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緑内障患者がレーシックを受ける際の注意点とは?白内障の場合についても解説!

緑内障患者がレーシックを受ける際の注意点とは?白内障の場合についても解説!

目の悪い人にとって、「メガネなしでの生活」は憧れです。コンタクトレンズは外出時には便利ですが、装着する手間がわずらわしかったり、1日中つけていると目が乾くなどのデメリットがあります。そのため、最近では裸眼のようにストレスフリーな生活を求めて、レーシック手術を検討する人も多いようです。では、緑内障や白内障を患っている人でもレーシックは可能なのでしょうか? この記事では、緑内障や白内障患者がレーシックを受ける際の注意点を詳しく解説していきます。

レーシックとは

レーシックとは まずはじめに、「レーシック手術」とはどのような手術なのでしょうか? レーシック手術の流れからみていくことにしましょう。

レーシックとは

「レーシック」とは、角膜にレーザーを照射することによって、近視、乱視、遠視を改善する視力回復手術のことを指します。入ってくる光の屈折を行う眼の組織「角膜」にレーザーを照射し、その形状を調整することによって、屈折の異常を矯正します。この手術を行うと、術後すぐに視力が回復し、それ以前に必要であったコンタクトレンズやメガネがなくても裸眼で日常生活が送れるようになります。

レーシック手術では、最初に角膜の表面に「フラップ」と呼ばれる蓋を作成する必要があります。次に、このフラップをめくって、角膜の中央部をレーザーで削り、屈折異常を矯正します。眼の組織である角膜を直接削ることになるため、やり直しがきかないという特徴があります。また、角膜が薄かったり、強度近視の場合は、手術を受けられない場合があります。

レーシック手術の流れ

レーシック手術は通常、両眼20分程度の日帰り手術で、入院は不要です。

初めに点眼麻酔を行い、レーザーで角膜表面に「蓋」の役割をする「フラップ」を作成します。次に、このフラップをめくって、角膜の中央にレーザーを照射し、角膜の屈折力を調節します。照射時間はわずか数十秒と短い場合が多く、角膜の調整が終わった後にフラップを元の位置に戻します。最後に眼を洗浄して手術は終了です。フラップは自然と癒着されます。 レーシックは、眼科医が適切に行えばリスクの低い安全な手術です。

ただし、手術である以上、リスクがゼロであるとは言い切れません。事前に合併症などのリスクについての説明を十分に受け、理解しておくようにしましょう。また、術後に一時的なドライアイが起きたり、夜間の光が眩しく感じられる「ハロー・グレア現象」が起こる場合があります。術前術後を問わず、何か心配なことがある場合は、早期に眼科医を受診し、相談することが大切です。

緑内障とは

緑内障とは レーシック手術は、現在一般的になりつつあります。では、緑内障の患者はレーシック手術を受けられるのでしょうか? まずは緑内障がどのような病気なのかをみていきましょう。

緑内障とは

緑内障とは、目と脳をつなぐ視神経に障害が起き、少しずつ視野が狭まってくる病気です。進行するまで自覚症状がないことも多く、放置しておくと失明に至ることもあります。40歳以上の約20人に1人は緑内障であると考えられていますので、決して珍しい病気ではありません。 緑内障の進行を遅らせるためには、早期発見と点眼薬などによって眼圧を下げ続けることが重要です。そのため、視覚に特に異常がなくても、40歳を過ぎたら定期的に目の検診を行うようにしましょう。

緑内障の原因

現在、緑内障の詳細な原因はわかっていません。しかし、目の硬さを示す「眼圧」が高い状態が続くと、視神経に障害が起きて緑内障になることがわかってきています。ただし、眼圧が正常な人も緑内障になることが少なくないため、そのほかにも原因があると考えられています。

緑内障の治療方法

緑内障で失われた視神経は戻ることがありません。そのため、視神経をそれ以上減らさないように努めることが、緑内障治療の原則となります。眼圧を下げることにより視神経が減りにくくなることがわかっていますので、点眼薬などを使用して毎日の眼圧を下げるようにする治療が一般的です。

