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閉塞隅角緑内障は他の緑内障と何が違う?症状や治療法について解説!

緑内障にはいくつかの種類がありますが、その中でも「閉塞隅角緑内障」には特に注意が必要です。この記事では、閉塞隅角緑内障と他の緑内障の違いや症状、効果的な治療法についてわかりやすく解説します。

閉塞隅角緑内障とは

閉塞隅角緑内障とは 閉塞隅角緑内障は、目の中の房水と呼ばれる液体が適切に排出されずに溜まり、眼圧が上昇してしまう疾患です。この異常な眼圧が視神経を圧迫し、最悪の場合失明の原因となることがあります。閉塞隅角緑内障には原発性(急激に症状が出るもの)と続発性(慢性的に症状が出るもの)の2つの種類があります。

閉塞隅角緑内障の症状

閉塞隅角緑内障の典型的な症状は、激しい目の痛みや頭痛といった症状が現れます。例えば、朝起きた瞬間や急な体位の変化によって目の痛みが襲ってくることがあります。この痛みは鋭く、くも膜下出血などの症状と誤解されるほどと言われています。

まぶしさもまた閉塞隅角緑内障の特徴的な症状です。例えば、室内で普段よりも明るい場所に出る際、まるで眩しい太陽の光を浴びているような感覚が生じることがあります。

閉塞隅角緑内障の症状には、吐き気や嘔吐といった不快な症状も伴うこともあります。目の痛みに加えて吐き気が起こり、嘔吐することで痛みが和らぐこともありますが、これは一時的なものであり根本的な問題は解決しません。また、視力の急激な低下といった症状もみられます。例えば、視界に歪みが生じ、物が見えにくくなることがあります。

以上のように、閉塞隅角緑内障の症状は突然の激しい目の痛みや頭痛に加え、まぶしさや吐き気、視力の急激な低下など、多岐にわたるものとなります。これらの症状が現れた場合、早めの診断と適切な治療を受けることが重要です。

閉塞隅角緑内障と他の緑内障の違い

閉塞隅角緑内障と他の緑内障との違いは、その症状の進行速度にあります。閉塞隅角緑内障は、他の緑内障と比べて症状が急速に進行する場合があることが特徴です。例を挙げて詳しく見てみましょう。

・症状の現れ方
閉塞隅角緑内障では、突然の激しい目の痛みや頭痛といった明らかな症状が急激に現れることがあります。普段何気なく目をこすったり、明るい場所に出るだけで強い痛みを感じることがあります。これに対して、他の緑内障では症状がゆっくりと進行し、初期段階では症状がわかりにくいことがあります。例えば、視野の狭窄が徐々に進行し、気付かないうちに視界が制限されていくことが考えられます。

・症状の進行速度
閉塞隅角緑内障では眼の痛みや視力の低下が急激に現れ、症状が進行するスピードに注意が必要です。例えば、一晩で視野が急激に狭くなることがあります。これに対して、他の緑内障は進行が緩やかであり、数か月から数年かけて徐々に症状が悪化することが一般的です。

閉塞隅角緑内障では、痛みや視力の低下が急激に現れ、症状が進行する速度に留意することが重要です。早期の診断と適切な治療が、失明などの重篤な合併症を防ぐために欠かせません。

閉塞隅角緑内障の原因

閉塞隅角緑内障の原因は、複雑な要因が絡み合うことによって引き起こされる可能性があります。具体的には、以下のような要因が関与していると考えられています。

・原発性の場合
原発性の閉塞隅角緑内障の原因は、まだ完全には解明されていませんが、眼の構造や遺伝的な要因が関与していると考えられています。例えば、眼の前部の構造が狭い場合、房水がスムーズに流れることが難しくなり、眼圧が上昇しやすくなることがあります。また、家族に発症歴がある人に発症しやすいという特徴もあると言われており、遺伝的な要因が一因とされています。

・続発性の場合
続発性の閉塞隅角緑内障の原因は、他の病気や薬の副作用などが引き金となることがあります。例えば、糖尿病などの全身疾患が眼内の構造に影響を及ぼし、隅角が閉塞されるリスクが高まることがあります。また、一部の眼科用薬や抗うつ薬などの副作用として、眼内の圧力が上昇することで閉塞隅角緑内障が発症することが報告されています。

これらの要因が組み合わさることで、閉塞隅角緑内障が引き起こされると考えられています。しかし、個々の症例によって異なるため、正確な原因の特定にはさらなる検査や研究が必要です。早期の診断と適切な治療によって、症状の進行を遅らせることが重要です。

閉塞隅角緑内障の検査

閉塞隅角緑内障の検査 閉塞隅角緑内障を早期に発見し、適切な治療を行うためには、定期的な検査が不可欠です。医師による専門的な検査で、状態を正確に評価することが可能です。

