今や緑内障は40代以上の5%、20人に1人が発症するといわれていて、決して珍しい病気ではなくなりました。しかし緑内障は放置していると失明に至ることもある怖い病気です。最近はパソコンやスマホで目を酷使することも多く、気になっている方も多いのではないでしょうか。ここでは、緑内障とは何か、20代でも緑内障になることはあるのか、そして予防法について説明します。緑内障が気になる方、眼の健康が気になる方に役立つ内容となっています。
緑内障とは
緑内障は、眼圧の上昇などによって、眼の奥にある視神経が損傷し、視野が部分的に欠けたり、狭くなったりする病気です。一方で、眼圧が正常の範囲内でも緑内障を発症することもあります。放置していると進行していく病気で最悪は失明に至ることもあり、注意が必要です。
- 緑内障の症状について教えてください
- 見える範囲が狭くなることが主な症状です。ただし、初期の段階では自覚症状がほとんどないため、気付きにくいのが緑内障の特徴です。長い時間をかけて視野の中心からゆっくりと視野が狭くなっていき、症状に気付くころにはかなり進行してしまっています。一度失った視野が戻ることはありませんので、定期的に眼科で検査を受け、早期発見・早期治療をすることが大切です。
- 緑内障になる原因はどんなものですか?
- 視神経が繊細であったり、眼圧が上昇したりすることが原因といわれていましたが、最近では眼圧が正常範囲内でも発症するケースが多くなっています。そのため、緑内障になる原因を断定することは難しく、いくつかの要素が絡んで影響を及ぼすと考えられています。
- 緑内障になる危険因子について教えてください
- 緑内障は原因がいくつか絡み合って起こるといわれますが、その原因になりうる危険因子には以下のものが挙げられます。
- 加齢……40歳ごろから発症する頻度が高まる
- 遺伝……血縁関係者に緑内障の人がいる場合は注意
- 強度近視……強い近視は視神経がダメージを受けやすい
- 飲酒……飲みすぎは眼圧を上昇させる可能性がある
- 喫煙……眼圧を上昇させる可能性があり、酸化ストレスを増やすため、緑内障だけでなくほかの眼疾患のリスクもある
- 糖尿病……糖尿病網膜症が進行すると「血管新生緑内障」を併発もある
- 薬の副作用……急激に発症することがある
- 緑内障にはどのような種類があるか教えてください
- 緑内障は主に以下の三つに分かれます。
- さまざまな要因で発症し、ほかの疾患とは関係なく独立して発症する原発緑内障
- ほかの病気に引き続いて起こる続発性緑内障
- 隅角の先天的な異常により起こる小児緑内障
一般的に緑内障といわれているのは原発緑内障のことで、全体の90%を占めています。
20代の緑内障について
高齢者に比べるとわずかですが、20代でも緑内障を発症することはあります。ただ、検診や病院に行く機会が少ない若年層の緑内障は、症状が出てから発見されることが多く、治療を開始したときにはすでにかなり進行していることも多いようです。若年層の緑内障、その原因に特徴はあるのでしょうか? そして予防策はあるのでしょうか?
- 20代でも緑内障になりますか?
- 年齢にかかわらず、放置していればその失明までの期間に違いはないため、初期の段階で進行を抑制するには、早期発見・早期治療が重要になります。
- 若年性の緑内障の割合を教えてください
- 若年性緑内障は発症年齢から判断し、その有病率は5万人に1人といわれるほどごくわずかです。
- 若い人が緑内障になる原因について教えてください
- 若い世代であってもその原因を特定することはできないようです。 考えられる要素として遺伝、強度近視、喫煙などの生活習慣、薬の副作用などがいわれています。
- 若い人が緑内障にならないための予防法について教えてください
- 若い人は検査を受ける機会も少なく、症状に気付いてから発見される場合も多くあります。緑内障は早期に治療を開始することが必要です。定期的に検診を受けることがなによりの進行予防につながります。コンタクトレンズ処方時などはいいきっかけになりますね。 特に、家族に緑内障の方がいる場合や強い近視がある方など、目の状況が気になる場合は積極的に眼科検診を受けましょう。
20代など若い世代も含め緑内障にならないための予防法
緑内障の原因を断定することは難しいことから特定の予防法はありません。しかし、緑内障はゆっくりと進行する病気ため、どのような生活を送るかが病状にも影響してくるでしょう。好ましくない食生活や生活習慣を改めることは目にも良い影響をもたらします。今の食生活や生活習慣で改善できることはないか確認しましょう。
- 予防するための食生活について教えてください
- 以下のことを意識するとよいでしょう。
- バランスの良い食事、腹八分目
- 目に良いとされるビタミンB群、ビタミンC、ビタミンEのほか、アントシアニンやルティンなどを含む食品を取り入れる
- アルコール、カフェイン類は取りすぎない
- 糖分や脂肪分は控える
- 予防するための生活習慣について教えてください
- 普段生活する上で以下のようなことが挙げられます。
- 定期的に目を休ませる……スマホやパソコンの長時間使用は目に負担がかかりますので、適度に休憩を入れて目を休ませましょう。
- 十分な睡眠……十分な休息は眼精疲労の回復につながります。
- 適度な運動……特にウォーキングなどの有酸素運動は眼圧を下げるといわれています。
- 禁煙……喫煙は、ほかの眼疾患の発症リスクも高めます。難しい場合は禁煙外来も検討しましょう。
緑内障の治療方法について
一度傷ついてしまった視神経の回復は困難なので、眼圧を下げて、進行を抑制することが治療の基本です。早期に緑内障を発見できれば、自覚症状がほとんどない軽度な状態を維持できる可能性は高くなります。治療には薬物療法・レーザー治療・手術があります。
- 薬物療法について教えてください
- 多くの緑内障では薬物療法が基本となっています。内服もありますが、多くは点眼での治療になります。現在では目薬の種類も多くあり、一人ひとりの症状や基礎疾患などに合わせて処方します。
- レーザー治療について教えてください
- レーザー治療には主に二つあります。レーザーで虹彩(いわゆる茶目)に穴を開け、眼内の房水の流れを確保するもの、もう一つは線維柱帯に照射することで房水の流れをよくするものです。レーザー治療の痛みは軽度で、日帰り手術が可能となっています。
- 手術について教えてください
- 薬物治療やレーザー治療では効果がない、適さない場合は手術を検討します。 大きく分けて、房水を眼外に染み出すようにする手術ともう一つは線維柱帯を切開し房水を排出しやすくする手術です。緑内障の手術も年々改善されてきたものの、術後の合併症のリスクはあり、場合によっては再手術が必要になることもあります。
編集部まとめ
緑内障は放置していると失明に至ることもある怖い病気です。20代でも発症することはありますが、早期発見・早期治療でその進行を抑制することができます。そのためにはなによりも定期的に眼科検診を受けることが重要です。また、バランスの良い食事や長時間パソコンやスマホを見ないなど、目に負担をかけない生活も大切だということがお分かりいただけたと思います。日常生活を送る上で大切な目、これらのことを意識して目の健康を守りたいですね。
参考文献