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緑内障になりやすい年代は?原因や予防法も合わせて解説!

緑内障になりやすい年代とは?

緑内障はとても身近な病気ですが、発症していることに気づきにくい病気でもあります。 一体どの年代の方が緑内障になりやすいのでしょうか? 本記事では緑内障になりやすい年代について以下の点を中心にご紹介します。

  • 緑内障について
  • 緑内障の有病率について
  • 緑内障になりやすい人について

緑内障になりやすい年代について理解するためにもご参考いただけますと幸いです。 ぜひ最後までお読みください。

緑内障とは?

緑内障とは?

緑内障は、目の中にある房水という液体の量が増加し、眼圧が上昇することによって発症します。しかし、眼圧が正常範囲であっても発症する「正常眼圧緑内障」もあります。 緑内障は、40歳以上の成人においてよく見られる病気で、20人に1人が罹患するとされています。初期段階では症状が目立たないことが多く、定期的な検診が重要です。特に40歳を超えると、定期的に眼科での検診を受けることが推奨されます。

年代別の緑内障有病率

年代別の緑内障有病率

緑内障は年齢が上がるにつれてその有病率が増加する傾向にあります。日本において行われた多治見スタディという疫学調査から得られたデータによると、緑内障の有病率は年齢層によって異なります。この調査によれば、40代では約2.2%の人が緑内障であり、50代では2.9%、60代で6.3%と有病率が上昇し、70代では10.5%、80代以上では11.4%の人が緑内障であることが示されています。
これは、70歳以上の人々の中で約10人に1人が緑内障であることを意味します。また、40歳以上の全体の平均では、以前は約5%(20人に1人)とされていましたが、日本の人口構成の変化に伴い、現在は約10人に1人が緑内障である可能性が高いと推測されています。しかしながら、実際に緑内障であると自覚している人は全体のうちの一部に過ぎません。このため、40歳を超えたら定期的な眼科検診を受けることが強く推奨されています。特に症状がない場合でも5年に1度の「節目健診」が重要とされています。

緑内障の種類

緑内障の種類

緑内障は、その病態によりいくつかに分類されています。以下、緑内障の分類についてと主な緑内障の種類について解説します。

緑内障の分類

緑内障の分類はその原因に基づいて行われ、大きく3つのカテゴリーに分けられます。まず「原発性緑内障」は、原因が特定されていないタイプです。次に「続発性緑内障」は、ほかの眼の疾患や全身疾患が原因で発生します。最後に「先天性緑内障」は、生まれつき眼の隅角部に構造的異常があるものを指します。この分類に加え、隅角部の構造に基づいて「開放隅角緑内障」「閉塞隅角緑内障」「混合型緑内障」とさらに細かく区別されます。この分類は、適切な治療法の選定に不可欠であり、治療前には緑内障のタイプを明確にすることが重要です。

正常眼圧緑内障

正常眼圧緑内障は、眼圧が通常の範囲内であるにもかかわらず、視神経に損傷が進行するタイプの緑内障です。従来、緑内障は高眼圧による視神経の圧迫が主な原因とされていましたが、正常眼圧緑内障の場合、眼圧が21mmHg以下の正常値であっても視野の狭窄や暗点が発生することがあります。
この病状の診断は困難であり、脳梗塞、脳腫瘍、脳動脈瘤などのほかの脳神経疾患や、過去の外傷、眼疾患、眼圧上昇を引き起こす薬物の使用歴などを除外する必要があります。正常眼圧緑内障は特に近視の人に多く見られ、視神経の先天的な弱さや免疫系の問題など、さまざまな要因が関与すると考えられていますが、その具体的な原因はまだ明らかになっていません。

