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近視の原因|仕組み・治療法・予防法を解説

近視の原因|仕組み・治療法・予防法を解説

日本人を含むアジア人は、近視を持っている方が多いといわれています。また近年、学童期における近視が増加傾向にあり、問題視されています。

「近視の原因は眼の使いすぎ」と考える方も多いですが、どのような原因があるのでしょうか。眼疾患の中でも重要視されにくい近視ですが、少なからず眼の健康に影響を及ぼしています。

本記事では近視の原因に加え、仕組み・治療法・予防法についてご紹介します。

近視の原因・仕組み

光

近視とはどのような状態ですか?
近視とは、遠方を見るときピントが合わずぼやけて見えにくく、近方を見るときはピントが合いはっきりと見える状態です。
眼に入ってきた光は、眼の構造である角膜と水晶体を通り屈折した像が網膜のピントに合い視神経に伝わることでものが見えます。しかし、近視が生じていると正常時より焦点が前方で結んでしまうことにより、遠方が見えにくい状態となってしまうのです。
近視は眼の屈折異常により起こる状態です。また、近視は屈折度数により3つに分類されます。

  • 弱度近視:−0.5D以上−3.0D以下
  • 中等度近視:−3.0D以上−6.0D以下
  • 強度近視:−6.0D以上

「D」は屈折度の単位であり、強さの程度は屈折度数で表されます。

近視の原因は何があげられますか?
近視の原因は、遺伝的要因環境要因があげられます。
遺伝的要因は、両親や祖先の遺伝子が関係しています。両親とも近視ではない子どもに比べ、片親が近視の場合は2倍、両親とも近視の場合は約5倍の確率で近視になりやすい遺伝子を受け継いでいるといわれているのです。そのため、少なからず遺伝子が関係しているといえるでしょう。
対して環境要因とは、スマートフォン・パソコン・本などを長時間見たり、室内で過ごしたりすることが多い背景が関係しています。近業を続けることは眼に影響を与えます。
また、屋外活動の少なさが近視の発症に関係しているという報告もあるのです。ただし、近視の原因はどちらの要因でなりやすいかの判断は困難とされ、はっきりとした原因は不明です。
遺伝的要因と環境要因が入り組み関係することで、近視が発症するといえるでしょう。また、近視は眼の前後方向の長さである眼軸長が長いことが関係していることで生じると考えられています。
近視の仕組みについて教えてください
先述した通り、近視は正常時より焦点が前方で結んでしまうことです。
眼の仕組みや構造は、カメラの仕組みに例えられるほどよく似ています。カメラで写真を撮るときと同じように、眼に入ってきた光は眼の構造の一つである毛様体により水晶体の厚みが調節され自然とピントが合う仕組みです。
調節力を働かせない状態で平行光線(遠方からの光)が網膜上でぴったりと合う状態を正視と呼びます。ピントがぴったりと合っていることで、調節力を使用した際に遠近ともはっきりものが見えるのです。
近視は調節力を働かせない状態で平行光線が眼の中に入ったときに、網膜の前方でピントが合う仕組みとなります。そのため、遠方はぼやけてしまう状態となります。
近視の種類にはどのようなものがありますか?
近視の種類として、単純近視病的近視があります。
単純近視とは、一般近視とも呼ばれ環境による影響が大きいことで発症することです。子どもが学童期に入ると近視を発症する場合が多く、学童期は近視になりやすい生活環境を避けることが困難といわれています。近業を行うときは姿勢よく長時間続けないなどの配慮が必要です。
病的近視は、視機能障害を伴うことで眼疾患を合併しやすい状態の近視です。眼軸が長く眼球後部の変形がみられ、失明の原因にもなり得ます。メガネやコンタクトレンズで矯正しても正常な視力が出ません。
先述した通り、近視は眼軸の長さが関係していますが、近視が進行し強度近視になっても病的近視になるわけではありません。単純近視も病的近視も遺伝が関わっている部分が大きいです。
また、幼少期から強い近視がみられる状態の先天近視もあります。眼や全身に疾患を伴うことが多く、早期発見が重要です。代表的な疾患として、マルファン症候群・スティックラー症候群・家族性滲出性硝子体網膜症・網膜色素変性などがあげられます。

