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糖尿病で目がかすむ?糖尿病網膜症について解説します

糖尿病で目がかすむ?糖尿病網膜症について解説します

糖尿病で目がかすむことは、糖尿病網膜症が原因かもしれません。
この記事では、糖尿病網膜症の進行段階や対策について詳しく解説します。

  • 糖尿病で目がかすむ糖尿病網膜症とは
  • 糖尿病網膜症の3つの段階
  • かすみ目の対策

糖尿病網膜症について理解するためにもご参考いただけますと幸いです。
ぜひ最後までお読みください。

糖尿病で目がかすむ糖尿病網膜症とは

糖尿病で目がかすむ糖尿病網膜症とは

糖尿病網膜症とは、糖尿病の合併症の一つで、網膜の血管が障害されることで視力が低下し、重症化すると失明に至る病気です。糖尿病患者さんの3割程度が罹患する可能性があり、日本では失明原因の第一位とされています。
糖尿病網膜症は、血糖値が高い状態が長期間続くことで、網膜の血管がダメージを受け、血液の供給が不十分になることで発症します。
糖尿病網膜症は初期段階では自覚症状がほとんどなく、気付かないうちに進行してしまうことが多い傾向にあります。
進行すると目がかすむ、視力が低下する、視界に黒い点が見えるなどの症状が現れます。この段階では、網膜に新しい異常な血管ができ、出血や網膜剥離を引き起こす危険性があります。
糖尿病網膜症を予防するためには、血糖値、血圧、コレステロール値の適切な管理が重要です。また、早期発見と治療が視力を守るためには不可欠であり、症状が現れる前に検査を受けることが大切です。
糖尿病網膜症は予防と早期治療が鍵となるため、糖尿病患者さんは定期的に眼科を受診し、目の健康の維持が求められます。

糖尿病網膜症の3つの段階

糖尿病網膜症の3つの段階

糖尿病網膜症の進行にはどのような段階があるのでしょうか?

単純糖尿病網膜症

糖尿病網膜症は、糖尿病の合併症とされており、目の網膜に異常が発生する病気です。糖尿病網膜症は進行度に応じて3つの段階に分かれ、そのうちの初期段階が、単純糖尿病網膜症です。
単純糖尿病網膜症では、網膜の血管が脆くなり、小さな出血や網膜浮腫が発生します。視力に大きな影響が出ることは少なく、患者さんは自覚症状がほとんどないといわれているため、気付かずに放置されることが多いのが特徴です。
単純糖尿病網膜症での重要な治療法は、血糖コントロールをしっかり行うことです。血糖値を適切に管理すれば、病気の進行を遅らせたり、悪化を防げるほか、網膜症自体の改善も見込めます。
また、定期的な眼科検診も不可欠です。眼底検査を受けることで、目の状態を早期に把握し、必要に応じて早期治療を開始できます。
単純糖尿病網膜症は、病気が進行する前の重要な段階であり、ここで適切な対応を取ることが、将来の視力保護につながります。もし糖尿病を患っている場合は、定期的な検査を怠らず、早めに専門医の診断を受けることが大切です。

増殖前網膜症

糖尿病網膜症のなかでも、増殖前網膜症は中期の段階に位置します。増殖前網膜症では、網膜の血管が詰まり始め、網膜に十分な酸素が供給されなくなることで、視力低下が進行するリスクが高まります。
増殖前網膜症では、網膜にある血管が異常に拡張し、血液や液体が漏れ出すことがあります。漏出が原因で、網膜がむくみ、視力が低下する場合があります。
また、新しい血管が形成される前段階として、網膜の血管が不安定な状態になり、次の段階である、増殖網膜症へと進行するリスクが高まります。
増殖前網膜症の治療には、血糖値や血圧の管理が重要です。場合によっては、レーザー治療が行われることもありますが、この段階で適切な治療を受けることで、増殖網膜症への進行を防げます。

増殖網膜症

糖尿病網膜症のなかでも重篤な段階が、増殖網膜症です。
増殖網膜症では、網膜の血流が悪化するため、酸素不足を補うために新生血管が形成されますが、新生血管は大変脆く、容易に破れて出血を引き起こします。出血が発生すると、網膜上に血液が漏れ出し、視力の急激な低下を招くことがあります。
また、増殖網膜症が進行すると、新生血管が網膜に瘢痕組織を形成し、網膜剥離を引き起こすリスクもあります。さらに進行すると、失明に至る可能性があります。
増殖網膜症の治療には、レーザー治療や硝子体手術が用いられます。レーザー治療では、脆弱な新生血管を焼き固めることで、出血を防ぎます。硝子体手術は、硝子体内の出血や瘢痕組織を取り除き、網膜剥離を防ぐために行われます。
糖尿病網膜症は早期発見と治療が重要です。定期的な眼科検診を受け、早期に適切な対応をすれば、視力を守れます。

かすみ目の対策

かすみ目の対策

かすみ目を感じたら、どのように対策すればよいのでしょうか?