原発閉塞隅角緑内障

原発閉塞隅角緑内障は、虹彩と角膜の間の隅角が狭まり、房水の排出が妨げられることで眼圧が高まる緑内障の一種です。この状態が続くと、眼内圧の上昇が視神経に圧力をかけ、視力障害や失明のリスクが高まります。
病態は急性と慢性の二つに分けられます。急性の場合、隅角の急激な閉塞により眼圧が急上昇し、強い眼の痛み、頭痛、視界のかすみ、吐き気、嘔吐などの症状が突然現れます。この症状は全身症状として誤診されることがあり、治療が遅れがちです。
一方、慢性の場合は眼圧の上昇が徐々に進み、自覚症状が少ないため、発見が遅れることがあります。慢性状態では、眼圧の変動が大きく、従来の緑内障治療薬でも眼圧の低下が難しいことが特徴です。原発閉塞隅角緑内障はさらに、原発閉塞隅角疑い(PACS)、原発閉塞隅角(PAC)、原発閉塞隅角緑内障(PACG)と分類されます。

原発開放隅角緑内障

原発開放隅角緑内障は、隅角が正常に開いているにもかかわらず発症する緑内障のタイプです。この状態では、線維柱体(眼内の液体を排出するフィルターの役割を持つ部分)が機能不全を起こし、これが原因で眼内の房水の循環が妨げられ、眼圧が上昇します。この上昇した眼圧が長期間にわたって続くことで、視神経に圧迫を与え、最終的には視力に影響を及ぼす可能性があります。
初期段階では自覚症状がほとんどなく、進行すると視野の欠損などの症状が現れます。そのため、定期的な健康診断や眼科検診による早期発見が重要で、視神経の状態を定期的に観察し、必要に応じて治療を進めることが重要です。進行は緩やかで、発症から視力喪失に至るまでの期間が長いことが特徴です。

若い年代でも起こりうる緑内障

若い年代でも起こりうる緑内障

緑内障は、若い年代であっても発症する可能性があります。若年層における緑内障の主なリスク因子として、遺伝的要素、高度な近視、そして喫煙が挙げられます。特に、家族内で緑内障の症例がある場合や、強度の近視を持つ人は、緑内障の診断を受けることが推奨されます。
近視と緑内障の関連については、特に中等度から高度の近視が原発開放隅角緑内障のリスクを高めることが指摘されています。近視の人々では、眼球の長さが通常より長く、これが視神経乳頭の構造に異常を生じさせる傾向にあります。このように、若年層でも緑内障は発症し得るため、早期の検査と注意が必要です。特にリスク因子を持つ人は、定期的な眼科検診を受けることが推奨されます。

緑内障になりやすい人と考えられる原因

緑内障になりやすい人と考えられる原因

緑内障になりやすい人とはどんな人でしょうか。以下、リスク要因と考えられているものについて解説します。

加齢

緑内障は、年齢が進むにつれて発症の可能性が高まる病気です。特に、40歳を過ぎると緑内障になるリスクが増加します。40歳以上の成人のうち約5%(20人に1人の割合)が緑内障を患っているとされています。このことから、加齢が緑内障発症の重要なリスクファクターであることが分かります。緑内障は高齢者に限った病気ではありません。定期的な検査によって早期に緑内障を発見し、適切に治療することで、視力の低下や失明のリスクを減らせるといわれています。

遺伝

緑内障の発症には遺伝的要因が関わっている可能性があり、緑内障原因遺伝子が同定されています。この遺伝子は常染色体優性の形で遺伝し、緑内障を持つ親から子に病気が遺伝する確率が高いことを意味しています。特に、日本人の開放隅角緑内障患者さんに関連する七つの遺伝子領域が新たに特定されたことは、病気の理解に貢献しています。血縁者の間で緑内障が発生する確率は、血縁者がいない場合より高いとされています。これは、家族内で緑内障の症例がある場合、そのほかの家族成員もリスクが高いことを示唆しています。

