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硝子体手術は日帰りでできる?硝子体手術の基本から術後の注意点までを解説

硝子体手術は日帰りでできる?硝子体手術の基本から術後の注意点までを解説

硝子体手術は広く実施されている手術で、眼の奥にある硝子体(しょうしたい)という組織を取り除いたり網膜を治療したりします。網膜裂孔や糖尿病網膜症といった疾患の治療に用いられる手術です。

この記事では硝子体手術の基本的な情報から、手術の対象となる眼疾患について説明します。続いて、手術にかかる時間や日帰り手術は可能か、硝子体手術にかかる費用にも触れていきますので、硝子体手術が気になっている方はぜひ目を通してください。

硝子体手術の基本情報

硝子体手術の基本情報 硝子体手術は30年以上の歴史があり、さまざまな眼疾患の治療に用いられています。この手術の対象部位となる硝子体と網膜とはどういったものか。そして、硝子体手術はどのように行われるのか。硝子体手術の基本情報について、まとめています。

硝子体や網膜とは、どのような組織か教えてください。
硝子体とは眼の奥にある組織で、透明なゲル状で眼球の大半を占めており、眼の形を保つのに役立っています。加齢や近視、糖尿病などによって硝子体が収縮したり濁ったりしてしまうと、さまざまな眼疾患を引き起こすといわれています。

網膜とは、眼球の内側にあって硝子体と接している非常に薄い膜です。眼から入ってきた光はここで像を結ぶため、物を見るための重要な役割を果たしています。

網膜・硝子体手術はどのような手術ですか?
硝子体手術では、白眼に小さな穴を開けます。続いて、細い専用器具を使用して硝子体を取り除くなどの必要な処置を行い、治療していきます。この際に開ける穴はごく小さい穴のため、傷跡も気にならず、手術は局所麻酔で行われるために痛みもありません。また、短時間ですんでしまうので多くの場合は日帰り手術が可能となっています。
網膜・硝子体手術は安全ですか?
硝子体手術は広く安全に行われていますが、手術である以上、どうしても合併症が起こる可能性は存在します。しかし、重篤になるケースはまれで、適切な治療を施すことで対応できます。手術前に医師から十分な説明を受けて合併症について知っておくことで、その不安も軽減できるでしょう。

硝子体手術の対応疾患

硝子体手術の対応疾患 硝子体手術で治療できる眼疾患にはどんなものがあるのでしょうか? ここからは糖尿病網膜症をはじめ、硝子体手術によって改善できる眼疾患について説明していきます。個々の疾患についても、それぞれどのような疾患で、症状はどういったものかなども記載していますので、参考にしてみてください。

網膜・硝子体手術はどういった疾患に対して行われますか?
硝子体手術で改善が期待できる疾患として、以下が挙げられます。

  • 糖尿病網膜症
  • 網膜裂孔・剥離
  • 網膜静脈閉塞症
  • 黄斑上膜、黄斑円孔
  • 硝子体出血
  • そのほか(硝子体混濁、水晶体脱臼、眼内レンズ脱臼など)
糖尿病網膜症とはどのような疾患ですか?
糖尿病網膜症とは、血糖値が高い状態が長期間続くことで起こる糖尿病の合併症の一つです。高血糖によって網膜の毛細血管が傷つくことで出血や黄斑部の浮腫が起こり、進行すると網膜剥離を引き起こすことがあります。糖尿病腎症、糖尿病神経障害と並ぶ糖尿病の三大合併症の一つであり、失明の恐れもある病気です。
網膜裂孔・剥離とはどのような疾患ですか?
網膜裂孔とは、網膜の一部が裂けたり孔が開いたりすることです。自覚症状がないことも多いのですが、裂孔で出血が生じると視界に何かがチラつく飛蚊症といった症状が出ます。網膜剥離は網膜が脈絡膜からはがれてしまうことをいい、主に飛蚊症や眼がチカチカする光視症という症状があります。悪化すると失明のリスクが高くなるため、こちらも糖尿病網膜症と同様に早期治療が必要です。
網膜静脈閉塞症とはどのような疾患ですか?
網膜の出血や黄斑部の浮腫が起こる疾患であり、動脈硬化が原因であることが多いです。物が歪んで見えたり、視力が低下したりします。
黄斑上膜、黄斑円孔とはどのような疾患ですか?
黄斑上膜は、黄斑の網膜表面に薄い膜が形成される疾患です。自覚症状はなく、検診で発見されることも多々あります。黄膜円孔は網膜の黄斑部に小さな孔ができる疾患で、加齢による硝子体の収縮や後部硝子体剥離などが原因で発症します。早期に治療をすれば、視力の回復も期待できます。
硝子体出血やそのほかの疾患はどのようなものですか?
硝子体出血とは、眼球内に出血した血液が硝子体内に溜まることで網膜まで十分な光が届かず、視力低下を引き起こす疾患です。そのほか、硝子体手術で対応できる眼疾患としては硝子体混濁、水晶体脱臼、眼内レンズ脱臼などが挙げられます。