近視の治療法・費用

コンタクトレンズ

近視の治療法について教えてください
治療法については以下があげられます。

  • メガネやコンタクトレンズによる矯正
  • オルソケラトロジー
  • 点眼薬
  • 屈折矯正手術

すぐに始められる方法として、メガネやコンタクトレンズによる矯正があります。メガネは常に装着していなくてもよく、見えにくいときだけでもよいです。常に装着していないからといって、近視が進行することはありません。
コンタクトレンズは、視力の左右差がある方や運動をする方に向いています。コンタクトレンズの矯正に、多焦点ソフトコンタクトレンズを使用する方法も近年増加しています。
老眼矯正のための遠近両用コンタクトレンズである多焦点ソフトコンタクトレンズは、近視の進行を抑制する効果があるといわれているのです。メガネやコンタクトレンズを使用したい場合、必ず眼科で検査をしてから処方してもらいましょう。また、定期検診も欠かせません。とくにコンタクトレンズは、衛生面に気を配る必要があり検診は眼の健康を守るためにも重要です。
オルソケラトロジーは、就寝時にカーブの弱いハードコンタクトレンズを装着し、一時的に角膜の形状を変えることで前方にある焦点を後方にずらす屈折矯正方法です。レンズを外しても矯正が持続されるため、裸眼で過ごすことが可能となります。メガネやコンタクトレンズに比べると高い矯正力がみられ、手術が必要なく就寝時にコンタクトレンズを装着するだけのため手軽です。
しかし、ハードコンタクトレンズに慣れていない方や子どもには扱いが難しいでしょう。また、衛生管理を怠ると感染症や合併症を引き起こすデメリットもあるため注意が必要です。なお、オルソケラトロジーは自費診療となり、費用相場は片目10万円(税込)両目30万円(税込)ほどです。参考にしてみてください。
世界的にも広く取り扱われている治療法として、低濃度アトロピン(※1)を使用した点眼薬があります。毛様体筋の調節を麻痺させ瞳を大きくすることで、進行抑制の効果が見込めます。
以前は濃度1%を使用していましたが、使用を中止することで矯正力が戻るリバウンドや強い眩しを感じるため使用が困難でした。しかし、シンガポールの研究にて濃度0.01%のアトロピン点眼に進行抑制効果があることが判明しました。濃度が低いため抑制効果は低いですが、副作用は少なく使用を中断してもリバウンドがほとんどなく、近業に影響を与えないメリットがあります。
低濃度アトロピンの対象は主に子どもになります。眼軸長が伸びる時期に点眼を継続する必要があるため、16歳前後まで継続することが望ましいです。
低濃度アトロピン点眼は国内未承認薬であるため、自費診療となります。費用相場は、1ヶ月使い切りで3,000〜5,000円(税込)ほどです。また、低濃度アトロピン点眼は3ヶ月毎の定期検診が可能な方のみ処方できます。
手術により屈折力矯正する方法としてレーシックがあげられます。レーシックは、フラップ(蓋)を作成し角膜を露出させてレーザーを照射し、角膜の一部を切除することで屈折力を変化させ、焦点が網膜に合うように矯正する手術です。
フラップはレーザー照射後に元の位置に戻すため角膜表面も術後元に戻り、翌日から視力の改善がみられます。局部麻酔が使用され、手術自体は数分程度で終了となるため、受けやすい手術といえるでしょう。
しかし、ドライアイ・光が滲んだように見えるグレアやハロー現象・複視などの合併症がみられる場合があります。そのほか、安定した視力が得られない・強い近視の場合は効果が弱い場合もあるのです。
また、自己免疫性疾患や角膜に異常がみられる方は合併症が生じやすいため、手術を受けられないことが考えられます。合併症やリスクを踏まえ医師と相談し検討することが望ましいです。
なお、レーシックは自費診療となり、費用相場は20〜30万円(税込)ほどです。参考にしてみてください。
また、屈折力矯正手術はレーシックのほかに、近年ICLもメジャーになりつつあります。ICLとは、眼内に専用の薄いコンタクトレンズを入れることで矯正する方法です。レーシックとは違い、角膜を削らず近視の戻りが少ない方法となります。
しかし、強度の近視や乱視には適用が困難な場合があります。ICLはレーシック同様に自費診療となり、費用相場は40〜100万円(税込)ほどです。なお、費用には定期検診代が含まれていることが多いです。
(※1) 未承認医薬品等であるため医薬品副作用被害救済制度の対象とはならない可能性があります。

