが持たれがちですが、必ずしもそうではありません。レンズの役割を担う水晶体が濁ることで上手く光がとおらず、暗くみえたり、逆に光が乱反射してまぶしく感じられることもあります。これらの症状のほか、目のかすみや、二重三重に見えることもあります。

進行具合や白内障のタイプ、つまりどの部分がどのように濁るかによっても症状は違い、例えば先述した核白内障の場合は、水晶体が茶色っぽく濁っていくので、紺色と黒色、白色と黄色の区別がつきにくくなるといった症状も現れることもあるでしょう。視力も落ちていくので、メガネが合わなくなってきた時は、白内障を疑ってもいいかもしれません。

白内障が進行するとどうなるか

白内障が進行すると、見えにくさやまぶしさといった様々な症状がより顕著になり、放置すればするほど、視力は低下していき、最終的には失明する恐れもあります。ただ、これはあくまで治療をしなかった場合のことであり、適切な治療を受ければそのような事態になることはありません。

しかし、進行するに従ってほかの病気も発症する場合があることには要注意です。例えば、緑内障発作がその一つです。緑内障は、眼内を流れる「房水(ぼうすい)」という液体が上手く排出されないことで眼圧が上がり、視神経を圧迫することで視力低下につながる病気です。

白内障は、進行するとともに水晶体が膨張していくのですが、それによって房水の流れ道を塞いでしまうことがあります。これが緑内障発作です。緑内障発作は視野が欠けたり、視力が落ちたりといったことに加え、目の痛みや頭痛、吐き気なども現れます。

また、白内障の治療が遅れると、どうしても手術をしても完治が難しい状態になることも覚えておかねばなりません。 というのも、白内障の手術というのは濁って硬くなった水晶体を取り出し、人工のレンズに取り換えるというもので、患者さんによって適したレンズは違います。目に光を当てて、奥にある網膜との距離を測定する検査を通して、どのレンズが最適かを調べるのですが、白内障があまりにも進行していた場合、網膜まで光を届けられない場合があるのです。こうなると、適切なレンズを選ぶことができず、手術後もピントが合わないなどといった違和感が残る場合があります。

このように、白内障の進行は視力が低下するのはもちろん、ほかの病気につながったり、視力を完全に取り戻すことが難しくなるので、早期発見・治療が大切です。

後発性白内障とは

後発性白内障とは

白内障がどのような病気なのかが分かったところで、「後発性白内障」とは何なのか、より理解を深めていきましょう。

後発性白内障とは、白内障手術を受けて数ヶ月〜数年後に目のかすみやまぶしさといった症状が出てくるものです。白内障手術を受けた人のうち2〜3割が発症すると言われており、術後1年では10%、3年では20%、さらに5年では30%となっています。

その症状から「白内障が再発した」と感じる人も多いですが、先の白内障手術で水晶体を摘出しているため、再発というわけではありません。また、後発性白内障は通院による外来治療で治すことができます。

後発性白内障の原因

白内障の手術では、眼内の水晶体が入った袋である「水晶体嚢」から水晶体を摘出し、再度水晶体嚢に人工レンズを入れます。濁り、硬く厚くなった水晶体から人工レンズになることで視野がはっきりし、よく見えるようになるのですが、この水晶体嚢の中にある上皮細胞が増殖することで、水晶体嚢内で曇りが生まれてしまうのです。これが、後発性白内障の原因です。白内障手術を行った人にだけ起こる、合併症といえます。

後発性白内障の症状

後発性白内障の症状は、その水晶体嚢内のくもりによるものなので、視界のぼやけやかすみ、まぶしさや視力の低下など、白内障の症状と似通ったものがあらわれます。ちょうど、前述した後嚢下白内障の症状などに近いかもしれません。

後発性白内障の治療法

後発性白内障の治療法

後発性白内障の治療は、主に通院によるレーザー治療で行われます。

後発性白内障のレーザー治療の流れ

後発性白内障のレーザー治療は、水晶体嚢が濁る状態を改善するために行われる方法です。この治療法は、非侵襲的、つまり身体に負担を与えない手法であり、短時間で行われるため、多くの方にとって優良な選択肢となっています。

まず、治療の前に点眼麻酔を行います。これによって痛みを感じずに治療を受けることができます。治療の準備が整ったら、特殊なコンタクトレンズを眼に装着します。このコンタクトレンズは、レーザーを正確に照射するための位置を固定する役割を果たします。

レーザー治療が始まると、医師はレーザーを水晶体嚢に照射して、その一部を取り除きます。レーザーの照射は非常に短時間で行われるため、患者はその間ほとんど痛みを感じません。治療自体は5分程度で終わることがあり、日帰りで受けることができることもあります。

レーザー治療後、一時的に視界にモヤモヤとしたものが見えることがあります。これはレーザーによって水晶体嚢の一部が切り取られた際に発生する破片や微小な影響によるものです。しかし、これらの症状は徐々に収まり、数日から数週間で通常の視力が回復することがほとんどです。

