レーシック手術は、近視や乱視などを矯正し、眼鏡やコンタクトレンズに頼らない、裸眼での生活を目指す治療法として注目されています。「視力が回復するなら」と、手術を検討している人も多いでしょう。
しかし、手術後に「ピントが合わない」「視界がぼやける」といった症状を感じる人も一定数存在します。本記事では、こうした術後の見え方の変化に関する原因や対処法、事前に知っておくべき注意点などをQ&A形式で詳しく紹介します。
レーシック手術後にピントが合わなくなる理由
レーシック手術の後、視界がぼやけたり、ピントが合いにくいと感じる人は少なくありません。手術そのものは成功していても、目の状態が安定するまでに時間がかかることもあるため、そうした見え方の変化に不安を抱く方も多いようです。ここでは、術後にピントが合わなくなる主な理由について解説します。
- レーシック手術をするとピントが合わなくなるのはなぜですか?
- 角膜の状態が一時的に不安定になるためです。
レーシック術後は角膜表面にある上皮細胞が傷ついており、角膜に炎症や浮腫(むくみ)、ドライアイによる傷、淡い濁りが生じることがあります。これらの変化により、光の通り道が乱れ、ピントが合いにくく感じられるのです。
また、手術で角膜の形が変わることで、目が新しい屈折状態に慣れるまで時間がかかることも、見えにくさにつながる一因です。
- ピントが合わない症状は一時的なものですか?
- 多くの場合、ピントが合わない症状は一時的です。術後は目の状態が安定するまでに時間がかかるため、視界がぼやけたり、ピントが合いにくく感じることがあります。通常、数日から数週間で改善されますが、個人差があります。
- ピントが合わない場合は、どのぐらい様子を見るべきか教えてください
- 術後の視力が安定するまでには個人差がありますが、通常は1週間から1ヵ月程度で改善されます。しかし、それ以上経過してもピントが合わない場合や、視力に不安を感じる場合は、早めに眼科医に相談することをおすすめします。
- ピントが合わない期間に控えたほうがよいことはありますか?
- はい、いくつか注意すべき点があります。
まず、目をこする行為は避けましょう。手術後の角膜はとてもデリケートな状態にあり、わずかな刺激でも炎症やフラップのずれを引き起こす可能性があります。
また、スマートフォンやパソコンなどのデジタル機器を長時間見続けることは、目の乾燥や疲れを招き、ピントが合いにくい状態を悪化させることがあります。視界が安定するまでは、適度に休憩を挟みながら作業を行うようにしてください。
さらに、激しい運動や水泳、メイクなど、目に負担や刺激を与える行動は、医師からの許可が出るまでは控えるのが望ましいです。
ピントが合わない場合の対処方法
手術後の見え方に違和感がある場合、まずは適切な対処を知ることが大切です。多くは一時的な症状ですが、なかには追加の治療が必要になるケースもあります。
どのような対応が必要か、判断の目安や医療機関での対処法についてご紹介します。
- レーシック手術後にピントが合わないと感じた場合はどうするべきですか?
- まずは焦らず、術後の経過を見守ることが大切です。
レーシック手術後は、角膜の形状が変化し、目が新しい屈折状態に適応するまでに時間がかかることがあります。また、術後の炎症やドライアイなどが一時的に視界のぼやけを引き起こすこともあります。
通常、これらの症状は数日から数週間で改善されますが、症状が強い場合や長引く場合は、早めに担当の眼科医に相談することをおすすめします。
- 症状が回復しない場合はどのような治療を行いますか?
- 症状が改善しない場合、まずは詳細な検査を行い、原因を特定します。角膜の状態や屈折異常の程度によっては、追加のレーザー治療や再手術が検討されることがあります。
ただし、再手術は角膜の厚みや状態によって制限される場合があるため、医師と十分に相談し、リスクとメリットを理解したうえで判断することが重要です。
- ピントが合わない場合、元の状態に戻せますか?
- レーシック手術で一度削った角膜を元の状態に戻すことはできません。
しかし、視力の低下や見え方の不具合が生じた場合には、再手術やほかの視力矯正手段(眼内コンタクトレンズ(ICL)や多焦点眼内レンズの挿入など)を検討することが可能です。
- ピントが合わない症状が続く場合、セカンドオピニオンも検討すべきですか?
- はい、症状が長引く場合や現在の治療に不安がある場合は、ほかの専門医の意見を求めるセカンドオピニオンを検討することは有益です。異なる視点からの診断や治療提案を受けることで、より適切な対処法が見つかる可能性があります。
レーシック手術を受ける際の注意点
レーシック手術は視力回復の手段として広く知られていますが、誰でも気軽に受けられるものではありません。手術には適応条件があり、事前に十分な検査と確認が必要です。
また、自由診療であることから費用面での違いも大きく、手術後のリスクや合併症についての理解も欠かせません。ここでは、レーシック手術を検討するにあたって押さえておきたい基本的な注意点について解説します。
- レーシック手術はすべての人が受けられる手術ですか?
- いいえ、レーシック手術はすべての人が受けられるわけではありません。手術を受けるにはいくつかの条件があります。
まず、年齢制限があり、通常は18歳以上で視力が安定していることが求められます。さらに、角膜の厚さや形状が適切であること、重篤な眼疾患や全身疾患がないことが必要です。妊娠中や授乳中の方も、ホルモンバランスの変化により視力が不安定になる可能性があるため、手術は推奨されません。
これらの条件を満たしているかどうかは、術前の詳細な検査で判断されます。
- レーシック手術を受ける前に確認しておくべきことは何ですか?
- 手術の適応かどうかを確認するための事前検査はもちろん、費用や術後の生活制限、リスクの有無についてもしっかり把握しておくことが大切です。まず、自分の角膜の厚さや視力の安定性など、手術に適しているかを詳細な検査で確認してもらう必要があります。
加えて、レーシックは自由診療であるため、保険は適用されず、クリニックによって費用が大きく異なることがあります。手術料金の内訳やアフターケアを含むかどうかも事前に確認しておきましょう。
また、術後にどのような制限があるのか、どのくらいで視力が安定するのかといった術後経過についても、医師から十分な説明を受けておくようにしましょう。
- レーシック手術にはどのようなリスクがあるのか教えてください
- レーシック手術にはいくつかのリスクが伴います。
代表的なものとして、術後にドライアイの症状が現れることがあります。これは、角膜を削ることで涙の分泌が減少し、目が乾燥しやすくなるためです。また、夜間に光がにじんで見えるハローやグレアといった現象が起こることもあります。
さらに、術後に視力が再び低下する近視の戻りや、角膜の形状が不規則になる不正乱視などの合併症が発生する可能性もあります。
編集部まとめ
近視や乱視に悩まされている人にとって、裸眼での生活が期待できるレーシック手術は気になる存在でしょう。しかし、ピントが合いにくくなったりドライアイが進行したりして、かえって見にくくなる可能性もあります。
ほとんどの場合は時間とともに収まるため、過度に心配する必要はありませんが、長く続くときは医師に相談することが大切です。手術を受ける前には、自分に合った治療かどうか、リスクや費用についてもしっかり確認しておくことをおすすめします。
参考文献