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ブルーライトが原因で白内障になる?ブルーライトが目に与える影響と対策方法

ブルーライトが原因で白内障になる?ブルーライトが目に与える影響と対策方法

ブルーライトは、スマートフォンやパソコンなどのデジタル機器やLED照明から発せられる青い光のことをいいます。長時間浴び続けることで、眼精疲労や睡眠障害など、さまざまな不調の原因になることが指摘されています。

さらに、ブルーライトは目への影響が懸念されています。完全に避けることは難しくても、日常生活のなかで取り入れやすい対策によって、目への負担を軽減することは可能です。この記事では、ブルーライトが目にどのような影響があるのか、またその対策を紹介します。

デバイスの使用が目に与える影響

デバイスの使用が目に与える影響 私たちが日常的に浴びるブルーライトの大部分は太陽光由来であり、デジタル機器から発せられるブルーライトの量は比較的少量です。

そのため、目の不調の多くは、ブルーライトそのものよりも、長時間の画面注視や使用環境が主な原因とされています。ここでは、デジタルデバイスの使用と目の健康について、科学的根拠に基づいて解説します。

眼精疲労や充血

長時間のデジタルデバイス使用によって目の筋肉が緊張し続けることで、眼精疲労を引き起こすことがあります。眼精疲労は、目の痛みや重たさ、かすみ、充血などの症状を伴い、頭痛や肩こり、吐き気など全身の不調につながることもあります。

ドライアイの悪化

デジタルデバイスを見続けていると、まばたきの回数が減少して、目の表面を潤す涙の量が不足しやすくなってしまいます。その結果、目の表面が傷ついたり乾燥したりするため、ドライアイの症状が悪化することがあります。

睡眠障害とメラトニン分泌の減少

夜間にデバイスを使用すると、体内時計を調整するホルモンであるメラトニンの分泌が抑制され、睡眠の質が低下することがあります。特に就寝前にスマートフォンやパソコンを使用することで、入眠が遅れたり、眠りが浅くなったりするといわれています。

集中力低下と視覚ストレス

デジタルデバイスの使用による目の疲れや不快感は、集中力の低下や作業効率の悪化につながることがあります。長時間のデジタルデバイス使用により、視覚的なストレスが蓄積し、注意力が散漫になることもあります。

ブルーライトと白内障の関連性

ブルーライトと白内障の関連性 目にさまざまな影響を及ぼすブルーライトですが、白内障との関連性はあるのでしょうか。ここでは、ブルーライトと白内障の関係について解説します。

◎白内障とは

白内障とは、水晶体と呼ばれる目のなかでレンズの役割を果たす部分が白く濁ってしまう病気です。本来、水晶体は透明で外から入ってきた光を網膜まで届ける働きをしていますが、加齢などにより徐々に濁り始めると光がうまく通らなくなり、視界がかすんだり、物が二重に見えたりするようになります。 日本では白内障はとても身近な疾患であり、60歳代で70%以上、80歳代ではほぼ全員に何らかの白内障の兆候が見られるといわれています。主な原因は加齢ですが、糖尿病や紫外線、外傷、生活習慣などもリスク因子とされています。

◎ブルーライトとの関連性

現時点では、デジタルデバイスから発せられるブルーライトが白内障を引き起こしたり、その進行を促進したりするという科学的根拠はありません。2018年の米国眼科学会(American Academy of Ophthalmology)の声明でも、デジタル機器から発せられるブルーライトが目に害を与えるという証拠はないと発表されています。

◎白内障手術後の透過率

白内障の手術では、濁った水晶体を人工レンズに置き換えます。白内障手術後はまぶしさを強く感じることがありますが、これは主に水晶体が濁っていた状態から透明な人工レンズに置き換わることで、より多くの光(全波長の光)が網膜に到達するようになるためです。これはブルーライト特有の現象ではなく、全体的な光の透過量の増加によるものです。2019年の研究では、白内障手術後のまぶしさは、ブルーライトだけでなく、全体的な光感度の変化によるものであることが示されています。