また、一つの点眼薬では十分に眼圧が下がらない場合は、複数の点眼薬を使用します。 点眼薬で十分に眼圧が下がらない場合や、眼圧が下がっていても視野障害などの進行が激しい場合は、さらに眼圧を下げるためにレーザー手術を行うこともあります。ただし、レーザー手術で眼圧が下降しても、その効果が半永久的に維持されるとは限らず、複数回の手術が必要になる場合もあります。また、こうした手術では合併症も少なくないため注意が必要です。

緑内障患者がレーシックを受ける際の注意点

緑内障患者がレーシックを受ける際の注意点 残念ながら緑内障をすでに発症している場合、基本的にレーシック手術は難しく、断られることも多いのが現状です。これは、レーシック手術でフラップを作成する時に、眼圧が上がってしまうためです。例外的に、緑内障の症状が軽度で、安定していて眼の状態が良く、進行が止まっているなどの好条件が揃っていれば、緑内障でもレーシックが可能と判定される場合もあるかもしれません。

この場合も眼圧を上昇させる手術であることには変わりないため、慎重に手術を行ってくれる眼科医の元で行われる必要があります。さらに、レーシックを受けると正確な眼圧測定ができなくなるため、緑内障の発症や進行が見過ごされてしまう危険性が高くなりますので、手術を受けるかどうかは眼科医と相談した上で慎重に考える必要があるでしょう。

緑内障の手術後にレーシックを受ける場合の注意点

緑内障の手術後にレーシックを受けることも、基本的には難しいことが多く、断られる場合がほとんどです。ただし、例外的に緑内障の症状が安定しており、進行が止まっている、なおかつ眼の状態の良い場合は、慎重に手術を行ってくれる医療機関が見つかることもあります。

最近では、レーシックとは別の視力補正法として、フラップを作らずに角膜の表面からレーザーを照射し、角膜のカーブを調整するPRKという方法があります。この方法は眼圧が上がらないというメリットがあるため、緑内障手術後には比較的適した視力回復法といえるでしょう。

レーシックを受けた後に緑内障の手術を受ける場合の注意点

レーシック手術を受けた人が将来緑内障になった場合は、緑内障の手術が可能であることが多いようです。ただし、レーシック手術を受けた後の緑内障検査には注意が必要です。 緑内障であるかどうかを判断する検査の一つに、眼圧を測る検査があります。

この検査は患者さんの普段の眼圧を知るための大切な検査です。ところが、レーシックを受けると角膜が変形するため、眼圧の測定値が低めに出たり、正確な測定ができなくなる可能性があるのです。正確な眼圧測定ができないと、緑内障の発症が見過ごされてしまう可能性があります。緑内障においては、一度欠けた視野は戻らないため、早期発見がとても重要です。レーシック手術後の眼圧検査に有効な手段もありますので、眼圧検査や緑内障検査の際には、事前にレーシック手術をしている旨を必ず申告するようにしましょう。

白内障患者がレーシックを受ける際の注意点

白内障患者がレーシックを受ける際の注意点 ​​ここまでレーシックと緑内障の関係をみてきました。では、白内障の場合はどうでしょうか?

白内障とは

人の目をカメラに例えると、レンズに相当するのが「水晶体」です。この水晶体は透明で光をよく通し、外からの光を集めてピントを合わせるはたらきを持っています。しかし、老化などの影響に伴い、水晶体の中身のたんぱく質が濁ってくると、光がうまく通過できなくなったり、光が乱反射して網膜に鮮明な像を結べなくなり、視力が低下します。これが「白内障」です。

白内障の原因

白内障の原因はさまざまですが、最も多いのは加齢によるものであり、これを「加齢性白内障」といいます。加齢に伴って眼内に老廃物が蓄積したり、水晶体の内部が酸化・糖化することが主な要因だといわれています。また、紫外線も白内障の原因のひとつです。

