レーシックは、裸眼での視力を取り戻す手段として、多くの人々に知られています。
「レーシック」という言葉を耳にすると、多くの方が「近視の矯正」という印象を持つかもしれませんが、実際には、かなり高度な乱視も、安心して効果的に矯正できます。
乱視とは、角膜が完全な球形でなく、アメフトボールのような楕円形になっているときに起こる現象です。この楕円形の角膜を持つ人は、光が目に入る際に均等に屈折しないため、視界が歪むことがあります。
乱視が強い方は、近くのものも遠くのものもぼんやりと見えることが多く、頭が痛くなったり、目が疲れやすくなることもあります。
角膜の形を変えて視力を向上させるレーシックや他のレーザー視力矯正手術は、乱視に困っている方々にとって、希望となる選択肢です。
レーシックによって矯正可能な乱視と、そうでない乱視の違いや、手術時のポイントについて、詳しくお伝えします。
レーシックについての基礎知識|乱視のあなたが知っておくべきこと
- レーシック手術の基本情報を教えてください。
- レーシック手術では、まず麻酔を施します。その後、レーザーを使用して、角膜の上部に「フラップ」と称される蓋を形成します。この蓋を開いた部分にレーザーを当て、角膜の形状を微調整します。
角膜は、光を適切に屈折させ、網膜に映像を映し出す役割を果たします。しかし、近視や遠視の方は、この屈折が正しく行われないため、クリアな映像を得ることが難しいのです。レーシックは、レーザーを用いて角膜の形状を変更し、この屈折を正常に戻す手術です。レーザーを当てる時間は短く、約10秒ほどで終了します。角膜の調整が終わった後は、フラップを元の位置に戻し、目を清潔にします。手術全体の所要時間は、一つの目に対しておおよそ10分〜20分程度と言われています。手術後は、視力が向上し、入院の必要はありません。日帰りでの治療が可能なのが魅力的な点です。
- レーシック手術のメリットとデメリットを教えてください。
- レーシック手術には多くのメリットがありますが、同時にいくつかのデメリットも考慮する必要があります。まず、メリットとして挙げられるのは、近視だけでなく、遠視や乱視も矯正できることです。これは非常に大きな魅力と言えるでしょう。角膜が光を正確に屈折させられないために視力の問題が生じるのですが、レーシック手術では、この角膜の不均等な部分を精密にレーザーで修正します。その結果、光が正確に焦点を合わせることができ、視力が向上します。
また、手術の所要時間が非常に短いのも大きなメリットです。実際、手術は片方の目につき約10分程度しかかかりません。そして、驚くべきことに、多くの患者さんが手術の翌日には視力が戻ったことを実感できているようです。さらに、他の視力矯正方法と比べると、レーシックは費用面でも比較的リーズナブルであると感じられるでしょう。
一方、デメリットとしては、角膜を直接修正するため、一度手術を受けると元に戻すことが難しい点が挙げられます。これは再手術を検討する際に考慮すべき点です。また、稀に、手術後に視力が再び低下することや、夜間の視界が悪くなる「ハロー・グレア」という現象が起こることがあります。一時的なドライアイの症状も報告されていますが、これらのリスクも考慮する必要があります。ただし、レーシックによる失明のケースは、これまでのところ報告されていませんので、その点は安心してください。
レーシック手術で乱視は治る?
- 乱視とはどういう状態か教えてください。
- 乱視とは、眼の光学系が光を一つの焦点に集めることができない状態を指します。具体的には、眼の角膜や水晶体の曲率が均一でないため、入射する光が正確に網膜上の一点に集まらず、ぼやけたり、歪んだりして物を見ることが生じます。人の眼は、カメラのように光をレンズで屈折させ、フィルムに映し出す仕組みを持っています。この比喩で言うと、角膜や水晶体がレンズ、網膜がフィルムに相当します。乱視の状態では、この「レンズ」の形状が均一でないため、光の屈折が一定でなく、結果として「フィルム」上にはっきりとした像が映らないのです。
乱視の原因としては、遺伝や成長過程での眼の変形、外傷や病気などが考えられます。乱視は、その形状や原因によって、正乱視と不正乱視に分類されることがあります。正乱視は、角膜の曲率が一定の方向で異なるもので、不正乱視は角膜の歪みが不規則であるものを指します。
- レーシック手術は乱視を治すことができますか?
