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光が眩しい時に考えられる目の病気とは?原因・治療方法・対処法も解説します

光が眩しい時に考えられる目の病気とは?原因・治療方法・対処法も解説します

いつもと同じ明るさのはずなのに部屋の蛍光灯が眩しいと感じたり、外に出ると眩しくて目が開けられなかったりしたことはありませんか?

暗い場所から急に外に出た時や、太陽を見てしまった時に眩しいと感じるのはよくあることです。

しかし自分だけが眩しいと感じていたり、今までと同じ状況なのに眩しさを感じたりするなら、それは目の病気が原因かもしれません。

この記事では、光が眩しい時に考えられる目の病気と原因・治療法・日常生活での対処法などを解説していきます。

光が眩しい時に考えられる目の病気とは?

目の疲れ 男性

普通の明るさなのに眩しくて不快に感じる状態を「羞明(しゅうめい)」と呼びます。さまざまな原因が考えられますが、痛みがある時とない時に分けて見ていきましょう。

まず痛みがない場合は、瞳が開いてしまう動眼神経麻痺・水晶体の濁りによる白内障・黄斑の変性や萎縮が考えられます。

痛みを伴うなら、ドライアイやコンタクトレンズなどのさまざまな原因によって角膜が傷ついている・緑内障・ぶどう膜炎などが主な原因です。

また、虹視症(こうししょう)と呼ばれる、電球や月などのように光っているものを見た時、その周りに虹のような光の輪が見える現象もあります。

光が眩しく感じる原因は?

目頭を押さえる男性

いつもと同じ状況なのに光が眩しいと感じる原因になる病気としては、白内障・ぶどう膜炎・ドライアイなどが考えられます。以下にそれぞれの病気の症状や病気が起きる原因などを見ていきましょう。

白内障

ものを見る時にレンズのような役目を果たす、水晶体という組織が混濁する病気を白内障と呼びます。

通常、黒目の部分である角膜とその後ろにある水晶体を通った光を、さらにその奥にある網膜に投影します。この像が視神経によって脳に伝えられてものを見ることができるのです。

水晶体が濁ってしまうことで水晶体の中で光が乱反射し、ものが霞んだり二重に見えたり眩しく見えるなどの症状が現れ進行すると視力が低下します。

一番多い原因は加齢によるものです。早い人で40代から、80代では100%の人が発症するとといわれています。その他の理由として考えられるのは、先天性・アトピー・外傷・薬剤・目の炎症などです。

白内障は、初期であれば目薬で進行を抑えることができます。ただし、濁ってしまった水晶体を元に戻すことはできません。

白内障が進行した場合は、濁った水晶体を取り除き、眼内レンズを挿入する手術が必要になります。

ぶどう膜炎

物を近づけてみる

ぶどう膜炎は目の中に炎症が起きる病気の総称で、「内眼炎」とも呼ばれます。角膜と虹彩の間にある前房や、硝子体の中に炎症細胞が浸潤し、下記のような症状が現れるのです。

  • 霞がかかったように見える霧視(むし)
  • 目の前に黒い虫が飛んでいるように見える飛蚊症(ひぶんしょう)
  • 眩しさを感じる羞明感(しゅうめいかん)
  • 視力低下
  • 目の痛み
  • 充血

症状は片目だけ・両目・両目交互に現れることがあります。また徐々に悪くなる場合や、よくなったり悪くなったりするのを繰り返す場合などさまざまです。

ぶどう膜炎の原因としては、サルコイドーシス・原田病・ベーチェット病などの全身の免疫異常や、細菌・ウイルスの感染などが挙げられます。

また、外傷や悪性腫瘍なども要因として考えられますが、実はぶどう膜炎と診断された3人に1人は原因がわかっていません。

治療は基本的に薬が使われます。ぶどう膜炎の種類や炎症の強さによって、点眼薬をはじめ内服や点滴など治療法がさまざまです。

ドライアイ

涙腺で作られた涙は瞬きとともに広がって目の表面を膜のように覆います。この涙液膜が崩れやすくなり、目の不快感や見えにくさを感じるのがドライアイです。

日本では2023年時点で2200万人もの人が発症しているといわれ、さらに増加する傾向にあります。

症状は目の乾きをはじめ、目がかすむ・ごろごろする・痛い・赤い・涙が出る・まぶしいなどさまざまです。

また、ドライアイの危険因子としては下記のようなものが挙げられます。

  • 加齢による涙の量や質の低下
  • 女性
  • 長時間画面を見るなどのライフスタイル
  • 低湿度やエアコンの風が直接当たるなどの生活環境
  • コンタクトレンズ
  • 喫煙
  • 涙の分泌量を減らす作用がある飲み薬の服用
  • 涙の油分を作り出すマイボーム腺の病気
  • 加齢による結膜(白目)のシワ
  • シェーグレン症候群や膠原病などの全身の病気