ほかにも、アトピー性皮膚炎、糖尿病などの全身疾患、あるいは他の目の病気の合併症として発症する「併発白内障」や、先天素因、胎内感染などによって生後早い時期に白内障になる「先天(発達)白内障」があります。また、目のけがや薬剤の副作用から白内障を起こす場合もあります。

白内障の治療方法

白内障は、手術を受ければ、視力回復の見込みのある病気です。治療方法は、病状の進行段階によって異なり、症状が軽度の場合は手術を行わず、点眼治療や内服薬による治療を行います。ただ、薬の使用は白内障の進行を抑えることが目的で、水晶体が透明に戻るわけではありません。そのため、症状が進行した場合には、外科的手術を行います。 白内障の手術としては「超音波水晶体乳化吸引術」と呼ばれるものが一般的です。

この手術では、濁った水晶体を超音波で粉砕して取り除き、その代わりに人工水晶体である眼内レンズを挿入します。白内障の手術は、入院、日帰り手術、どちらでも行われます。患者さんの全身状態や手術後の通院に問題がないなど、いくつか条件がありますので、日帰り手術を希望する場合は医師とよく相談するようにしましょう。

白内障の手術後にレーシックを受ける場合の注意点

白内障を患っていてもレーシック手術を受けられる場合はありますが、白内障のタイプによってはレーシック手術を受けられないものもあるため、注意が必要です。水晶体の真ん中の「核」の部分から白濁が始まる「核性近視(核白内障)」の場合は、レーシック手術が受けられません。 また、白内障の手術は、眼内にレンズを挿入するため、このレンズの度数を調整することで視力を上げることも可能です。ただし、単焦点レンズの場合、近視を治して遠くを裸眼で見えるようにすると、

今度は近くが見えにくくなるため、老眼鏡が必要になります。このため、全てを裸眼で見るためには、遠近両方の多焦点レンズにする必要があります。多焦点レンズには、コントラスト感度の低下や光の見え方の不具合などのデメリットがある場合もあります。 なお、白内障手術で十分な視力回復ができなかった場合は、レーシックで視力の再矯正を行うこともありますが、その際は、白内障手術後、状態が安定してから検討するようにしましょう。

レーシックを受けた後に白内障の手術を受ける場合の注意点

レーシック手術を受けた後に白内障手術をすることは、基本的に可能です。ただし、注意を要する点があります。 レーシック手術では角膜を削るため、角膜の形状が変化しています。そのため、レーシックの後に白内障の手術を行う場合は、変化した角膜の形までを細かく考慮した眼内レンズを使う必要があります

精密な計算となるため、レーシックを受ける前の目のデータを用意するようにしましょう。また、できるだけレーシックに詳しい病院を選んで白内障の手術を行うことをおすすめします。

緑内障と白内障を予防するために

緑内障と白内障を予防するために これまで緑内障や白内障とレーシックの関係についてみてきました。では、どうすれば緑内障や白内障を予防することができるのでしょうか?

緑内障の予防方法

先に述べたとおり、緑内障の原因は明確にはなっていません。そのため、特に有効な予防法はないのが現状です。ただ、緑内障は徐々に視野が狭くなっていく病気のため、早期に発見し、治療をすることが非常に大切です。自覚症状がないことも多く、定期的な検診を受けて、適切な点眼薬での治療を怠らないことが重要です。 この他に、緑内障の原因は服薬にも関係しています。

服薬によって緑内障を発症するケースは、急激な発症と慢性的な発症の2パターンがあります。総合感冒薬や抗アレルギー薬などの医薬品を使った後に、急に目に「充血」「痛み」「かすみ」を感じたり、「頭痛・吐き気」が生じた場合は、急激に緑内障を発症している場合があります。直ちに医療機関を受診するようにしてください。また、副腎皮質ステロイド薬を常用している方は、慢性的な緑内障を発症するリスクがありますので、定期的に眼科検診を受けるようにしましょう。