近視は治療次第で回復しますか?
何らかの治療法を受けることで、回復は見込めるでしょう。しかし、一度近視が発症した視力が回復し完全に元の状態に戻すことは困難です。
近視は、進行し始める前に治療を開始することが望ましいです。ものが見えにくい・違和感を覚える場合は、早期に検診を受け医師の診断に従いましょう。
近視の進行抑制はできますか?
近視の治療を受けることで進行抑制は期待できるでしょう。オルソケラトロジーでは平均30〜60%・低濃度アトロピン点眼薬は60%ほどの進行抑制効果がみられます。
レーシックでは高い矯正力がみられますが、先述した通りさまざまなリスクがつきものです。また、個人差があるため受ける治療によっては効果が弱い場合があります。
近視治療は保険適用されますか?
近視治療の治療自体は自費診療である場合が多く、保険適用はされません。ただし、オルソケラトロジーやレーシック治療にかかる費用は、医療費控除の対象となります。
メガネやコンタクトレンズなど、日常生活の必要性に基づくものに対しては対象になりません。治療を受けたいけど費用面で悩む場合、医療費控除の対象である治療を検討してみてはいかがでしょうか。

近視の予防法・影響

女性

近視の予防法について教えてください
近視は環境要因によっても大きく関係しているため、日頃の生活習慣から見直し予防に努めましょう。スマートフォンや本などを見るときは姿勢を正し、対象物と眼の距離は30cmほど離してください。
自覚はなくても長時間見続けることは、眼に負担をかけます。1時間に1回は眼を休めるようにしましょう。
また、暗い場所での作業は避け、明るさが保てる場所で作業を行ってください。ただし、明るすぎても眼の負担となるため、1000〜3000ルクスの明るさがある中で作業しましょう。
また、日光に当たらない機会が多いことが問題となっています。例えば外で遊ぶ子どもに対して、室内で過ごす子どもの方が近視の割合が多いです。そのため、なるべく外で活動するように心がけましょう。
ただし、直射日光に当たればよいわけではありません。紫外線や熱中症になるなどの影響があるため、紫外線対策をしつつ外で活動する時間を増やすとよいでしょう。
近視が子どもに与える影響について教えてください
子どもの頃の近視の進行が高齢者になったときに、低視力や眼疾患などを引き起こす影響があります。
デジタルデバイスが普及し生活が豊かになるのと引き換えに、近業する機会が多く眼には多くの負担がかかる生活となっています。そのため、近視がみられる子どもは年々増加傾向にあるのです。
また近視は、身体の成長と共に眼軸も成長することで20代後半まで進行します。ただし、なぜ進行するのかは明確に判明していない部分が多いです。
近視が増加傾向にある学童期にかけて早期発見し治療を進めることで将来、眼疾患にかかるリスクを軽減できるでしょう。

編集部まとめ

指を指す女性

近視は誰にでも発症する可能性があり、身近な眼の症状の一つです。明確な原因は判明していませんが、遺伝と環境が関係しています。

近視の治療を受けても、完全に元の状態に戻ることは非常に困難です。

しかし病的近視のように、近視があるだけで網膜裂孔のリスクや近視による網膜疾患を発症するリスクが上がるため、近視を予防することは眼にとって非常に大切です。

日々医学は進歩しているため、新しい治療法や予防法が見つかるでしょう。しかし、まずはご自身に合った治療法を受け進行を抑制し、眼に負担がかからない生活を心がけましょう。

参考文献

この記事の監修歯科医師
柿崎 寛子医師(Vista medical center Shenzhen)

柿崎 寛子医師(Vista medical center Shenzhen)

三重大学医学部卒業 / 現在はVISTA medical center shenzhen 勤務 / 専門は眼科

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