ブルーライトの影響で起こりやすい目のトラブル

ブルーライトの影響で起こりやすい目のトラブル ブルーライトを長時間浴び続けることで起こりやすい目のトラブルについて、詳しく見ていきましょう。

加齢黄斑変性症

加齢黄斑変性症は、網膜の中心部にある黄斑と呼ばれる部分が加齢とともに変性して視力が低下する病気です。日本では中途失明原因の4位で、50歳以上での発生率が約100人に1人といわれています。

現在の研究では、デジタル機器から発せられるブルーライトの量はとても少なく、加齢黄斑変性症のリスクを高めるという根拠は確立されていません。実際に太陽光に含まれるブルーライトの量はデジタル機器の何倍も多いため、屋外での適切な紫外線対策(サングラスの着用など)の方がより重要とされています。

ドライアイ症候群の悪化

ドライアイ症候群は、目の表面を潤す涙の量が不足したり、質が低下したりすることで、目の乾燥や不快感を引き起こす状態です。デジタルデバイスを長時間使用すると、集中することでまばたきの回数が減少して涙の蒸発が促進されるため、ドライアイの症状が悪化することがあります。これはブルーライト自体の影響ではなく、デバイス使用時の集中によるまばたきの減少が主な原因です。

さらに、ドライアイが進行すると、角膜障害や視力低下のリスクが高まります。涙が不足すると角膜が傷つきやすくなり、細菌性角膜炎などの感染症を引き起こす可能性もあります。重症化すると治療が難しくなるため、早めの対策が大切です。

日常生活で実践できるブルーライト対策

日常生活で実践できるブルーライト対策 ブルーライトは、太陽光やデジタルデバイスの画面に含まれており、現代の生活では完全に避けることは難しい存在です。しかし、日常生活のなかで少しの工夫をすることで、目への負担を軽減することができます。ここでは、自宅や職場などでもすぐに実践できる具体的な対策をご紹介します。

ブルーライトカットメガネを着用する

ブルーライトカットメガネは、レンズに特殊な加工が施されており、ブルーライトの一部をカットする役割があります。視力矯正用ではないタイプも販売されており、普段メガネをかけていない人でも取り入れることができます。

ただし、ブルーライトカットメガネについては、目の疲れを軽減するという科学的根拠は乏しいというのが眼科学会の見解です。2021年の日本眼科学会からの声明でも、ブルーライトカットメガネの目の疲れ軽減効果を支持する十分な科学的根拠はないことが指摘されています。デジタル機器使用時の不快感を軽減するには、適切な画面の明るさ調整、定期的な休憩、正しい姿勢の維持などがより効果的です。

スマートフォンやパソコンの画面設定を調整する

スマートフォンやパソコンには、ブルーライトを抑えるナイトモードやブルーライト軽減モードが搭載されています。これらの機能を使うと、画面の色温度が暖かみのある色に変化し、目への刺激がやわらぎます。夕方以降はこれらの設定を活用することで、睡眠の質を保ちやすくなります。

また、画面の明るさを調節することも大切です。暗い部屋で明るすぎる画面を見ると、目に過剰な負担がかかるため、周囲の明るさに合わせて画面の明るさを調整しましょう。文字サイズを大きめに設定したり、画面との距離を40〜50cm程度に保つなど、目に優しい環境を整えることも効果的です。

ブルーライトカットのフィルムをデバイスに貼る

スマートフォンやパソコンの画面に貼るタイプのブルーライトカットフィルムも市販されています。メガネの着用や設定の変更が難しい場合でも、フィルムを貼るだけでブルーライトの影響を軽減できます。画面保護の役割も兼ねているため、デバイスをきれいに保つことにもつながります。

抗菌加工や反射防止、指紋防止機能など、複数の機能を併せ持つフィルムも登場しており、スマートフォンを長く清潔に使いたい人にもおすすめです。

◎室内照明を工夫する

意外と見落としがちなのが照明からのブルーライトです。LED照明にはブルーライトが含まれており、特に白色系の光は目への刺激が強いとされています。長時間作業を行う部屋では、昼白色や電球色の照明に切り替えることで、目の負担をやわらげることができます。

