レーシックは、目の角膜にレーザーを照射し、近視や乱視、遠視を改善する視力回復の手術です。レーシックの手術後に視力や近視が戻る可能性はあるのでしょうか? 本記事ではレーシック後に視力や近視が戻る可能性について以下の点を中心にご紹介します。
- レーシックの手術後に視力や近視は戻るのか?
- レーシック以外の視力矯正の手術
- レーシック後の近視戻りを予防する方法
レーシック後に視力や近視が戻る可能性について理解するためにもご参考いただけますと幸いです。 ぜひ最後までお読みください。
レーシックの術後の視力低下と近視の戻り
- レーシック後に視力が低下したり、近視が戻ったりする可能性はありますか?
- レーシックの術後の視力は、多くの場合維持されますが、視力低下の可能性も否定できません。手術後の生活習慣や環境により、再び近視が発生することがあり、近くの物ばかり見る習慣があると、4〜5%の確率で近視が戻る可能性があります。
レーシック術後の視力低下や近視の戻りなどは、適切なケアを行うことでリスクを抑えられるといわれています。そのほかの原因は、次に詳しく解説します。
- レーシック後に視力が低下する原因を教えてください。
- レーシック手術後に視力が低下する原因としては、以下のようなものが考えられます。
- 水晶体核の硬化による近視化:水晶体は透明で弾力性を持っていますが、加齢により核が硬化し、弾力性が失われるとともに屈折力が増加し、近視化が進むことがあります。また、水晶体の色が黄ばむことで視界がぼやけることもあります。
- 白内障:水晶体が白く混濁する状態です。加齢性白内障や全身疾患に伴うものなどが原因となります。網膜に届く光が妨げられ、視力低下が起こります。
- レーシック後に一定の確率で発生する近視戻り:手術により薄くなった角膜が眼圧によって押され、角膜のカーブが強くなることが原因です。主に高度近視の人はこの戻りが強く出やすい傾向にあります。
- 老眼:水晶体の弾力性が失われ、調節力が低下します。40代半ば頃から近くの文字が見えにくくなる症状が現れます。
- 乾燥(ドライアイ):レーシック手術直後は一時的に強いドライアイが発生しますが、適切なケアを行うことで改善します。しかし、加齢により涙の量が減少すると、ドライアイのリスクが高まります。
このように、レーシック後の視力低下にはいくつかの原因がありますが、日常の目のケアや定期的な眼科検診を受けることでリスクを抑えられるといわれています。
- レーシック後の視力はどのくらいの期間維持できますか?
- アメリカで行われた10年間の追跡調査によれば、レーシックを受けた人の88%が良好な視力を維持しているという結果が出ています。 レーシック手術によって回復した視力は、基本的には半永久的に持続するとされています。しかしながら、一部のケースでは再び近視が少し戻ることがあります。
- レーシック後に視力が戻った場合の治療方法を教えてください。
- レーシック後に視力が再び低下した場合の治療方法として、再手術が考えられます。再手術は、角膜の厚みが十分であり、角膜の形状に異常がない場合に行われます。レーシック後の5年間は再手術がフリーで受けられる制度を提供しているクリニックもあります。ただし、角膜の状態が再手術に適さない場合もありますので、その判断は医師に委ねられます。
定期的に眼科検診を受けて目の状態をチェックし、適切なタイミングで対策を講じましょう。
レーシック以外の手術方法
- レーシック以外の選択肢はありますか?
- レーシック以外の視力矯正手術として、先述したICL(眼内コンタクトレンズ)手術があります。ICLは、近視・遠視・乱視を改善する屈折矯正手術の一つで、小さな切り込みから柔軟なレンズを挿入し、眼内で屈折力を調整します。角膜を削らずに矯正を行うため、度数が強い方や角膜が薄い方でも手術を受けられ、将来的に眼の疾患が発生した場合でもレンズを取り外せるという可逆性が特徴です。
広い適応範囲を持つため、強度の近視やレーシックが適応外となるケースでも対応できる場合が少なくありません。レーシックに抵抗がある方や、手術後の変更に備えたい方にもおすすめです。
- レーシックとICLはどちらが視力が戻りづらいですか?
- レーシックは、角膜を削ることで視力を矯正する手術であり、角膜を削る量によっては、術後に近視が再発する可能性があります。先述したように、強度の近視や乱視を持つ人においては、再度近視が戻るリスクが高まることがあります。
一方、ICL(眼内コンタクトレンズ)手術は、角膜を削らずに目の内部にレンズを挿入することで視力を矯正します。この方法では、角膜の形状に影響を与えないため、近視戻りや視力低下のリスクがレーシックに比べて少ないとされています。しかし、眼の状態や病気、体調の変化により度数や視力が変動する可能性はあります。もし視力が大きく変化し、挿入したレンズが合わなくなった場合には、ICLではレンズの取り外しや交換が行えます。結論として、視力が戻りづらいのはICLといえるでしょう。ICLは角膜を削らないため、近視戻りのリスクが低く、また必要に応じてレンズの取り外しや交換が可能なため、長期的に安定した視力を維持しやすいといえます。
レーシックの術後のケアについて
- レーシックの術後は定期検診が必要ですか?