レーザー治療の成功率は高いですが、稀に眼圧が一時的に上昇することがある他、網膜剥離などの合併症も稀に報告されています。また網膜剥離や虫が飛んでいるように見える状態になることがあります。そのため、治療後は定期的な通院による経過観察が重要です。医師は治療後の経過を詳しくモニタリングし、必要に応じて適切なアドバイスを提供してくれます。

なお、後発性白内障は一度治療すれば再発することはほぼありません。そのため。後発性白内障のレーザー治療は、生活の質を向上させるための一つの手段として広く利用されています。

後発性白内障の治療にかかる費用

後発性白内障の治療にかかる費用

白内障もそうですが、後発性白内障の治療にかかる費用は保険適用となります。そのため、だいたい片目が3割負担で7500円、2割負担で5000円、1割負担で2500円程度が相場でしょう。

後発性白内障はなぜ起こるのか

後発性白内障はなぜ起こるのか

後発性白内障は、前述したように白内障手術を受けた人の中で発症する合併症です。白内障手術は、濁った水晶体を取り除き、人工レンズを挿入する手術であり、多くの場合は視力を改善する効果があります。しかし、手術後にはしばらくの間快適な視力を楽しむ一方で、後発性白内障の可能性も意識しておく必要があります。

後発性白内障は、白内障手術によって挿入された人工レンズが徐々に濁ってくることによって起こります。このレンズは水晶体の代わりとして眼に留置されますが、その表面には細かなカプセルが存在します。手術後、このカプセル内には新しい細胞が成長し、人工レンズをしっかりと固定します。しかし、時としてこれらの細胞が水晶体嚢のうしろの部分(後嚢)に広がっていき編成することがあります、その結果、人工レンズが濁ってしまうことがあるのです。

また後発性白内障は、白内障手術後数ヶ月から数年を経て発症するといわれています。ただし、全ての手術後の患者さんがこの症状を発展させるわけではありません。そのため、白内障手術を受けた方は、定期的な眼科検診を受けることが大切です。検診によって、早期に後発性白内障の兆候を発見し、適切なタイミングで治療を行うことができます。

後発性白内障の具体的な原因や発症メカニズムについては、まだ完全に解明されていない部分もあります。しかし、専門医の指導のもと、定期的な検診や適切な治療を受けることで、後発性白内障による視力の低下を最小限に抑えることができるでしょう。

後発性白内障の予防方法

後発性白内障の予防方法

後発性白内障がなぜ起こるのか、どんな人に起こるのか、また予防法は確立されていません。白内障の手術を受ければ一定数の人がなるものであり、また後発性白内障の治療は短時間のレーザー治療で済むこと、さらに一度治療すればほぼ再発の可能性もないことからも、あまり心配しすぎる必要もないでしょう。

もともとの白内障に関しても加齢という抗えない要素で進行が進むものではありますが、日々の生活の中で予防を心がけることは可能です。

紫外線を避ける

強い紫外線は、白内障を引き起こす要因になるといわれています。紫外線を浴びることが多い人は、なるべくサングラスを着用するなどの対策を取るといいでしょう。

また、肌への紫外線対策として抗酸化物質を取るといいとされていますが、白内障予防という観点でも有効です。ビタミンCやベータカロチンなどが多く含まれる食材を積極的に取り入れるのもおすすめです。

生活習慣を改善する

生活習慣病、成人病ともいわれる糖尿病は、白内障の発症や進行を速める要素です。そのため、糖尿病にならないようにすることも、白内障予防に重要といえます。

バランスのよい食事や適度な運動を心がけたり、また、バランスのいい食生活を心がけましょう。また、喫煙も白内障の原因になるといわれており、1日20本以上吸う人は、吸わない人の2倍から3倍、白内障になりやすい傾向にあるので、禁煙も効果的です。

まとめ

まとめ

白内障は加齢によって多くの人が発症する目の病気であり、発症すると視力が低下しますが、適切な治療を受ければ視力を取り戻すことができます。手術後に後発性白内障を発症する人も少なくはありませんが、これは白内障の再発というわけではなく、治療をすれば改善するものであるため、過度に不安を感じたりする必要はありません。正しい知識を身に付け、なるべく早く眼科にかかり、医師の診断に則って、適切な治療を受けることがなによりも大切です。

参考文献

この記事の監修歯科医師
柳 靖雄医師(横浜市大 視覚再生外科学客員教授 お花茶屋眼科院長)

柳 靖雄医師(横浜市大 視覚再生外科学客員教授 お花茶屋眼科院長)

東京大学医学部卒業(1995年 MD)/ 東京大学大学院修了(医学博士 2001年 PhD) / 東京大学医学部眼科学教室講師(2012-2015年) / デューク・シンガポール国立大学医学部准教授(2016年-2020年)/ 旭川医科大学眼科学教室教授(2018年-2020年) / 横浜市立大学 視覚再生外科学 客員教授(2020年-現在) / 専門は黄斑疾患。シンガポールをはじめとした国際的な活動に加え、都内のお花茶 屋眼科での勤務やDeepEyeVision株式会社の取締役を務めるなど、マルチに活躍し ています。また、基礎医学の学術的バックグラウンドを持ち、医療経済研究、創薬、国際共同臨床研究などを行っています。

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