硝子体手術にかかる費用と時間

ここまでで硝子体手術と、対応可能な眼疾患について理解いただけたかと思います。続いて、硝子体手術にはどれくらいの時間がかかるのか、硝子体手術にかかる費用など、実際に手術する上で気になる情報をお伝えしていきます。

日帰りも可能な硝子体手術の所要時間はどれくらいですか?
硝子体手術にかかる時間は一般的に30分~1時間程度と、比較的短い手術です。そのため多くのケースで日帰りでの硝子体手術が可能であり、1週間ほどすれば日常生活に戻れることがほとんどです。ただし、疾患の程度によっては2時間を超える場合であったり、人によっては入院が必要となることがあります。
硝子体手術にかかる費用を教えてください。
手術にかかる費用の目安としては、保険適用が3割負担の方で、片眼で約10万円~20万円です。

個人によって手術内容も異なりますし、医療機関によっても多少の前後があるため、事前に確認しておくといいでしょう。また、医療費が高額になった場合は一定の金額(自己負担限度額)を超えた部分を払い戻せる高額療養費制度が利用できます。

硝子体手術後の注意点

硝子体手術後の注意点 手術後には日常生活を送る上で、気をつけるべきことは何でしょうか。また、手術後に合併症になる可能性もあるのでしょうか。ここでは手術後に気をつけるべきことや、手術後に考えられる合併症について説明していきます。注意すべき点についてあらかじめ知っておくことで、手術に対する不安を減らすことにつながりますので、ぜひ参考にしてください。

硝子体手術をした後に気をつけることはありますか?
硝子体手術は日帰りでおこなわれることもありますが、手術後の過ごし方にはいくつか注意が必要です。医師から指示されたことを必ず守ることが、1日でも早く日常生活に戻ることへとつながります。

当日は安静にしておく必要があり、眼をこすったり触ったりといった刺激を与える行為は厳禁です。保護用メガネの着用を促される場合もあります。

また、手術後1週間程度は次に挙げる行為はなるべく避けるようにしましょう。

  • 入浴、シャワー、洗顔
  • メイク
  • 飲酒、喫煙
  • 車の運転
  • 激しい運動

これらはあくまでも目安なので、詳しくは事前に担当医に聞いておくことをおすすめします。

手術後しばらくしてから眼に違和感を覚えるのですが……
硝子体手術をしたからといってすぐに見え方が回復するわけではなく、見え方の改善には時間がかかるといわれています。また重篤なケースはまれですが合併症も考えられるので、事前に合併症について医師からよく話を聞いておくことが重要です。主な合併症として、以下があります。

  • 高眼圧……術後に炎症が起こるなどして、一時的に眼圧が上昇する場合がある。ほとんどの場合、点眼薬などで対処が可能。
  • 硝子体出血……原因はさまざまだが眼内で出血が生じることがあり、視力低下が見られる場合も。多くは時間経過で改善するが、再手術や処置が必要な場合も。
  • 眼内炎……手術後の傷口から細菌が入ることで起こってしまう合併症。放置すると失明の恐れもあるため、早急な対処が必要。
  • 網膜剥離……さまざまな原因で手術後に網膜剥離が起こる場合がある。その際には、硝子体手術を再び行う必要がある。
  • 駆逐性出血……手術中の異常な血圧上昇などで負荷がかかった場合に出血するケース。起こるのは非常にまれ。

編集部まとめ

この記事を通じて、硝子体手術についての理解は深まったでしょうか。硝子体手術は現在広く安全に行われている眼の手術で、さまざまな眼疾患に対応しています。また、多くの場合で日帰り手術が可能なため、日常生活への復帰も比較的早くすることができます。 なお、硝子体手術が必要となる眼疾患には、初期段階では自覚症状がないものも多くあります。加齢や糖尿病などでリスクが高い方は、定期的に検査を受けることが大切です。

参考文献

この記事の監修歯科医師
柳 靖雄医師(横浜市大 視覚再生外科学客員教授 お花茶屋眼科院長)

柳 靖雄医師(横浜市大 視覚再生外科学客員教授 お花茶屋眼科院長)

東京大学医学部卒業(1995年 MD)/ 東京大学大学院修了(医学博士 2001年 PhD) / 東京大学医学部眼科学教室講師(2012-2015年) / デューク・シンガポール国立大学医学部准教授(2016年-2020年)/ 旭川医科大学眼科学教室教授(2018年-2020年) / 横浜市立大学 視覚再生外科学 客員教授(2020年-現在) / 専門は黄斑疾患。シンガポールをはじめとした国際的な活動に加え、都内のお花茶 屋眼科での勤務やDeepEyeVision株式会社の取締役を務めるなど、マルチに活躍し ています。また、基礎医学の学術的バックグラウンドを持ち、医療経済研究、創薬、国際共同臨床研究などを行っています。

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