症状が軽ければ市販の目薬も効果的です。眼科では人工涙液や炎症を抑える目薬の投与を行い、涙をとどめておくために涙点に涙点プラグという栓をすることもあります。

ドライアイでは生活スタイルや環境も要因になっているため、日常生活でも注意が必要です。

目が乾燥しないようにコンタクトレンズ装着の時間やパソコンでの作業を長時間続けないようにしたり、エアコンの風を直接受けないようにしたりなど工夫しましょう。

ドライアイは失明につながることはほとんどありませんが、「何となく見えづらい」など日常生活に支障をきたすことがある疾患です。

残念ながらドライアイは完治するのが難しい病気です。従って目薬などを使用することで生活の質を落とさないことを治療の目的としています。

白内障の治療方法

眼科 相談

初期の白内障なら、点眼で進行を抑えることが可能です。しかし症状が進行してしまうと、手術をする必要があります。以下でそれぞれの治療の具体的な方法をご説明します。

手術

白内障は初期のうちは点眼によって進行を遅らせることができます。しかし、濁ってしまった水晶体を元に戻すことはできません。

従って、進行してしまった白内障には手術が必要になります。

手術は球後麻酔や点眼麻酔で行われます。痛みはなく、手術中に眼科医と会話も可能です。白内障の程度にもよりますが、通常は30分程度で終わります。

手術は超音波乳化吸引法という方法が一般的です。まず、3mm位の傷から水晶体の濁った中身だけを超音波で吸引します。

そのままでは網膜にピントが合わなくなってしまうので、残った水晶体嚢と呼ばれる薄い膜の中に眼内レンズを挿入するという方法です。

眼内レンズには紫外線を吸収するものやサングラスのように色がついているもの、遠方でも近いところでも焦点が合うものなど、さまざまなタイプがあります。

眼内レンズは一度選ぶと簡単には変えることができません。選ぶ際には眼科医とよく相談して自分のライフスタイルに合ったものを選ぶとよいでしょう。

レーザー治療

後発白内障に対しては、YAG(ヤグ)レーザーという特殊な光線を使ってレーザー治療を行います。

後発白内障とは、白内障手術を行った人に起こる白内障のことです。白内障手術では水晶体嚢を残していますが、この袋自体が白く濁ることで起こります。

この場合はヤグレーザーを使って水晶体の真ん中を破り、濁りを飛ばします。一度受けると再発がなく、視力が戻ることが特徴です。

痛みもなく数分で終わり、入院・眼帯の装着・生活の制限などの必要もないので、高齢者でも受けられます。

多焦点眼内レンズ治療

メガネ 視力検査

多焦点眼内レンズは、2つ以上の距離にピントが合うようになっている眼内レンズのことです。

大きく分けて2種類のレンズがあります。近方・中間距離・遠方の3か所に焦点が合うものと、近方と遠方・中距離と遠方のように2か所に焦点が合うものです。

1つの距離にピントを合わせる単焦点眼内レンズの場合、ピントを合わせた距離以外では眼鏡でピントを調節します。

従って、眼鏡を使いたくない人や、眼鏡の付け外しが面倒な人は多焦点レンズ向きです。ただし、全員が眼鏡を使わずにすむわけではありません。

なお、気を付ける点もあります。1つの距離に焦点を絞った単焦点眼内レンズの方がクリアに見える可能性があります。

しかしコントラストの感度が下がるので、黒い文字が少し薄く見えたり膜がかかったように見えたりするという現象も起きやすいです。

また、夜間は光の周りに輪がかかったように見えたり、光が花火のように見えたりするハロー・グレアという現象が起きることもあります。

時間が経つと慣れて気にならなくなる人がほとんどですが、どうしても気になるという人もいるので、手術前に眼科医とよく相談しましょう。

目薬による治療

白内障は初期段階であれば、ピレノキシンもしくはグルタチオンという、白内障の進行を遅くする点眼薬による治療が行われます。

ピレノキシンは水晶体を濁らせる原因となるタンパク質をたまりにくくする効果、グルタチオンは抗酸化作用がある薬です。

なお、目薬による治療はあくまで進行を遅らせるだけで、水晶体の濁りを元に戻す効果はありません。視力低下など、症状が進んだ時は手術が必要になります。

白内障の症状

目が痛い 女性

白内障では、眩しさを感じる以外にも目がかすんだり、視力が落ちたりとさまざまな症状が現れます。それぞれの症状が起きる原因などをご紹介しましょう。

目がかすむ

水晶体が濁ってしまうと光の透過性が下がり、網膜の1点にきちんと光が集まらずピントが合わなくなってしまいます。

これにより目に霧がかかったように感じたり、すりガラスを通しているようにぼやけて見えたりしてしまうのです。

ものがぼんやりと見えるので、「視力が下がった」「眼鏡やコンタクトレンズが合わなくなった」と感じることもあります。

視力が低下する

目を押さえる 高齢女性

白内障によって光が目の中に届きにくくなるため、視力低下が起こります。かすんだりぼやけて見えたりすることから視力が落ちたと感じる場合もあるのです。

また、水晶体が厚みを増すことで、近眼のように一時的に近くが見えやすくなることもあります。

通常、ものを見る時は両目で見るため、片方の目が多少見えにくくても日常生活に支障があまり出ません。白内障では痛みがないため視力の低下に気づきにくいので注意が必要です。

