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白内障にならない人の体質や特徴は?白内障になりやすい年齢や原因、治療方法などを解説

白内障 ならない人

白内障は水晶体が濁ってくる病気であり、放置すると失明する可能性があります。しかし白内障の多くは加齢に伴い発症するので、だれもがかかる可能性のある病気といえます。

幸い技術の進歩で手術を受ければよく見えるようになりますし、日帰り手術も可能となりました。

そこでこの記事では、白内障の予防・治療法・手術のメリット・デメリットについて詳しく解説します。いつかかかるかもしれない白内障について正しく理解しておきましょう。

白内障にならない人の特徴・なりやすい年齢

白内障にならない人の特徴・なりやすい年齢

白内障にならない人の体質や特徴はありますか?
白内障は発生原因が明らかではなく、多重因子によって発症する病気です。
大きな要因は加齢であることがわかっており、そのほかの要因として、喫煙・紫外線・糖尿病・先天性・薬剤・眼部の外傷やアトピー・放射線などが知られています。特に危険因子とされるものは以下のとおりです。

  • 喫煙
  • 紫外線
  • 糖尿病
  • 抗酸化物質の摂取不足

白内障にならない人の体質や特徴について国内では科学的根拠に基づいた研究結果はありませんが、危険因子に配慮した生活習慣を送ることで白内障になりにくくする効果は期待できるといえるでしょう。

白内障になりやすい年齢は?
白内障の大きな要因は加齢であり、一種の老化現象といえるでしょう。
早い人で40歳代から、50代で約40%・60代で約70%・80代では100%の人が発症しています。
白内障にならないための予防のポイントを教えてください。
白内障のおもな要因は加齢ではありますが、白内障の危険因子への対策も予防効果が期待できます。予防のポイントを以下に紹介します。

  • 禁煙する
  • 眼部の紫外線被爆を避ける
  • 糖尿病にならないよう適度な運動・適切なエネルギーとバランス良い食事をこころがける
  • 抗酸化物質の摂取をこころがける

ビタミンE・C・B2は白内障に効果があるとの報告があります。そのほか眼部の外傷を避ける・眼部のアトピー部分を強くこすらない・放射線を避けることも予防につながります。

白内障になる原因と治療

白内障になる原因と治療

白内障で水晶体が濁る原因は何ですか?
水晶体が濁るのはタンパク質の変質が原因です。水晶体にはクリスタリンという小さなタンパク質がありますが、様々な要因によりストレスを受けるとクリスタリンの構造が変わり凝集して大きな塊となり、最終的に水晶体混濁を引き起こします。主な要因は加齢・紫外線・目に対する衝撃・放射能・高血糖です。原因別に老人性白内障・外傷性白内障・アトピー性白内障・放射線白内障・糖尿病性白内障などに分類されます。
ほかの病気が原因で白内障になることはありますか?
代表的なものは糖尿病です。
糖尿病で高血糖が続くと、過剰なブドウ糖がタンパク質と結合する糖化になりますが、水晶体のクリスタリンが糖化や酸化ストレスを受けて白内障を発症すると考えられています。またぶどう膜炎などほかの眼の病気に続いて起こることもあり、併発白内障とよばれています。
アトピー性白内障は目の周りのアトピー性皮膚炎の箇所を持続的に搔くなど物理的衝撃が原因とみられますが、併発白内障の一種ともいえるでしょう。
白内障には自覚症状はありますか?
水晶体が濁ると光の散乱や光量の減少が起こります。羞明(まぶしさ)・見えにくい・かすんで見える・二重に見える・視力の低下などの自覚症状が現れます。
白内障による視力の低下は眼鏡やコンタクトでは改善しません。視力低下・まぶしさ・かすみ・二重に見えるなどの症状がある場合は、白内障の可能性があるので眼科を受診することをおすすめします。
白内障の治療方法を教えてください。
進行予防の目的でピレノキシン点眼薬かグルタチオン点眼薬による治療を行います。内服薬の効果については科学的根拠が証明されていません。
白濁した水晶体は元に戻らないので、薬物治療は進行を遅らせる効果があるだけです。白内障を完治するには手術しかありません。
最近の手術は局所麻酔後水晶体の前側に数㎜程度の小さな穴を開け、濁った水晶体を超音波乳化吸引器で破砕吸引し、柔らかい素材のレンズを挿入する方法が一般的です。手術は痛みもなく通常10~30分程度ですみ、日帰り手術も可能です。
眼内レンズにはピントを調節する機能がありません。遠方(5m~)・中間(60cm~1m)・近方(30~50cm)のどこかにピントを合わせた眼内レンズを選ぶ必要があります。
一か所にピントを合わせた単焦点眼内レンズと、遠方と近方・遠方と中間と近方など二か所以上にピントを合わせた多焦点眼内レンズがあり、使用するレンズにより手術費用も変わってきます。