セルフチェック

かすみ目は、視力の低下や目の疲れだけでなく、糖尿病網膜症などの深刻な眼疾患の兆候である可能性があります。早期発見と対策が重要であり、セルフチェックを行えば自身の目の健康状態を把握できます。
まず、日常生活で見え方に変化がないかの確認が大切です。なかでも、視界がぼやけたり、暗い場所での見え方が以前より悪くなったと感じた場合は、注意が必要です。
また、物が歪んで見えたり、視野の一部が欠けている場合も、眼疾患のサインである可能性があります。糖尿病の方はより、糖尿病網膜症のリスクが高いため、定期的なセルフチェックが推奨されます。
具体的には、片目ずつ閉じて視界の変化を確認し、線が歪んで見えないか、視野に異常がないかをチェックします。
セルフチェックの結果、少しでも異常を感じた場合は、速やかな眼科の受診が大切です。セルフチェックを習慣にし、自身の目の健康を守りましょう。

定期的な眼科検診

かすみ目の対策として、定期的な眼科検診を受けることは重要です。
かすみ目は、眼精疲労や乾燥など一時的な要因によることもありますが、糖尿病などの全身的な疾患が原因である場合も少なくありません。なかでも糖尿病患者さんは、糖尿病網膜症などの合併症リスクが高く、放置すると視力低下や失明に至る可能性があります。
そのため、糖尿病と診断された場合は、早期から定期的に眼科検診を受け、目の状態をしっかりとチェックすることが推奨されます。
定期的な眼科検診では、眼底検査を通じて網膜の状態や血管の異常を確認し、早期に問題を発見できます。かすみ目の症状が軽度であっても、潜在的な眼の病気を見逃さないために、眼科医による専門的な診断が不可欠です。

レーザー光凝固術

糖尿病網膜症の進行によって、かすみ目が症状に現れることがあります。レーザー光凝固術は、糖尿病網膜症の悪化を予防するために行われます。
レーザー光凝固術は、目の奥にある網膜に直接レーザーを照射し、異常な血管の増殖を抑えたり、漏れ出した血液や体液の吸収を助けたりする治療法です。糖尿病網膜症のほかにも、網膜裂孔や網膜剥離の予防と治療に用いられます。
レーザー光凝固術のメリットは、外科的手術を必要とせず、短時間で治療できる点です。局所麻酔を使用するため、痛みもほとんどなく、入院の必要もないため、患者さんへの負担が少ないのが特徴です。
しかし、レーザー光凝固術には限界もあります。レーザー照射によって網膜の一部が焼灼されるため、視野が狭くなったり、夜間の視力が低下するリスクがあります。
また、レーザー光凝固術だけで病気の進行を止めきれない場合があるため、定期的な経過観察と治療が必要です。かすみ目の原因によっては、手術になる可能性もあります。

かすみ目や視力低下が気になる場合は、早めに眼科を受診し、適切な治療法の検討が大切です。レーザー光凝固術は、適切なタイミングで行うことで、視力を守るための強力な対策となります。

糖尿病による目のかすみを放置してはいけない理由

糖尿病による目のかすみを放置してはいけない理由

糖尿病による目のかすみを放置すると、どのような危険があるのでしょうか?

硝子体出血

糖尿病による目のかすみを放置すると、重篤な眼の合併症である硝子体出血を引き起こす可能性があります。糖尿病網膜症は、糖尿病が原因で網膜の血管が損傷し、視力低下や失明の原因となる病気です。
なかでも、進行した段階である増殖網膜症では、新しい異常な血管が網膜に形成され、それらの血管が破れて硝子体出血を引き起こすことがあります。
硝子体出血が起こると、視界が急にかすんだり、黒い影が見えることがあります。これを放置すると、血液が網膜に固着し、さらなる視力低下や失明のリスクが高まります。硝子体出血は、手術が必要になることもあり、早期の発見と治療が大変重要です。
糖尿病による目のかすみが現れた場合、それは硝子体出血やほかの網膜症状の前兆である可能性が高いです。そのため、目のかすみを感じたら早急に眼科を受診し、適切な検査と治療を受けることが必要です。
糖尿病の管理が不十分な場合、網膜症の進行を止めることが難しくなるため、血糖値のコントロールも重要です。硝子体出血を防ぐためには、糖尿病の早期診断と適切な治療、定期的な眼科検査が不可欠です。