寝室の照明は光の色を暖色系にし、就寝前は間接照明などでリラックスできる環境を整えるのがおすすめです。家庭内でも、光の色と強さに注目することで、ブルーライト対策がより効果的になります。

ブルーライトを浴びる量を減らすために取り入れたい習慣

ブルーライトを浴びる量を減らすために取り入れたい習慣 ブルーライトの影響を完全に避けることは難しいものの、日常の過ごし方を少し見直すことで、目への負担をやわらげることができます。ここでは、ブルーライトを浴びる量を減らすために、今日から取り入れられる習慣をご紹介します。

就寝前のデジタル機器の使用制限

夜間にスマートフォンやパソコンなどのデジタル機器を使用すると、画面から発せられるブルーライトによって睡眠ホルモンであるメラトニンの分泌が抑制され、体内時計が乱れる可能性があります。寝つきが悪くなったり、睡眠の質が低下したりするといわれています。

就寝前はデジタル機器の使用を控え、リラックスできる時間を過ごすことが、良質な睡眠への第一歩です。読書やストレッチ、照明を暗めにするなど、落ち着いた夜の過ごし方を意識するとより効果的です。

定期的な目の休憩やストレッチ

長時間のデジタルデバイス使用は、目の筋肉を緊張させ眼精疲労を引き起こす原因となります。1時間に1回、数分間の休憩を取り、遠くの景色を見るなどして目をリラックスさせましょう。また、目の周りや首、肩のストレッチを行うことで、血行が促進され疲れの軽減につながります。

「20-20-20ルール(20分ごとに20フィート=約6m先を20秒間見る)」を取り入れるのもおすすめです。デスクワークの合間に少し身体を動かすだけでも、集中力の回復にも役立ちます。

栄養素を意識した食事

目の健康を保つためには、日々の食事から必要な栄養素を摂取することが大切です。特に、ルテインやゼアキサンチンは、ブルーライトから目を保護する働きがあり、ほうれん草やケール、ブロッコリー、卵黄などに多く含まれています。

また、ビタミンCやビタミンE、亜鉛などの抗酸化成分は、目の老化を防ぐと同時に、白内障や加齢黄斑変性症などのリスク軽減にもつながるとされています。忙しい日はサプリメントを取り入れるなど、無理のない方法で栄養を補うことも一案です。

デジタルデトックス

デジタルデトックスとは、一定期間スマートフォンやパソコンなどのデジタル機器から離れることを指します。ブルーライトの曝露を減らすだけでなく、ストレスの軽減や睡眠の質の向上、集中力の回復など心身のリフレッシュにもつながります。

週末や休日にデジタル機器を使わない時間を設けたり、SNSやニュースのチェックを制限したりするなど、自分に合った方法で取り入れてみましょう。家族や友人との時間を大切にすることも、結果的に目と心の健康を守ることにつながります。

まとめ

現在の科学的根拠に基づくと、デジタル機器から発せられるブルーライト自体が目の病気を引き起こしたり進行させたりする証拠は限定的です。デジタル機器使用による目の不快感は、主に長時間の近距離作業、まばたきの減少、不適切な画面設定などが原因です。目の健康を守るためには、適切な休憩を取る、画面との距離や角度を調整する、定期的にまばたきを意識するなどの対策が効果的です。栄養バランスの取れた食事や、目を休める習慣も大切です。

参考文献

この記事の監修歯科医師
栗原 大智医師(眼科医)

栗原 大智医師(眼科医)

2017年、横浜市立大学医学部卒業。済生会横浜市南部病院にて初期研修修了。2019年、横浜市立大学眼科学教室に入局。日々の診察の傍らライターとしても活動しており、m3や日経メディカルなどでも連載中。「視界の質=Quality of vision(QOV)」を下げないため、診察はもちろん、SNSなどを通じて眼科関連の情報発信の重要性を感じ、日々情報発信にも努めている。 / 資格:日本眼科学会専門医

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