白内障の予防方法

白内障は緑内障よりも原因がはっきりとしている病気です。そのため、予防法も緑内障に比べて明確になっています。白内障を予防する方法は主に下記の5つです。

  • 紫外線から目を守る
  • 食生活の改善
  • 適度な運動
  • 禁煙をする
  • 目薬を使う

・紫外線から目を守る
紫外線は白内障の原因のひとつです。外出時には紫外線カット機能のついたサングラスやつばの広い帽子などを着用し、普段の生活の中で紫外線から目を守るようにしましょう。また、晴れの日だけでなく、曇りの日であっても紫外線は出ています。長時間の外出をする際は天気に関わらず、サングラスや帽子を着用するようにすると良いでしょう。

・食生活の改善
白内障は水晶体の糖化や酸化が発症の原因のひとつと考えられています。血液中の糖化ストレスや酸化ストレスを下げるためには、炭酸飲料や揚げ物、スナック菓子などの糖質を含む食べ物を控え、炭水化物を取り過ぎないように注意しましょう。 また、酸化を防ぐために抗酸化作用のある栄養素を取ることも効果があるとされています。ビタミンC(アセロラ、ゆず、キウイフルーツなど)、ビタミンE(アーモンド、うなぎ、かぼちゃなど)、ルテイン(ケール、モロヘイヤ、小松菜など)、ゼアキサンチン(クコの実、パプリカ、トウモロコシなど)といった栄養素の多く含まれる食べ物を、普段の食事の中で上手に取り入れるようにすると良いでしょう。

・適度な運動
適度な運動は、血行を促進し、酸化ストレスから身を守ってくれるため、白内障の予防に効果的です。ウォーキングやジョギング、水泳などの有酸素運動を、無理のない範囲から始めるようにしましょう。

・禁煙をする
タバコはさまざまな病気の原因になりますが、白内障や緑内障、加齢黄斑変性などの目の病気との関連も指摘されています。白内障を予防するためには、タバコを吸わないようにすることが理想です。難しい場合は、まずは1本から減煙するようにしてみてください。また、最近では禁煙外来のある病院も増えてきていますので、どうしても禁煙が難しいようなら、そうした医療機関を受診してみても良いでしょう。

・目薬を使う
眼科では、白内障の進行を防ぐ目薬を処方される場合があります。ものの見え方に異常を感じた場合は、なるべく早く受診し、医師の指示に従って処方された目薬を使うようにしましょう。 これらの予防法は白内障だけではなく、緑内障やそのほかの病気の予防にも繋がることが期待できます。全てを取り入れるのが理想ですが、まずはひとつずつ見直すようにして、毎日の生活を改善するようにしましょう。

まとめ

まとめ 緑内障や白内障を患っていると、レーシック手術は難しい場合も多く、受けられるとしても注意が必要となります。緑内障や白内障などの眼の病気とレーシックの両方に詳しい医療機関で、よく相談するようにしましょう。また、緑内障や白内障は、早期発見が非常に大切です

特に40歳以上の方は、定期的に眼科健診をすることを強くおすすめします。そしてすでに発症している場合は、眼科医の指示に従って、点眼薬などの治療を怠らずに、病気の進行を食い止めることが重要です。

参考文献

この記事の監修歯科医師
柳 靖雄医師(横浜市大 視覚再生外科学客員教授 お花茶屋眼科院長)

柳 靖雄医師(横浜市大 視覚再生外科学客員教授 お花茶屋眼科院長)

東京大学医学部卒業(1995年 MD)/ 東京大学大学院修了(医学博士 2001年 PhD) / 東京大学医学部眼科学教室講師(2012-2015年) / デューク・シンガポール国立大学医学部准教授(2016年-2020年)/ 旭川医科大学眼科学教室教授(2018年-2020年) / 横浜市立大学 視覚再生外科学 客員教授(2020年-現在) / 専門は黄斑疾患。シンガポールをはじめとした国際的な活動に加え、都内のお花茶 屋眼科での勤務やDeepEyeVision株式会社の取締役を務めるなど、マルチに活躍し ています。また、基礎医学の学術的バックグラウンドを持ち、医療経済研究、創薬、国際共同臨床研究などを行っています。

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