緑内障はどのように診断され、どのように治療されるのでしょうか?また、緑内障の早期発見には何が必要なのでしょうか?
本記事では緑内障の診断について以下の点を中心にご紹介します。
- 緑内障について
- 緑内障診断のための検査方法
- 緑内障の治療と予防について
緑内障の診断について理解するためにもご参考いただけますと幸いです。
ぜひ最後までお読みください。
緑内障について
- 緑内障はどのような眼疾患ですか?
- 緑内障は進行性の眼疾患であり、主に視野に特徴的な障害を引き起こします。 緑内障は眼球からの出口である視神経乳頭での障害により、約120万本の視神経線維が影響を受けることが原因とされます。
眼圧の上昇も関与していますが、適切な治療で眼圧を下げることで進行を抑えられるといわれています。
ただし、障害された神経は回復できないため、早期発見と治療が重要です。緑内障は国内の失明原因の第1位であり、40歳以上の日本人において、約5%の有病率が報告されています。これは20人に1人が緑内障にかかっているという割合で、年齢と共に有病率が増加の傾向にあります。
加えて、患者さんの約9割は自らが緑内障であることに気づいていないといわれ、高齢社会の進展と共に患者数の増加が懸念されています。
- 緑内障になりやすい人の特徴を教えてください
- 緑内障になりやすい方の特徴は、以下のとおりです。
- 高齢者:緑内障は加齢と共に発症しやすくなる眼疾患です。50歳以上の方は緑内障のリスクが高まります。
- 遺伝的要因:緑内障は家族性があり、親や兄弟姉妹に緑内障の方がいると、発症しやすいとされています。
- 眼圧の高い方:緑内障の主な原因は眼圧の上昇です。眼圧が高いと、視神経が圧迫されて傷つきやすくなります。
- 血圧の低い方:血圧が低いと、眼球内の血流が悪くなり、視神経に十分な酸素や栄養が届かなくなります。
- 糖尿病や高血圧などの全身疾患がある:糖尿病や高血圧などの全身疾患は、眼球内の血管や神経に悪影響を与え、緑内障の進行を促進する可能性があります。
緑内障診断のための検査方法
- 緑内障の確定診断にはどのような検査が必要ですか?
- 緑内障の確定診断には、以下の検査が必要です。
- 眼圧測定:眼圧が高いと緑内障のリスクが上がります
- 隅角検査:隅角の状態を調べ、緑内障のタイプを特定します
- 眼底検査:視神経の状態を評価し、緑内障の進行度を判断します
- OCT検査:網膜神経の厚みや形を詳細に観察します
- 視野検査:視野の欠け具合を調べ、視神経の損傷の程度を評価します
- 緑内障の眼圧検査と隅角検査について教えてください
- 眼圧検査では、「ゴールドマン圧平眼圧計」や「空気眼圧計」などを使用して眼圧を測定します。
眼圧検査は、緑内障の診断や治療効果の判定に重要な要素であり、眼に器械を接触させて行うものや、非接触で行うものがあります。隅角検査は、緑内障の病型を診断するための検査です。
隅角検査では、専用のコンタクトレンズを眼球表面に接触させ、隅角の状態を確認します。
隅角は眼の虹彩と角膜が接する部分であり、緑内障ではこの領域が狭くなる可能性があります。検査によって隅角の異常を確認し、病型を特定します。
- 緑内障の眼底検査について教えてください
- 眼底検査は、眼科医が専用の機器を用いて、目の奥(眼底)の状態を詳細に観察し、病気の診断や進行度の確認を目的として行われます。具体的には、瞳から光を通して、網膜や視神経、血管などを詳細に観察します。
視神経乳頭の凹凸を見ることで、緑内障の有無を診断します。
視神経乳頭陥凹拡大は緑内障の典型的な所見で、視神経の損傷を示します。また、眼底検査では、網膜の血管、視神経の状態を評価し、それが正常か否かを確認します。病気があるか、どのくらい進行しているのかを調べます。