網膜剥離

糖尿病による目のかすみを放置すると、重大な視覚障害を引き起こす可能性があり、その一つが網膜剥離です。
糖尿病は血糖値の管理が不十分な場合、全身の血管にダメージを与え、目の細かい血管が影響を受けやすくなります。その結果、網膜に十分な酸素や栄養が行き渡らなくなり、糖尿病性網膜症が進行する場合があります。
放置された糖尿病性網膜症は、網膜剥離という深刻な状態へと進展する場合があります。
網膜剥離は、網膜が本来あるべき位置から剥がれてしまう状態を指し、視力が急激に低下する危険性があります。なかでも非裂孔原性網膜剥離は、網膜に穴や裂け目がなくとも、網膜の下に液体が溜まることで剥がれが生じます。
非裂孔原性網膜剥離は、糖尿病による血液循環の悪化が原因となることがあり、早期に発見し治療を行わないと、視力の回復が困難になる場合があります。
糖尿病による目のかすみを感じた場合、ただの疲れ目と軽視せず、速やかな眼科の受診が重要です。定期的な眼科検診を受けることで、早期に糖尿病性網膜症や網膜剥離の兆候を発見し、視力を守ることが可能になります。

緑内障

糖尿病による目のかすみを放置すれば、重大なリスクを伴います。そのなかでも注意が必要なのが緑内障です。糖尿病は血糖値の上昇により、全身の血管にダメージを与えます。
目の血管も例外ではなく、糖尿病性網膜症と呼ばれる病状を引き起こし、これが進行すると緑内障を発症するリスクが高まります。
緑内障は、視神経に障害を引き起こし、視野が狭くなる病気です。初期段階では自覚症状がほとんどないといわれているため、目のかすみを単なる疲れや老化と考えがちですが、放置すると視力が徐々に低下し、最終的には失明に至ることもあります。
なかでも、糖尿病患者さんは緑内障のリスクが高いため、目のかすみを感じたら早めに眼科を受診するのが重要です。
さらに、糖尿病性緑内障は治療が遅れる程、回復が難しくなるため、定期的な眼科検診が欠かせません。治療には、薬物療法やレーザー治療、場合によっては手術が必要となりますが、早期発見が鍵となります。
糖尿病による目のかすみを軽視せず、緑内障の早期発見と治療を心がけることで、視力を守り、生活の質を維持できます。

その他の合併症

糖尿病による目のかすみを放置してはいけない理由は、糖尿病が引き起こすその他の深刻な合併症と密接に関連しているためです。
糖尿病は血糖値の管理が難しくなることで、全身の血管に影響を及ぼしますが、目の血管はとても細かいため、その影響を強く受けやすいです。
目のかすみが現れるのは、糖尿病網膜症や白内障、緑内障などの疾患が進行しているサインであることが多く、これらの病気は放置すると視力低下や、失明に至ることもあります。
また、糖尿病が引き起こすその他の目の病気には、黄斑浮腫や糖尿病性角膜症などもあります。これらの疾患は、視力を徐々に奪うだけでなく、日常生活に大きな支障をきたす可能性があります。
例えば、黄斑浮腫は視界がぼやける症状があり、細かい作業が困難になります。また、糖尿病性角膜症は角膜の治癒力が低下し、軽い傷でも治りにくく、感染症のリスクが高まります。
糖尿病による目のかすみを軽視せず、早期に医師の診察を受けることで、これらの合併症を予防し、視力を守れます。

まとめ

まとめし

ここまで糖尿病網膜症についてお伝えしてきました。
糖尿病網膜症の要点をまとめると以下のとおりです。

  • 糖尿病網膜症とは、高血糖が原因で目の網膜の血管に障害が起こり、視力低下やかすみ目を引き起こす病気である
  • 糖尿病網膜症は、初期の単純網膜症、進行期の増殖前網膜症、重度の増殖網膜症の3段階に分かれる
  • かすみ目の対策として、血糖値の管理と定期的な眼科検診が重要である

これらの情報が少しでも皆さまのお役に立てば幸いです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。

この記事の監修歯科医師
柿崎 寛子医師(Vista medical center Shenzhen)

柿崎 寛子医師(Vista medical center Shenzhen)

三重大学医学部卒業 / 現在はVISTA medical center shenzhen 勤務 / 専門は眼科

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