眼圧検査

眼圧検査は、緑内障の診断に欠かせない重要な手段です。眼圧の上昇は緑内障の兆候とされており、この検査で早期発見が可能です。専用の機器を使用して、非接触で眼圧を測定します。

隅角検査

隅角検査は、房水が正しく排出される隅角の状態を評価するための検査です。特殊なレンズを使って眼底を観察し、隅角の開き具合や異常を確認します。この検査で閉塞隅角緑内障のリスクを把握することができます。

眼底検査

眼底検査では、網膜や視神経の状態を評価します。閉塞隅角緑内障が進行すると、眼底に特有の変化が見られることがあります。専用の機器を使用して、眼底の異常を確認します。

視野検査

視野検査は、患者さんの視野の広がりを評価するための重要な手段です。閉塞隅角緑内障が進行すると、視野が狭くなる傾向があります。この検査で視野の異常を早期に発見しましょう。

閉塞隅角緑内障の治療方法

閉塞隅角緑内障の治療方法 閉塞隅角緑内障の治療は、早期発見と適切な対処が重要です。病状や進行度に応じて、以下の主な治療方法が考えられます。

・点眼薬治療
眼圧を下げるための点眼薬が処方されることがあります。これは日常的に使用する薬で、眼の前部から房水の流れを改善し、眼圧をコントロールします。例えば、ブリモニジンと呼ばれる薬は、房水産生を抑制するとともに房水の流れを促進する効果があります。この点眼薬を定期的に使用することで、眼圧の上昇を抑えることが期待されます。ただし、正しい使用方法や副作用について医師の指導に従うことが重要です。

・レーザー治療
レーザーを使用した手術は、隅角を広げるために行われることがあります。レーザーを照射することで、隅角の一部を切開し、房水の流れを改善します。この手術は局所麻酔(点眼などが用いられることが多い)の下で行われ、比較的短時間で完了します。レーザー治療によって隅角が広がることで、房水の排出がスムーズになり、眼圧の管理が可能となります。ただし、レーザー治療中に目をキョロキョロすることで正しい場所にレーザーが照射できずに視力が下がるなどのリスクもあります。リスクや効果などを十分に理解し、医師との相談が必要です。

・手術による治療
進行した場合や他の治療が効果を示さない場合には、手術が検討されます。手術にはいくつかの方法があり、隅角を広げるための手術や、余分な組織を取り除く手術などがあります。手術によって隅角が広がり、眼圧が正常化することで緑内障の進行を抑えることが期待されます。手術にはリスクが伴うため、医師と詳細に相談し、メリットとデメリットをよく考慮して判断することが大切です。

これらの治療方法は、病状や患者の状態に応じて選択されます。早期の診断と適切な治療によって、閉塞隅角緑内障の進行を遅らせ、視力を守ることが可能になります。リスクや治療方針について医師からしっかりと説明を受けた上で、治療法を選択するようにしましょう。

閉塞隅角緑内障以外の緑内障

閉塞隅角緑内障以外の緑内障 緑内障は様々なタイプに分類され、その特徴や進行度によって異なる治療アプローチが求められます。閉塞隅角緑内障以外の主な緑内障の種類について、詳しく見ていきましょう。

そもそもどのような分類があるか

緑内障は、眼内の圧力が上昇し、視神経が障害される病気です。その中でも、隅角の開き具合や進行速度、発症する年齢などに基づいていくつかのタイプに分けられます。この分類によって、緑内障の進行の仕方や治療法が異なってきます。

開放隅角緑内障とは

開放隅角緑内障は、隅角が広いものの、目詰まりするなどして房水の流れが悪くなり進行していく緑内障です。このタイプの緑内障はゆっくりと進行し、視野が徐々に狭くなる特徴があります。初期段階では症状がわかりにくいため、定期的な検診が大切です。例えば、日常生活での活動が制限されることなく、徐々に視界に死角ができていくことが考えられます。症状の進行はゆっくりなため焦らずに治療を続けることが重要になってきます。

正常眼圧緑内障とは

正常眼圧緑内障は、眼圧が正常範囲内でも進行する緑内障の一種です。視野の狭窄や欠損が見られ、その原因はまだ完全には解明されていません。眼圧だけでなく、網膜や視神経の健康状態にも注意が必要です。例えば、眼圧が正常でも網膜の神経線維層が徐々に萎縮し、視野に影響が現れることが考えられます。進行がゆっくりなため初期症状では気づくことができず、気づいた時には視神経の障害が進んでいる場合があります。そのような状況にならないためにも、見えにくさなどを感じた場合は早期に病院を訪れ、専門医に相談することが重要になってきます。