検査は、眼科医が専用の機器を用いて行い、約5〜10分程度で終わります。
- 緑内障の光干渉断層計(OCT)検査について教えてください
- OCT検査は、光の反射を利用して眼の構造を高精度に測定する検査です。
OCT検査では、網膜神経の厚みや形を数値化して表示できます。OCT検査のメリットは、緑内障の初期段階での診断ができることです。
緑内障は、視野が狭くなっても自覚症状がないことが多いため、気づかないうちに進行してしまうことがあります。
OCT検査では、網膜神経の変化を早期に捉えられるため、視野検査よりも敏感に緑内障を発見できます。
また、OCT検査は、非侵襲的であるため痛みや副作用はないとされ、短時間で済むという利点もあります。OCT検査の注意点は、緑内障の種類や個人差によって結果が異なることです。
OCT検査は、網膜神経の厚みや形を測定するだけで、眼圧や隅角の状態は分かりません。
そのため、OCT検査だけで緑内障の診断をすることはできず、他の検査と併用する必要があります。
また、OCT検査の数値は、年齢や性別、眼球の大きさなどによって基準値が異なります。
- 緑内障の視野検査について教えてください
- 緑内障の視野検査は、光の見え方を眼を動かさずに評価し、視野の欠け具合や障害の程度から緑内障の進行状況を判定します。
各病期に特徴的な視野障害が現れ、この異常を正確に捉えて緑内障の確定診断や経過観察に活用されます。検査では片目をふさいで視野計ドームの中心を固視し、小さな光を順に提示して見えるか見えないかでボタンを押して応答します。
検査は時間がかかりますが、確定診断や進行評価において不可欠です。
視野検査にはコンピューター制御の「自動視野計」や、手動で測定される「ゴールドマン視野計」などが利用されます。
緑内障の治療と予防について
- 緑内障の治療方法を教えてください
- 緑内障の治療は、主に眼圧を下げることを目的としています。
治療方法は主に薬物療法、レーザー治療、そして手術の3つがあります。- 薬物療法:
緑内障治療の基本で、眼圧を下げるための点眼薬を使用します。
点眼薬はさまざまな種類があり、病状により適切な薬を選択します。 - レーザー治療:
レーザー治療は、特定の緑内障のタイプ、特に閉塞隅角緑内障に対して行われます。レーザーを使って房水の流れを改善し、眼圧を下げます。
「レーザートラベキュロプラスティ」は、眼内圧の安定化を目指す治療法として広く用いられています。
この手法では、レーザー技術を活用して眼圧を調節し、目の健康を守ることが主な目的です。 - 手術:
薬物療法やレーザー治療で十分な改善が得られない場合、手術が行われます。
手術は眼圧を下げ、視機能を維持し、失明を防ぐことを目的としています。
- 薬物療法:
- 緑内障の早期発見に必要なことはありますか?
- まず、定期的な眼科検診が必要であり、特に40歳以上の方は自覚症状がなくても検診を受けることが推奨されます。
緑内障は自覚症状が軽微であるため、検診によって異常が発見される可能性が高まります。
自己チェックも一つの手段ですが、正確性には限りがあります。
自身で症状を確認する場合でも、気になる点があれば眼科に相談し、詳細な検査を受けましょう。
編集部まとめ
ここまで緑内障の診断についてお伝えしてきました。
緑内障の診断の要点をまとめると以下の通りです。
- 進行性の眼疾患で、主に視野に特徴的な障害を引き起こす
- 緑内障診断のための検査方法は眼圧測定、隅角検査、眼底検査、OCT検査、視野検査が必要で、特に視野検査は緑内障の進行状況の判定に不可欠である
- 緑内障の早期発見には40歳以上は定期的な眼科検診が必要である
これらの情報が少しでも皆さまのお役に立てば幸いです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。