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緑内障は薬で治療できる? 検査方法や各治療法についてまとめました

緑内障は薬で治療できる? 検査方法や各治療法についてまとめました

緑内障は目の病気の一つで、放置すると視力低下や失明につながることもあります。しかし、早期発見・早期治療により症状の進行を遅らせることが可能です。この記事では、緑内障の基本的な知識をはじめとし、現代の医療における様々な検査方法や治療法についてまで、わかりやすく解説します。緑内障とはどのような病気なのか、どのようにして発見・診断されるのか、また、現在利用できる薬や治療方法にはどのようなものがあるのか、一緒に学んでいきましょう。

緑内障とは

緑内障とは 緑内障は、目の内部の圧力、つまり眼圧が異常に高まることで発生する病気です。まずは、主な症状、発症のメカニズム、そして治療の考え方について解説していきます。

症状

緑内障にはいくつかの種類があり、症状は種類によって異なります。主な症状としては、視野の狭窄や視力の低下があります。視野が狭くなると、まるでトンネルの中を見ているかのように、周囲が見えにくくなります。また、症状が進行すると、中心視野も影響を受けることがあります。他にも、目が疲れたり重苦しさを感じたりすることもあり、長時間の読書やモニター越しの作業後に目が痛んだり赤くなったりするなど、日常生活に影響を与える症状が現れることもあります。 しかし、これらの症状は他の目の病気でも起こり得るため、緑内障の診断には専門的な検査が必要です。また、緑内障は進行性の病気であり、一度損なわれた視力は回復しません。そのため、早期発見・早期治療が非常に重要となります。

メカニズム

緑内障の発症メカニズムを理解するには、まず目の構造と働きについて知る必要があります。私たちの目は、外界からの光を受け取り、それを脳へと伝える複雑な器官です。目の内部には視神経という重要な神経があり、脳への情報伝達を担っています。 緑内障では、房水と呼ばれる目の中の液体の流れに問題が生じ、眼圧が上昇します。正常な状態では、房水は目の中で一定の割合で生成され、同時に排出されることで眼圧が安定します。しかし、房水の排出が妨げられると目の中の圧力が上昇し、視神経にダメージを与える原因となります。 こうして発生した視神経へのダメージが、最終的に視野の狭窄や視力の低下といった症状を引き起こします。緑内障の特徴的な点は、このダメージが徐々に進行することであり、患者さんは症状が進行するまで自覚症状がないことが多いです。

治療の考え方

緑内障の治療は、病気の進行を抑え、現在の視野を守ることに重点を置いています。残念ながら一度失われた視野を取り戻すことは不可能ですが、適切な治療によってこれ以上の視神経の障害と視野障害の進行を防ぐことが可能です。 緑内障の治療の主な目的は、眼圧を下げることにあります。研究によると、眼圧をわずか1mmHg下げるだけでも、視神経の障害を遅らせる効果があることが明らかになっています。このため、緑内障の治療では、まず眼圧を下げる効果のある点眼薬が一般的に使用されます。 患者さん個々人の状態に応じて適切な治療内容は変わってくるため、定期的な検査および医師の指導に従うことが、緑内障の治療と管理において非常に重要です。

緑内障の検査方法

緑内障の検査方法 緑内障を診断するためには、いくつかの検査方法があります。ここでは、主な検査方法について解説します。

眼圧検査

眼圧検査は、緑内障の診断において最も基本的な検査の一つです。眼圧が高いと視神経に損傷を与えるリスクが高まるため、眼圧検査は非常に重要です。眼圧検査には主に二つの方法があります。

・接触型眼圧検査
接触型眼圧検査では、目に直接触れる器具を使用して眼圧を測定します。局所麻酔を使用した後、小さなプローブを目の表面に軽く触れさせて眼圧を測定します。接触型検査は非常に正確であり、詳細なデータを得られることがメリットですが、目に直接触れるため、わずかですが不快感を伴うことがあります。

・非接触型
非接触型眼圧検査は、目に触れることなく眼圧を測定する方法です。この検査では目に向けて空気のパルスを吹き付け、その反応を測定して眼圧を推定します。非接触型検査は接触型に比べて若干精度が低い場合がありますが、患者さんにとっては比較的快適で、速やかに実施できる点がメリットです。

どちらの方法も、緑内障の疑いがある場合や緑内障の既往がある患者さんに対して定期的に行われます。眼圧は日によって変動することがあるため、複数回の検査を通じて正確な眼圧の傾向を把握することが重要です。

視野検査

視野検査は、緑内障による視野の変化や損失を評価するために行われます。緑内障が進行すると視野が徐々に狭まるため、視野の変化を早期に捉えることは治療計画を立てる上で非常に重要になります。

