硝子体手術にかかる費用を知っていますか? 本記事では硝子体手術の内容や注意点について以下の点を中心にご紹介します。
- そもそも硝子体とは
- 硝子体手術にかかる費用
- 硝子体手術の注意点
硝子体手術にかかる費用について理解するためにもご参考いただけますと幸いです。 ぜひ最後までお読みください。
そもそも硝子体とは?
硝子体は、眼球の内部を占める透明なゼリー状の組織で、水晶体より奥に位置しています。この硝子体は、加齢や疾患により変質することがあり、その結果、網膜を引っ張ったり、出血により透明性が損なわれることで視覚障害を引き起こすことがあります。
硝子体手術とは?
硝子体手術はどのような内容でしょうか?以下で解説していきます。
硝子体手術の内容
硝子体手術は、眼球の内部に存在する透明なゼリー状の組織、硝子体に関連する問題を治療するための手術です。手術は通常、局所麻酔下で行われ、患者さんは手術中に仰向けになります。
手術の流れは以下の通りです。
白目の部分に3つの小さな穴を開け、手術器具を挿入します。これらの穴は、眼球の形状を保つための灌流液を注入するため、眼内を照らすため、そして硝子体を切除するためのカッターを挿入するために使用されます。
濁った硝子体をカッターで切除し、必要に応じて網膜に追加の操作を行います。これには、網膜上の膜の除去やレーザー凝固などが含まれます。
疾患や状況に応じて空気やガス、シリコンオイルなどを眼内に注入します。これらの物質は、手術後の眼内の状態を安定させるために使用されます。
手術後は、患者さんは安静にすることが求められます。うつ伏せの姿勢を指示されることもあります。これは、眼内に注入されたガスが水よりも軽いため、眼内で浮力を生じ、内側から網膜を圧迫するからです。この手術は、硝子体が原因で発生する視覚障害を改善するための重要な治療法です。
硝子体手術に必要な検査
硝子体手術を受ける前には、以下のような一連の検査が必要となります。
角膜曲率半径:角膜の形状を確認します。
屈折検査:眼の屈折状態を確認します。
視力検査:視力の状態を確認します。
眼圧検査:眼圧の状態を確認します。
細隙灯顕微鏡検査:水晶体の濁り状態を確認します。
眼底検査:網膜の状態を確認します。
蛍光眼底造影検査:網膜の血流状態を確認します。
光干渉断層計:網膜の厚さを計測します。
角膜内皮細胞検査:角膜の健康状態を確認します。
また、水晶体の濁り状態によっては、網膜の電気的検査やエコー検査も必要となることがあります。さらに、手術が可能かどうかを判断するために、血液検査や血圧測定などの全身的な検査も行われます。
硝子体手術にかかる費用
硝子体手術の費用は、患者さんの保険適用状況や手術内容により異なります。以下に、一般的な費用の目安を示します。
日帰りの硝子体手術(片目)
1割負担の場合:約40,000円
2割負担の場合:約80,000円
3割負担の場合:約120,000円
70歳以上の高齢者の自己負担額の上限は、患者さんごとに設定され、超過した分は申請により償還されます。
現役所得者(夫婦世帯で年収520万円以上・単身世帯で年収383万円以上):窓口負担3割、自己負担額の上限44,400円/月
一般:窓口負担1割、自己負担額の上限18,000円/月
非課税世帯(限度額適用認定証の提示が必要):窓口負担1割、自己負担額の上限8,000円/月
これらの費用はあくまで目安であり、具体的な費用は手術内容や個々の病院により異なるため、詳細は医療機関に直接お問い合わせください。
硝子体手術で治療効果が期待できる疾患
硝子体手術で治療効果が期待できる疾患について以下で解説していきます。
裂孔原性網膜剥離
裂孔原性網膜剥離は、眼球の内部に存在する神経膜組織である網膜が、硝子体の引っ張りなどにより穴が開き、剥がれてしまう病気です。これにより視野と視力障害が引き起こされ、放置すると失明に至る可能性があります。この病気はどの年齢でも発症する可能性がありますが、特に20代と50代の人に多いとされています。
糖尿病網膜症
糖尿病網膜症は、糖尿病腎症、糖尿病神経症と並ぶ糖尿病の三大合併症とされています。定期的な検診と早期治療により、病気の進行を抑えることが可能です。しかし、日本では中途失明の主要な原因となっています。
病気の初期段階では自覚症状はほとんどありませんが、目の中の血管の状態を見ると、小さな出血などの異常が見られます。中期になると、視界がかすむなどの症状が現れ、末期になると視力低下や飛蚊症が起こり、最悪の場合、失明に至ることもあります。
黄斑前膜 (黄斑上膜)