- はい。レーシックの手術後は経過観察と定期検診が重要となります。 手術翌日、1週間後、3ヵ月後に経過観察のために通院する必要があります。なかでも、術後1週間は感染症や合併症予防が重要となるため、医師の指示を遵守しましょう。
また、3ヵ月後の検診が終わった後も、年に1回は目の状態を確認する定期検診をおすすめします。受診時に視力の安定を確認して、万が一の合併症や問題が発生した場合に早期対応が可能となります。視力が回復すると、術後の経過観察や定期検診を軽視しがちですが、適応検査、手術、術後のケアを含めて1つの手術と考えるべきです。
- レーシックの術後は仕事やスポーツはいつから可能ですか?
- レーシック手術を受けた後の仕事やスポーツの再開時期には、いくつかの注意点があります。まず、デスクワークなどの屋内での仕事は、手術の翌日から可能ですが、長時間のパソコン作業など目を酷使する作業は2〜3日程度控えるようにして、目の回復を促進しましょう。
一方、屋外でのハードワークや重労働の場合は、手術後2日程度の休息を取り、再開時期については医師との相談が重要です。車の運転に関しては手術当日は控え、翌日の検診で医師と相談をして判断してください。
スポーツに関しては、ジョギングやウォーキングといった負荷の軽い運動は手術後1週間から再開できますが、球技や水泳などの高負荷なスポーツは少なくとも1ヵ月間は休止することが望ましいです。 不安や疑問がある場合は、担当の医師に相談し、適切な回復期間を過ごしましょう。
- 術後に視力低下や近視の戻りを予防する方法を教えてください。
- レーシック後の視力を維持し、近視の戻りを防ぐためには、日常生活での視力ケアが重要です。以下のポイントを意識しましょう。
- スマートフォンの使用時:目と画面の距離を40cm以上保つことが大切です。1時間使用したら10〜15分の休憩を取り、遠くの景色を眺めることで目をリフレッシュさせましょう。また、蒸しタオルを使って目の血行を促進するとよいでしょう。スマートフォンを凝視していると瞬きが減るため、意識的に瞬きを増やすことも必要です。寝転んでのスマートフォン使用は避けましょう。
- パソコン作業やテレビを見るとき:パソコンと目の距離は50cm以上を保ち、連続使用は50分以内にとどめることが理想です。集中していると瞬きの回数が減るため、こちらも意識して瞬きを増やしましょう。 50分ごとに5m以上離れた目標物を3分間見ることで目の疲れを軽減します。 テレビを見る際には、画面から少なくとも2m以上離れ、正しい姿勢で視聴することが推奨されます。読書時も同様に、30cm以上離して行うことで調節ラグを防ぎ、視力低下を予防します。
- 日常生活で遠くを見る習慣をつける:外出時や通勤時など、5m以上先の物を観察するように心がけましょう。休日にはアウトドア活動を取り入れ、自然の景色を楽しむことをおすすめします。
- 入浴時:蒸しタオルで目を温めることで、その日の目の疲れを取り除くことも効果的です。閉じたまぶたの上に蒸しタオルを3分程度当てることで、血行が促進され、ドライアイの改善にもつながります。
これらの習慣を取り入れることで、術後の視力を維持し、近視の戻りを予防します。
編集部まとめ
ここまでレーシック後に視力や近視が戻る可能性についてお伝えしてきました。レーシック後に視力や近視が戻る可能性の要点をまとめると以下のとおりです。
- レーシック後の視力などは多くの場合維持されるが、手術後の生活習慣や環境により再び近視が発生するケースがある
- レーシック以外の視力矯正手術として、ICL(眼内コンタクトレンズ)手術があり、強度の近視やレーシックが適応外となるケースでも対応できる
- レーシック後の近視戻りが起きないように、スマートフォンやパソコン作業、テレビを見るときなどに目の負担がかからないように注意し、日常のなかで遠くを見る習慣づけ、蒸しタオルなどで目を温めて血行を促進するといった予防方法がある
レーシック後の視力や近視の戻りに不安がある方は、自分の生活スタイルを改善し予防と取り入れたり、ICLなどの手術も検討したりするとよいでしょう。 これらの情報が少しでも皆さまのお役に立てば幸いです。