- レーシック手術で乱視の治療は可能です。
通常の近視・遠視のレーシックは、レーザーを円形に照射し、カーブを照射面全てに対し、均等に変化を加えることで、視力を回復させます。しかし、乱視矯正の場合は2点ある焦点を1点にまとめるために、ある一方向のみ楕円形に削る形を取ります。
近視と乱視の両方をレーシック手術で治療することもできます。その場合は、円形の照射と楕円形の照射を組み合わせる形で進めていきます。
遠視と乱視も同様で、円形の照射方法を若干変化させるだけで、総合的な矯正をしていくことが可能となります。 -
- 乱視の場合、レーシック手術の値段が上がりますか?
- レーシック手術は、近視や遠視、そして乱視の矯正にも利用される先進的な視力矯正手術です。乱視の矯正に関して手術の費用が高くなるかどうかは、実施するクリニックや病院、手術の内容や技術、使用する機器の種類などによって異なります。一般的に、乱視の矯正を含むレーシック手術の費用は、近視や遠視のみの矯正と比較して大きく変わることは少ないようです。しかし、乱視の度合いが非常に高い場合や、特殊な矯正技術が必要な場合は、追加の費用が発生することも考えられます。
日本国内でのレーシック手術の平均的な費用は、両眼で数十万円程度となっています。乱視の矯正を行う場合でも、この範囲内での料金設定が多いでしょう。ただし、最新の技術や機器を使用するクリニックでは、やや高額になることもあります。
重要なのは、費用だけでなく、手術の質や安全性、アフターケアの充実度などを総合的に考慮して、クリニックや病院を選ぶことです。乱視の矯正に関しても、十分なカウンセリングを受け、理解した上で手術を受けることが大切です。
レーシック手術で乱視を治療する際に気を付けておくべきこと
- もしレーシック手術後に乱視が改善しなかったらどうすれば良いですか?
- レーシック手術は乱視の矯正にも有効ですが、手術直後は角膜の安定を待つ期間が必要で、この時期には乱視の矯正効果が完全に現れないことがあります。
近視や遠視の矯正と同様に、一時的な過矯正や乱視が感じられることがあるものの、多くの場合は時間の経過とともにこれらの症状は改善します。
しかし、手術後も視力のぼやけが続く場合、安定期を迎えてからの再手術や追加の治療が検討されることもあります。多くのクリニックでは、手術費用に初期のアフターケアが含まれており、この期間内であれば、再矯正や調整の相談が可能です。
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- レーシック手術後に乱視が再発した場合、再手術は可能ですか?
- レーシック手術は、角膜の一部を取り除くことで視力を矯正する手術です。そのため、一度手術を受けると、角膜の厚さが減少します。このため、再手術を行う際には、角膜の残厚が十分であるかどうかが重要な判断基準となります。乱視が手術後に再発した場合、まずは原因を特定することが大切です。乱視の再発の原因としては、手術時のレーザーの照射量の不足や角膜の回復の過程での変化などが考えられます。
再手術の可否は、角膜の残厚や患者さんの状態、そして手術を行ったクリニックの方針によります。再手術が可能である場合、乱視の矯正を目的としたレーザー治療や角膜の微調整が行われることが考えられます。しかし、角膜の厚さが許容範囲を下回っている場合、再手術は難しいと判断されることもあります。
どちらの場合も、専門の眼科医との相談を基に、最適な治療方法や対応を選択することが重要です。
編集部まとめ
レーシック手術はその効果と安全性から、多くの国々で受け入れられています。この手術により、近視はもちろん、遠視や乱視も矯正することができ、多くの人々がメガネやコンタクトレンズの束縛から解放されています。この解放感は、多くの患者さんにとって大きな喜びとなっています。
しかしながら、レーシックは角膜を微調整する手術であり、一度手術を受けると、元の状態に戻すことはできません。この点をしっかりと理解し、手術を受ける前に十分な情報を得ることが大切です。
目は私たちの五感の中でも特に重要な役割を果たしています。そのため、手術に対する不安や疑問を持つのは自然なことです。そのような不安や疑問を解消するためにも、信頼できる医療機関での十分な検査やカウンセリングを受け、手術の内容やアフターケア、費用など、全ての情報をしっかりと理解した上で、手術を受けるかどうかの判断を下すことが重要です。
参考文献