黄斑前膜(黄斑上膜)は、眼底の中心部にある黄斑部の網膜に膜が張る病気で、視力の低下を引き起こす可能性があります。この病気は、網膜表面に薄いセロファン状の膜が張り、それが縮むことで網膜にシワができたり、その部分にむくみが発生したりすることがあります。これにより、視界が歪んだり、視界の中心が暗くなる場合があります。
黄斑前膜は、40歳以上の20人に1人程度が罹患するとされ、特に50歳以上の女性や近視の強い人に多いとされています。進行は非常にゆっくりで、急速に視力が悪く、失明に直結することはほとんどありません。
硝子体手術の注意点
硝子体手術にはいくつかの注意点があります。以下で解説していきます。
硝子体手術前の注意点
硝子体手術を受ける前には、以下の注意点があります。
点眼薬:手術予定日の数日前から抗生物質の点眼薬を使用します。これは、眼の表面にいる細菌を減らし、手術をより安全に行うためです。
洗髪:手術後は一時的に洗髪を控える必要があるため、手術の前日に洗髪をしておくと良いでしょう。
リラックス:手術には不安が伴うことが多いですが、リラックスすることで体調を整えることが重要です。手術前夜は消化の良い食事をとり、十分な睡眠をとることをおすすめします。
コンタクトレンズ:コンタクトレンズを使用している場合は、手術前に医師に相談してください。
薬の服用:普段服用している薬がある場合は、そのことも事前に医師に伝えておくことが重要です。特別な指示がない限り、通常通りに服用できます。
硝子体手術当日の注意点
硝子体手術当日には、以下の注意点があります。
時間:指定された時間に遅れないよう、余裕をもって家を出ましょう。
化粧:手術当日は、お化粧は控えてください。
服装:清潔で着脱しやすいものを選び、体を締めつけるような服装は避けてください。手術前には病衣に着替えます。
アクセサリー:アクセサリーや貴金属類も控えてください。
靴:かかとが低く、滑りにくい靴が理想です。
入れ歯:部分的な入れ歯をしている方は、手術前に外しておきます。
食事と水分:当日の食事は軽くし、手術2時間前からは水分の過剰摂取は控えてください。
体調:体調に気になることがあれば、医師に相談してください。
硝子体手術後の注意点
硝子体手術後の注意点は以下の通りです。
手術当日:トイレや食事以外はベッドで安静にし、内服薬の服用を忘れないようにしましょう。
手術翌日:眼内にガスやシリコンを入れた場合は、体位の指示を守り、入浴やシャワーは控えてください。また、テレビや読書は長時間にわたらないようにし、通院時には車の運転を避けてください。保護メガネを装着するように指示されることもあります。
手術後3〜5日目:お風呂に入っても大丈夫ですが、顔を洗わずに拭く程度にしましょう。事務的な作業や家庭の仕事も行えますが、目に負担をかけない程度に活動しましょう。通院や外出の際には、なるべく車は避け、公共の交通機関を利用しましょう。飲酒や喫煙は医師に確認してください。
手術後1週間目以降:仕事や家事も平常通り可能ですが、体にストレスを与える活動や危険な作業は避けるようにしましょう。処方された薬や1日4回の点眼は忘れずに続ける。髪を洗ったり、洗顔、化粧をすることもできますが、目を強く押すことやこすらないように注意してください。外出や旅行も許可されますが、あくまでも体調を見ながらにしましょう。眼内にガスが充填されている場合、飛行機の搭乗は避けるべきです。
手術後2週間目以降:運動は2週間目から可能になります。手術後1カ月が経過すると、傷はほぼ完全に治癒し、激しい運動も行えるようになります。さらに、視力が安定するため 眼鏡が必要な方は眼鏡の調整のための検査を受けることが可能になります。
点眼は3カ月間続きますので、くれぐれも忘れないようにしましょう。自然に外れてしまった場合、できるだけ目に触れないように付け直してください。
まとめ
ここまで硝子体手術にかかる費用についてお伝えしてきました。硝子体手術にかかる費用の要点をまとめると以下の通りです。
- 硝子体は、眼球の内部を占める透明なゼリー状の組織で、水晶体より奥に位置している
- 硝子体手術が1割負担の場合は「約40,000円」、2割負担の場合は「約80,000円」、3割負担の場合は「約120,000円」とされている
- 硝子体手術前には、「点眼薬を使用する」「洗髪を控える」「リラックスする」「コンタクトレンズを相談する」「服用している薬を事前に医師に伝えておく」ことが必要
これらの情報が少しでも皆さまのお役に立てば幸いです。 最後までお読みいただき、ありがとうございました。