光をまぶしく感じる

水晶体の濁った部分は光が曲がりやすくなります。そのため散乱という光が拡散する現象が起き、散らばった光が網膜のあちらこちらを刺激し、眩しさを感じることがあるのです。

ただし、具体的になぜ眩しく感じるかという詳しいメカニズムは、まだはっきりしていません。

眼鏡の度が合わなくなる

白内障になると光の屈折の度合いが変化します。そのため、使用中のコンタクトレンズや眼鏡と度が合わなくなることがあるのです。裸眼では見えやすい距離が変化することもあります。

度数の変化は白内障の種類によって異なります。水晶体の中心まで濁ってしまう核白内障では、近視が強くなり遠視が弱くなることがあります。

反対に水晶体の周りから濁っていく皮質白内障では、近視が弱くなり遠視が強くなる傾向です。

ものが二重に見える

見えにくい

ものが二重や三重に見える状態を複視といいます。水晶体の濁りがあちこちにばらつくことで、強い乱視のようになり、複視を引き起こすのです。

水晶体の真ん中に濁りがある場合は、見ている像を2つに分けてしまうため、やはり複視が起きます。複視かどうかは、片目でものを見てみると分かりやすいです。

目が疲れやすい

ものがぼやけたりピントがうまく合わない状態で作業をしたりしていると、当然目が疲れます。さらにひどくなると起きるのが、肩こりや頭痛です。

また、水晶体が厚くなり目の中を流れる房水という水の流れが悪くなることで眼圧が上昇して、頭痛や吐き気をもたらすこともあります。

ぶどう膜炎の治療方法

診察する医師

ぶどう膜炎の場合、基本的に薬による治療を行います。使用する薬や方法は、ぶどう膜炎の種類や炎症の強さによってさまざまです。

例えば感染症によるものの場合は抗菌薬や抗ウイルス薬など、原因である病原微生物に効果がある薬を使います。

治療の目的は、炎症を抑えて視力障害を起こすような合併症を防ぐことです。

非感染性の場合も薬を使用しますが、免疫の抑制と炎症を抑えることが治療の目的になります。炎症が目だけの場合に行うのは、副腎皮質ステロイド点眼薬を使用するという治療です。

炎症が強い場合はステロイドを目の周りの組織に注射したり、場合によっては内服薬や点滴を追加したりすることもあります。

ステロイドの内服や点滴は副作用の心配もありますが、ぶどう膜炎には効果が高いことが多いです。そのため、副作用の影響に注意しながら投与を行っていきます。

また、ぶどう膜炎の原因が全身の免疫異常の病気である場合に行うのは、免疫抑制剤を使用するという治療です。

最近では、ぶどう膜炎を引き起こすサイトカインというタンパク質を抑制する効果がある、生物学的製剤を使うこともあります。

光が眩しい時の対処法は?

眩しい

目が乾燥するのを防ぐために冷暖房が効いている部屋では直接風が目に当たらないようにしたり、加湿器を使ったりしましょう。

読書・運転・パソコンでの作業などを長時間連続して行うと、瞬きが少なくなり涙液が蒸発しやすくなります。

長時間目を使うことを控え、時々目を休ませて人工涙液を点眼しましょう。意識して瞬きをする回数を増やすことも効果的です。

コンタクトレンズを使用する際は、夜間は外して目を休ませるなど工夫しましょう。人工涙液を点眼するのもおすすめです。

また、目は紫外線によるダメージを受けやすいので、サングラスや帽子を着用しましょう。

なお、光が眩しいと感じる時は、目の病気が原因である可能性が考えられます。なるべく早めにお近くの眼科に相談するとよいでしょう。

まとめ

男性医師 相談

今回は、光が眩しい時に原因として考えられる目の病気と、その治療法・対処法を解説しました。 日常的に眩しさを感じることはありますが、白内障などの目の病気が原因である可能性も考えられます。白内障の場合、進行してしまうと手術が必要です。 眩しさを感じる頻度が多かったり、目が開けられないほど眩しいと感じたりする時は、ためらわずにすぐに眼科を受診してください。

参考文献

この記事の監修歯科医師
柳 靖雄医師(横浜市大 視覚再生外科学客員教授 お花茶屋眼科院長)

柳 靖雄医師(横浜市大 視覚再生外科学客員教授 お花茶屋眼科院長)

東京大学医学部卒業(1995年 MD)/ 東京大学大学院修了(医学博士 2001年 PhD) / 東京大学医学部眼科学教室講師(2012-2015年) / デューク・シンガポール国立大学医学部准教授(2016年-2020年)/ 旭川医科大学眼科学教室教授(2018年-2020年) / 横浜市立大学 視覚再生外科学 客員教授(2020年-現在) / 専門は黄斑疾患。シンガポールをはじめとした国際的な活動に加え、都内のお花茶 屋眼科での勤務やDeepEyeVision株式会社の取締役を務めるなど、マルチに活躍し ています。また、基礎医学の学術的バックグラウンドを持ち、医療経済研究、創薬、国際共同臨床研究などを行っています。

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