発達緑内障とは

発達緑内障は、若い年齢で発症しやすい緑内障です。遺伝的な要因が関与することが多く、視野の狭窄や眼圧の上昇が見られます。早期の発見と適切な治療が重要で、例えば、10代から20代で症状が現れることが考えられます。遺伝的な傾向が強いため、家族に緑内障の既往歴がないか確認するなど注意が必要です。

続発緑内障とは

続発緑内障は、他の眼の疾患や状態が原因で発症する緑内障です。例えば、糖尿病や網膜剥離など、他の病気の合併症として現れることがあります。原疾患の治療が必要で、例えば、糖尿病患者が長期間にわたって高血糖状態が続くことで、緑内障が合併するリスクが高まることが考えられます。また目の怪我などが原因の場合もあり、10年以上経過して発症するケースもあるようです。

これらの異なる緑内障のタイプは、それぞれ異なる特徴を持ち、進行の仕方も異なります。定期的な検診と早期の対応が、失明や視力障害を予防するために非常に重要です。個々の症例に合った治療法を見極めるためにも、眼科医との信頼関係を築くことが大切です。

緑内障の典型的な症状

緑内障の典型的な症状 一般的な緑内障の典型的な症状には、視野の欠損や狭窄が挙げられます。初期段階では症状が軽微で、気付きにくいことがあります。例えば、次のような状況で症状に気付くことがあります。

緑内障では視野の中心以外の部分が見えづらくなるため、照明の暗い場所で物が見づらい、特に周囲が暗い状態での視界の死角が目立つことがあります。例えば、夜間の運転中に対向車のライトを避けるのが難しい、歩行時に足元の障害物が見えにくいといった状況が考えられます。また、視力の低下も症状の一つであり、特に遠くの物がぼやけて見えることがあります。

緑内障の主な要因

緑内障の主な要因は、眼内の圧力が上昇し、視神経がダメージを受けることです。閉塞隅角緑内障の場合は、眼内を流れる房水が隅角で詰まることで圧力が上昇し、視神経が損傷します。一方、開放隅角緑内障や正常眼圧緑内障の場合は、圧力の上昇が原因ではありますが、そのメカニズムは異なる可能性があります。遺伝的な要因や全身疾患との関連も考えられるため、個々のケースに応じて原因を探求することが重要です。

緑内障の予防方法

健康的な生活習慣の維持が、緑内障の予防に役立ちます。喫煙や過度のアルコール摂取は緑内障のリスクを高める要因とされています。また、適度な運動やバランスのとれた食事も眼の健康に良い影響を与えることがあります。定期的な眼科検診も予防に欠かせず、早期発見につながります。

遺伝的な要因が関与する場合もあるため、家族の緑内障での既往歴を把握することも大切です。親や兄弟姉妹に緑内障が発症した例がある場合、自身のリスクが高まることがあります。そのため、家族の病歴を医師に伝え、適切なアドバイスを受けることが予防の一環となります。

緑内障は進行すると視野が狭くなり、最悪の場合は失明の原因となることがあります。健康な視力を維持するためにも、定期的な検診や健康的な生活習慣の維持が大切です。

まとめ

まとめ 閉塞隅角緑内障は他の緑内障とは異なり稀に速い進行性を持ち、早期発見と適切な対処が求められます。定期的な検査や医師の指導に従い、早めの治療を心がけることが重要です。

また、緑内障には閉塞隅角緑内障以外にもさまざまなタイプが存在しています。遺伝的な要因や他の疾患との関連性にも注意を払い、予防と早期治療を行うことで視力を守ることができます。

緑内障は無視できない眼の病気ですが、適切な情報と対処法を知ることが、健康な目を維持する手助けとなるでしょう。ご自身の健康に関する疑問や不安を感じたら、早めに医療機関に相談しましょう。

参考文献

この記事の監修歯科医師
柳 靖雄医師(横浜市大 視覚再生外科学客員教授 お花茶屋眼科院長)

柳 靖雄医師(横浜市大 視覚再生外科学客員教授 お花茶屋眼科院長)

東京大学医学部卒業(1995年 MD)/ 東京大学大学院修了(医学博士 2001年 PhD) / 東京大学医学部眼科学教室講師(2012-2015年) / デューク・シンガポール国立大学医学部准教授(2016年-2020年)/ 旭川医科大学眼科学教室教授(2018年-2020年) / 横浜市立大学 視覚再生外科学 客員教授(2020年-現在) / 専門は黄斑疾患。シンガポールをはじめとした国際的な活動に加え、都内のお花茶 屋眼科での勤務やDeepEyeVision株式会社の取締役を務めるなど、マルチに活躍し ています。また、基礎医学の学術的バックグラウンドを持ち、医療経済研究、創薬、国際共同臨床研究などを行っています。

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