白内障治療の費用やメリット・デメリット

白内障治療の費用やメリット・デメリット

白内障の検診や手術は自費診療になりますか?
白内障治療は保険適用・選定療養・自由診療(保険適用外)のいずれかとなり、使用するレンズにより決まります。
単焦点眼内レンズを使用した場合は検診・手術(単焦点眼内レンズ代を含む)はすべて保険適用となります。手術の費用は1割負担の場合、片眼(日帰り手術)で15,000円程度です。
一方、多焦点眼内レンズを使用した場合は手術自体は保険適用となりますが、多焦点眼内レンズを選択することで増えるレンズ費用の差額分と追加検査分は自己負担となります。保険診療と自己負担を併せた制度で選定療養といいます。
一部の多焦点眼内レンズでは保険適用のものもありますので詳しくは医療機関で確認してみましょう。
一般的な多焦点眼内レンズを使用した場合、負担額は医療機関や使用する眼内レンズの種類によって異なりますが、片眼で150,000~300,000円程度です。保険適用・選定療養ともに厚労省で認可された眼内レンズに限ります。
厚労省で認可されていない外国製の眼内レンズや特別な最新機器を用いた術式で行われる手術に関しては自由診療扱いとなります。費用に含まれる範囲などについては医療機関ごとに自由に設定されますので、十分な説明を受けるようにしましょう。
手術を行なうと罹患前の視力に戻りますか?
基本的には、手術を行なうと水晶体の濁りがなくなるので視力改善が期待できます。ただし角膜炎・緑内障・網膜症など合併症がある場合は十分な改善が得られない場合があります。
通常術後はかすみが取れてはっきり見えるようになりますが、眼内レンズは水晶体のようにピントを調節する機能がないため、罹患前の見え方とは違うように感じるでしょう。
単焦点眼内レンズの場合、眼内レンズのピントを合わせた距離は良く見える一方で、ピントを合わせた距離以外のところはぼやけてしまい眼鏡などによる調整が必要です。
一方多焦点眼内レンズの場合は二か所以上の距離にピントを合わせることができるので、人によっては遠方から近方まで裸眼で見えるようになる場合もあります。眼内レンズのピントをどこに合わせるかで見え方が違ってくるので、担当の医師とよく相談して適切なレンズを選択しましょう。
白内障手術のメリット・デメリットを教えてください。
白内障手術のメリットは、濁った水晶体をクリアな眼内レンズに替えることで十分な光量が入り、明るい視界をもたらすことが可能になることです。
水晶体の濁りがなくなるので、かすみ・ぼやけ・二重に見えるなどの症状がなくなります。眼内レンズのピントを遠方・近方など適切な距離に合わせることで、ピントの合った距離はハッキリと見えるようになります。
多焦点眼内レンズで遠方と近方にピントを合わせれば老眼を軽減し眼鏡を必要としなくなる場合もあるでしょう。乱視を矯正する機能をもったトーリック眼内レンズを使用すれば乱視の軽減も期待できます。
一方最大のデメリットは、手術である以上合併症のリスクがともなうことです。おもな合併症は以下のとおりです。

  • 術後眼内炎:術後に細菌が目に入り感染症を起こすことがあります。頻度は約0.05%とごくまれですが、炎症が強い場合には視力障害の後遺症が残ることもあります。
  • 術後屈折誤差:術前に決めた眼内レンズのピントの位置がずれることがあります。
  • 後発白内障:水晶体の袋部分が術後数ヶ月~数年で濁ってくることがあります。頻度は10~30%で、外来でレーザーを使って濁りを除去することが可能です。

また眼内レンズ特有のデメリットもあります。単焦点眼内レンズはピントを合わせた距離はよく見えますが、それ以外の距離ではぼやけて見えるため眼鏡による調整が必要です。
多焦点眼内レンズは光を分配することで遠方や近方も裸眼で見えやすくなるよう設計されていますが、光量が分配されることで映像のシャープさが落ちてしまう傾向があります。また多焦点眼内レンズの表面は複雑な構造を持っているため、特有の見え方がする場合があります。
暗い所で照明を見たとき、星の輝きのように放射状に見えるグレアという症状や、照明のまわりに輪状の光のボケが見られるハローという症状が起こることがあります。
夜間長時間運転する方には多焦点眼内レンズは向いていないといえるでしょう。どの眼内レンズを選ぶか、どこにピントを合わせるか医師とよく相談する必要があります。

編集部まとめ

編集部まとめ

水晶体が濁る白内障の多くは加齢にともない発症するので、誰もがかかる可能性のある病気です。

薬で病気の進行はある程度抑えることはできますが、視力が低下した場合は最終的には手術が必要となります。技術の進歩で昔に比べ手術のハードルは下がってきていますが、手術である以上100%安全という訳ではありません。

手術で視力改善が期待できますが、眼内レンズは水晶体のような調節機能がないのでどの眼内レンズを選ぶか・ピントをどこに合わせるかで見え方が違ってきます。

この記事を読んで白内障について正しく理解し、そして手術となった場合でも安心して受けることができれば幸いです。

参考文献

この記事の監修歯科医師
柳 靖雄医師(横浜市大 視覚再生外科学客員教授 お花茶屋眼科院長)

柳 靖雄医師(横浜市大 視覚再生外科学客員教授 お花茶屋眼科院長)

東京大学医学部卒業(1995年 MD)/ 東京大学大学院修了(医学博士 2001年 PhD) / 東京大学医学部眼科学教室講師(2012-2015年) / デューク・シンガポール国立大学医学部准教授(2016年-2020年)/ 旭川医科大学眼科学教室教授(2018年-2020年) / 横浜市立大学 視覚再生外科学 客員教授(2020年-現在) / 専門は黄斑疾患。シンガポールをはじめとした国際的な活動に加え、都内のお花茶 屋眼科での勤務やDeepEyeVision株式会社の取締役を務めるなど、マルチに活躍し ています。また、基礎医学の学術的バックグラウンドを持ち、医療経済研究、創薬、国際共同臨床研究などを行っています。

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