視野検査では、患者さんは固定された点を見つめながら、周囲の異なる場所から表示される光の点を検知します。これにより、患者さんが光の点を見ることができる範囲、つまり視野が測定されます。検査中は目を動かさずに、ずっと一点を見続ける必要があります。

検査結果は視野のマップとして出力され、正常な視野と比較してどの部分に異常があるかが視覚的に分かります。緑内障の場合は、特に視野の外側部分から損失が始まることが多いです。これは「トンネルビジョン」と呼ばれ、視野が狭まり、まるでトンネルを通して見ているような状態になります。

視野検査は、緑内障の診断だけでなく、治療の効果を評価し、病気の進行をモニタリングするためにも重要な検査です。定期的に視野検査を実施することで、治療計画の調整や変更が必要かどうかを判断します。

画像検査

画像検査は目の構造を詳細に観察する検査で、緑内障の診断や進行状況の評価に役立ちます。特に、視神経の状態や目の内部構造に異常がないかを確認するために行われます。

主な画像検査としては、光干渉断層撮影(OCT)があります。光干渉断層撮影(OCT)を実施することで、目の微細な断面画像を高解像度で取得することができます。これにより、特に視神経盤の厚みや形状、周囲の網膜の状態を詳細に調べることができるようになります。緑内障による視神経の損傷は視神経盤の変化として現れることが多いため、OCTは緑内障の診断と管理に非常に有効であると言えます。

隅角検査

隅角検査は緑内障の種類を特定し、適切な治療法を決定するために重要な検査です。緑内障は大きく「開放隅角緑内障」と「閉塞隅角緑内障」の二つに分類されますが、目の隅角の構造と機能を確認することでどちらのタイプであるか診断することができます。

隅角検査の方法の1つとして、ゴニオスコピーという方法があります。これは特殊なレンズ(ゴニオレンズ)を使用して直接目の隅角を観察する方法で、隅角の開き具合や構造的な異常を詳細に確認することができます。ゴニオスコピーでは観察できない隅角の深部まで確認することが可能で、特に隅角が閉じている疑いがある場合に有効です。

緑内障の点眼薬治療

緑内障の点眼薬治療 緑内障の治療において、点眼薬は最も一般的な方法です。主に眼圧を下げることを目的としており、様々なタイプの薬があります。

プロスタグランジン関連薬

プロスタグランジン関連薬は、緑内障治療において最も広く用いられる点眼薬の一つです。主な作用は、房水の排出経路の一つである強膜脈絡膜流出路を拡大し、房水の排出を促進することにより眼圧を下げることです。プロスタグランジン関連薬は一日一回の投与で済むため、患者さんの負担も少なく、長期間の治療に適しています。副作用としては、まぶたの赤み、まつ毛の成長促進、眼の色素沈着などが報告されていますが、多くの患者さんにとって安全かつ効果的な選択肢とされています。

炭酸脱水酵素阻害薬

炭酸脱水酵素阻害薬は、眼圧を下げるために別のメカニズムを用います。具体的には、炭酸脱水酵素という酵素の活動を阻害し、結果として房水の産生を減少させます。これにより眼内の液体量が減り、眼圧が低下します。炭酸脱水酵素阻害薬は他の点眼薬の効果を高められるため、併用して用いられることが多いです。

交感神経β遮断薬

交感神経β遮断薬は、緑内障治療において長年使用されている点眼薬です。交感神経のβ受容体を遮断することにより房水の産生を減少させ、結果として眼圧を低下させます。一般的に一日に一度または二度の投与が推奨されます。交感神経β遮断薬は効果が高い一方で、副作用として心拍数の減少や呼吸困難などが起こる可能性があるため、心臓病や喘息のある患者さんの場合は慎重に使用することが必要です。

Rhoキナーゼ阻害薬

Rhoキナーゼ阻害薬は比較的新しいタイプの緑内障治療薬で、房水の排出を促進する新しいメカニズムを持っています。Rhoキナーゼという酵素を阻害することにより、房水の流出経路を改善し、眼圧を低下させるのがこの薬のメカニズムです。ただし、眼の充血や角膜の表面の問題を引き起こすことがあるため、使用時には注意が必要です。

交感神経α₂刺激薬

交感神経α₂刺激薬は、交感神経のα₂受容体を刺激することにより、房水の産生を抑えると同時に、房水の排出を増加させます。通常、1日に数回の投与が必要で、他の点眼薬と併用されることもあります。副作用は比較的少ないですが、眠気や口の乾燥などが報告されています。