ストレス

ストレスが身体の自律神経系のバランスを乱し、血流を低下させることがあります。血流の低下は、視神経や網膜への血液供給を損ない、これが緑内障の発症や進行に影響を及ぼす可能性があります。また、ストレスによる睡眠の質の低下、特に睡眠時無呼吸症候群などの睡眠障害は、眼圧の上昇と関連があるとされています。
ストレスが緑内障の直接的な原因となるかどうかは現在のところ明確ではありませんが、ストレスが健康全般に及ぼす影響を考慮すると、緑内障のリスクを減らすためにストレス管理が重要であるといえます。

緑内障の予防法

緑内障の予防法

緑内障の予防については、完全に予防する方法はありませんが、リスクを減らすための対策はいくつか存在します。緑内障は、眼圧の上昇が主な原因の一つであるため、以下のような方法でそのリスクを低減できます。

  • 良質な睡眠の確保:十分な休息と良質な睡眠を取る
  • バランスの良い食事:栄養バランスの取れた食事を心がける
  • 適度な運動:生活リズムに合わせた継続的に運動する
  • ストレスの管理:過度なストレスを避け、リラックスできる時間を持つ
  • 禁煙:喫煙は視神経の血液循環を悪化させるため避ける
  • 適量のアルコール摂取:アルコールは適量に留める
  • 水分摂取の調節:運動後の過剰な水分摂取は避ける
  • 定期的な眼科検診:緑内障の早期発見と病状の把握のため
  • ほかの医薬品使用するときの注意:緑内障に影響を与える可能性がある薬剤は医師や薬剤師に相談し、緑内障の治療を受けていることを伝える

緑内障は早期発見が重要!

緑内障は早期発見が重要!

緑内障の診断は主に眼科医による眼底の検査で行われ、緑内障の疑いがある場合は視野検査やOCT(光干渉断層撮影)を用いて精密な診断が可能です。残念ながら、一度損傷を受けた視神経を元に戻すことはできません。緑内障は失明に至る可能性のある病気ですが、早期に発見し適切な治療を受けることで、進行を遅らせ、日常生活への影響を抑えるといわれています。
そのため、特に40歳を過ぎた方は、定期的な眼科検診を受けることが推奨されます。職場や自治体で行われる健康診断や、眼底写真の撮影などを通じて、緑内障の早期発見に努めることが大切です。また、メガネの適合性に変化があった場合も、眼科の診察を受けることをおすすめします。

まとめ

まとめ

ここまで緑内障になりやすい年代についてお伝えしてきました。緑内障になりやすい年代の要点をまとめると以下の通りです。

  • 緑内障は、目の中にある房水という液体の量が増加し、眼圧が上昇することによって視神経に損傷を与え、視野の欠損をもたらしている眼疾患で、病状が進行すると失明する場合もある
  • 緑内障の有病率は、40代では約2.2%、50代では2.9%、60代で6.3%、70代では10.5%、80代以上では11.4%の人が緑内障であることが示されている
  • 緑内障になりやすいリスク要因は、加齢、遺伝、ストレスなどが関与しているといわれている

これらの情報が少しでも皆さまのお役に立てば幸いです。 最後までお読みいただき、ありがとうございました。

この記事の監修歯科医師
柳 靖雄医師(横浜市大 視覚再生外科学客員教授 お花茶屋眼科院長)

柳 靖雄医師(横浜市大 視覚再生外科学客員教授 お花茶屋眼科院長)

東京大学医学部卒業(1995年 MD)/ 東京大学大学院修了(医学博士 2001年 PhD) / 東京大学医学部眼科学教室講師(2012-2015年) / デューク・シンガポール国立大学医学部准教授(2016年-2020年)/ 旭川医科大学眼科学教室教授(2018年-2020年) / 横浜市立大学 視覚再生外科学 客員教授(2020年-現在) / 専門は黄斑疾患。シンガポールをはじめとした国際的な活動に加え、都内のお花茶 屋眼科での勤務やDeepEyeVision株式会社の取締役を務めるなど、マルチに活躍し ています。また、基礎医学の学術的バックグラウンドを持ち、医療経済研究、創薬、国際共同臨床研究などを行っています。

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