緑内障の内服薬治療

緑内障の内服薬治療 緑内障の治療には、点眼薬だけでなく内服薬を用いる場合もあります。特に、進行が速い緑内障や、眼圧が高くて急速に下げる必要がある場合に内服薬による治療が選択されます。緑内障の内服薬治療には主に以下の種類があります。

・炭酸脱水酵素阻害薬
炭酸脱水酵素阻害薬は、眼内での房水産生を抑制することで眼圧を下げます。先述した通り点眼薬としても使用される薬で、内服薬としても同様の効果を持っています。ただし、全身への影響もあるため、副作用の管理が重要です。副作用としては、手足のしびれ、味覚の変化、疲労感などが報告されています。

緑内障のレーザー治療

緑内障のレーザー治療 緑内障の治療法として、レーザー治療が用いられることもあります。特に、薬物療法だけでは十分な眼圧のコントロールが得られない場合や、手術を避けたい場合に選択されます。

レーザー隅角形成術

レーザー隅角形成術は、一般的に開放隅角緑内障の治療に用いられるレーザー治療法です。レーザー隅角形成術では、レーザーを用いて目の房水の流出経路である線維柱帯に小さな穴を開けます。これにより房水の排出が促進され、眼圧が低下します。治療は外来で行われ、手術時間も短く、患者さんにとっての負担が少ないのが特徴です。ただし、時間の経過と共に効果が減少することもあり、その場合は繰り返し治療が必要になります。

虹彩切開術

虹彩切開術は、閉塞隅角緑内障の治療に用いられるレーザー治療法です。レーザーを使用して虹彩に小さな穴を開け、閉塞している隅角を開放します。結果として房水の流れが改善され、眼圧が低下します。特に急性の閉塞隅角緑内障の発作を防ぐために重要な手段とされていて、手術は比較的短時間で完了します。

緑内障の手術

緑内障の手術 より進行した緑内障の場合、手術が必要となる場合があります。ここでは、緑内障の主な手術方法である濾過手術、チューブシャント手術、流出路再建術について説明します。

濾過手術

濾過手術は、開放隅角緑内障治療の標準的な手術方法の一つです。この手術では、眼の白目の部分(強膜)に小さな開口部を作り、房水が眼球外に排出される新たな経路を作成します。濾過手術は、他の治療法でコントロールが難しい高眼圧を下げるのに非常に効果的ですが、感染や出血などのリスクも伴います。

チューブシャント手術

チューブシャント手術は、濾過手術が効果的でなかった場合や、緑内障が非常に進行している場合に選択される手術です。小さなチューブを眼内に挿入し、房水を眼外の小さな容器へと移します。複雑な緑内障の症例に適しており、他の治療法と比べ長期的に眼圧をコントロールすることが可能です。

流出路再建術

流出路再建術は緑内障の新しい手術法の一つで、特に眼圧を穏やかに下げることを目的としています。房水の自然な排出路を改善または再建することで眼圧を低下させます。流出路再建術は自然な房水の流れを促進するため、従来の手術よりも副作用が少ない可能性がありますが、比較的新しい手術法のため、長期的な効果や安全性については今後の研究結果を待つ必要があります。

まとめ

まとめ 本記事では、緑内障の基本的な知識、検査方法、治療法について詳しく解説しました。緑内障は、早期に発見し適切に治療することで、視力の低下や失明を防ぐことが可能です。眼圧検査や視野検査、画像検査などによる定期的なチェックが重要であり、緑内障が疑われる場合は早急に専門医の診察を受けることをお勧めします。進行性の病気であるため、根気よく継続的に治療を実施することによって、少しでも視力を保護し続けられるように努力しましょう。本記事が治療のために役立つ知識を提供できていれば幸いです。

参考文献

この記事の監修歯科医師
柳 靖雄医師(横浜市大 視覚再生外科学客員教授 お花茶屋眼科院長)

柳 靖雄医師(横浜市大 視覚再生外科学客員教授 お花茶屋眼科院長)

東京大学医学部卒業(1995年 MD)/ 東京大学大学院修了(医学博士 2001年 PhD) / 東京大学医学部眼科学教室講師(2012-2015年) / デューク・シンガポール国立大学医学部准教授(2016年-2020年)/ 旭川医科大学眼科学教室教授(2018年-2020年) / 横浜市立大学 視覚再生外科学 客員教授(2020年-現在) / 専門は黄斑疾患。シンガポールをはじめとした国際的な活動に加え、都内のお花茶 屋眼科での勤務やDeepEyeVision株式会社の取締役を務めるなど、マルチに活躍し ています。また、基礎医学の学術的バックグラウンドを持ち、医療経済研究、創薬、国際共同臨床研究などを行っています。

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